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チートな転生者の奏でる『俺の転生物語』原作どこいった!?

作者:虚空
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『手合わせ』

 
前書き
大変長らくお待たせいたしました。

久しぶりの投稿です。

 

 
前回の士郎さんの回復パーティーから数日が経ち……、

遊びに来ていたなのはが千歳の作ったおやつの豆大福を頬張りながら口を開く。

「あのね今日お父さんがお兄ちゃんに家に来てほしいっていってたの」

その内容は士郎さんが俺に用があるから来てくれないかというものだった。

「別に良いけど何で?」

今日は別に特に予定はないから良いけど、俺なんかした?

「ん~とね……お父さん長い間入院していて身体が鈍ったからお兄ちゃんに相手をしてほしいんだって」

ま~結構長い事入院していたから当然なのかな?

「じゃあそれ食べ終わったら行く?」

未だに豆大福を美味しそうに頬張る彼女を見つつ問う。

「わかったの!」

頬に餡をつけながら答えるなのは。

「ほっぺにあんこがついてるぞ」

そんな彼女の頬についた餡を指で取りペロりと舐める。

「うにゃ!」

その行動に恥ずかしかったのか顔を赤くする。


「あらあら 仲が良いですね」

そんな二人の姿を見て口元を隠しながら上品に微笑む千歳。


「あぅ~」

「まぁ とりあえず行くとしますか」

なのはが食べ終わったのを見計らい出かける準備をする。

「待って~」

そんな俺の後ろをトテトテと駆け足で追いかけて来るなのは。

「ほら 急に走ると危ないぞ」

以前も何もないところで転けたので手を差し出しお互いに繋ぐ。

「うぅ~大丈夫なの~」

なんだかんだ言いつつも二人は手を繋いだまま目的地へと歩いて行く。

暫く歩いたところで、

「着いたの!」

目的地であるなのはの家へと着き今度はさっきとは逆に彼女に手を引かれながら道場へと案内される。


「お邪魔しま~す」

一応礼儀として入る際に礼を告げるが、

「早く早く~」

普段の運動神経はあまり高くないはずのなのはに手を引かれ……というか引きずられながら道場へと連れていかれる。

この子のどこにそんな力があるのかを問いたいものだ。

「おや? 来てくれたんだね」

「どうも~」

俺達の存在に気づいた士郎さんが声をかけてくる。

「いや~今日は無理を言ってすまないね~」

にこやかに笑いながら歓迎をしてくれるがその身体には覇気が満ちていた。


やる気満々ですね。

「やっほー 零君 今日はよろしくね~」

眼鏡をかけ髪を三つ編みにした女性が話かけてくる、

彼女の名前は高町美由希、なのはの姉だ。

「えぇ こちらこそ」

俺は彼女に礼を返す。

「それじゃあ お父さんの準備運動が終わる前に私と手合わせお願いできないかな?」


ウキウキと楽しそうにハシャグ美由希さん。

アンタもバトルマニアなんかい!

「はぁ……まぁ いいですよ」

「ありがとね~それじゃあ向こうでやろうか」

俺の返事など知ったことかとばかりに腕を引っ張りズルズルと引きずられながら稽古場へと連行される。

何故か頭の中でドナドナド~ナと売られていく子牛の歌が聞こえる気がするよ。

ダレカタスケテー。

「さぁ 始めるよ~」

木刀を構えながら楽しそうにハシャグ美由希さん。

このバトルマニアめ!

