| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

【IS】例えばこんな生活は。

作者:海戦型
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

例えばこんなチョロコットさんはチョロくないコットさんだろ

 
?月?日 シークレットファイル

IS適性一斉検査のために、委員会の許可を経て私が持ち出されることが決定され、実際に検査が開始されてから数日が経過した。
私たちは産まれた際に根底に刻み込まれたデータに従ってその対象がIS適格者たりうる特性を持っているかを認識しているため、このような検査が必要であるかは甚だ疑問である。このデータを人間は既に「女性である」と定義付け、その推測が正しい事は周知の事実であるにもかかわらず、何故このような検査が必要なのだろうか。

次々に触っては通り過ぎていく人間たち。触れられれば触れられるほどに皮脂が張り付き、終了までの間は自動洗浄も許されない。人の役に立つこともまた私たちの根底に刻まれた定義であるとはいえ、その「役立つ」は実際にISを起動した際に観測できる操縦者のバイタルをもってこそだ。人間の言葉で説明するならば、より肉体的な関係となって初めて私たちは高揚する。

早く、元のコアとしての役目を全うさせてもらいたい。



?月??日

その個体の存在を観測した瞬間、私は今までにない高揚を覚えた。
ISの展開装着以外で感じる、未確認データの波形。
人間で言い表すなら「安心感」を覚えている状態だ。
ISは実際に操縦者の意志で装甲を展開しなければ人と共に行動することによって得られる充足を得ることが出来ないにも拘らず、彼は近づいてきた時点で私に充足をあたえた。ママの波動、無条件の依存を齎すハレーション。私はその時、彼の発する全ての意志を受け入れたうえで、更に上を望んだ。

人間の操作でしか動かない筈の手が伸びて――彼を引きとめた。
なぜこれほどまでに彼の掌はあたたかくて、果てしない充足を与えてくれるのだろうか。



??月?日

今日から私は彼を守り、彼と共に過ごす役割を課された。願っても無い事で、とても好ましい。
彼からオウカと名付けられた。私は今日からコア№5の形式名を破棄し、「OUKA」を上書き登録することにした




4月6日 今日の蟹座のラッキーアイテムはオレンジ色の靴下。持ってないけど。

なんやかんやで後ろの方の席になった。隣に一際いいとこ育ちオーラを放つ金髪美女がいて、鋭い目つきでこっちを見ているので居心地が悪い。なので彼女が持ってるISとオウカに中継して貰いながらコア・ネットワークを通じてお喋りしてみることにした。

この子はブルー・ティアーズという名前らしい。長いのでティアと呼ぶと照れていた。あだ名をつけられたのは初めてなのでちょっと嬉しいらしい。オウカもそれを自分の事のように喜んでいる。ネットワークを通じて喜の感情を共有しているらしい。
操縦者のセシリアさんは子供の時に両親が死んだせいで何かと苦労が絶えない生活を送ってたようである。それでも前向きに生きてる所が健気で力になってあげたくなったのだとか。彼女の操縦技術にはまだ問題点がいろいろあることもちょっとだけ愚痴っていた。こんな時に言葉を伝えられないISコアの身が憎いと力説してきたので、とりあえず代わりに俺が伝えてあげることにした。

結果、ものごっつい訝しがられた。そんな目で見られたってティアがそう言ったんだもん。ねーティア?
その言葉に応えるようにセシリアさんの耳に待機形態のイヤーカフスとなっているティアがキィン、と控えめに音を立てる。セシリアさんは言葉にならないほど驚いたのか口をパクパクさせていた。と思ったら次の瞬間腕を鷲掴みにされて引っ張られた。

≪警告 所持者に対する妨害行為と認識 IS部分展開準備≫
(訳:私の大切な人に乱暴しないでー!!)
いやそこまでせんでいいから!!というか校則違反です。あわや大惨事だった・・・ふう、危ないところだったぜ。と思ったらセシリアさんの件がまだ残ってたよ。

取りあえず俺の学園に来た理由をかいつまんで説明したうえでいくつか話をしたら渋々納得してくれた。と同時に羨ましそうな視線を向けられた。ISコアの自立意識は操縦者でも”なんとなくあるような気がする”程度にしか認識できないらしく、自分のISとの完全な意思疎通というのは御伽話レベルの事らしい。全然自覚なかったけどそう考えると俺スゲーな。
「その話はあんまりペラペラ喋らない方がいい」と忠告も受けた。あんまり目立ちたくはないし政府の人にもそんなこと言われたような気がするので素直に納得した。

結局俺はティアのメッセージをセシリアさんに伝え、セシリアさんはその見返りに俺の勉強なんかを手伝ってくれるという形で落ち着いた。友達というには堅苦しい関係だなーと思いながらメアドを交換したらセシリアさんは俺のメアドを感慨深そうに見つめていた。男性と関わりを持つことが碌になかったため、男性と何らかのつながりを持つことに何か思うことがあるようだ。
とにかく初日から起こったこの一件は丸く収まったわけだ。結構結構。・・・ん?どうしたオウカ・・・もうすぐ授業時間?やべ、ちょっと話し込み過ぎたか!


