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インフィニット・ストラトス ~天才は天災を呼ぶ~

作者:nyonnyon
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第9話

 原作通りに一夏が負けた。 ふん、やっぱりダメダメだな。 やっぱり専用機は俺みたいな最強系イケメン主人公が持ってこそだろう。
 それでも『親友を慰めてやりながら、ちょっと悪者役をやってやることでヒロインの負担を減らす』役をやってやろう。

 さりげない気遣いでヒロイン達のハートを鷲掴みだぜ!!!

 ピット内から一夏の叫び声が聞こえる。 流石現実。 負けて悔しいからって一夏はあんなに取り乱すのか……。 ふ、雑魚だな。

「おいおい、騒がしいなぁ一夏。 負けたからって叫んでちゃダメだろ」
「はぁ……、何しに来たんだ? 御神」
「ま、今回はお前が未熟だったって事だ。 俺なら勝てたね」
「はぁ……、会話になってねぇし」

 何か行っているが、声が小さくて聞き取れんな? ま、どうせ、さりげない気遣いをした俺への感謝とかだろう。
 それよりもいつまでピットにいるんだ? 終わったんなら早く立ち去ったほうがいいんじゃないか?

「先生方、まだピットにおられるのですか? もう一夏の試合は終わりましたよね?」
「なんだ、お前は知らんのか? これからオルコットvs友永の試合があるんだぞ?」

 なに!? 原作にそんな展開はなかったはずだ!! 待てよ……。 原作に無い展開。 いなかったはずのヒロイン。 そして、俺がいると言う事実。

 ピキーン 閃いたぜ!!!

 つまりココは原作準拠のパラレルワールドで、俺が生まれたことにより追加された、もしくは俺のヒロインとして生まれたのが風音ってことか!!! なるほど。 ならあのツンデレっぷりも頷けると言ったところだな。
 そうか、風音は俺のヒロインだったのか。 これからどんどん活躍する俺に徐々に気持ちが傾いていくってところだな。

 ふ、生まれながらにして主人公の嫁が決定してるなんてこれも神様特典ってやつだな。 それにあの容姿。 最強系イケメン主人公の俺の隣にふさわしいのはやっぱりあれぐらいの美少女だよな。ニヤ

「……滅茶苦茶いやらしい顔になってるぞ」
「……織斑先生、出席簿は」
「……あんなもんに出席簿を当てたら出席簿が腐るだろう?」
「……あ~確かに」

 おっと、別にヒロインが決定していたからと言ってハーレムを作らないわけじゃないぜ? というよりハーレム筆頭が風音ってだけだろうしな。 それにきっと俺の妻となるべき人間だったら、俺に相応しい能力を持っているだろうしな。
 ふ、戦いを見ていてやるぜ風音(俺の嫁)






「ブルッ!!! うわぁ、なんか異常な寒気が……」
「風音さん。 あなたISを展開しなくてもよろしいんですの?」
「あ、セシリン。 大丈夫大丈夫。 今展開するから。 えっへへぇ、今回のはすっごいよぉ!!!!」

 モニター越しにオルコットと対峙する風音を見る。 あ、ちなみにオルコットと風音はいつのまにやら仲良くなってた。 ホント、いつの間に仲良くなったのか不思議だ……。 俺にはずっと『極東の猿』と言った時の態度のままだったのに、風音とは滅茶苦茶仲良くなってた。 一緒に朝飯とか食ってたし、ホント友達作るスキルがハンパネェよな風音は。
 ん? 御神はどうしたのかって? なんかキモい顔して心ここにあらずな感じなんで放っておいた。 しばらくすれば戻ってくるだろう。

 オルコットにすごいと宣言した風音。 いったいどっちのISを使うつもりだ?

 バッ! っと風音が右手を左上に高く掲げる。 左手は腰辺りに。 おい、まさか……。

「あいえす~。 展開!! とぅ」

 高く掲げた右手を左から右に動かし、丁度反対側にきたところで溜めていた左手を一気に右上に突き出す。
 右手はその瞬間に腰あたりに一気に引き下げた。 掛け声も手の動きに合わせて行う。 一度両方の腕を腰まで引き戻し、両手を上に突き上げてジャンプ!!!! 人間離れしたジャンプ力を披露する風音。 しかし、今重要なのはそこじゃない!!!