「はい」

二人は互いに得物である木刀を構える。

「始め!」

いつの間にかいた士郎さんが審判となり開始の合図を行う。

「はぁッ!」

「でやぁッ!」

ー激突ー

互いの木刀が激しくぶつかり合い鈍い音をたてる。

「てりゃ~!」

軽い掛け声と共に高速の連撃が襲い掛かる。

「せやッ!」

襲い掛かる木刀を二刀で全て撃ち落とし、

「『魔神剣』!」

撃ち落とすと同時に掬い上げるような斬撃で衝撃波を美由希さんへと飛ばす。

「なにゃ~! 斬撃を飛ばすなんてそんなのアリ~!?」

とかなんとか言いつつも確りかわす美由希さん。

「これはオマケですよ!『魔神剣・双牙』!」

高速で木刀を振り抜き地を這う衝撃波を時間差で放つ。

「くぅ! 御神流『虎乱』!」

迫り来る衝撃波を二刀から放つ連撃で相殺し、

「今度はこっちからだよ!」

木刀をまるで刀を鞘にしまうかのような動作で腰に構え抜刀術の構えを取る美由希さん。

「受けてみて! 小太刀二刀御神流 奥義之六『薙旋』!」

右の抜刀から始まる必殺の四連撃が放たれる、

抜刀での一撃を始めとし、別軌道から放たれる斬撃が零目掛けて迫る!

御神の剣士の奥義ともいえる神速を併用しているのかその斬撃を全て見切るのは困難を極める。

「見えないなら薙払うまで!」

剣を下に構え、

「『断空剣』!」

上へと上昇する回転斬りで迫る全ての斬撃を打ち払うと同時に接近していた美由希さんを斬撃で浮かせたその瞬間に追い討ちをかけぶっ飛ばす。

「きゃあッ!」

美由希さんは追撃され悲鳴をあげながら床へとぶつかる。


床へとぶつかりながらもすぐに受け身をとり木刀を構え戦闘体勢を取る美由希さん。

先ほどの攻防で解ったが彼女は恭也さんよりパワーが劣るがスピードではかなり勝る。

先ほどの神速を併用した奥義は普通の人間や魔導師では回避不可だろう。

相手が熟練の手練れか俺のような異常な身体能力を持たない限りはね。

「アイタタタ まさか打ち落とされただけじゃなく追い討ちまでされるなんて予想外だよ~」

彼女は痛がりつつもこちらの出方を窺い構えを崩さない。

「人生何が起こるかわからない方が楽しいと思いませんか?」


軽口をたたいて挑発をしつつも美由希さんから視線を外さず俺は虎視眈々と挙動を窺う。


「まぁ 人生に潤いって必要だよね~」

俺の軽口を余裕そうに返すが結構ダメージがあるのか足が震えていた。

「次で決めませんか?」

次は士郎さんとも手合わせをしなければならないので次で決着をつける事を提案する。

「それでいいよぉ」

提案に是の意を示す美由希さん。

「では先に忠告しておきます 次の技は全力でかわすか防ぐかをしてくださいね」

そう言い放ち俺は、左腕を真っ直ぐに伸ばし相手を捕らえる標準とし、木刀を持った右腕は後ろへと引き刀身を左手に添え、身体を倒し斜めに固定する。

足首をしっかりと地面に固定し何時でも突撃できる体勢をとる。

「なんかヤバそうだね」

俺の発する威圧感を感じたのか美由希さんは冷や汗を流してコチラを見つめる。

「この一撃受けきれるか!」

ー突撃ー

一言言い放つと同時に足の裏から気を放出しまるでミサイルの如き勢いで突進し、

「『牙突』!!」

一撃必殺の突きを放つ!

