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なのは一途のはずがどうしてこうなった?

作者:葛根
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第三十一章 貴方は何でも知ってるよな



悪夢を見た。
ユーノと、その、何かあったような……。
たぶん。
シャワーを浴びた。
夢は忘れた。



訓練場の端に俺達の訓練を見学するヴィヴィオ。
ヴィヴィオは、知識や、言語がハッキリし過ぎている。
たぶん記憶があるんだろう。元になった人物の。
湧き上がる憤りを隠す。
フェイト、エリオの顔が浮かぶ。
そして、フェイトの追っているジェイル・スカリエッティ。
おそらくは、今後敵となる相手だと思う。
身近にも敵はいるが……。
はやてとか、フェイトとか。
最近のなのはの独占欲も。
すでに、周りの目を気にしない風だし。
何だったら、別に付き合っているのがバレてもいいという感じで、腕を組んで歩いたり、ふとした瞬間にキスをしてきたりと、見せ付けるようにしている。
きっかけは、ヴィヴィオだと思う。
母は強しというが。
なのはの行動はそれとは違う気がする。
正直、俺となのはのお付き合いを隠す必要が本当に必要なのか疑問に思えてきた。
まあ、公開しても良い事などないから今後も隠していくけど。
む、ティアナが遅れたな。

「ティアナ! 遅い! 戦場を見渡せる位置取りが甘い! お前の遅れはチームの遅れに繋がる!」
「はい! すいません!」

ギンガのフォローがあったからギリギリ合格点だが、ギリギリではだめだ。

「初めからやり直し!」
「はい!」



「キャロ」
「はい」

キャロ・ル・ルシエはミウラ・ケイタに呼ばれて駆け寄る。

「射撃魔法覚えようか」
「え?」

突然の提案に戸惑う。
私の補助系魔法が頼りないから別の射撃魔法にシフトしなきゃいけないの?
悲しくなる、が。

「キャロの補助系魔法には目を見張る。もう一段階レベルアップしようね」

優しく言葉をかけられた。
ミウラさんに、認められている。

「は、はい! でもいきなりどうして射撃魔法なんですか?」
「うーん。なんとなく?」

え?
なんとなく?
でも、ミウラさんの言う事に間違いはないはず。

「ものは試しに、やってみようか。キャロは身を守るのが動きとして前提にあるけど、攻撃してはいけないという考えが身についちゃだめだよ?」
「はい。わかりました」

やっぱり凄いなぁ。
私達のことをよく考えてくれている。

「ミウラさんは何でもできるんですね」

射撃魔法、高速魔法、格闘術、戦術、戦略指揮など。
本当に色々と教えてくれる。
だから、私はミウラさんが何でも出来てしまうと思うのだ。

「何でもはできないよ。出来ることだけ出来る」



ヴィヴィオちゃんが来てから、ミウラさんは子供に甘くなったような気がするわ。
私には期待の現れかかなり厳しい。

「ティアナ。お前は、チームのリーダーという事を自覚しろ。ハッキリ言って指揮官としての才能があるよ。幻術と射撃はまだまだ教えることはあるけどそれは、伸びしろがあるって事だ。それに、実戦で通用するレベルになってるよ」
「あ、ありがとうございます」

褒められた。
飴と鞭の使い分けが巧い。

「近接戦闘も様になってきたし、知ってるか? 俺は結構本気出してお前達を相手にしてるんだよ」

そろそろ5人を捌くのが厳しくなってきたなぁと言われた。
嬉しい半面、どれだけ強いのよこの人。
スバルとギンガさんコンビの近接戦闘を捌くし、私の射撃も警戒しつつ対応されるし、エリオの突進力も躱すし、キャロのフリードリヒと補助系魔法もあるのにまだ倒せない。
一体どれだけの経験があるのよ。

「どんな状況でも負けないんですね」

皮肉だ。

「負ける時は負けるさ。まだティアナ達に負けないだけで、その内負けちゃうかもなぁ」

嘘ね。
ミウラさんが負ける所なんて想像できない。
隊長格全員を相手にして戦っても負けないんじゃないかしら。



「スバルはギンガに頼りがちだ。姉に甘えるのはそろそろ卒業しろ」
「はい」

どきりとした。
やっぱり、見抜かれている。
心のどこかで頼ってしまっているんだろう。

「コンビネーションは姉妹だけあってほぼ完璧だけど、他の奴らとも合わせろ。じゃないと、いつまで経ってもギンガに依存する事になるぞ」

厳しい。

「はい。努力します」
「ダメだな。ギンガを外してしばらく訓練しろ。ギンガは個人技を磨いたほうがチームのためになる」

ここまで厳しいのは初めてだと思う。

「で、でも」
「でもじゃない。もしもの話だが、ギンガが人質に取られる、または、敵との戦闘行為によって瀕死状態になった場合お前は冷静でいられるのか?」
「……」

無理だ。
そう思う。
ギン姉も同じ思いだろう。
反論しないのがいい証拠だ。
悔しさから、私は言う。

「ミウラさんは、もしなのはさんが人質に取られる、または、敵との戦闘行為によって瀕死状態になった場合冷静でいられるんですか?」
「ああ、事と次第ではなのはを見捨てて犯人確保を優先する」

冷酷に、そして冷徹に言った。

「そんな……」
「そうならないように訓練している。分かるな?」

分かる。
けども、気持ちとしては理解したくなかった。

「仮にそういう状況になった時に冷静でいないともっと状況は悪くなる。だから、頭は冷静に。心は熱く、だ。スバルの気持ちはわかる。けど、これは大切な事だから覚えておきなさい」
「はい」



「エリオはここぞという時に少し焦る癖がある。もう少し冷静になるんだ。よくフェイトに教えてもらうこと」
「それだけですか?」
「それだけだ」

物足りないと思う。
これまでの人とは違い僕だけ注意が少ない。

「エリオは強い騎士になれる。機動力も高いし、近接戦闘も上手くなってきている。それらを伸ばすならフェイトとシグナムに習ったほうが効率がいい。その辺り、俺から教えられる事はあまりない。言うなれば、突撃、撲滅に関してそのまま伸ばせば良いってことだ。視野を広げたいのであればティアナの動きをよく見るといいよ」
「はい! わかりました」

もっとミウラさんから学びたいと思うけど、僕の場合フェイトさんとシグナムさんに習ったほうが良いと判断された。
やっぱり、僕達のことをよく見てるし知っている。

「ミウラさんは何でも知ってるんですね」
「何でもは知らない。知っていることだけ」



アドバイスと指導。
厳しいのは期待の表れ
配点:(教導官として)



偽物語を見てやりたくなったネタ。
個人的に、神原駿河が好き。
 
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