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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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A's編 その想いを力に変えて
  31話:本局見学会でございま~す

 
前書き
 
忘れてたので、急遽サウンドステージ回。
ちょっち会話文が多いかと
  

 
 
 
さてさて、ハラオウン家での色々の翌日。
ユーノはクロノ達と共に本局へ。フェイトも本局でやることがあるらしく、後から追うように本局へ行くことに。

「それで何故俺も一緒に行かなきゃならんのだ…」
「いいじゃん。別に予定があった訳じゃないんでしょ?」
「だからと言って、なぁ…」

周りを見ながら、嫌々しく呟く。するとすぐ側の扉が開き、中からフェイトが出てくる。

「なのは、士。お待たせ」
「うん、フェイトちゃん」
「お疲れさん」

一通り言葉を交わし、三人でエレベーターに乗る。しかしこれは本当にエレベーターと呼んでいいのだろうか?いや、エレベーターには違いないんだろうけど……

「嘱託関連の手続き、全部済んだ?」
「うん。書類を何枚か書くだけだったから。二人はユーノとは会えた?」
「あぁ、差し入れの方も渡せた。アイツも色々手続きがあるから一度さっきのとこに寄る、とは言ってたな」
「あ、残念。それじゃあ入れ違いだ。また時間があったら、様子見に行こっか」
「うん!」

目的の階に到着し、扉が開くと、そこには二人の人物がいた。

「ってあら」
「おぉ、なのは、フェイト。それに士」
「あ、リーゼロッテさん、リーゼアリアさん」
「こんにちは」
「そして俺はついで扱い…」
「丁度いいところに来た。迎えに行こうと思ってたんだよ」

見事にスルーされたよ。お兄さん悲しくなってきた……
そんな俺を差し置いて、なのはとフェイトはリーゼ…アリアだったかな?その彼女の言葉に首を傾げた。

「クロノに頼まれてたのよ。時間あるようなら、本局内部を案内してやってくれ、ってさ」
「いいんですか?」
「フェイトちゃんも、B3区画以降は入った事ないでしょ?」
「はい、そうです」
「一般人が見てそんなに面白いもんじゃないんだけど、“いけてる魔導師”の三人なら、結構楽しいと思うよ♪」

ていうか、この二人はクロノの師匠だった筈だよな……あいつ意外と人使い荒いな…いや、元からか。
というか、俺は普通の魔導師扱いされてるけど、いいんだろうか……いや、今回は割り切っていくか…

「行ってみたいです!」
「お願いします」

考えてる間に二人は了承。俺も断る理由が微塵もないので、案内してもらう事にした。









「この区画がB3。武装局員達が、普段働いてる区画ね」
「皆さん、普通のスーツ姿なんですね」
「管理局ってのは、意外と事務的な物も多いのか?」
「普段はデスクワークだし、まぁそこそこね」

管理局と言っても、やはり組織での運営だ。そこら辺はあって当然か。

「で、向こうが訓練場」
「今丁度トレーニングしてる筈だよ」

二人がそう言って示す先では、男性二人が空中を飛び回りお互いのデバイスをぶつけ合ったりしていた。それで時々金属音も聞こえてくる。

「はぁ…すご~い…皆さん、がんばってますね」
「こう言う実践形式の戦闘訓練は、週に三回か四回。基礎訓練だと、もっと多いかな」

まぁ何事に置いても基礎ってのは大事だからな。

「えっと…リーゼロッテさんとリーゼアリアさんは―――」
「あ~、待った。長々と呼ぶの面倒いから、“リーゼ”の部分は省略OK。『ロッテ』と『アリア』でいいよ」
「で、二人纏めて呼ぶ時は『リーゼ』。皆そう呼ぶから」