「きゃあぁぁぁぁっ!?」

わざとギリギリでハズしたその突きはカスった木刀を粉砕し、その余波だけでも凄まじい衝撃を周りに振り撒く。


「イタ~ お尻打った~!?」

牙突の余波で吹っ飛ばされた時に打ったのか尻もちをつきながら痛がる美由希さん。

「とりあえず俺の勝ちでいいですか?」

先ほどの技で砕けた木刀を捨て無事なもう片方の木刀を首筋に突き付けながらいう。

「うぅ~木刀も2本とも砕かれちゃったし私の負けだね」

彼女はあっさりと負けを認めて両手を上げ降参の意を見せる。

「ありがとうございました」

そう言って木刀を脇に抱え空いた手を美由希さんに差しのべる。

「いや~話には聞いてたけど本当に強いね~」

美由希さんは俺の腕を取り立ち上がり満足げな笑みをうかべる。

「いえいえ まだまだですよ」

「ちなみにさっきの技ってなんだったの? 『射抜』と少し似てたけど威力は桁違いだし……」

「それは僕も気になるな」

美由希さんの台詞に続くように突如先程まで恭也さんと準備運動をしていた士郎さんが口を挟む。

剣士としての性なのかどうやら先程の『技』に興味津々なようだ。

「『牙突』ですか?」

「ほう……先程の技は『牙突』というのかい?」

「元は新撰組の土方歳三が考案した片手平突きを基礎に三番隊隊長 斎藤一が編み出した必殺の剣です」

まぁ この世界ではどうかは知らないけどね、元ネタはマンガだし。

「元となった片手平突きと同じく横薙ぎの剣への軌道変化はもとより4つの形態が存在します」

「一つの技に4つの形態が!?」

驚く士郎さんを見つつも俺は説明を続ける。

「まず通常の弾丸のように真っ直ぐ突撃する壱式・上に飛んだ敵への対空迎撃用の弐式・そしてそこから地上へと突き下ろす参式・そして相手に密着した際に上半身のバネのみで放つ零距離専用の零式の4つです」

「すごいな……威力も家の流派の奥義を上回るな……先程の一撃も手加減をしてくれたのだろう?」

士郎さんの台詞に固まる美由希さんをスルーしつつも答える。

「えぇ 本気なら道場の壁を粉砕しています」


今の俺の強化された身体能力ならコンクリくらいまでなら余裕で粉砕できる、まぁ 斎藤さんみたいに鋼鉄製の門はまだ粉砕できないけどね。

「ちなみに君がたまに使う加速術は今の技や家の流派とはまた違った技術体系なのかい?」

加速術? あぁ 瞬動術のことか、

魔力核(リンカーコア)は特定の人間しか持たないが気は生きる者には必ず存在するものである以上使い方さえ解れば誰でも使える技術だ……まぁ それ相応の才能や身体はいるけどね。

恭也さんや美由希さん達の動きを見てわかったが彼等も微弱ではあるが無意識のうちに気を使い身体強化をしているので使い方さえ解れば今よりも強くなれるだろう。

「えぇ あの加速術は縮地法と言い足の裏に気を纏わせ一気に放出させる事で圧倒的なスピードを得ます」

「こんな風に……」

俺は足の裏に気を纏わせさらに足首を決まった角度で固定させ、

ー身体・射出ー

足の裏から一気に気を放出させ銃口から放たれた弾丸が如く残像を発生させながら一直線に高速で壁際まで移動する。

「え?」

士郎さん意外のなのはを含めた人達が一斉に驚く。

「速度を売りにしている家の流派だが今のは……」


今の瞬動術のスピードを追いきれなかったらしく驚く士郎さん。

「零君……今の技は……瞬動術というのは一体誰に習ったんだい?」

彼は驚愕と困惑の入り混じった顔で聞いてくる。

「千歳ですよ」

そう……何を隠そうと実は千歳に効率の良い魔力運用の仕方や術式構築その他にも気の使い方や体術を教わり、

瞬動術も彼女に見本を見せてもらった事で使えるようになったのだ。


今の独白からわかるように俺の師匠は千歳であり彼女は自分の知り得る事を色々と教えてくれた。

「彼女が!?」

彼にとっては意外なのか千歳の名を聞き驚く。

まぁ 普段の千歳は気や魔力などをかなり抑えているから普通の一般人に思えても仕方がないのかな?

「えぇ 千歳は色々と物識りですが体術も強いんですよ」

彼女の場合は元々の人外故の運動能力に加え体術なども達人級の技術をもちそこら辺の不良やヤクザぐらいならいくら束になろうと触れる事すらできないだろう。

「今度手合わせ願えないかな?」

「さぁ? どうでしょうね」

彼女も最近は色々と趣味を楽しんでいるからどうだろうな?