「「ゴットハンドライダー!!?(仮○ライダー!!?)」」

 ん? 御神がなんかおかしなことを言ったぞ?

「おい、御神。 なんだ仮○ライダーって」
「い、い、いや……。 ははッ、ゴットハンドライダーだよな、ははッ」

 当たり前じゃねーか。 あれは男の子達の憧れ、ゴットハンドライダー壱号の変身ポーズじゃないか!!! 風音!! すごいすごいとは思っていたが、まさかIS展開にそのポーズを持ってくるとは!!!

 空中でくるくると回りだす風音。 ん? ゴットハンドライダーならここで変身が完了するはずだけど……。


 ビリビリ!!!!


 うわ!! 回る風音の服が破れていったぞ!!! 見え……無い……だと!!! あれだけ豪快に破れて全裸になっているはずなのに、肝心の場所は見えない!!! なんたることか!!!
 それにしてもあの服の破れ方は……。

「「「ビューティバニー!!(キューティ○ニー!!)」」」

 俺と山田先生の声がかぶった。 それにしてもキューティ○ニー?

「おい、御神。 さっきから微妙に似た変な名前ばっかりつぶやいてんな、いったい何なんだよ」
「いや、俺は知らないぞ……。 ……こっちの世界産のアニメかよ。 動きとか似すぎだろ!!」

 こっちの世界産? わけのわからんことをいうやつだとは思ったがここまでとはな……。

 そういえばもう一人反応した人がいたな。

「山田先生。 ビューティバニーご存知なんですか?」
「知ってます知ってますッ!!! 女の子の憧れでしたから!!!」

 箒の問いかけにクイ気味に答える山田先生。 うを、いつもの迫力3倍増しだな。 ……何がとは言わないが。

「山田先生も憧れてらしたんですね……。 しかし!! 今の女の子のあこがれはビューティバニーではないのです。 きっと風音もそこは押さえているはず!!」

 何やら熱く語りだす箒。 そんな箒の言葉を聞き、モニターに目線を戻す。
 そこには謎のエフェクトに包まれて、体の線しかわからない風音の姿があった。 隣で箒が「やはり、やはり押さえていたか!! 流石は風音!!!」とか言ってるけど、もしかして……。

 くるっと回って右腕を突き出す風音。 光の粒子が右腕に集まっていき ポフン! という効果音と共に、銀に輝くガントレットが装着された。 そのまま半回転するとついで左腕を出す。 先ほどと同じように ポフン! と音を立てて折りたたまれた弓が付いたガントレットが装着される。
 ぐるぐると回る風音は、そのまま上段蹴りのような体勢をとる。 掲げた右足に脚甲が装着され、勢いのまま左足で後ろ回し蹴りのような体勢を取れば左足にも脚甲が装備される。 どちらも光の収束、効果音付きだ!! 軽くお尻を突き出すと、腰鎧とスカートに包まれる下半身。 スカートはミニであり、いつのまにやらスコートらしき下着を身につけている。 こら、箒、手を離せ。 見えないだろ!!! となりでは千冬姉の高速目潰しを食らった御神が、『目がぁ、目がぁぁぁぁぁ』と、どこかの滅びの光を受けた大佐よろしくもがいている。 近くにいたのが箒でよかった。
 ちょっともがいている御神を見て、日頃の鬱憤が解消されていたが、気を取り直してモニターを見てみると、耳に光が集まりイヤリングを形成したところだった。
 最後の最後。 これでもかと時間をかけ、胸元に光が集まっていく。 収束する光。 一際大きく光が弾けると、プレートメイルのようなモノが現れる。

 ポカ~ンとその光景を見ていたオルコットに対して、

「今、ここに参上!! IS【ブリギット】!!!」

 ババァン!!!

