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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第49話:もっと探せよ!

(コーミズ西の洞窟)
シンSIDE

驚いた!
自分が実は勇者だったって事より、ウルフさんがリューノちゃんに手を出した事より……
この世で一番驚くべき事実を目の当たりにした!

まさかリュカさんが……あのリュカさんが王様だなんて思いもよらなかった!
リューノちゃんも、我が儘だけどお姫様には見えないし……我が儘だけどね!
リューラさんだって、一方的だけど王女様とは思えない……本当に一方的だけども!

そうなると、リュカさんの娘さんとお付き合いしているウルフさんは、未来の国王陛下なのか?
お家騒動問題とか色々複雑な事があるだろうから、本人(ウルフさん)にはソッと尋ねてみる。
『もう一人の娘さんにまで手を出したのは、外堀を埋める為の手段だったのですか?』って……

そうしたら『イヤだよ……アイツの後を継いで国王になるなんて!』と、尊敬する師匠で上司で義父の事を指さし、盛大に否定するウルフさん。
コッソリ訪ねたのに台無しだ!

『アイツめちゃくちゃ善政を布いてるんだ! 国民からは絶大な信頼を得て、国家を何十倍にも大きくして……跡を継いでちょっとでも失敗したら、即座に革命が起きて殺されちゃうよ! 実の息子が済し崩し的に継いだのなら、国民も多少は我慢してくれるだろうけど……』

ウルフさんは続けざまに俺達を驚かせる。
あのリュカさんが統治者として善政を布き、剰え国民に支持されているなんて……
でもリューノちゃん・リューラさんの癇癪が怖かった俺は、驚くも本音を口にせず、心の中だけで“そんな訳ねーだろ! あんなお気楽魔神が、国民に好かれてる訳ねーだろ!”って叫びました。

このとき程、自分が小心者で良かったと思った事はありません。
何故ならば、心の絶叫では我慢出来なかったブライさんが、思いの丈を洞窟内に響き渡る大声でブチ撒けてしまったんです。

そうなれば勿論、大激怒するお方が存在するんですが……
真っ先に大激怒したのがウルフさんだったのです!
娘さん2人を差し置いて、義息で部下で弟子なウルフさんが、ブライさんの胸座を掴んでブチ切れちゃったんです!

『ふざけるなよジジイ! リュカさんは国民の事を優先して、政務を行っているんだぞ! 貴族から税金を徴収()り、義務教育法を執行したり……城下を整備し、道路や海路を整備したり……人々が住みやすい国造りを行っている、最良なる国王なんだぞ!』

ウルフさんが言うには、国王の職務から解放されたリュカさんは、それまで背負っていた責任からも解放され、他者への迷惑を顧みない自由人へと舞い戻るそうです。
その為、そんなリュカさんしか見た事のない人々は、リュカさんを王に向いてない男と認識するそうです。

だから国王として政務を行っている姿を知らない人に、大声でリュカさんの王としての資質を否定されると、大変腹が立つそうです……
でも“他者への迷惑を顧みない自由人へと舞い戻る”訳だから、しょうがない気がするんだけど……それを言ったら怒られそうだから言わない。

そう言えば、トルネコさんが超小声で『王様とは……これは意地でも取り入らなければ!』って闘志を剥き出しにしてたけど『王様って言っても、この時代にグランバニアがある訳じゃないし、権力も財力も持ち合わせていないよ。僕に媚を売っても無駄な努力だよ』って、言い捨てられてました。
リュカさん耳が良すぎます!

シンSIDE END



(コーミズ西の洞窟)
クリフトSIDE

まぁ色々驚く事はありましたが、今は兎も角キングレオ城に潜入する事を成功させねばなりません!
その為に、ウルフさんの記憶を頼りにこんな洞窟へ入ってきたのですから……
魔法の鍵とやらを入手する為に、この散らかった研究所とやらに訪れたのですから!

「何で“研究室”とか呼ばれているところは、こうも散らかった場所が多いんだ!?」
結構きれい好きのリュカさんが、散らかった室内を眺め吐き捨てる。
そう言えばアリーナ様のお部屋も、鉄アレイとかで散らかってましたねぇ……

「元々は知らないけど、この状態にしたのはオーリンですよ……ハバリアで会った筋肉野郎が、鍵を探す為に散らかしたんですよ」
私はお会いした事無いのですが、ウルフさんが語るオーリンさんは、とてもアレな人物に感じます。

「これだけ探して見つからなかったんだから、本当は無いんじゃないかなぁ……」
「アイツはアホだから、探し切れてない場所が多数あると思います。それをリュカさんのレミラーマで総浚いして下さい! つーか、散らかった部屋に長時間居るのがイヤだったら、さっさと魔法使って帰りましょうよ!」

ウルフさんの言に一理あると思います。
リュカさんは文句ばかりで、行動を起こしてくれない事が多々あります……
王様じゃない時も、率先して我々の役に立ってほしいです。

「へいへい……レミラーマ!」
渋々で面倒臭そうに魔法を唱えるリュカさん。
翳した右手から光が四方へ飛び散り、ある一点に再度集まり瞬いた。

「………」
「………」
誰も何も言えない……

「あそこが……光ってる……ぞ」
暫くしてリュカさんが口を開く。
リュカさんの呪文により光を発する場所を指さして……

そこには1個の宝箱が……
色々な物で散らかった部屋の片隅に、ポツンと置かれた1個の宝箱が輝いている。
本当にコレか?

ウルフさんがゆっくりと宝箱に近付き、蓋を開けて中を確認する……
そして俯きながら中身を取り出し、私達にも見える様に掲げると……
「あ、あの男食(だんしょく)馬鹿……もっとちゃんと探せよな!」

男食(だんしょく)馬鹿”の意味がイマイチ解らないのですが、きっとオーリンさんの事を言ってるんだと勝手に推測します。
間違っていたら大変失礼なので、口には出さないけど、勝手に推測しちゃいます。

「ま、まぁまぁウルフさん……これでキングレオのお城に侵入する事が出来るんだし、取り敢えずは良かったじゃないですか……」
「面倒だからその鍵はお前が保持してろよ!」
シンさんが気を遣って話を纏めようと試みるが、リュカさんがシラけ顔で鍵を押しつける。
しかも他の皆さんのシラけ顔も消える事がない。

こんな個性的な仲間(メンバー)を纏める勇者(リーダー)ってのは大変だなぁ……

クリフトSIDE END



 
 

 
後書き
さぁさぁ皆様お待ちかね。
次回は遂にあの娘が登場!
リュカ家でトップ3に入る問題児が遂に登場!
リュカさんかなぁ~……(もう居るよ!)
ポピー様かなぁ~……(この時代に来てないよ!)
ではでは誰でしょう? 皆様のご想像をお持ちしてます! 
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