俺としても彼女が自由に楽しく生きてくれると嬉しいな。

「まぁ それはさておき……待たせたね」


2本の少し短めの木刀を持ちコチラを闘気のこもった瞳で見つめる士郎さん。

「イイエ 大丈夫ですよ」

先ほどの戦闘で壊れた木刀から同じ長さの2本の木刀に持ち代え構える。

「それでは御相手願おうか」

「こちらこそ」

二人はお互いに木刀を構え合図を待つ。

合図を頼まれた美由希さんが右腕を真っ直ぐと上げ……、

「始め!」

降り下ろされる!

「御神流 虎乱!」

2本の木刀から高速の連撃が放たれる!

その速さは以前同じ技を使ってきた恭也さんよりもさらに速くそして洗練されたものだった。

「龍巣閃!」

高速の連撃に対しそれをさらに超える高速の連撃を持って相対する。


本来ならば一本の刀で行う技だが今回は2本の木刀を用いての乱撃となる。

互いの斬撃はぶつかり合い相殺されるが次第に零の繰り出す連撃が士郎の連撃の速さと数を上回り士郎へと迫る……、

しかし士郎もまた御神の剣士として長年に渡り鍛えられた剣士としての腕前と達人の域へと到達した人間としての勘が自分を上回る身体能力を持つ零の攻撃を綺麗に捌いていく。

「くぅ!」

やはり恭也さんとは違い身体能力だけで押し込めるような人じゃないな!

端からみれば俺が押しているように見えるかもしれないが実際は違う。

確かに身体能力だけは俺が勝っているが士郎さんは俺の斬撃を最低限かする程度に抑えているが俺の動きはまだまだ粗く拙い部分が目立つ。


決して恭也さんが弱いわけではないのだが今の彼ならばなんとか身体能力だけで押し込めるが士郎さんが相手では今の俺の技術では勝てない。

年期と潜った場数が違うのが原因だろう。

「瞬迅剣!」

間合いをあけるために強引ではあるが踏み込みながら強力な突きを放つ。

「クッ!」

士郎さんは常人では見切る事など出来ない速さの突きを予備動作の段階で理解し木刀の腹で受け止めつつ自ら後方へ跳び衝撃を減らす、

与える筈だったダメージを上手く逃がされたが俺の目論みは間合いを空ける事だったので結果は上々だ。


「蒼破刃!」

地を這うような斬撃を飛ばす魔神剣とは違い真っ直ぐに飛ぶ斬撃は士郎目掛けて迫る。

「セイヤ!」


鋭く振り抜かれた木刀によって斬撃は凪ぎ払われた。

「今度はこちらから行くよ!」

木刀を構えながらこちらへ向かって突撃してくる士郎。

「御神流 裏『花菱』」」

目にも止まらぬ高速の連撃が零に迫る!

速いだけのただの斬撃なら自慢の身体能力だけでかわせるがフェイントを使った虚実の入り交じった連撃に零は翻弄されてしまう。


「クッ!」

斬撃自体は見えるがこの速度で虚実の入り交じった攻撃は辛い!

目ではなく直感に頼り自分に迫る斬撃を全て捌く。

直感Aは伊達ではないのだよ!

「今のを全て捌かれるとは……」

さすがに今のを全て捌かれるなは予想外だったのか驚く士郎。

「お返しだ!『魔神双破斬』!!」

魔神剣と虎牙破斬を組み合わせた奥義 魔神双破斬を放つ。

「なっ!」

地を這う衝撃波を木刀で防ぐが浮かし効果のある衝撃波が木刀に着弾したと同時に士郎の身体を浮かせる。

僅かな間だが身体が浮き上下に切り上げる技である虎牙破斬を受け士郎の身体は道場の天井まで跳ね上げられる。

「ぐぁっ!」


天井まで跳ね上げられながらも身体を捻り体勢を立て直そうとするが、

「裂空斬!」

士郎さんのいる場所目掛けて前方宙返りのような感じで飛びながら木刀で切りつける、

イメージ的には高速で回転する扇風機の羽を横から見た時の状態を想像するとわかりやすいと思う。

「グゥッ!」

空中での不安定な状態にも関わらずしっかりと木刀でガードをする士郎さん。

まさかここまで防がれるなんて予想外にも程があるよ!?

人の事は言えないがこの人ホントに人間!?