提督の使い魔だけあって、有名なのか?フルネームで呼ぶのは、本人達も言うように面倒なんだろう。

「じゃあ、リーゼさん達は、武装局員の教育担当だとか…」
「うん、そうだよ」
「戦技教導隊のアシストが、最近は一番多い仕事かな?」
「戦技…教導隊?」

二人の会話の中で、聞き慣れない言葉が出てきて、なのはが気になってかそれを復唱する。

「武装局員に、特別な戦闘技術を教えて、導くチームね」
「武装局員になるのも、結構狭き門なんだけど、その中でもさらに上のスキルを教える立場だから…まぁ、トップエリートだね~」
「まさにエースの中のエース、“エース・オブ・エース”の集団」

なのははそれを聞いて声を漏らす。
言うなれば、俺達の世界における高校、大学の教員と言ったところか。小・中と学んだ物を、さらに応用して深めていく、そんな感じか。

「本局に本隊があって、支局が四つ。合計五つの教導隊があるけど、全部合わせても百人ぐらいなんじゃないかな…?」
「結構数少ないんだな」
「まぁねぇ…私達みたいな非常勤のアシスタントも合わせたら、もっとだいぶ多いと思うけどね~」
「武装局員の数に比べて、腕のいい教導官が少なすぎなんだよね~。だ~から武装局のガキ共は、いまいち強くなんないんだ…」

まぁ組織の中だ。実力があれば他の部署とかにも行くことがあるだろうし、元々腕のいい人材が少ないのかもしれない。色々あって大変だ。

「ん?休憩かな?折角見に来たのに…」
「ま~、この三人だとあれでしょ、見るよりやりたいだろうから、丁度いいよ。な~?」
「「「あははは…」」」

そう言う…ロッテ?の言葉に苦笑いを見せる俺達三人。
そのままリーゼ達は中へ入っていく。

「え~っと、クロノ君の時も、武装局員のメニューでトレーニングしたんですか?」
「ノンノン。クロ助の時は、あたしとアリアがミッチリくっついて、それぞれの科目で個人授業」
「あの子が五歳の時から教えてたけど…あれは中々教えがいのある生徒だった…」

なのはの質問にロッテが指を振り、アリアは腕を組んで頷きながらそう言った。ミッチリ……あいつ、色々苦労しただろうな…主に二人関係で。

「因に、その教えがいとは、あいつの成長率か教える量のどっちの意味合いで?」
「ん~…まぁそれだったら両方かな?」
「こんなこというのはなんだけど、クロノはそんなに才能ある子じゃなかったからね」
「え、そうなんですか?」

フェイトがそう言うと、ロッテが腕を組んで頷いた。

「ま~ねぇ。魔力量は両親譲りでそこそこある方だったんだけど…魔力の遠隔操作は苦手やら、出力制御はてんっでできないわ、フィジカルは弱々だわ」
「全然想像できない…」
「同じく…」

あそこまで行くのに、どれだけ苦労したのだろうか。そんな奴が今では執務官とはな。

「まぁあの子は頑固者だったからね~。覚えは悪かったけど、一度覚えた事は絶対に忘れないし…」
「バカみたいに一途だからさ、一つのこと延々と繰り返しても、文句一つ言わずに付いてきた」
「それは…なんとなく想像できます」
「うん…」

努力の賜物……努力し続けることも、才能だよな。

「滅多に、笑わない子だったけどね。それがちょっと寂しかったっけ…」
「士官学校でエイミィと出会って、仲良くなってからかなぁ、よく笑うようになったのは…」
「うん、あの子のおかげは大きいね。今じゃ割と有名だもんね。ハラオウン執務官とリニエッタ執務官補佐の名コンビわ」
「へ~」
「なんとなくわかります」

あの二人は端から見ても仲がいいのがわかる。この先はどうなるだろうか。

「あっ、そう言えばフェイト」
「はい?」
「フェイトはやっぱりあれ?正式に局入りするの?」
「えっと…まだその辺りはちゃんと決めてなくて…」
「九歳で使い魔持ちのAAAクラス魔導師っていったら、局でも民間でも、どこでも選び放題だから、急いで決めることもないけどね」

そう言えばそんなの取ったってビデオメールで聞いたな。そういうの取っておいた方が今後有利に働くのかね?

