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ONE PIECE NOVEL -SHISHI BREAK STORY-

作者:伝龍
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第08話 息子

「おっさん!!」

「オヤジさん!!」

「白ひげ!!」

「「「オヤジィーーーーーーーー!!!!!」」」

『白ひげ』を刺そうとした刀の柄を両手で持つスクアードとそれを受け止める俺の姿にマルコはもちろん、ルフィやその他の数多くの海賊が見ており、思わず叫んでいた。

『大変だ!!『白ひげ』傘下の海賊が『白ひげ』を裏切ったぞ!!!!』

『ええ!!それが……裏切ったのは新世界の海賊『大渦蜘蛛』の船長!!!』

『『白ひげ』を庇ったあの白銀の男は何者なんだ!?』

バギー達が持つ映像電伝虫によって、シャボンディ諸島にもその映像は流され、今起きた一大事に場は騒然としていた。

「ちっ……邪魔をしおって。」

処刑台の近くにいた『赤犬』は誰にも聞こえないよう、小さくボソッと呟いた。

「くっ!!」

俺に刀を受け止められ、苦悶の表情を浮かべるスクアードに俺はさっきと同じ質問をしてやった。

「聞いてんのか?何でこんな事しやがんだって聞いてんだよ。」

そう言って俺は手に力を込めて、受け止めた刀を弾き返した……すると、スクアードは弾かれた体勢から再び『白ひげ』を狙って刀を振るおうとする。

「邪魔をするんじゃねえ!!!」

「………」

俺はやや呆れながらも、スクアードの手から刀を払い落とす……と同時にスクアードの背後に能力を使って忍び寄る男…マルコの姿があった

「スクアードォーーーーーーーーーーーー!!!!!」

「!!!……く!!!」

叫びながらマルコはそのままスクアードの頭を地面に押さえつけて、動けないようにしながら睨みつける。

「…なぜ、お前がこんな事を!!!」

マルコは信じられないといった様子ながらも、ワケを聞くためスクアードを問い詰めようとすると……

「うるせェ!!こんな事させたのも、どれもこれも全部お前らのせいじゃねェかァ!!!」

その言葉と共にスクアードは腰に差したもう1本の刀をマルコに向かって振るうが、あっさりと避けられて四つん這いの姿になった。

「てめぇ…!!」

未だに攻撃を仕掛けるスクアードにもう一度取り押さえようと前に出るマルコだが、その時『白ひげ』がマルコの前に無言で手を出して、制止させた。

「………!!」

自分のオヤジでもある『白ひげ』に逆らう事は出来ず、渋々といった感じでマルコは後ろに下がる…同時に俺にも武器をしまえと視線を向けてきた。

「………」

俺は1度頷くと刀を鞘に納めて、腕を組んでスクアードを見下ろした……観念した様子でスクアードは四つん這いの姿から腰が抜けたかのような体勢となり、口を開いた。

「こんな茶番劇やめちまえよ!!『白ひげ』!!!もう海軍の奴らと話はついてんだろ!?あんたら『白ひげ海賊団』とエースの命は必ず助けるって確約されてんだろ!?」

「!!?」

「何言ってんだ!!どういう事だ!!?」

スクアードの言葉に周りの軍艦を襲っていた他の海賊団の船長や船員達も動揺を見せ始める中、なおもスクアードの言葉は続いていく。

「おれ達ァ、罠にハメられたんだよォ!!『白ひげ』にな!!!!おれァ、知らなかったぞ!!エースの奴が…あの『海賊王』ゴールド・ロジャーの……実の息子だったなんてな!!」

「………」

スクアードの言葉に『白ひげ』は黙って聞いていた……それでもスクアードは喋るのをやめなかった。

「おれがアンタに拾って貰った時、おれは1人だった…!!!なぜだかはアンタは知ってるよなァ!!おれの長く戦ってきた大切な仲間達はロジャーの手によって全滅させられたからだ…!!」

