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三つのオレンジの恋

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第三幕その三


第三幕その三

「上手くいったわね」
「確かに」
 王子への嫌がらせが成功してである。今はほくそ笑む二人であった。
 チェリーは地下でファタ=モルガーナと対峙している。怒りに満ちた目で彼女を睨んでだ。
「おい」
「何かしら」
 その彼の言葉を平然と受けてみせる魔女だった。
「何が言いたいの?」
「よくもやってくれたな」
 今にも殴りかからんばかりの様子での言葉だった。
「幾ら何でもあれはないだろう」
「魔法の初歩の初歩じゃない」
 ファタ=モルガーナはこう彼に返した。
「そうでしょ?変身させるなんていうのは」
「私が言っているのはそういうことではない」
 魔女のその言葉を否定する。
「あそこで御前の召使いを出すのか」
「そうよ。考えたけれど有効な一手だったわね」
「幾ら何でもあれはないだろう」
 こう言ってまた抗議する彼だった。
「あそこであれは」
「要は勝てばいいのよ」
 ファタ=モルガーナも両手を腰にやって顔をずい、と前に出してチェリーに言い返してきた。
「あんただってよくやってきたことじゃない」
「よくだと!?」
「そうよ。今までだって」
 そのこの世のはじまりからのことを言い出す彼女だった。
「やってきたでしょ。違う?」
「だからいいというのか」
「そうよ。抗議するというのならよ」
 さらに彼に対して言うのだった。
「私の鼻をあかしてみせることね」
「言ったなっ」
「言ったわよ」
 売り言葉に買い言葉であった。
「それも何度も言ってやるわよ」
「よし、それならばだ」
 魔女に言われて彼も本気になった。
「見ているのだ」
「何をするのかしら、それで」
「やられたらやり返す」
 まずはこう言うチェリーだった。
「それを見ていることだな」
「ふん、じゃあ見せてもらうわ」
 ファタ=モルガーナも彼のその言葉を受ける。
「楽しみにしているわ」
「一つ言っておく」
 彼は魔女に対して大見得を切ってきた。
「最後に勝つのは私だ」
「何を根拠に言っているのかしら、その言葉は」
「私の実力からだ」
 それが根拠だというのである。
「わかったな。何があってもだ」
「わからないわね。まあ精々頑張ることだな」
「ふん、そうさせてもらうわ」 
 ここまで言ってそれぞれ顔を背け合う二人だった。その有様は誰がどう見ても痴話喧嘩そのものだった。二人が何と言おうともである。
 王子と王子の婚礼の場は庭でとなった。王はもう玉座にいる。そして家臣達も貴族達も居並んでいる。彼等はここでもあれこれとひそひそ話をしていた。
「王子の御婚礼自体はな」
「いいことだ」
「全くだ」
 まずそれはいいことだった。しかしであった。
「だがなあ」
「どういうことなんだ?一体」
「全くだ」 
 まだ首を傾げているのだった。
 
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