「今のは流石に危なかったな」


「いや……今の全部防ぐとか貴方も十分人間離れしてますよね?」

まだ本調子じゃないのにここまで凄いなんて……なんでこの人大怪我負ったんだ?

「いやいや正直僕もかなり危なかったよ」

本人はそう言うがその顔にはまだまだ余裕があるように見える。

「ここからは本気でいかせてもらう」

先ほどまでの笑みは消え鋭い剣士としての顔へと変わる。

「『神速』」

そして先ほどとは比べ物にならない程の速さで零に襲い掛かる。


「くぅ!」

最初の展開とはうって代わり零が押される。

「一撃一撃が重い上にこの速さ! キツイな!」

神速の領域へと入った事で更なる速さを得た士郎の剣が迫る!


籠手、上段、胴、袈裟斬り、逆袈裟をそれぞれなんとか直感で反応し防ぐ。

眼で見て追えて、身体もついてはいくが如何せん一つ一つの動作の切り返しが速い上に隙がほとんど無いために攻めあぐねる。

「『虎乱』!」

二刀での連撃、初歩の技ではあるが神速の領域へと入った事により通常とは比べ物にならない程の速さで繰り出される高速の連撃は容赦なく零に襲い掛かる。

「『閃光裂波』!」

それに負けじと高速を超える超高速の突きの嵐で迎撃する。

「ぐぁっ!?」

高速の連撃に対して放たれた閃光の突きは手数で競り勝ち数発が士郎に命中し距離を空ける事に成功する。

「さすがに身体が鈍っていると辛いな……」

いや……これで鈍ってるとか……ホントに貴方人間ですか?

「だが……だいぶ感が戻って来たよ」

「そうですか……」

士郎さんは余裕ありげにそう言うがお互いに疲労しているのは他の人間が見ても一目瞭然である。

「なら次で終わりにしませんか?」

俺はこの手合わせを早々に終わらすために次で決める事を提案する。

流石に連戦は辛い。

「そうだね 僕もそろそろキツイからそうしよう」

そう言うとお互いに距離を空け、木刀を構える。

零は先ほどの攻防でヒビの入った木刀を捨て残った木刀で抜刀術の構えをとる。

対する士郎も抜刀術の構えをとる。

「御神流 奥義之六」

「閃く刃は勝利の証!」

ー抜刀ー

「『薙旋』!」

「『白夜殲滅剣』!」


右の抜刀から始まる高速の四連撃!

それに対するは突進しながら始まる高速の抜刀術による連撃!

お互いの剣がぶつかり合い最後の剣撃の一閃を振り抜きお互いが背を向け……、

「グゥ……」

地に膝をつく士郎。

「この勝負……」

突如立っていた零の姿が揺らぎ、

「俺の負けです」

ゆっくりと膝から崩れ地に倒れ伏す。


「え? なんで?」

「速すぎてほとんど見えなかったの……」

「神速を使ってやっと見えるとかどんだけだよ」

この決着に周りはざわめく。

「ふぅ……なんとか勝てた……さて……零君 大丈夫かい?」

ある程度回復した士郎が倒れ伏す零に声をかける。

「ちょっと気を失ってました……」

地に這いつくばった状態から立ち上がるが、

「クッ!」

途中で力が抜けて膝をつく。

「まさかあの『奥義』を使わされるとは思わなかったよ」

「こちらこそ競り勝ったと思ったらまさかあんな業を使われる何て思いもしませんでしたよ」

そうお互いの抜刀術のぶつかり合いの時俺は突進しながらの神速の6~7連撃を放つ抜刀術である『白夜殲滅剣』を放ち士郎さんの『薙旋』を全て迎撃し勝ったと思ったのだが……、

「あの技は何だったんですか? 人間が出来る動きを超えていましたよね?」

そう……アレを受けた俺でもよくわからないあの動き……少なくとも頑丈さにはかなり自信があるのだがあの『技』は俺の防御力を抜いて俺は僅かな間とはいえ気絶した。


というかトラックの直撃くらっても痛いですます自信のある俺の防御力を抜いてくるとかどんな技なんだよ?