「そして、おれがどんだけロジャーの奴を恨んでるかも知ってるハズだ!!」

「………」

『白ひげ』は表情を変えずに、スクアードと出会った頃の事を思い出していた。

「だったら、一言言ってくれりゃあ良かったんだ!!『エースはあのロジャーの息子だ。だから俺はエースを次期『海賊王』にしたいと思っている。』って!!!」

「拾って貰った時からアンタはおれを騙して、裏切っていたんだ!!エースと仲良くもしていた!!…絵に描いたようなバカな話だ!!そして、そのエースが捕まったんだ!アンタもこれはマズイと思ったハズだ!!」

スクアードは拳を握り、狂乱に近い状態で甲板を殴りつける。

「だからアンタはこの戦争が始まる前にセンゴクと取引をしたんだ!!おれ達、傘下の海賊団の43人の船長の首をやる代わりに、エースと白ひげ海賊団の命と身の安全の保証をしろってな!!それで取引は成立して話はついた!!そうだろ!?」

「それなのに、おれ達はエースの為や白ひげの為と言ってノコノコついて来てみれば、案の定だ!!波の氷壁で逃げ道はねェし、何よりもその男だ!!」

「?」

「俺?」

スクアードがいきなり俺の事を指さした……突然、俺の事が話題に出た事に『白ひげ』は不思議に思った。

「おれは知ってるんだ!!その男が海軍の回し者だってな!!」

「!!」

『おい!あの男…確かバーソロミュー・くまの奴らと一緒にいた奴じゃないか!?』

『そう言えば…!!じゃあ、あの白銀の男は海軍側だってのか!?』

『今まで『白ひげ』達に味方をしていたのも作戦の内だったのか!?』

「………」

スクアードの言葉に驚く『白ひげ』とつい先程の映像と同じ人物がいるのに納得し始めるシャボンディ諸島の観客達だが、俺は静かにスクアードの言葉を聞いていた。

「この作戦は陽動でおれ達、傘下の海賊団を欺くためだ…!本当は『白ひげ』がその男に命じておれ達を1人ずつ仕留めるつもりだったんだ!!だから、おれはやられる前に『白ひげ』を討ち取ろうとしたんだ!!」

「何ィーーーーーーー!!!」

「オヤッさぁん!!そりゃ、本当の事かよォーー!!」

周りの軍艦から傘下の海賊団から真偽を確かめるための声が上がる中、俺は体の内に怒りが込み上げてくるのを感じていた。

「なぜその男が邪魔をしたのかは分からねぇが、もう覚悟は出来てる…おれはアンタを裏切ったんだ!!殺せよ!!」

そう言うスクアードの頭には海軍のある男とのやりとりが思い出させていた。















時間は『白ひげ』が全海賊団の指揮を任せる通信を入れる前……スクアードは1人の海兵と話をしていた。

『てめぇの口車に乗ってたまるかよ!!』

『本当じゃあ…『白ひげ』とは話がついちょるし、何よりその男はわしの部下でのぉ。既に手筈は整うとるんじゃ…あとは実行するだけじゃけェ。」

スクアードは今し方、海兵から聞いた情報に驚いていた…それは『白ひげ』がおれ達の首と引き替えに『白ひげ海賊団』の身の安全とエースの命を助けるという取引とそれを実行するために、ある男を潜り込ませているというものだった。