「う~ん……色々と考えてます」
「なのはや士の方はどうだ?」
「えっと……私は、管理外世界の住人ですし、管理局の仕事も、実はよく把握してなくて…」
「私も、漠然としか…」
「漠然と?」
「どんな風に?」

リーゼ達に聞かれ、二人は思案顔になる。

「う~んと…次元世界を纏めて管理する、警察と裁判所が一緒になったようなとこ…?」
「後は…各世界の文化管理とか、災害救助とか…」
「あ~あ~、そんだけわかっていたら上等上等」
「他に細かい仕事はたくさんあるけど、大筋はそこだから」
「因に士は?」
「俺も大体そんなとこ」

てか、それ以上に言いくるめる方法がないでしょ。

「なるほど…」
「フェイトは…父様やクロノみたいな執務官か、そうでなきゃ指揮官向けだね。精神的にも能力的にも、クロノとタイプ近いし」
「そうですか?」
「うん!能力的には実の兄妹っつっても、違和感ナッシングだ」
「ありがとうございます、うれしいです」

そう言いながら顔を朱に染めて頭を下げるフェイト。クロノ、お前はいい妹を持ったな……

「ただし!執務官になるとしたら、半年に一度しかない“執務官試験”は、難しいぞ~♪クロノだって一回落ちてるんだから」
「「えぇ~!?」」
「筆記も実技も、それぞれ合格率15%以下だかんね~」
「責任重大だし、指揮官能力と個人スキルが両方必要だしね~」

語尾を伸ばしていう二人の表情は、どこか意地悪そうに見えた。

「相当厳しいんだな」
「大変そうだね…」
「う~…」
「フェイトはアレだよ、捜査官っつう手もあるぞ?」
「ん~…なんか似合いそうで似合わない。捜査官は、どっちかって言うと腕っ節の体育会系ってイメージが…」
「インテリ型もいるけどな」

と、そこからはリーゼ達が面と向かって話し込み始めてしまい、俺達は蚊帳の外、みたいになってしまった。おいおい、案内はどうした案内は。

「でも、フェイトちゃんは執務官似合いそうだね」
「そ、そうかな…?目指すとしたら、色々大変そうだけど…」
「そっちの方がやりがいあるだろ?」
「ん〜…そう、だね…」

俺の言葉に笑顔で返してくるフェイト。こいつもクロノに似て頑固者だからな。決めたら決めたで、そこに向かって突っ走るだろう。

「なのはは、局の仕事をするとしたら、何に―――」
「「武装局員!!」」
「ふぇぇ!?」

フェイトの言葉を継いだのか、遮ったのかわからないタイミングでリーゼ達が戻ってきて、声を揃えてそう言った。息ぴったりだな、流石双子。

「うん、データ見るがぎりでは、それ以外あり得ない」
「戦闘派手だし~。よかったな~なのは、将来が決まったぞ♪」
「よ、よろんでいいんでしょうか…?」

また意地悪く二人にそう言われ、なのはは苦笑いを浮べる。

「まぁその辺の冗談はさておいても、武装隊入りは悪くないと思うよ」
「は、はぁ…」
「君のスキルを考えたら、多分候補生から入って士官直行コースだろうし、二年ぐらいで中隊長になって、その間に教官訓練も受けて、四、五年後には教導隊入り、な~んてコースも夢じゃないかもね」
「う~ん…」

まぁいきなりそんな話されても仕様がないよな。

「因に士は、選ぶの難しそうだね。色々できそうだし」
「まぁそうだな。それこそ、ちゃんと局のシステムやら理解してから、自分にあったやつを決めるのも、悪くないと思ってる」
「お、意外と大人じゃ~ん」

意外とは余計だ、と口に出かけたが、ロッテ辺りから何かされそうなので押し止めた。

「お、知った顔発見!お~い!」
「三人共、ちょっとここで待ってて。奥の方の見学許可、もらってくるから」
「「は~い」」
「頼むわ」

そう言って先に行ったロッテを追うようにアリアが走っていく。

「管理局も色々だね~…」
「そうだね…」
「でも……フェイトちゃんはやっぱり、執務官が似合いそうかな?どう思う、士君」
「俺もいいと思うぞ、テスタロッサ執務官?」
「もう、ふざけないでよ~」

