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黒子のバスケ 無名の守護神

作者:stk
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第三話 バスケはやめました

「僕はもうバスケ部に入らないと決めたのですみません。」
僕は本当はバスケもしたくない。
でも身体がバスケをやりたがっている。
だからたまにバスケをしないと落ち着かない。
今日も多分そうだったに違いない。
僕がバスケをしなくなったのは帝光での試合が原因だった。


帝光中バスケ部入部当時はクロちゃん同様に三軍だった。
ある日バスケの才能が僕に芽生えた。
バスケの才能と言っても守りに徹した才能。
それを発見した赤司は僕を一軍に昇格させた。
でも僕はあまりに試合には出れなかった。
僕の才能は死守しなければいけない時に発揮される。
その重要な場面が中体連であった。
その日の僕はいつよりもモチベーションが低かった。
試合は残り一分で2点差。
何があっても2点を守らなければならない状況だった。
僕はその時に出された。
コートの中は熱気に包まれていた。
残り10秒を切ってから相手の反撃が来た。
相手が狙っているのは一発逆転のスリーポイント。
それを打てるのは相手で一人しかいなくすぐにマークについた。
そしたら予想通りスリーポイントを打とうとしてきたのでボールを取った。
相手はもうジャンプまでしていた。
僕はボールを取るとすぐに緑間にパスをまわした。
そして反撃を止めたのだがスリーポイントを打とうとした選手が着地を失敗して僕の方に倒れてきた。
僕は下敷きになりたおれた。
幸い僕は捻挫ですんだ。
しかし相手は病院に送られ、試合は相手のキャプテンがいない状態で終わった。
僕はすぐに搬送された病院に行った。
すると彼は、
「ごめんな。捻挫大丈夫か?」
と自分のことより僕のことを気にしてきた。
僕はこの人を尊敬した。
しかし次の日の部活で試合に出るとその人を罵倒する人がいた。
僕は罵倒する人につられる部員を見て思った。
僕が思うバスケは存在しないと。


「僕がやりたいバスケはもう存在しません。勝てば負けたチームの悪口を影で言う。そんなのがあると知った以上はもうやりたくないんです。」
するとクロちゃんが前に出てきて。
「水野くんは知らないでしょうけどあのあと赤司くんが悪口を言った人を怒りました。水野くんが思っているような人は極少数です。」
たしかにそうかもしれない。
でもそういう人がいることにかわりはない。
「水野くん。僕から一つ提案が有ります。」
クロちゃんの提案か。
気になるけど「僕と勝負してください。」とかじゃないよね。
「僕と勝負してください。」
「えっ。今何て言ったの?」
まさか本当に言うわけないよね。
言ってないよね。
「僕と勝負してください。と言いました。」
「クロちゃん。冗談だよね?」
冗談のはずだ。
「冗談ではないです。第一冗談は苦手なんで。」
「冗談じゃないって。クロちゃん。なにが目的なの?」
「僕が水野くんにバスケの楽しさを思い出させてあげます。」
「バスケの楽しさか~。」
そんなの何時からか忘れていたよ。
勝つことが全てだったからね。
「そんな故知を言われたらやらない訳にはいかないよね。」
しょうがない。
クロちゃんと1on1しますか。
「先輩方。コート借りますね。」
「ああ。ってオイ。」
クロちゃん真面目だね。
全く手を抜きたく無くなっちゃうじゃんよ。
まあ、クロちゃん自体が手加減されるの嫌いだろうしね。
「それじゃあ僕から行くよ。」
「はい。」
やっぱり最初は絶対スリーポイントだよね。
そう思いながらドリブルをしているとやっぱり感じてしまう気持ちがある。
このボールとバッシュの感覚。
やっぱり堪らない。
僕はやっぱりバスケがしたいんだ。
でも心では何かが突っ掛かる。
「くそっ。」
僕は目的地に着くなりすぐにシュートを打った。
「やっぱり迷っているんですね。」
ボールはゴールを外し、ゴール下にいたクロちゃんの手に渡った。
「どうして分かるんですか?」
「簡単です。水野くんは滅多なことがなければシュートを外さないのに今回は外しました。それならなにか考えていると思うのは普通だと思いますけど。」
僕ってそんなところで考えていることが分かっちゃうんだ。
でもクロちゃん。
僕は迷っているんじゃないよ。
バスケがしたいんだよ。
「あ~あ。なんだかんだ言って僕もバスケバカなんだよね。クロちゃん。僕もバスケ部に入るよ。」
「そうですか。嬉しいです。」
クロちゃん。
なんにも嬉しそうに見えないのですけど。
「でも変な行事には参加しませんから。」

「キセキの世代が二人も誠凜バスケ部に入るなんて。」
夢を見てるみたい。
黒子くんの話を聞く限りだと水野くんはキセキの世代と同等の力お持ち主。
そして黒子くんはパス回しに特化した見えない選手。
今年の一年はヤバイかも。

「クロちゃんに火神は仲が良いんだね。」
「ちげーよ。オレが座ったらコイツが前にいただけだ。」
「そうなんだ。まあ僕には関係ないけど。じゃあね。」
一体なんなんだよアイツは。
帝光中の元レギュラーにしてキセキの世代と同格なのは知っているがアイツからはなにも感じない。
まるで黒子のように。
「火神くん。」
「なんだ?」
「どうして怒っているような顔をしているんですか?」
「別になんでもねぇよ。」
なんだろうな。
コイツが言っていたことが分かった気がする。
「ホラよ。」
「?」
「これ一個分くらいは認めてやるよ。」
「どうも。」

「キセキの世代ってのはどれくらい強ーんだよ?」
「?」
「じゃあオレが今やったらどうなる?」
そんなの決まってるじゃないですか。
「瞬殺されます。」
「もっと違う言い方ねーのかよ。」
妥当だと思いますけど。
「ただでさえ水野くん含む天才の6人が今年それぞれ違う学校に進学しました。まず間違いなくその中のどこかが頂点に立ちます。」
「ハッハハハ。」
なに笑っているんですか?
「いいね。火ィつくぜそーゆーの。決めた!そいつら全員ぶっ倒して日本一になってやる。」
火神くんには悪いですけど。
「ムリだと思います。」
「ぅおいっ!!!」
「潜在能力だけならわかりません。でも今の完成度では彼らの足元にも及ばない。一人ではムリです。」
それなら
「ボクも決めました。ボクは影だ。」
そう。
帝光でも誠凜でもボクは影だ。
「火神くんの影としてボクもキミを日本一にする。」
「勝手にしろよ。」
「頑張ります。」


いや~。
良いもの見れた。
先に帰るふりして正解だったね。
まさかクロちゃんがあそこまで言うなんて。
火神は青峰くらいになれるかな。
期待しておこっと。 
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