『なら、よぉ見ちょれ。その男は『白ひげ海賊団』や傘下の海賊団にも一切手ェ出さんけェ…』

そう言う海兵にスクアードは半信半疑のままでその場を去った。















「そういやぁ、あの男…おれ達には一切手ェ出さなかったな。」

「確かに……むしろ海軍の奴らとは示し合わせたかのように戦っていたし……」

傘下の海賊達がこれまでの俺の行動に納得するかのような意見があちこちで上がってくる。一方、シャボンディ諸島でも……

『『白ひげ』が海軍に……『仲間』を売った!?』

『白ひげ』の行動に愕然とする観客達が多数を占めていた。

「おれぁ、信じられなかったよ…信じたくなかったよ!!」

そう言って、悲壮な表情で頭を抱え込むスクアードについに我慢できなくなったのかマルコが胸倉を掴んで、怒鳴りつけていた。

「バカ野郎!!担がれやがったな、スクアード!!!なぜオヤジを信じなかった!!」

「マルコ!!てめえまでしらばっくれやがって…!!」

マルコの言葉にスクアードも即座に反論に出る。

「オヤジは何よりも『仲間』を大切にしている!!それこそ『家族』の様にだ!!だから、おれ達はオヤジの事を『オヤジ』って呼んでるんじゃないのかよい!?」

「だったら、その男の事はどう説明するんだ!!」

「!!最初、俺もあいつを見た時は不審に感じた…その事はオヤジにも分かってたよい!!だが、オヤジはあいつを信じると言った!!オヤジが自分の目で見て、判断した上で信じると言ったんだ…だから、俺も信じた!!お前はオヤジだけじゃなく、オヤジが信じたものまで疑うのかよい!!」

「………」

激しく言い合うマルコとスクアードのやりとりを未だに『白ひげ』は黙って見ていた……海賊達が混乱する中、その隙をついてセンゴクが最後の映像電伝虫を持ったバギー達に狙いを定めた。

「『青キジィ』!!!」

「ん?」

センゴクの叫びと共に『青キジ』がその場から消えるのと同時に、バギーも何かの気配に気付いてその方向を見た瞬間、『青キジ』がバギー達と映像電伝虫を氷漬けにしていた。

ブツッ!!

『あ!最後の画面が……!!』

『おい!消えちまったぞ!?どうなってんだ!?』

『分からねえ!!だが、この戦争は仕組まれてたってことなのか!?』

最後の映像電伝虫の通信が切られた事により、シャボンディ諸島への映像が全て途切れたのと同時にセンゴクは引き続き、命令を下した。

「よし!!『包囲壁』作動!!」

「はっ!!」

すると広場と湾内の境目から水泡が発生し始め、壁が徐々に迫り上がって来るのを誰も知る由がなかった……いや、1人だけいた。先程から怒りを押し殺しながら、黙ったままマルコとスクアードを見ているシシだった。

「(ちっ…『赤犬』の野郎、原作じゃパシフィスタを使って『白ひげ』に不信感を抱かせたが、今回は予定が狂ったんで、俺を使いやがったな……なめた真似してくれてんじゃねーか!!いいだろう…そっちがその気なら、俺も少し本気になってやろうじゃねーか……だが、このまま『包囲壁』が展開されれば、少し面倒だな。)」

スクアードの言葉を聞いた俺は右手で肩の筋肉を解しながら、ジッと広場と湾内の境目を見る。

その時……

「おい!!ジンドウ!!『白ひげ』!!てめェら、何みっともねェことしてんだ!!」

「「!」」

俺と『白ひげ』はその声のする方向に視線を向けると、離れた場所で頭から血を流して、俺達を睨みつけているクロコダイルの姿があった。

「『白ひげ』!!てめェが仲間を売った?ジンドウ!!てめェが海軍の回し者?ふざけるんじゃねェ!!!てめェらはそんな小細工しなくても、充分にあいつらと渡り合えるハズだ!!特にジンドウ!!!」

クロコダイルはフックを持ち上げて、俺の方へと向ける。

「てめェが俺達の前に現れた時、確かこう言ったよな!?『俺は強い』と…その言葉通りに不快だが、てめェはおれを負かしたじゃねェか!!そんなてめェが『白ひげ』と組んで仲間を売ろうなんて、おれは絶対に認めねェぞ!!おれはそんな『卑怯な男』に敗けたつもりはねェぞ!!」

「「………」」

「クロコボーイ!!」

「クロコダイル…」

息を荒げながら、猛然と俺と『白ひげ』を責め立てるクロコダイルの姿にイワンコフやジンベエも今まで見てきたクロコダイルとは別の印象を受け、驚きを見せていた。

同じくその言葉を聞いていたマルコは……

「(確かに…オヤジもこの男は初めて会ったにも関わらず、オヤジの目に叶っていたよい。それとオヤジが言っていた能力を2つ以上隠し持っている事……加えて、あのクロコダイルの言ってることが本当だとすると、それ程の男がこんな回りくどい様な事をするのだろうか?)。」

