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夏休みの出会い

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第五章

「その席の娘か」
「そうなの、電車に乗り遅れてね」
 それで今はいないというのだ。
「もう少し待ってね、携帯で連絡があったから」
「もうすぐ来るか」
「このお店にね。場所はマップまで送信しておいたから」
 メールでだというのだ。
「だからもうすぐ来るわ」
「商業科の娘だよな」
「いえ、普通科よ」
 黒ビキニの娘は秋山の問いにこう返した。
「その娘だけはね」
「何で一人だけ普通科なんだ?」
「その娘私の友達で」
 黒ビキニの娘は焼きそばを食べながら説明する。
「メンバーもう一人欲しかったしその娘もこの日部活なくてしかもこれまで合コンの経験ないっていうからね」 
「理由は幾つもあるんだな」
「そう、それでね」
「今回連れて来たんだな」
「水着だって聞いたら恥ずかしがって行きたくないとか言って大変だったわよ」
 このことを笑顔で話すのだった。
「下は半ズボンはいて上に羽織ればいいっていって何とか連れて来たのよ」
「そういえばあんた達皆下も上もだな」
 秋山はここでこうも言った。
「半ズボンで羽織ってるな」
「完全にビキニだと流石にね」  
 黒ビキニの娘にしても下は白い半ズボンだ、ビキニの下の上からはいているのは明らかである。羽織っているパーカーも白だ。
 その服装で笑って秋山に言うのだ。
「恥ずかしいからね」
「それでか」
「あんた達も皆じゃない」 
 男組は下はトランクスタイプでやはり羽織っている。
「ガードしてるわね」
「まあそれはな」
「恥ずかしいからでしょ」
「意識してないけれどな」
 ビキニタイプの水着も上半身が完全に裸は、というのだ。
「だからな」
「そうよね。まあその娘もそう言って連れて来たから」
「もうすぐ来るんだな」
「そう、楽しみにしててね」
「ああ、そうさせてもらうな」
「真打は最後に来るものだからね」
 笑ってジョークめいたことも話した、そうしたやり取りもして楽しく飲み食いをしていると。
 一人の女の子が店に入って来た、天井のせいでやや暗くなっている店から明るい海や砂浜が見えるがそれをバックにしてだった。
 その娘が来てこう言って来た。
「御免なさい、遅れたわ」
「いいわよ、気にしないで」
 黒ビキニの娘がその娘に笑顔で言う。
「こっちよ」
「うん、じゃあ」
「あれっ、あの娘は」
 上は白いシャツ、そして下は青い半ズボンだ。手には麦藁帽子がある。
 秋山はその娘を見て言った。
「加藤さんだよな」
「あっ、本当だ」
「うちのクラスの加藤さんじゃないか」
「あの娘だったんだ」
「えっ、皆!?」
 杏美の方も彼等に気付いた、それでだった。
 純貴達を見て驚いた顔で言ったのである。
「佐藤君達だったの、合コンの相手って」
「えっ、僕なんだ」
 純貴は杏美の今の言葉に少し妙に思った。
「秋山じゃなくて」
「そんなの聞いてないわよ」
「あえて言わなかったのよ」
 黒ビキニの娘がテーブルのところに来て驚いて言う杏美に悪戯っぽい微笑みを浮かべて答えた。 
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