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問題児が異世界から来るそうですよ?~あれ?なんか人数が多い?~

作者:ほにゃ~
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第二話 問題児たちが出会うそうですよ?

「うまく呼び出せた?黒ウサギ」

「みたいですねえ、ジン坊ちゃん」

体に合わないダボダボなローブを着た少年ジンがウサ耳が生えてる少女黒ウサギに聞くと肩をすくませおどけるように言う。

「彼らは仲間になってくれると思う?」

「まぁ、後は運任せノリ任せです。そんな心配なさらないで下さい。初対面で『私たちのコミュニティは崖っぷちなんです!』と言えば簡単ですが、それでは同士になってもらうのに警戒されてしまいます」

拳を握ったり、おどけたりと表情をコロコロ変える黒ウサギの横で気怠そうに寝ている

少年が口を開く。

「コミュニティの現状を説明しないでメンバーに加える……ぶっちゃけ詐欺だな」

「詐欺とは失礼な!ちゃんと説明しますよ!…………同士になってもらった後に」

最後の方が小さくなり、ウサ耳をへにょらせる黒ウサギ。

「結局詐欺じゃん」

「そ、それは分かってる。でも……………」

「分かってるって何も言うな。それがお前の決めたことなら従うまでだよ」

そういって少年はジンの頭を撫でる。

「うん、何から何までありがとう。黒ウサギ、ルーシャ」

「それじゃあ、救世主共を迎えに行くとしますか」

「ええ」

黒ウサギとルーシャは立ち上がり扉に手を掛ける。

ジンはまだ不安そうに黒ウサギ達に声を掛ける。

「彼らは僕たちのコミュニティを救ってくれるのだろうか」

「そいつはわかんねー」

「ですか“主催者(ホスト)”はこれだけは保障してくださいました」

二人は振り返り、黒ウサギは悪戯っぽく笑い、ルーシャはニヤリと笑う。

「「彼ら六人は……人類最高クラスのギフト保持者だ、と」」







上空4000ⅿから落下する六人と一匹は緩衝材のようなものを幾重も通り下にある湖に落下した。

「きゃ!」

「わっ」

耀と飛鳥はかわいらしい声を上げ湖に落ちる。

「信じられないわ!まさか、問答無用で呼ばれて、水の中に落とされるなんて!」

「右に同じだ。クソッタレ。これなら石の中に呼び出される方がよっぽとマシだ。」

「石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

「俺は問題ない」

「私も問題ないかも」

「そう。身勝手ね」

「お嬢様、ご無事でしたか」

「耀、三毛猫、無事か?」

「三毛猫……大丈夫?」

『じぬかとおぼった……』

六人はそれぞれ違う反応をし、湖から上がる。

「此処…何処だろう?」

三毛猫を抱きながら耀が喋る。

「さあな、世界の果てっぽいものが見えたし大亀の背中じゃあねーか」

「もしかしたら、あの世かも」

濡れた服を絞りながら答える十六夜と栞。

どちらにしろ此処が彼らにとって未知の世界であるのに変わりはなかった。

「一応確認しとくが、お前たちも変な手紙が来たのか?」

「そうだけど、まず“お前”って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後気を付けて」

濡れた髪を撫でながら自己紹介をする飛鳥。

「私は三上皐と申します。久遠飛鳥お嬢様の御世話役兼護衛役をしております」

右手を左胸にあてお辞儀をする皐。

「……春日部耀。以下同文」

表情を変えずに淡々と自己紹介をする耀

「同じく霧雨柊人だ。」

「そうよろしく春日部さん、柊人君。それで、野蛮で狂暴そうなそこの貴方と優しそうな貴女は?」

「見たまんま野蛮で狂暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれ。」

「どうも、久米栞です。身長151㎝のバストEカップのバランスの悪さには自信があります。人は私をロリ巨乳といいます。同じく用法と用量を守った上で適切な態度で接してください。」