マルコはチラリとシシの顔を見るが、その表情からは何を考えているかは分からなかった。

「(そして、何よりオヤジを守ったことだ……もし本当に海軍の回し者なら、万が一、取引が成立していたとしてもオヤジを仕留めるこんないいチャンスを逃す手はないよい。相手から見れば海賊……約束を守る必要はない)……!!」

マルコがこんな事を考えていると、『白ひげ』がズイっとスクアードの前に歩み寄り、上から睨みつけるとスクアードは思わず震え上がった。

「スクアード…おめぇ、仮にも親を刺そうとしたんだ……覚悟は出来てんだろうな!?バカ息子!!」

「ウアア!!!」

手に持った薙刀で殺されると思ったスクアードは思わず目を閉じそうになる……しかし、『白ひげ』の次に起こした行動は…

がばっ!!

「………ふっ」

「!!?」

「バカな息子よ……それでも愛そう…」

俺は少しだけ、口を緩ませてその光景を見ていた……薙刀を持った手とは反対の手で膝をついて、そんなセリフを言いながら抱き寄せる『白ひげ』…てっきり殺されると思っていたスクアードは驚きと戸惑いの表情を見せていた。

「!!……っ!?ふざけんな!?俺はお前を裏切った……」

当然のように暴れて離れようとするスクアードだが、『白ひげ』はしっかりと抱きしめておりビクともしない…その間にも『白ひげ』は言葉を続ける。

「…忠義心が強ェお前のその心を……騙して、闇へと引きずりこんだのは一体誰だ?」

優しく、それこそ親が『息子』に問い掛ける様な言葉にスクアードも暴れるのをやめて、オヤジの質問に答えようとすると……

「『赤犬』だろ?大方、海軍の反乱分子とか言って、協力すれば助けてやるとでも言われたんじゃないのか?」

「!!」

「……そうなのか?」

俺は既に知っていた答えをスクアードの代わりに答える…俺の答えにスクアードはさらに驚いた表情を浮かべた。そのやりとりに『白ひげ』は俺の言ったことが本当なのかどうかを確認するべく、再び話しかけるとスクアードは俯いたまま、静かに頷いた。

「やっぱりな…しかし、あんたも変だとは思わなかったのか?この作戦はエースの処刑と『白ひげ』を討ち取るためのもの。もし、成功すれば次はあんたら傘下の海賊の番だ……ましてや、大将の『赤犬』が言ったんだ。いくら自分の船員を守るためとはいえ、何かの策略だとは気付かなかったのか?」

「………」

俺の言葉に黙るスクアード……俺は原作を読んで、スクアードと『赤犬』のやりとりを見て思っていた事を口にしていた。あんなにあからさまに大将がこの作戦には反対と言ってくるなど、見え見えの罠も良いところである。

まあ、あの緊張感に包まれた戦場の中で常に冷静でいることはなかなか難しいと思うが、それでも自分のオヤジを信じていれば、例え『赤犬』の言っていることが本当だったとしてもあんなことは出来ないはずだ。それをこの男は相手の言葉を信じた……つまり、『白ひげ』を信じ切れなかったって事だ。

「俺もあんたが疑ったことについては許すよ。」

「!!」

俺がそう言うとスクアードはバッと顔を上げた……その目にはうっすらと涙が滲んでいた。

「確かに俺はエースを救出するために、いろいろと動いていた。そのせいで、それを逆手に取られて、俺や『白ひげ』を疑うのもよく分かる……だが、あんたがやったことは許されないことだ。だけど、あんたは自分の大切な『仲間』を守るためにそうするしかなかった…昔の様な事を2度繰り返さないように……そうだろ?」

俺が腕を組みながらスクアードの近くに歩み寄ると、スクアードは少し肩を震わせていた。

「なら俺も許すよ。だけどな…エースとは仲良くしろよ?罪があるのはロジャーでエースじゃない。エースもお前も全部『白ひげ』の家族で『息子』じゃねえか……そうだろ?『白ひげ』。」

