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ジークフリート

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第二幕その九


第二幕その九

「だからだ。ここで御前を」
「わしをどうするというのだ?」
「倒す」
 そうすると告げて剣を抜いてみせた。その白銀の刀身が眩く輝く。 
 それを見た竜もだった。赤い目をさらに輝かせてきた。
 そのうえで突進してきた。竜は若者を一口で飲み込もうとする。しかしそれは適わなかった。
 ジークフリートは一突きだった。その心臓の場所を見て突きを入れた。それで終わりであった。
 胸を突かれた彼は瞬く間に巨人の姿に戻った。そのうえで言うのだった。
「うう・・・・・・」
「これで終わりだな」
 ジークフリートはその彼に対して告げた。
「僕の勝ちだな」
「御前の心臓にはノートゥングが刺さった」
 こう告げるのだった。
「これで終わりだな」
「貴様は誰だ」
 ファフナ^はジークフリートに対して問うてきた。今まさに息絶えんとしている。
「わしを倒したのは」
「僕はまだ多くのことを知っていない」
 こう彼に言うのだった。
「誰かもそれさえもだ」
「知らないというのか」
「だがこの戦いは御前自身が僕を駆り立てた」
「そうか。知らないのか」
 それを聞いて述べたファフナーだった。
「御前のしたことは御前が考えたことではないのか」
「それは」
「明るい目をした若者よ」
 ジークフリートを見ての言葉だった。
「自分のことさえ知らぬ子よ」
「何だ?」
「御前が誰を倒したのか言っておこう」
 こう彼に言うのだった。
「御前がな。誰をだ」
「竜になった巨人ではないのか」
「今言ったなわしの名はファフナーだ」
 仰向けになって今まさに息絶えようとしている中での言葉だった。
「かつて力の強い巨人族にファゾルトとファフナーという兄弟がいた」
「その兄弟がか」
「そうだ。神々から与えられた呪いの黄金を得る為に」
 遥かな昔の話である。
「兄ファゾルトを殺し竜にその身を変えて宝を護ったのがだ」
「あんただな」
「そうだ。わしだ」
 自分だというのだった。
「このファフナーだ」
「そうだったのか」
「そのわしも今御前に倒された」
 こう言うのである。
「巨人族はこれで指輪を手にすることはなくなった」
「指輪?」
「わし等は元々権力を望んではいなかった」
 自分達のことを言うのだった。
「わしはそれに目を眩ませた。それが過ちだったのだ」
「そうなのか?」
「わからずともいい」
 ジークフリートに対してそれはいいとした。
「しかしだ。わしを倒した御前にだ」
「僕に?」
「一つ忠告しておく。御前はおそらく」
 こう話していくのだった。
「ミーメにそそのかされたな」
「ミーメを知っているのか?」
「知っている」
 知らない筈のないことだった。
「あのずる賢いニーベルングのことはな」
「そうだったのか。あいつのことを」
「あいつは自分のことしか考えない奴だ」
 もうその顔には死相が出ていた。
「御前も愛しているわけじゃない」
「僕もだ」
「それとはまた違う。あいつはだ」
 さらに言っていくのだった。
 
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