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ロザリオとバンパイア〜Another story〜

作者:じーくw
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第3話 力を魅せる



































アカーシャに力を見せると約束したその数時間後の事。

彼女は、【紹介したい人がいる】と言いどこかに連絡をしていた。

そして……。



「アカーシャよ……その男が 先ほどの?」




彼が、1人の老人が指をキセルを指す。

彼女が呼んだのはこの老人。

確かに威圧感はあり、隙を見せないその身のこなしを見れば只者じゃないと思うけれど、其れをひっくるめてもかなりの老体だった。



そして、場所は陽一(ジャック)が暴れた場所より少し変わる。



ここは、 結界を張り進入できない空間にした 朱染城そばの峡谷である。





「ええそうです。 4人目の戦士として ふさわしいか我々に見せていただくため貴方を呼びました。」




アカーシャはそう説明する。


「ふむぅ……」


その老人は…腕を組み考え込んでいた。

ジャックの率直な感想は……


(っというか…なんだ?この爺さん…)


との事。

だって、身体は小さいしさっきアカーシャにすりすり頬ずりしてて、地の果てまで飛ばしたろうか?
と軽く思った程のエロじじぃだと思ったのだ。

だけど、よくよく見てみると思い出す。

この老人の正体。

(そう……か。東方不敗か。妖力を押さえ老人の姿をしてるんだったな。この時代から生命力を節約しているのか……。だが、老体の姿だったら こちらの方がやりにくいし、手ごたえもいまいちだろうな。)

ジャックはそう考えると……。


『……俺の力量を見るのなら その姿じゃ役不足だ東方不敗さん?』


指先を東方不敗に向ける。

そして詠唱を始めた。


≪By my instruction… ≫
(我が命により……)

≪It is a person of ,,,being possible to appear…… True character of can be shown!≫
(この場に 姿をあらわせ 偽りの者よ!)


≪Liberating!≫
(解放!)


指先から光が東方不敗に向かって伸びた。

その光……術式が東方不敗を囲うと。

一気に光の柱が空へ向かってのびる!




“パアァァァァァ”




自分自身が光に包まれたことに驚いたが、それ以上に!



「ぬおおおお こ これは!!なぜわしの体が……」



その光が通り過ぎたその時、姿が変わったことに驚いた。

…先ほどの老体とは似ても似つかない、青年へと姿を変えていたのだ。



『ああ……心配しなくていい。 妖力を抑え偽りの姿をしていたのを俺の魔力で引きずりだしただけですよ。力を抑えた状態の相手と戦っても面白くないですから。』

ジャックはそう言って笑っていた。

言葉からわかる様に力を抑えた相手とは戦いたくないようだ。

やっぱ 戦闘狂に目覚めた?? 苦笑









東方不敗 side





東方不敗は自身の身体を確認し、どこも異常がない事をまず確認した。

そして改めてジャックの方を見る。


――ばかな…このような術聞いたことがない、わしの場合は妖力を抑えて 姿を変えていた。
相手の妖力を封じる術ならまだしも。 相手の力を引き出す術?メリットが全くない。
だまし討ちのために妖気を抑えていたとしたら?自分の勝率が下がってしまうだろう。
いかに、力を見せると言う明確な目的があったとしても……。
それらを含め……あるとすれば 全力の相手と戦いたいという思考の持ち主。所謂、戦闘狂なのか?
なんにしても 全くつかめん男じゃ…



長く生きているが彼の様タイプの妖怪には会った事がない。

東方不敗はそう感じていた。






 Side out






アカーシャ side






アカーシャは、ジャックを見つめている。




(やっぱり……思ったとおり…。)



彼女は彼の力を見たいといったがその理由は力量を信じてなかったわけではない、

あの初めて会ったその時からそう…その雰囲気は…絶対的ともいえる力量を感じ取った故の行動だった。

私は真祖と呼ばれる吸血鬼…。

自分自身を過信する訳ではないが、ある程度の相手の強さは図る事は出来る。

彼の力は…もちろん目算では計測不能だった。

あの人の言うこと全て100%信じたわけじゃないけれど。

1つ…思うところがある…。

それは……そう…何か暖かい感じもする所…。

心が温かい?一緒にいて安心する?

その圧倒的、絶対的な力とは裏腹にすべてを包むような優しさのようなが感じられる。

なぜかわからないけどそんな感じがする……。



Side out










ジャックは、考え込んでいる東方不敗の前に立つと


『さ やりましょうか!東方不敗さん?』


パシっと両の拳をあわせた。

それを見た東方不敗は。我に返る。

その次の瞬間には驚いた顔が瞬時に消え、若かりし姿の東方不敗もまた 不敵な笑みをこぼしていた。


「ふははは……ヌシは面白いのぅ! ワシもわくわくしてきたぞ!年甲斐もなくな…… こい!」


その言葉が合図だった。

2人は瞬時に臨戦態勢に入る。







             
 
『焔の力 自然系!…紅き焔炎』






力を集中…

頭の中で悪魔を呼び起こす。

使うは炎を総べる悪魔。

≪メラメラの実≫

……よし、もうパクるのは止めにしよう。

身体を炎の持つ性質に切り替えたのだ。


ジャックの体周辺に炎が生まれてくる。


それらはジャックの体を炎の渦で包み込んでいった。




“ボオオォォォ……カッッ!!”




