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無限の愛

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第五章

 その恐ろしい力に船ごと引き込まれそうになる、だがここで。
 エンジンを担当している緑の娘が私に言ってくれた。
「エンジン全開にしたわよ!」
「「いけるのね」
「応急修理はしておいたから」
 あの八割の状況からというのだ。
「だから後はね」
「全力ね」
「ええ、いけるわ」
 緑の娘も私に答えてくれた。
「じゃあいいわね」
「全速力ね」
「そうよ、ブラックホールから見て右よ」
 そこに行くというのだ。
「正面からだとその引力をまともに受けるからね」
「それでなのね」
「ええ、操縦はそれで御願い」
 黄の娘、操縦の娘にも言う。
「引力に逆らうんじゃなくてかわすわよ」
「わかったわ」
「それじゃあね」
 桃の娘と黄の娘が応えてくれた、それでだった。
 ブラックホールもかわした、これで何とか引き込まれずに済んだ。しかし困難はブラックホールで終わりじゃなかった。 
 宇宙潮流に超惑星、隕石までどんどん来た、とにかくとんでもない航路だった。
 しかしそれでも私達はエンジンの力を入れレーダーで危険を察知して必死に操縦をして航路を調整し隕石も撃ち落とした、そしてだった。
 私は皆に問うた、何とか隕石群まで突破してから。
「ワープに入るわよ」
「オメガまでなのね」
「それに入るのね」
「ええ、ここでやるわ」
 絶好の場所だった、隕石群もなくなり場が一時ではあるが平坦になっていた。
 それでだ、こう言ったのである。
「オメガまでのワープよ」
「ええ、わかったわ」
「それじゃあね」
 殆どのメンバーが頷いてくれた、だがだった。
 緑の娘がここで難しい顔で言って来た。
「まずいかもね」
「エンジンが?」
「確かに応急修理はしていたわ」
 このことは確かだというのだ、けれどだった。
「それでもね、これまで無茶やってきたから」
「それでなのね」
「うん、まずいかも」
「もう一度応急修理出来る?」
 私は彼女に真剣な顔で問うた。
「それは」
「出来るけれど」
「よし、じゃあね」
 実はワープは私が担当している。ワープ空間の中の船の制御や出る場所は船長である私がしているのだ。
 それでだ、今もなのだ。
「御願い、すぐにね」
「ワープしたらなのね」
「後は任せて」
 もう出る場所も決めていた、オメガ星系のすぐ前だ。
「制御も出るポイントもね」
「わかったわ、けれどね」
「危ないっていうのね」
「エンジン不安定よ」
「わかってるわ」
 それは承知のうえだ、けれどそれでもだ。
 ここはやらないといけない、だから言うのだ。
「もうここはね」
「任せるわよ」
 緑の娘も私の言葉に頷いてくれた、それでだった。
 再びエンジンの応急修理をしてもらった、そのうえで。
 私はワープのボタンを押した、そしてワープ空間の中で。
 きしむ船を必死に操った、きしむ音が船のあちこちから聞こえてくる。皆この音には流石に不安の声を挙げた。 
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