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ポケットモンスターズファンタジー~導かれし者達の軌跡~

作者:ティア
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Reincarnation
  とある家での出来事

「はぁ、はぁ・・・い、急がなくちゃ・・・。 何とか連れて行くことが出来れば・・・後は、なんとかなる・・・」
 ここは先程の場所から1キロ地点、速度はまだおとろえずにキープしていた。なんらかんらでここまで宣言通りの5分ほどしか経っていなかったのだが、最初とは違うことが一つだけあった。それは明らかにイーブイの浮いている高度が地面から20cm辺りまで落ちていることと、彼女、ムウマが時々ふらっとする事。だいぶキツイことが見て取れる。だが、そんな自分にムチを打って「・・・あとちょっと、あと、ちょっとなんだから・・・」っと心の中で叫ぶ。
 それからのなんとか家の前に到着し、呼び鈴を鳴らす。 珍しくまだ起きているらしく、窓から赤黄色い光が部屋の中から漏れ出している。おそらく火の光だろうか。ムウマは"サイコキネシス"を弱めて運んでいた子を、近くにあった椅子の上にゆっくり寝かせた。 ここまで来るのにだいぶ乾いたが、まだぐっしょりと濡れており、身体も更に冷え切っていて、脈もかなり遅い。
 
 お願い・・・無事でいて・・・・・・

 切実にそう思った。なぜなら死なせたら何ががなくなってしまいそうな変な感覚があったから。でも、自分がどうそう思ったのかはよく分からない、表現出来ない。そう考えていると カチャリ と小さな音が鳴って、彼女は顔を上げると、そこには青い耳に黄色い身体、そしてほっぺにマイナスの記号がある電気ポケモンの マイナン だった。
「レイエルどうしたの?」
「説明はあとっ!! ごめん!!」
「うわぁっ!!!?? ちょっとレイエルっ!!」
 マイナンの言葉を押し切って、レイエルと呼ばれたムウマは再び"サイコキネシス"を発動して、寝かせていたイーブイを浮かせて中に入る。そして、入って直ぐの右側の部屋にある暖炉の前にイーブイを同じようにゆっくりと寝かせた、っと同時に、
「レイエル!!話す前に人の家にずかずかと入らないでよっ!! しかもこれで三回・・・目・・・・・・そ、その子は誰?」
「さっき散歩してる時に海岸でずぶ濡れのこの子を見つけたの。 体温がとても低くて、脈も弱くて、病院行こうと思ったけど遠かったし、ましてや危ない状況だったし、木の実を取り揃えてるのモルクくらいしか宛がなくて・・・」
「・・・なんだかよくは分からないけど、そのイーブイが大変な状況なのは分かったよ。 それでボクは何をすればいいの?」
 モルクと言われたマイナンは事情を聞く前はいきなり入り込んできた時には怒っていたが、聞いたら驚いた顔をして自分は何をすれば良いのか問う。すると間を開けてレイエルは、
「とにかく体温が低いからナナシの実とかヤチェの実とか凍り状態になった時に効く実無い?」
「え?どうして。だったら辛い実を食べさせたほう「いいから!!」・・・はいぃ」
 レイエルはモルクの言葉を無理やり切り、はてなを浮かべているモルクにこう言った。
「確かにあなたの発言の通り辛い実を食べさせて体から暖めたほうっと思うでしょうけど実はその反対。 体温が低いのに辛い食べ物を食べさせてしまうと体の内側は暖かいのに外側は低いままだからあえて一種の 凍り状態を解いてから辛い実を食べさせて体全身を温める っていう方法がいいの」
「へぇ~・・・じゃなかった。話を聞く通りだとナナシとフィラの実かな? 後はー・・・オレンの実とかオボンの実とか、毛布やら持ってくるね。 それと、ここまで頑張って連れてきたんだから疲れてたり、お腹空いてるでしょ?今日は泊まってていいよ」
「ありがとう、じゃあお言葉に甘えさせてもらうわ。よろしくね」
 その言葉にモルクは 分かったよ っと言うと、足早にリビング、暖炉がある部屋を出て行った。モルクが木の実を持ってくる間にイーブイを改めてよく見てみると、濡れていた毛並みはいつの間にかに乾き切ったようだが、改めて見て気がついたことがあった。それは、そこらでみるイーブイより毛並みが綺麗で、整っていて、触ってみても引っかかりがまるでない。まるで、この世界に来たのが初めてみたいな・・・それに、身体の大きさも一回りほど小さく、自分はこれほど小さなイーブイを見たのは、幼いイーブイしか見たことが無い・・・。
 そして、そんな事をレイエルはあれこれ考えていると、モルクがナナシの実を2個と、フィラの実を1個と、オレンとオボンの実三個を浅いバスケットに入れた状態で持って現れた。それをレイエルは受け取る。ちなみにナナシの実が凍り状態回復で、次にフィラの実が辛い実で、最後にオレンとオボンの実が体力を回復させることが出来る実である。
「ありがとうモルク」
「このくらいならお安い御用だよ。 じゃあ僕は続けて毛布とか持ってくるよ」
「ありがと。あっ、一応この子には敷き布団持ってき・・・・・ううん、やっぱり私も行くわ」
 レイエルはそう言うと廊下の方へとモルクを追いかけてふわりと飛んでいく。最初は 任せちゃおかな などと考えていたのだが、改めて考えてみて、勝手に上がり込んできて何もしないのはどうかと思ったのだ。そして、廊下挟んで反対側の部屋のふすまの中から、敷き布団を1つ、敷き布団カバーと厚めの掛け布団と枕をそれぞれ3つ出すと、1セットはモルクが持ってきて残りはレイエルがイーブイをここまで運んでくるのに使った技、サイコキネシスを使って部屋に戻ると、一時全て置いて、今度は敷き布団カバーと敷き布団を浮かすと、慣れた手つきでセットして床に引く。セットするっと言っても、脇のゴムを引き伸ばしてはめるだけの簡単なものだが、手でやらないとなると相当難しいはずなのだが、簡単に彼女ははめてしまった。
「レイエル、疲れてるのにわざわざありがとうね」
「ふふ、こんくらいでバテてたら何も出来ないわよ。それにこのくらいは・・・簡単っと」
 レイエルは話しながらもう一個をはめてセットして床に引くと、今度はイーブイを浮かせてその布団の上にゆっくり寝かして、掛け布団をかける。そこで改めてイーブイの横顔を2人して見たのだが、連れてきた当初とは違って苦しそうな顔をしてなく、安心しきったような顔で小さな寝息を立てていた。
「・・・ふぅ、色々と何とかなったわね。ありがとうモルク、あんたのおかげよ」
「困ってる人を助けるのは当然の事だよ。またなにかあれば力になるよ、ぼく」
「さすが探検隊希望ね。 探検隊ねー・・・あんたなら出来るんじゃない?」
「ありがとう。じゃあ頑張ってみようかな?」
 そのような話からさらに一時間後。さすがに時間もいいくらいになってきた(20時くらい)ので、寝ることにした。


 そしてそれから1時間ほど経った頃。モルクの家から北の方角、海とは逆方向の遠くの場所で青白く、眩しいほどの光が地面からほとばしった。だが3人はそんなことに気が付くはずもなく、起きずに眠っていた・・・・・・。 
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