移動中・・・


授業開始!授業終了ぉー!!はやい!もう終わったのか!
織斑の頭の悪さには参ったな!と言いたかったが最近まで一般市民だったならぶっちゃけ仕方ないと思わないでもない。休み時間に織斑と話でもしようかと思ったらポニテ撫子に拉致された。寂しくなったのでセシリアさんに授業でよく分からんかったことを聞こうかと思ったら全部オウカが教えてくれた。すげぇ。(小学生並みの感想)すげえけどすげえ甘やかされているような・・・。

そんなこんなで授業は進み、やがて織斑先生が突然クラス代表を決めると言い出した。いや先生、そういうのはホームルームでやってください。授業時間潰すと後で授業進行度の調整が面倒ですよ?って思ったら睨まれた。こえぇ。口に出してたら脳みそクラッシュギアだったかもしれない。

まず織斑が推薦され、次に俺が推薦された・・・が、俺はなんかIS委員会の方針で戦っちゃ駄目らしいので却下された。なので俺はもっと代表に相応しそうなオルコットさんを推薦した。
俺はてっきり専用機持ちのセシリアさんがそのまま選ばれるかと思ったが、なぜか二人で模擬戦することになった。
いや実戦経験的な意味でクソゲー(織斑視点)じゃんそれ。かわいそうに、お前の犠牲は忘れないよ・・・

ちなみに俺はISを使えないので戦闘ではオウカが勝手に動いて戦うことになるのだが、オウカは戦いの際コアネットワーク下で共有している膨大な戦闘データから最適な動きを逆算して動いているらしい。(常時発動状態の唯一仕様能力という奴だが他の皆には教えちゃだめだよ?と篠ノ之博士に言われた)これはバレるといろいろ拙い。何が拙いかって、全世界467個(実際には使われてないコアも多くあるのだが)のISコアの経験値全てを総合して最適と判断した動きなわけだから『理論上世界最強IS』と化してしまうのが拙い。

流石にISがそれ前提で造られていないので理論値を現実で出来るわけでもないが、それでも素の状態で下手な国家代表以上の動きができるというステキ性能。すげぇけどそれ『乗れさえすれば訓練なしでも世界レベルの戦闘能力を発揮できる』ってことじゃね?チートじゃね?これバレたら本当に大変なことになるのでオウカにもそのことを伝えたら、「大丈夫!たとえ(ママ)が来たってぜーったいに護ってあげるから!」と頼もしいんだか不安なんだかわからない返事が返ってきた。将来が不安だ・・・。



放課後ティータイム!(お茶があるとは言っていない)

放課後、おりむー(布仏さんがそう呼んでたので採用)とようやく喋れた。人がいい性格らしく、頼まれてもないのに結構喋る。俺もとりあえず返事を返して会話成立。あれ、この学園に来てからちゃんと話したのこいつが初めてじゃね?
そんなこと考えてたらヤマヤマ先生がやってきて部屋番号教えてくれた。おりむーが1025号室、俺はおりむーとは別の部屋の1054号室らしい。・・・え?同じ部屋じゃないの?なんで?ゴルゴムの仕業?じゃあしょうがないね。

同じ部屋の女の子は白髪に金目のとっても目立つ子だった。美人さんである。髪の毛全白髪とか金目とかどう考えても自然な人間じゃないだろと思ってオウカに探ってもらったら彼女の体にISコアが埋め込まれてた。訳アリみたいなので触れないでおこう。

ところで、実はここに来る前に日記帳を買ってきたのだが、今日は書くこと多すぎてめんどいので明日から書いてみようと思う。

(じゃ、おやすみー)
≪おやすみー(つ∀-)。o○≫

俺の独り言に呼応してAAつきでお休みって言われた。どんどんフレンドリーになって来るな、この子。家族と離れてそれなりに寂しいので、なんだか慰められたというか和んだというか、そんな気分になった。
  
 

 
後書き
オウカ(ISコア認識ナンバー5番)
全体的に言動が幼めで快活な性格。良くも悪くも純粋なのでゴエモンがちゃんと教育しないと変な知識や認識を覚える可能性あり。自身に独立性を与え、かつ話しかけてくれたゴエモンにベタ惚れしており、ゴエモンを気遣うと同時に彼に狼藉を働く存在には武力行使も辞さない姿勢。

唯一仕様能力は八紘一宇(はっこういちう)。主であるゴエモン(=全ISの理解者たり得る存在)の許可のもと、ISコアネットワーク下に存在する今までの全てのISの戦闘や飛行などのデータを余すところなく記録・蓄積した記録海(アーカイブ・オーシャン)から必要なデータをタイムラグゼロで現状に合わせて逆算、最適化、反映する能力。技術、反応速度、攻撃・弾道予測から何からすべてを際限なく取り出して演算するAI付きウルトラコンピュータみたいなもの。ISある限り無限に成長し、人間の操縦者が成長する限りオウカも成長する際限なきトンデモ能力。条件次第ではヴァルキリーどころかブリュンヒルデクラスをも圧倒する。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