そして、左右の腕を前に出すと炎の渦が東方不敗に向かって解き放たれた!!





“ボォゥン!!”





「ッ!! ふん!!」


突然、炎に包まれた相手を見て、少し驚いたようだったが、それでも瞬時に、行動するのは流石だろう。

懐から何かを取り出し掲げた!




“バァン!!”




東方不敗が取り出したのはジ呪符。

作り出し、気をこめた呪符を掲げバリアのようにジャックの炎の攻撃を防いだのだ。


……だが、




「ぬううう!」



東方不敗の体が圧されて行く。


(な…?この力は!唯の炎じゃない。この呪符は,封炎作用の符。如何なる炎をも消す符!……なのに何故ヤツの炎は消えん!?)


徐々に炎に包まれてゆく。

東方不敗の衣類を焼き、所々に火傷の傷も増えて行った。

東方不敗は徐々に迫りくる炎に圧されていたが……。




「ッッかぁぁぁぁ!!!」



“バゴォォッォン!!!”



呪符を何重にも加え 重ね掛け、そして己の妖気も高めて吹き飛ばすように炎をかき消した!?

衣服はいくらか燃えたが、大事無いようだ。










次に戦慄が走るのはジャックだ。


『ッ……。流石は 世界最強の妖術師と呼ばれる男。……あの炎を消す……かッ!』


実際に驚いている。

自然系(ロギア)の能力。

それは、体のすべてをその属性にでき、そして、体の原型も留めていない。

体そのものの構造を変え… 自然…炎と化すのだ。

更に構造を変えるだけではない。

その属性(炎)を追加発生させることができるのだ…



≪身体を炎にし、その炎を生み出す事ができる能力。≫


つまりは。


≪尽きる事のない炎!≫


それを消す…



(悪魔の力。正直反則的と思っていたが、それは結構お互い様ってことか?なんだろう……楽しくなってきた……。)





東方不敗は、ジャックが笑っている事に気がついたようだ。

東方不敗もまた・・・笑みを浮かべていた。
                  
「お主もな……。ワシャあのような炎これまでに見たことがない。召喚術で最上級でもある伝説の不死鳥(フェニックス)や炎龍(サラマンダー)をこれまでに見てきたがそれ以上じゃよ。」

東方不敗は妖力を確認する。




(ふ……ふふふ……たった一度、それもあれだけの攻撃で、妖力を根こそぎ持っていかれたようじゃな。 さて、使うか?次元刀を……)



力が集中したと同時に、東方不敗の額が開く!



≪第3の目。≫



それが、開いたとき!

この場の空気が変わる!





そして……東方不敗の周辺の空間が歪んで見えていた。






“ブゥゥゥン”






ジャックはそれを肌で感じた。


だからこそ…  

炎は…紅き焔炎(プロミネンス)は消し、そのさらに上を…上位種を繰り出す。


       
『マグマの力 自然系(ロギア)』



そして、相手の力を見る…


(…くるか?あれは確か崩月次元刀。物体を透過するようにあらゆるものを切り裂く史上最強の刃。)



マグマの力はリハーサル済み…だ。

天災に匹敵する灼熱の力。

炎は防いだようだが、…これなら防ぎきれるか?





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





……力見るだけなのにかなりマジバトルになってんじゃんか!っとツッコみたい。


渓谷の辺りが焦土と化してるし。苦笑








でもまあ…ここまで来て止めるといったら、

…男じゃないからな。





「ジャックよ ワシの最高の秘術を見せてやろう!」

東方不敗は湧き上がる妖気の渦の中心で叫ぶ!



『ああ 問題ない!こちらもさっきの炎とは 桁が違うぞ……。≪力を見せてやろう。≫』





【熱気と妖気】



それらが辺りをを支配してゆく…

そして、ジャックは。





“ボコボコボコボコ……ボコボコボコボコ……”





左右の肩から腕まで マグマ化する。

マグマの熱気であたりからはドス黒い黒煙が立ち上っていた。




(炎の次はマグマ…か! 聞いたこともないぞ マグマなんぞ使う術は…雰囲気が違う…確かに先ほどとは桁が違う様じゃな…)

最早何をしても驚かないと決めていたが。

よもや、マグマが出てくるとは思っても見たかったようだ。

苦笑している間に…ジャックから攻撃が飛ぶ!



 
『……防いでみろ!!』





両の腕を空へ掲げる!




『溶岩驟雨!』




両腕のマグマの塊が一斉に空へと撃ちあがった!!




“ドドドドドドドドドドッ”




そして、




“ヒュルルルルルルルルルルル……”



“ドゴドゴドゴドゴドゴドゴッッ!!!!!!!!”




東方不敗の周辺を大量の火山弾が雨のように降り注ぐ!

