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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第48話:言いたくないんだよねぇ……だって誰も信じない! まぁ気持ちは解るけどね

(コーミズ西の洞窟)
アリーナSIDE

こう言っては何だが、この洞窟の敵は大したことない。
自惚れる気は無いけど、私が強すぎるからそう感じるんだろう。
ただリュカの歌に誘き寄せられて、結構な数が襲ってくるから、大変である事に変わりは無い。
しかも例の如く戦わない……

まぁリュカはいい。冒険当初からこのスタイルでいたから……
だが気に入らないのは、ウルフも戦わないということだ!
敵が現れるとリュカの真似をして後方へ下がり、スカした顔で私達の戦いを眺めている。
船での一件を見る限り、アイツもそれなりに使えるのだから、気取ってないで参戦してもらいたい……つーか参戦しろ!!

ある程度洞窟を奥へと進み、奇妙な部屋に辿り着いた私達。
一息つけそうなので、スカし野郎(ウルフ)に参戦を命令しようと思う……が、息を整えて奴に向かった途端、急にこの部屋が動き出し私達を地下へと降ろして行く!

「リュカさん、どうですか……このエレベーターって装置は!? マーニャさんとミネアさんのお父さんであるエドガンさんが造ったらしいッスよ! 凄いっすよね……人間の知識でこんな物を造るなんて!」

どうやらこの洞窟では階段の代わりに、この装置が上下に移動し階移動を可能にしているみたいだ……
初めての事だったので、驚きしゃがむ私。
私の他にも、クリフト・ブライ・トルネコ・アローそれとシンも驚きしゃがんでる。

マーニャ・ミネア・ウルフは以前にこの洞窟に来た事があるみたいだから、驚かないのは当然として……
リュカやリューノ・リューラまでもが悠然と立っているのが凄いと思う。
リュカは兎も角、2人の少女は年の割に、肝が据わっている様だ。

「確かにこんな装置を造っちゃうエドガンって人は凄いけど……この大きさじゃ使い勝手が悪い」
「まぁ確かにそうですけど……もっとコンパクトに出来たら、グランバニアにも欲しくないッスか?」
グランバニア……? リュカ達が住んでいる所の名前だろうか?

「何? お前……ヒゲメガネにエレベーターを寄こせとでも言うつもり?」
「そうですよ。今回俺達に迷惑を掛けた詫びとして、アリアハンの塔で稼働させている装置と同じ物を、もっとコンパクトにして提供させたいと考えてます」
アリアハン? そこは何処の事なんだろう……そこにも同じような装置があるのかな?

「あそこには必要だからねぇ……あいつら気取って城を塔の天辺に固定したから、エレベーターがないと城に行くのが大変になるから。まぁ塔を修復して、居住空間や商業・工業施設を誘致し、城下の代わりとして使ってるから仕方ないんだけどね」
人が住んだり、お店や工場のある塔って、どんな大きさの塔なんだ!?

「でもグランバニアには必要無いよぉ! 一番高い建物だって、グランバニア城の地上4階・地下2階がせいぜいだもん……そのくらいは階段を使おうぜ!」
確かに『そのくらいは……』って思うけど、それにしたって大きいお城だ!
サントハイムだって2階建てなのに……

「そうは言うけど、大きな荷物を運ぶのにこの装置は便利ですよ! あのグランドピアノを運び入れるのに、どれほど苦労したか解りますか!?」
「僕が欲しいって言った訳じゃない。ビアンカが勝手に……」

「でしょうね! リュカさんは無駄遣いとかしない人だから、自分でグランドピアノが欲しいとは言わないでしょ……でもビアンカさんからすれば、エコナ劇場での弾き語りを再度観たいと思うのは当然でしょう! しかもグランバニアの財布の紐を実質握っているのはあの人だ……大好きなダンナの格好いい弾き語りを観る為、運び入れる苦労を考えもせず購入するのは当然です!」

「え、何!? お前、ビアンカの事を責めてるの?」
「責めてませんよ! ビアンカさんの気持ちは十分解ってます。俺もリュカさんの歌を聴くのは好きですし、誰も知らない曲を教えて貰えるのは楽しいですから! 俺が言いたいのは、部下の俺達の苦労を少しでも軽減出来るシステムを取り入れてくれって事です!」

