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ロザリオとバンパイア〜Another story〜

作者:じーくw
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第6話 決戦・アルカード































それは……どれくらいたったんだろう……?

もう、時間を考える余裕は一ミリも無い。

だが、彼らは幾つもの 時を費やし 強大に成りすぎたといっても過言ではない真祖・アルカードを
深手を負いながらも……喰らいつき。



ついに4人の戦士は徐々に追い詰めていったのだった。






「……これ以上時間を費やし奴を暴走させているとこの戦いだけでも世界が滅ぶぞ!もう、ここで終わらせるぞ!」



御子神が先陣を切り 破邪の杖を用い 退魔の障壁を四方に展開!






「邪なる怨念よ……退け!」
 
「退邪悪・破砕封波(スピリッツ・クラッシュエッジ)!」





アルカードの体の一部であり 眷属である無数の触手の動きを封じつつ 破砕していく。

アルカードは数多の人間を……妖を吸収した存在。

その存在は、最早邪悪を具現化したような姿となっていたのだ。

だから、御子神の退魔の力は効果が十分にあるのだ。



そして 御子神が喰らわした攻撃は、 アルカード本体を露出させた!





「今だ! 不敗、ジャック!」




アルカードの……その巨体の背後より、2人の影が飛び出す!



『まかせろ!』
「うむ。」


うなずき合う。



「崩月次元刀………!」
      
『雷の力 自然系(ロギア)……』



次元の刃と神なる雷が合わさる……。



辺りが…大気が震えだす!!





『「天覇・次元斬」』




“バリバリバリッズッシャアアアン!!”




アルカードを……切り裂きながら雷撃で蹂躙する。

傷を開き、内部から雷で焼き焦がす。

体内に迸っているのだ。

ノーダメージ何て事は決してない!



そう、これは2人の能力を合わせた… 2人の奥義を合わせたと言っても差し支えないほどの威力だ。

それが証拠に、






“ブワシャアアアアアアア!!!!!!ギアアアアアアアアアアア!!!!”




当たったその瞬間……一面のアルカードの体の部分が吹き飛び 粉々になっていったのだ。

次元刀は、最強の刃。

その切れ味はこの世のものとは思えないもの。

だが、アルカードの体は破れるように飛び散った。

切断面を雷撃が襲った為だ。

十分すぎる一撃……。





『どうだ?』
「ふう、あれでこられたら流石にたまらんわい……。」
「ッ……確かにキツイな………。」



今でこそ、攻めれているようだが。

ここまでの道のりが、かなり長いものだった。

アルカードを人の、妖のいない荒れた荒野へ誘い出すのに膨大な力を使い続けた為か皆、もう満身創痍だった。

滅んだ街……とは言え、万が一にでも、そこに生き残りがいたとすれば、巻き添えになる恐れがあったからだ。

二次災害だけは防ぎたい。



だが、その影響で……ここまでの深手と体力を消費した。






(…やはり、……不安が当たった。当たって欲しくなかったが……。)




痙攣するアルカードを見ながらジャックは思う。

自然系(ロギア)の力は……この数ヶ月、いろいろと試した。

修行の一環でだ。

そのコントロールは問題なく出来るようになっていた。

そう……マグマや炎だけじゃない。

氷・光・先ほどの雷……etc

……種類は豊富だ。

これだけ使えれば敵を見つけるほうが難しいだろう。

そう考えるほどだった。

だが………。

アルカードの絶対的な力の正体。

それは強大な妖気だけじゃない。

異常なまでの巨体だけじゃない……。

その巨体の全ての部位に当てはまる、≪異常な速度の再生能力≫だった。



そう…




【炎で焼いても】【マグマで焼き尽くしても】

【砂の渇きで干からびさしても】【光の重い一撃でも】

【凍らせて砕いても】


その体は再生する。

まるで、ダメージが無かったかのように…。

全く効いてないことはないだろうが、その回復力だけは異常だった。

4人で全身全霊……全力で攻撃して漸くここまでこられたのだ。




眷属の触手には問題ないが。

その触手も数が多い。



(どうなってんだ……コイツは……。)



そう考えてしまうのは無理も無い。

そして……俺は 一瞬 意識を乱してしまった。





「ッッ!!いけない!!」


“バッ!!”





仲間達の背後に。

悪意のある気配を感じたアカーシャは皆の背後に回りこむ!


アルカード本体に唯一気づけたアカーシャが皆を庇う様に 無数の触手の前に、仁王立ちをしたのだった。






“ドスドスドスドスッ!!!”