「いやぁ~自分自身でも驚きなんだけどね あの技は家の流派の最終奥義なんだ」

士郎の言葉を聞いた零を含め周りの人間は一斉に言葉を失う。


「俺……そんなん食らったんだ……」

頑丈な自分の身体に感謝だな。

「ははは しかし……ホントに君の身体は呆れるくらい頑丈だね?」

「えぇ まぁ 『気』を纏っていたおかげでもあるんですけどね」

全力じゃなかったけど気を纏っていたおかげで気絶程度ですんだよ。

気を纏っていなかったら……おお怖い怖い。

「零君……もし良かったら君の技を教えてくれないかい? 教えてくれるなら僕も御神の技を全て君に教えるよ」

剣士としての性か未知の技と技術を持つ零に興味をもつ士郎。

「そうですね」

別に教えてそこまで困るもんじゃないけど今でさえ強いのにこれ以上強くなると生半可な奴じゃ止めれないな。

まぁ この人達なら大丈夫だと信じてるから教えてもいいかな?

俺も御神の技には興味があるし。

「いいですよ」


「僕から言い出した事だけどいいのかい?」

「えぇ 俺も御神の技には興味があるので ただ……俺もまだ技が使えるだけで極めているわけじゃないですよ それでも良いですか?」

俺自身気を使った技や剣撃を飛ばす系統の技を使えるがまだ完全ではなくまだまだ荒い部分が多い。

「いやいや此方から無理を言っているんだし、それに君は十分強いよ」

「そうですか?」

恐らく普通の人間相手なら無双出来るかもしれないが士郎さんみたいな達人級(マスタークラス)相手と闘うにはまだまだ力不足だ。

それはこの闘いでわかった、俺は能力(チカラ)はあってもまだ全然使えてないから宝の持ち腐れだ。

この期に士郎さんみたいな達人級の人間に教えてもらえるなら願ったり叶ったりだな。

「うん まだまだ荒い部分はあるけど時間を掛ければ解決していくさ」

「それではよろしくお願いします」

「うん よろしくね」

「ねぇねぇ 零君 私もいいかな?」

今まで黙っていた美由希さんが話し掛けてくる。

「別にかまいませんよ ただ……さっき言ってたように俺自身まだ未熟者ですから上手く教えられるかわかりませんよ?」

「大丈夫私もまだ弱いから一緒にやろうよ!」

「わかりました」

美由希さんにも教える事となったが大丈夫かな?

「なのはもやるの!」

先ほどまでずっと道場の隅で見ていたなのはが自分もと名乗り出る。

「別に良いけど大丈夫か? 慣れるまで結構キツイよ?」

「できるもん! なのはだってできるもん!」

少し涙目になりながらも自分もやると聞かないなのは。

「わかったよ 一応千歳と一緒にメニューを考えておくよ」

流石に自己流じゃ不味いからね。


彼女スパルタだけど教えるの上手いんだよね。

「うん!」

「恭也さんもどうですか?」

「年下の子供に教わるのは悔しいが……頼む」

以外にも頭を下げて頼んでくる恭也さん。

この人シスコン抜いたら良い人だな。

「では近いうちに……とりあえず今日は帰りますね」

千歳とプランを組みたいし……あと身体痛いから休みたい。

「うん それじゃあ千歳さんにもよろしくね」

「はい」

とりあえず一応の修行の方針と内容はできたからこれからだな。

「よろしくね~」

「お兄ちゃんまたね!」

そして美由希さんとなのはに見おくられながら帰路へとつき、

家につき千歳とみんなの修行プランを組む事となった。

そしてその後……『気』を使えるようになった高町一家が本格的に強くなりすぎるのはまた別の話……。

 
 

 
後書き
この小説を読んでくださっている皆様。

大変長らくお待たせいたしました。

久しぶりの投稿です。

最近は仕事と学校の両立が上手くいかずなかなか更新できずにいました。

いつかは必ず完結させるのでそれまでお付き合いをお願い致します。

こんなダメ作者ですがこれからも応援よろしくお願い致します。 
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