「でもさぁ……もう大きな荷物を搬入する事何て無いよ。だからエレベーターなんて必要無いよ」
「必要ですよ! グランバニアの王家の居住空間に、どれだけ空きがあるのか解ってますか? あんな閑散としてるお城は、他に類を見ませんよ……見栄えを整える為に、今後は絵画や彫刻の類を買って、城内を飾り付けましょうよ! 他国からお偉いさんを来賓として招いた時、城に何もなくて恥ずかしいんですよ……」

何だろう……話が見えてこないぞ。
いや見えてはきてるのだけど……
それを認めると、とんでもない事実が浮かび上がってくるぞ。

「お父さん。私も彫刻とかを飾った方が良いと思うわ……」
「わ、私も……」
「ほら、娘さん2人も同じ意見だ。どっかの馬鹿王子が来賓として来た時、『広いだけの貧乏屋敷だ』って言ってたんだぞ!」

「の、のぅリュカ……話の腰を折って悪いのじゃが……どうしても気になる事があるんじゃが?」
「ブライさん……申し訳ないですが、結構大切な話をしているんで、後にしては頂けませんか?」
「まぁまぁウルフ。老い先短い老人のお願いは訊いてあげようよ! ……で何だい爺さん?」

「ん、うん。今更ながら気になったんじゃが……」
「恥ずかしがるなよ! 訊くは一時の恥……訊かぬは一生の恥って言うんだぞ!」
どうやらリュカはウルフからの話を断ち切りたいらしい……ブライの横槍に嫌な顔する事なく、親切に対応している。
嫌な顔したのはウルフだ。

「お、お前さんの職業は何じゃ?」
「うわぁ、めんどくせー質問してきやがった……」
話を中座させられたウルフが、吐き捨てる様に呟く。
何がそんなに面倒なんだ?

「何って……瘋癲(ふうてん)のイケメンですが何か!?」
「ふざけるな、そんなんで飯が食えるか! キサマは何を生業にして生きているのかと聞いているんじゃ!?」
そう……今まで自由人過ぎて、あえて訪ねなかった事柄。
だが先程までのウルフとの会話を聞くと、ある特定の職業(職種?)しか思い浮かばなくなる。

「……ブライは僕が何をしている人に見えるの?」
「な、何って……まさに瘋癲(ふうてん)の馬鹿じゃ。まともな職に就かず、フラフラふざけて生きている馬鹿にしか見えん!」

「じゃぁそれで良いじゃん! 今更訊かなくても、瘋癲(ふうてん)のイケメンで良いじゃん!」
「良くないから聞いてるんじゃ! 先程までの会話を聞くと、ある職業が頭に浮かぶんじゃ……しかし、それだけは絶対に認められん! 認めたくないと思うから、真実を確認してるんじゃ!」

「教えても良いけど……絶対信じないよ。みんな信じないんだもん……嘘なんか吐いてないのに、誰も最初は信じないんだよ。なぁウルフ!」
「えぇ信じないでしょうね。俺も最初は信じませんでした。『馬鹿な事を言いやがって』って思いました」

どうしよう……
不安な想像が最悪の現実へと近付いてくる。
ブライはどんな想像をしたのだろうか?

「リュ、リュカ……もしかしてお前は国王なのか……?」
恐る恐るブライが質問する。
私と同じ事を考えていたらしく、認めたくない気持ちで訊いてみる……

「皆さん……改めて自己紹介をさせてもらいます。俺の名はウルフ……グランバニア王国国王の主席秘書官を務めております」
「私はリューノ。グランバニア国王と愛人であるエルフ族のスノウとの間に生まれたリューノと申します」
「わ、私は……国王陛下と……ホビット族の騎士ピエールとの間に生まれました……」

嘘だ……
そんなはずない……
国王という職業は大変なはず……お気楽魔神に勤まる程、楽な役職じゃない!

「……どうも僕はリュケイロム・エル・ケル・グランバニア……グランバニア王国の国王をしてます。もう辞めたいけど辞めさせてもらえません」
「「「「「「「「えぇぇぇ、本当に国王なの!?」」」」」」」」

リュカ家の面子以外が大声で叫ぶ洞窟内……
リュカが一番就いてはいけない職が国王だと思う。
皆が同じ思いだからこそ、この絶叫は洞窟内に木霊するんだろう……

アリーナSIDE END



 
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