 と、どでかい宇宙の描かれたエフェクトを背負って決めポーズをとる風音の姿があった。






 な、なんということですの……。

 目の前で次々と展開されていくISを見る。 いちいち見せつけるように装甲を展開していくのは何の意味があるのでしょうか? 折角風音さんとはお友達になりましたので聞いてみましょうか……。

「……それは一体なんですの? そのIS展開には意味がありまして?」
「あちゃ~、やっぱりセシリンには通じなかったかぁ。 今のは日本の大人気特撮『ゴットハンドライダー』の変身に、大人気アニメ『ビューティバニー』の変身、最近の人気アニメ『フリフリ! フリキュァ』の変身シーンを盛り込んだものだよ!! かっこいいでしょ!!!」

 はい? ええっと、『ゴットハンドライダー』に『ビューティバニー』、それと『フリキュァ』ですか? 日本のアニメは数多くイギリスに入ってきていますけれど、それらは知りませんね。 というより、私はあまりアニメというものを見たことがないのですが……。

「え、ええ。 私は見たことがありませんので、少々戸惑っておりますわ……。 それにしても無駄な動きじゃございませんこと? 瞬時に展開をしないといけないものですわよね?」
「む~ダメだなぁ。 セシリンは無駄の美学が分かっていないよ!! 一見無駄に見えるこの動きだけど、実は無駄なんだよ!? 明らかに隙だらけなのに、それでも攻撃されない素晴らしい時間なんだよ。 無駄なのに無駄じゃない動き。 これこそ無駄の美学だよ!!! それにこのエフェクト!!! 苦労したんだよぉ作るの……。 どの方向から見ても一定に同じサイズで見せる仕掛け……く~遠近法とかそういった現代化学に真っ向勝負したかいがあったよ!!!!」
「そ、……そうなんですの?」

 全くわかりませんわ……。 とりあえずすごいということは伝わりましたが、結局無駄ということですわよね?
 それにしても強そうなISですわね。 風音さん自身もそれなりに操縦技術があるようですし、ココは先制で仕掛けるしかありませんわね……。






「流石だ!!! 流石風音だ!!! よく分かってるじゃないか!!!! うんうん。 今はやっぱり『フリキュァ』だよ!! 『フリキュァ』!!! どうですか山田先生!! これが最新!! これが最新の女の子の憧れですよ!!!」
「なるほど!!! これが『フリキュァ』なんですね!!!! ずっと気になってたんですがやっと見ることができましたよ!!!」
「ほほう!! 『フリキュァ』を見たことがないのですか!? ならば私がでいぶいでいを全てお貸ししましょう!!!」
「是非お願いします!!!」

 おぉぅ……。 箒のキャラが変わってる……。 あ~とりあえず落ち着け箒。 山田先生も先生でそんなに『フリキュァ』にがっつかんでも……。
 千冬姉もそんなやれやれって顔してないで止めてくれよ……。

 熱く語り合いだした箒と山田先生を放っておいて、試合を見る。
 どうやら戦闘が始まるみたいだ。

「(行きますわ!! 喰らいなさい【スターライトmkⅢ】!!)」

 しょっぱなからセシリアが最大の攻撃力を誇るライフルをぶっぱなす。 だが、俺は知っている。 俺でもよけられたあの一撃程度なら風音には当たらない!!

「(ちょ、タンm……)」

(ズドォォォォォォォォ!!!!!!)

 当たら……あれ? 当たった!? あれぇ? 
 

 
後書き
ネタ解説

高く掲げた右手を左から~:うまく説明できたかどうかはわかりませんが、某ライダーなあの人です。

回る風音の服が破れて~:はい、御神くんが言ってくれてます。その通りです。

謎のエフェクトに包まれて~:彼女たちの変身はいつもそうです。

目がぁ、目がぁぁぁぁぁ:モニター越しに見ても何の威力もない滅びの光を浴びた後のセリフより。 確か大佐だったと思いますが、あの人は多分割れたサングラスで目をやられたんだと思います。

ブリギット:12の戦乙女の一人からもじりました。

明らかに隙だらけなのに~:いつも思ってしまいます。

 
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