「取扱説明書をくれたら考えてあげるは十六夜君、久米さん」

「マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

「出来たら真っ先に見せてあげるわ」

心からケラケラと笑う逆廻十六夜と久米栞

傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥

そんな飛鳥を見て溜息を吐く三上皐

我関せず無関心を装う春日部耀

上空を見上げぼーっとする霧雨柊人

そんな六人を物陰から見ていた黒ウサギとルーシャは思う。

(うわぁ………なんか問題児ばかりみたいですねぇ………)

(中々に面白そうな連中だな)

彼らが協力してくれる姿が想像できなく陰鬱そうに溜息を吐く黒ウサギと

ニヤリと不敵に笑うルーシャだった。

「てか、召喚されたのに誰もいないってのはどういうことだ?こういう場合この“箱庭”ってのを説明する奴が現れるもんじゃねえのか?」

「そうね。説明のないままでは動きようがないわね」

「……この状況に対して落ち着き過ぎてるのもどうかと思うけど」

「春日部さんも十分に落ち着き過ぎだと思いますが」

「まぁ、下手に騒ぐよりはマシだろ?」

「私が言うのもなんだけど、貴方たちも十分に落ち着き過ぎよ」

(まったくです)

黒ウサギも心の中で突っ込みを入れる。

このままでは六人の怒り不満が爆発しかねないのでそろそろ姿を見せようと思い物陰から出ようとすると十六夜が振り返った。

「取りあえず、そこに隠れている奴らに話を聞くか?」

黒ウサギとルーシャは心臓を掴まれたかのように驚く。

「貴方たちも気づいていたの?」

「「当然だ(よ)」」

「かくれんぼじゃ負けなしだぜ?」

「かくれんぼ程度なら3分で終わらせる自信があるわ」

「お前らも気づいてたんだろ?」

「人の気配を察知するのは得意です」

「風上に立たれたら嫌でも分かる」

「俺の背後を取るのは基本不可能だ」

「「……へぇ、面白いな(わね)お前ら(あなた達)」」

そう言うが十六夜と栞の目は笑っていなかった。

理不尽に呼び出され殺気を込めた視線を黒ウサギ達に向けている。

残りの四人の同じらしく同様に殺気を込めた視線を黒ウサギたちに向ける。

「や、やだな~、御六人様、そんな怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?どうか、ここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますよ?」

「「断る」」

「却下」

「遠慮します」

「お断りします」

「聞くのめんどい」

「あっは、取り付くシマもないですね。」

両手を上げてバンザーイと降参のボウズを取る黒ウサギ。

しかし、目では六人の値踏みをしている。

(肝っ玉は及第点ですね。後はそれに見合うだけの実力があるかどうか………)

そんなことを考えていると耀と柊人が黒ウサギの横に立ちそのウサ耳の根元を掴み

「えい」

「おりゃ」

「フギャ!」

力いっぱい引っ張った。

「ちょ、ちょっとお待ちを! 触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

「好奇心の為せる業」

「人間、我慢は良くない」

「自由にも程があります!それと、人間ときには我慢も必要です!」

「へぇ、このウサ耳って本物なのか?」

「普通の耳もあるわね。このウサ耳は何に使うの?」

今度は十六夜と栞が掴んで引っ張る。

「十六夜君、久米さん。次は私にもやらせて」

「申し訳ありませんが、できれば私にも」

「ちょ、ちょっと待――――!」

黒ウサギは涙目になりながらルーシャに助けを求めるがルーシャは

(たっぷり弄られて来い♪)

爽やかな笑顔でそう答える。

「る、ルーシャの……鬼―――――!」

黒ウサギの嘆きと言葉にならない絶叫が森の中に木霊した。 
 

 
後書き
黒ウサギとルーシャの関係はおいおい明かします。
黒ウサギが呼び捨てなことからそれなりに親しいのは決まってます。
それでは次回をお楽しみに 
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