俺の目の前の光景は……。

アカーシャの体を無数の触手が貫いていくという

悪夢の光景だった。





そう、彼女が……身を挺した。

アカーシャがアルカードの攻撃に気づけたのは偶然と幸運であった。

アルカードの放った 肉片はひとつずつが意思を持ち新たな怪物。

アルカードの眷属として 4人に襲い掛かっていたのだ。

アルカードは本能的に 自分と同じ真祖の吸血鬼であるアカーシャをこの中で一番警戒していた為、

無数の眷属を使って アカーシャと御子神・東方不敗・ジャックを切り離していたのだ。

故に 一番後ろにいたアカーシャがアルカードの接近に気づけた。

だから……守ることが出来た。

その代償は……大きかった。














『アカーシャ!!』

それを見た瞬間弾けた様に動く!

ジャックはアカーシャを貫いている触手を全て破壊した!



“ズッシャッ………”



アカーシャは大量の血を流しながら 膝をつく。

ジャックはアカーシャを抱きとめた。


「………油断………したわね。」


アカーシャは虚勢を張っていた。

それは見て取れる。


これは、いくらアカーシャがアルカードと同じ真祖と言えど……。





「いかん 血を流しすぎじゃ!いくらお主でもこれ以上は命にかかわる!」





そう、致命傷と言って過言は無い………。



(不死のアカーシャにここまでするとは・・・いったいどうすれば)





「ちぃ……!」「むん!」





東方不敗が回復の術を展開・御子神が辺りに四天結界を展開させた。

いつまで持つかはわからないが先ほどの攻撃もある。

暫くは大丈夫のはず……。

これも全力、全身全霊を込めた結界だから。




「ちっ このままだとイタチごっこだ……。 奴は 深手を負わしても時とともに再生する。」





そう……それが一番の問題だった。



















ジャック side



(……俺は馬鹿だ!)

空いた方の手で地面を殴りつける

……自分の力に過信していた自分を呪った、アルカードの力量を見余ってしまった。

そして、その上アカーシャにも自分の油断で 深手を負わしてしまったのだ。






変えたい……。変えたい結末が彼にはあった。





それは、原作を知っている俺はアルカードを封じるのは同じ真祖のアカーシャの力で封じていた

ことは勿論知っていた。

そして、それでは このままアカーシャとモカの運命が原作通り悲しいものとなる。

この世界に来て……見たかったのは……。

親と子の笑顔。

屈託の無い、決して離れることの無い……笑顔……。

その笑顔を守りたかった……その結末を……防ぎたかったのだ。

ただ、仲の良い家族が笑顔で過ごす…

そんなどこにでもあるありふれた日常を…守ってやりたかった…防ぎたかった…。




【自分は……守れなかったから………。】




しかし…

敵の力量を見余った今 それは不可能に近いと…悟った…






(くそっ どうすればいい……?)





 ジャックside out






地面に拳を打ち付けているままのジャックを見て……。

自分を支えてくれているジャックを見て……。

アカーシャはジャックの手を掴む。

優しく……包み込むように。


「ジャック……そう自分を責めないで 仲間でしょ?仲間を……大切な仲間を助けられるのだったらこれくらいどうでもないわ。」

アカーシャはそう言って、必死に笑顔を作った。

その笑顔は……俺の大好きな……。

いつの間にか、心に入り込み……虜にされてしまったアカーシャの……。




『っ!!』



そのアカーシャの口ぶりはまるでジャックの考えを読んだかのようだった。

そのせいか、少し驚いていた。


「………ふふふ 貴方とももう結構な付き合いでしょ?貴方が何を考えてるかなんて顔を見れば分かるわよ?貴方ほど正確にはわからないけどね…… ッ!」




“ゴフッ………”




口元を抑える……だが、吐血の量が多い……。

アカーシャの鮮血が 辺りに舞った。



「アカーシャ!喋るでない!今は休めるんじゃ!」



そのアカーシャを見て不敗が叫ぶ。

「くそっ アルカード……何故だ……。回復してやがる!雷撃による身体麻痺作用を起こしているはずなのに。」

そして、その後ろで絶望の内容が聞えてくる。

アレだけ深手を負わせた、と思っていたアルカードが再び始動しつつあるというのだ。








よくよく見てみると、アルカードは雷撃でいうことの聞かぬ体の部分を自分から破壊し 自身の再生能力を持ち そして、回復していったのだ。

それは荒っぽいやり方ではあるが これ以上無い速さで回復している。
   






――……もう【あれ】を使うしか無い…か。






ジャックは……考える。

仲間達を守れるのなら。

この笑顔を守れるなら。

一度は死を選んだ事のある彼だが迷いは無かった。



生きとし生けるものにとって、死とは絶対恐怖。

発狂してしまうものもいれば、足が動かなくなったりするものもいる。

それは、ジャックとて…元死人とて、それは例外じゃない。

だが、 腕の中で苦しんでいる彼女を守るためならば……。

最早迷いは無い。



ジャックはアルカードを見ながら…

決心を固めた。







≪己の命を懸ける決心を≫













 
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