別にふざけているつもりはないのだがな。

「ん~…でも、私はどうなのかな…?」
「どうって…?」
「将来の事、なんだかあんまり、ちゃんと考えられてなくて…」
「今は色々と忙しいしね」
「それ以前に今の段階で細かいとこまで考えなくてもいいんじゃねぇのか?」
「まぁそうかもね……」

ちょっと不安そうな顔で俯くなのは。別にそこまで気にする事かねぇ?

「でも、一つだけいい?」
「…?」

そんななのはに、前置きをしながら話しかけるフェイト。それに答えるようになのはも顔を上げる。

「武装隊が、なのはに取っていいかどうかはわからないけど……なのはは、何かの道を極めるのも、誰かに何かを教えたり、導いてあげたりするお仕事、きっとどっちも似合うと思うよ」
「……そう、かな…?」
「うん、きっと」

こう言いきれるのも、仲がいい証拠かねぇ……
なんにせよ、フェイトの言葉を聞いたなのはは、顎に手を当てて考え始める。

「う~ん…今は、教えられてばっかだし、そんな風になれるのが、いつになるのかよくわからないけど…」
「それは私も。私も将来の事なんて、まだ全然わかんないよ」
「それが普通だろ。まだまだ俺達は子供なんだから、十年、二十年先の事なんかわかんなくて当然だ」
「…そうだね」

俺の言葉になのはは少し口角を上げて頷いた。ま、俺の場合中身は大人なんだけどね!

「私、フェイトちゃんや士君となら、ちゃんと考えられる気がする」
「…私は、なのはや士が…二人が一緒だから」
「一緒だからだね」
「うん」

笑顔で頷くフェイト。なのはもそれにつられて笑顔を見せる。

「…それじゃあ、これからの事もきちんと考えながら生きていきますか」
「なんか今まで考えてないって感じのいい方だけど…」
「まぁ、そうだね」

その後、リーゼ達にさらに奥のところまで案内してもらい、色々な話も聞けた。

「そういえば、クロノが兄貴ってのも、意外と新鮮みがあっていいかもね」
「じゃあさ、フェイトが『お兄ちゃん』って呼んでみたらどう?」
「ふぇ!?お、お兄ちゃんなんて、そんな…」
「え~、呼んでないの?」
「な、なのはまで…」
「呼ぶ時は画像撮っておいてな。あいつのテンパるところが見たい」
「あ、それいいね♪」
「撮るんだったらアタシらにも見せてね」
「え、えぇ~!?」


















「ただいま〜」
「お邪魔しま〜す」
「おい〜っす」

本局からテスタロッサ家へ戻り、ちょっとお邪魔する事に。

「お帰り、フェイト、なのは。士はもう少し挨拶をしっかりしたらどうだ?」
「うるへー、わしの勝手じゃぼけぇ」

フェイトは帰り途中で買った物をテーブルの上に置く。

「クロノ、一人?」
「あぁ。エイミィはアルフの散歩がてら、アレックス達のところに食事を差し入れに行ってるよ。二人とも、インスタントばかりなんだそうだ」
「あ〜…」
「なるほど…」
「それは栄養バランスの悪い食事なこって」

だが、この国のインスタントはうまいから、ハマった事は良しとする!

