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笑顔が見たくて

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第二章

「皆同じ髪型を頼んできたけれど」
「あれよ。今話題のドラマでアイドルの娘が出ててね」
「その髪型か」
「そう、それでなのよ」
 皆が皆です。その髪型にしたというのです。
 それで皆お店に来てだったのです。けれどです。
「ドラマが終わったから」
「ああ、それでお客さんもその分減ったのか」
「そういうことよ。お疲れ様」
 お母さんはそのことをお話してです。お父さんににこりとわっらって言いました。
「それじゃあね」
「ああ、麗のことだよな」
「何処かに連れて行ってあげましょう」
「今度の日曜か」
「お店は麻美ちゃん達に任せてね」
 お父さんの妹さんです。その人もお店で働いているのです。
「私達はね。麗ちゃんとね」
「そうだな。遊園地にでも行くか」
「そうしましょう」
 こうお話してです。麗はお父さん、お母さんと一緒に遊園地に行くことになりました。
 その頃にはもう麗の絵は完成していました。けれどです。
 お母さんはです。その麗にこう言ったのです。
「それはまだよ」
「まだって?」
「まだお父さんには見せないでね」
 こう言うのです。
「いいわね。それはね」
「けれどできたのに」
「できても。まだ見せないでね」
 そこは念を押すのでした。
「いいわね。遊園地から帰ってからよ」
「それからなの」
「その時に見せてあげてね」
「うん、わかったわ」
 麗はお母さんの言葉に素直に頷きました。
 それで絵はできてもまだお父さんに見せないのでした。そうしてです。
 三人で遊園地に行きました。お父さんはお母さん、そして麗と一緒にいてその顔を穏やかなものにさせました。けれどそれでもでした。
 お父さんはまだ笑っていません。疲れがまだ残っている感じです。
 そうしてです。こうお母さんに言うのでした。
「まだちょっと」
「疲れてるの?」
「残ってるな」
 まさにそうだというのです。
「今もね。まあ遊園地でかなりリラックスはできたよ」
「そう。それじゃあね」
「それじゃあ?」
「疲れが完全に吹き飛ぶことがあるわ」
 お母さんは笑顔でお父さんにお話しました。
「お家に帰ったらね」
「家に帰ったら」
「そう。楽しみにしていて」
 ベンチで、です。二人は麗と一緒に座っています。そこですやすやと寝ている麗をその手で優しく抱きながらです。お母さんはお父さんに言うのです。
「お家に帰るのを」
「そうさせてもらうか。それじゃあな」
「ええ。もう麗も疲れてるみたいだし」
 寝ていることから察してです。
「だからね」
「家に帰るか」
「そうしましょう」
 こうしてです。麗をそっと背負ってからです。お父さんとお母さんはお家に帰りました。そうしてそれからなのでした。 
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