攻撃の速度も速いが、何より脅威なのはその数。

正に雨なのだ。

比喩ではない。

マグマの雨。

避ける事は最早不可能な程の数。

瞬時に判断した、東方不敗は。




「くっ…!!」


東方不敗は、腕を素早く振ると。




“ヴヴヴヴヴヴ………フッ……”




まるで身体にノイズが走ったかのように景色に溶け込んでいった。


マグマを次元刀で切り裂くのではなく。

回避したのだ。







(次元をずらして …回避したが 火山噴火の様な攻撃をしてくるとは… 収まるまでは下手に出れんな。……回避時間も限度がある。早めに手を考えねばな。)






一息つくように…そう言っていた。




『次元刀で空間外に逃げた……?』


                          
マズイな…次元回避って気配も消えるのか?

この場にすらいなかったような感じがするほどだ。

超人系(パラミシア) 空気開閉(エア・ドア)も追加すればよかったかな?

悪魔の実の力は自然系(ロギア)のみしか脳内データになかったのだ。

考えていても、後の祭りだけど。


そして、 それらを考えていたのは数秒間だったが。




『!!』

「隙ありじゃ!」




ジャックが集中を切らしていると感じた東方不敗は。

咄嗟に地面をすり抜け。

ジャックの背後に立つ!

火山噴火の死角。

本人とのゼロ距離の位置。

そこが攻略法だったのだ。





“ザシュ!!”




鮮やかな…一刀両断の一閃!




『ぐっ!!』



…その一瞬でジャックのマグマ化した両の腕、足を切断した。





「はぁっ…はぁっ…」




肩で息をしているのは東方不敗。

だが、

「…ッ!…しまった!本当に切ってしまったわい!!」

してしまったことに気がつく!

……共闘しよう!って言ってる相手をぶった切るなんて酷いって思う!!

まあ、彼(ジャック)もマグマで溶かしてやろう!としてたんだけど 苦笑



(例え妖怪でも切れたら 治療なんてできんのじゃないか?接合手術?不死者のアカーシャならともかく……)



ジャックは倒れたままそう考えていた。


そうこうしている内にアカーシャも駆け寄る。



「やりすぎよ!二人とも!!でも黙って見てた私も同罪ね 急いで家の救護の者を呼ぶわ!」



魅入っていたアカーシャもあわててそう言う。


どうやら、本気で心配かけたみたいだ。



(…そろそろ 反撃するか、あんま倒れた振りしててもかっこ悪いし。)



ジャック周辺は、マグマ化していた時に発生した黒煙で彼を隠していたのだ。

その黒煙は戦いの最中も発生していた。

だからこそ、アカーシャはもちろん、東方不敗も…気づかない。





“ボコボコボコ…………”





気付かれない速度で地面を溶かし、東方不敗の背後に回りこんだ!





「な!!」





東方不敗は気配を感じていた!

目の前で倒れているはずの男の気配を。

そして、それを感じたときには既に遅い。

このマグマは全てがあの男の身体なのだと理解した。

故に……広がった場所になら何処にでも移動できるのだと……。


致命的な油断。




“ゴォォ!!!”




彼の目の前にマグマの拳が迫る!

が…目を瞑らないのは流石であろう。





“ピタッ!”





ジャックは、マグマで固めた拳を東方不敗に当たる寸前で止めた。



『これでおあいこだな…? 別に治療はいいよアカーシャさん、治るから。…で、まだ見るかい?』



そう言って笑っていた。

してやったり!といった気分だろうか? 苦笑


初は唖然としていた東方不敗だが……。


「ふは……」

肩を落とし笑い始めた。


「ふははは………。負けじゃ。ワシの負け。 ヌシは…ヌシのそれは規格外じゃな。これは認めるしかないのぉ。 ここまでの化物がおるって事をな。力量は十分すぎる。アルカード討伐に大きく力になってくれるであろう。のう アカーシャよ。」




心底楽しそうな笑顔でアカーシャの方を見た。

マグマを切った所で、切れるはずも無いなぜそれに気がつかなかったのか。


そう思いながら笑う。


アカーシャもジャックの反撃には驚いていたが…

直ぐに、東方不敗同様笑顔になる。



「ええ、私も正直ここまでとは 思ってませんでした。ジャックさん貴方の提案の共闘。分かりました。 いえ こちらからもお願いします。あのアルカードを倒すためにも」



深々と頭を下げジャックの方を見つめた

(そんなに見つめなくても……/// ええい!恥かしい……!!)

顔が赤くなっているのを誤魔化しながら。



『ありがとうございます。アカーシャさん 東方不敗さん!これからよろしくお願いします。』



こちらも丁寧に返事をする。

違和感ありまくりだ…

あれ…?さっきまでのジャックは?ってな感じで… 苦笑


だからこそ…



「ええい!ジャックよ!その 気持ち悪い敬語はいい加減やめてもらえるか!? 戦ってる時とギャップがありすぎて気持ち悪いわい!」



東方不敗も同じ気持ちだったようだ。 苦笑

その後、笑い声があたりに木霊していった。

 
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