俺が『白ひげ』方へと顔を向けると、やれやれといった感じで俺を見返してきた。

「小僧……まさか、てめぇに言われるとはな。だが、小僧の言う通りだ…スクアード、お前がロジャーをどれ程恨んでるのかは俺が痛い程よく知ってらァ。だが、親の罪は子供には関係ねーんだ!エースがお前に何をした?」

『白ひげ』は1度、スクアードを胸から離して肩に手を置き、ニッと笑いながら言った。

「エースだけが特別じゃねェ…皆、俺の家族なんだぜ…」

「オヤッさん……ウゥ……!!」

俺と『白ひげ』の言葉にスクアードは肩をますます震わせながら、啜り泣いていた…しかし……

「オヤッさァん!!!ウソだと言ってくれ!!」

「おれ達を本当に海軍に売ったのかぁ!?」

詳しい事情を知らない他の海賊達は未だに『白ひげ』と俺が示し合わせているかと思っているようで、疑いの声があちこちで上がっていた。その声に『白ひげ』は処刑台にいるセンゴクを睨みつける。

「まったく……『智将』センゴクはまだ衰えてないようだな。俺らの中、引っかき回しやがって…俺が息子らの首を売っただとぉ…!?」

「待て、『白ひげ』。」

「!!…何の真似だ?小僧。」

『白ひげ』が能力を使うおうとしているところを俺は腕を掴んで止めさせた…その行為に『白ひげ』はジロリと睨んだ。

「あんたの息子達を助ける役目……俺にも手伝わせてくれ!」

「!?」

「何だと!?」

突然の俺の発言に『白ひげ』とマルコは驚いているが、俺は構わずに言葉を続ける。

「このまま、あんたが1人で助けてもいいんだが、俺も海軍に利用されたんだ。それだと俺の気が治まらねぇ…だから、俺も参加させてもらう!!」

「「………」」

俺の怒気を感じ取ったのか2人はしばらく黙り込んだが、すぐに『白ひげ』が口を開いた。

「…いいだろう。やってみな。」

「サンキュー…それじゃあ、まずはあの波の氷壁からだな。俺が右の壁をやるからあんたは左の壁を頼んだ!俺の合図で能力を使ってくれ!」

「ほう…おれに命令するんだ。余程の力を持ってんだろうな?」

「まあな?俺も少し本気にならせてもらうよ…海軍には悪夢を見せてやる。」

俺の提案に『白ひげ』はニヤリとしながら言うと俺も悪魔の様な笑みを浮かべて、俺と『白ひげ』は腕を曲げて正面へと持ってきて、力を入れる。

「?………まさか!!」

俺の行動に最初は不思議に思うマルコだったが、すぐに何をやろうとしているかに気づいて顔色を変えた。

「行くぞ!!せー……のっ!!!!!」

ドゴオオオオオオオオオン!!!!!

俺の合図と共に力を込めて『白ひげ』が左側を、俺が右側の『大気』を殴りつけるとヒビが入り、巨大な波の氷壁が砕けて、海に落ちていった。

「「「「!!!?」」」」

それを見ていた海軍や海賊達全員が呆気に取られていた。何しろ『地震』を……世界を滅ぼす力を持った人間が2人もいるのだ。

「よし!これで傘下の海賊達は逃げられるな。にしても、スゲ—なこの能力…」

俺は跡形もなく崩れ去った氷壁を見ながら、腕を下ろした。

「ん?どうした?お二人さん。」

「てめぇ…なぜ、おれの能力を……」

「………」

ふと、何か視線のようなものを感じるのでその方向を見ると、『白ひげ』が深刻な…マルコがポカンと口を開けたまま俺を見ていた。

「なぜって…言ったろ?少し本気になったって。」

『白ひげ』の質問に俺は笑顔で返した。 
 

 
後書き
第08話完成いたしました。

あの『白ひげ』負傷イベントの代わりになる話を入れてみました。シシと『白ひげ』とのやりとりいかがだったでしょうか?それではまた次回に 
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