「艦長はフェイトの学校。担任の先生とお話だそうだ」
「うん」

そう頷いて、フェイトとなのははクロノと同じようにソファーに座る。俺はコップを拝借し、水道水を入れる。

「しかし君達…本局でリーゼ達に何か妙な事を吹き込まれたりしなかったか?」
「妙な事って?」
「どんなこと?」

少し真剣な面持ちで言うクロノ。それに対し笑顔を見せながら返す二人。いやはや、二人の顔が意地悪く感じるのは、俺だけだろうか。

「あの二人は、腕は立つし仕事はしっかりしているんだが…プライベート面がどうにも猫だから…」

クロノ、お前はどんな目にあってそんな考えを持つようになったんだ……

「別に、そんなに妙な事は言われてないもんね〜?」
「ね〜?」
「ね〜?」
「士、君がやると気持ち悪いんだが」

失敬な、さっきから酷すぎるぞクロノ執務官。ここは乗るべき場面だろ。

「まぁ…それなら、いいんだが…」
「将来のことについて、ちょっと話してたの」
「リーゼさん達によると、私は執務官、なのはは武装局員の教官が似合うって」
「それはまた、あの二人にしてはえらくまともな話を…どういう風の吹き回しだろう?」

ほんとお前、いくら何でも相手は一応師匠の筈だぞ。もう少し敬意を払ったらどうだ。

「因に士は?」
「色々あるってさ。決してはぶられた訳じゃねぇぞ」
「クロノは、どう思う?」

フェイトが聞くと、クロノは腕を組んで頷いた。

「確かに慧眼だな。似合うというか、それぞれの資質に対して、的確だ」
「ほんと?」
「なのはの戦闘技術は実際大したもんだ。魔力任せに見えて、要所で基本に忠実だからな。頑丈なのと、回復が早いのもいい」
「ぅぅ、喜んでいいやら、傷ついていいやら…」
「なのは大丈夫、褒められてる褒められてる!」

クロノの言葉に少し落ち込んだ様子のなのはに、フェイトが必死にフォローを入れる。

「フェイトは勉強好きだし、厳しい執務官試験もそれなりに楽しめるかもしれないしな」
「うん」
「ただ、どっちも大変だぞ。教官訓練はもの凄く高い魔力運用を要求される。教導隊を目指すなら、なおさらだな」
「うん…」
「執務官試験は…僕が言うのもなんだが、採用率がかなり低い」
「らしいね…」

クロノは二人がそれぞれぶち当たるであろう壁について口にした。まぁそれらはリーゼ達から聞いてるから、いいんだが。

「確かに、管理局はいつでも人手不足だから、腕のいい魔導師が入ってくれるのは、助かる」
「うん…」
「今僕らが担当している闇の書事件以外にも、どこかで何かが起こってる」
「うん…」
「僕らが扱う事件では、“法を守って、人も守る”、イコールに見えて実際にはそうじゃないこの矛盾が、いつでも付きまとう。自分達を正義だなんて思うつもりもないけど、厳選過ぎる“法の番犬”になりきるつもりもない…」

少し暗く難しい話に入り始めている。ちょっと心苦しいな……

「なんとなく、わかるよ…」
「難しいんだ……士のように“悪”にでもなってもいいって割り切ったり、考えてしまうのを止めてしまった方が、より感情的に動けるから、楽に動ける」
「それは褒めてるのか?」
「そのつもりはないが…そう取ってくれても、別にいい」

そう言って、何もない天井を仰ぎ見るクロノ。その表情には、少し影が落ちている。

「まともにやろうと思ったら、戦いながら…事件と向き合いながら、ずっとそういう事を考え続ける仕事だよ」
「………」
「だから、自己矛盾するけど…僕は、自分の妹や、その友人には…もう少し気楽な職業についてもらいたい気もするな」

さすがに、当事者から聞くのは、重みが違う。それこそ、そう言う事を経験しているであろうクロノだからこそ、ここまでの事が言えるんだ。

「……難しいね」
「まぁ、君達にはまだ時間がある。前にも言ったが、フェイトも、少なくとも中学卒業までは、こちらの世界で一般教育を受ける方がいいと思うし…」
「うん…」
「並行しながらできることもある。ゆっくり考えるといいよ」
「そうだな〜…」

そう言いながら、コップに入った水を一気に飲み干す。

「ま、それより当面は、今の事件だけどな」
「うん」
「そうだね」
「しっかり、解決していかねぇとな」

まぁいつも通り、気を引き締めてことに当たろうかね!

  
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