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ヱヴァンゲリヲン I can redo.

作者:緋空
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第弐話 Second World

 ピピピピッ…ピピピピッ…



「はっ…!?」



 シンジは目覚めた。瞼を開けて最初に飛び込んできたもの、それは赤い空ではなく古い板張りの天井。ベッド際の窓から差し込む光を眩しく思い、目を細めながら外の風景を見る。


「ここは…第二新東京市…!?」



 見覚えのある街並みだった。車の激しく行きかう幹線道路には沢山の車が並び、白のポロシャツと黒いスラックスを穿いた学生が走って学校の方に向かって行く。間違いなくその風景は、昔住んでいた親戚の家からの物だ。



「何でこんなとこに…」


「シンジ、早くしなさい! 今日は第三新東京市に行くことになってるんでしょう!」



 階下から叔母の声が聞こえてきた。彼は目線を部屋の内側に向けた。全てが第二新東京市にいた時のまま、つまり自分は…。



「夢…? それとも、戻って来たのか…?」



 シンジは何度も傷ついた、自分の手の平を凝視した。使徒を受け止めて大けがをした手の平には、確か少しだけ傷が残っていたはずだ。

「…っ!!」

傷は、しっかりと自分の手の平に残っていた…。



「やっぱり…戻って来たんだ…!!」



 シンジは目を丸くした。そして急いで着替えると、階段を駆け下りて行った。自分は何をすればいいのかわからなかったが、とりあえず急がなければと直感で感じる。



──僕は一体どうすればいいんだろうか…?




 レイとアスカの姿が、脳裏に浮かんだ。























第三新東京市──



 シンジは電話などせずに、待ち合わせ場所で大人しく待っていた。非常事態宣言が出ている事は分かっている。なぜならもう一度経験した世界だから。

 さっきから軍用機が使徒の方向へ飛んでいく。巡航ミサイルは無人の街中を飛び回り、時折誤爆して民家が砕け散る。そして使徒が山から現れた。見覚えのある姿だった。そして前世では恐怖以外の何ものでもなかった姿だった。



「もう一度…戦うんだ…」



 彼は拳を強く握った。戦う事への恐怖より、あの世界にもう一度向かう事に恐怖を強く感じた。


 できる事なら…



「僕が歴史を変えるんだ…!」





キキィーッ!!



 シンジがそう強く言った時、スピンして彼の目の前に現れたブルーの車。彼女だった。



「ごめ~ん。ちょっち遅れた」



「ミサト…さん…」



 ヴンダー艦長としての姿よりも、とても軽い言葉遣いが彼をほっとさせる。

 彼は素直に車に乗り込んだ。そしてふと感づいた。


 到着が…早いよな…。彼はその時に、この世界が少しレールを外れつつある事を悟った──。









 N2地雷で車ごとひっくり返される事もなく、車はジオフロントに向かう。


「特務機関NERV…」

 その発言からはクエスチョンマークが消えていた。

「そう、国連直属の非公開組織」

 同時にリニアが動き出す。

「父のいる所…か…」

 父、碇ゲンドウの事を考えると、彼の感情は急に暗くなった。先ほどまで、この世界を変えるために頑張ろうと思っていた意欲も消えていく。ゲンドウは彼に立ちはだかる巨大な壁に違いなかった。自分にアスカを瀕死まで追い込ませ、ニア・サードを起こさせ、フォースまで起こさせようとして、結果的にカヲルを殺した。そんな父は、あまりにも巨大だった。カヲルの言っていたように「王」だと彼は感じるしかなかった。

「まぁね、お父さんの仕事、知ってる?」

「人類を守る、大事な仕事と先生から聞いています…」

「そう…」

 全盛と同じ会話が続く。しかしシンジは付け足した。

「でも…何をやっているのか詳しくは知りません…」

 ミサトの表情が曇る。彼女もこの段階で、NERVの不審な点に気が付きつつあったのだろう。シンジは続けた。

「これから父の所に向かうんですよね」

 疑問文が会話から消える。全て知っている、あくまで確認だけだ。

「そうね、そうなるわね。あ、そうだ。お父さんから、IDもらってない?」

「はい。もらってます」

 もとより出す事を考えて、きちんと取り出しやすくカバンに入れていた、つぎはぎしわくちゃの紙をミサトに渡す。ミサトは中身を確認したのち、シンジにあれを手渡した。

「じゃあ、これ読んどいてね」

(ようこそ NERV江)

 受け取って中身に目を通す。でも大抵は知っている事だった。

「父に呼ばれたからには、何かするんですよね、自分。父が自分を呼ぶだけの為に手紙を出すわけないですね…」

 ミサトは黙った。天を仰いで何かを考えていた。

「苦手なのね、お父さんが。私と同じね」

 シンジは視線を動かさなかった。リニアはトンネル区間を抜けて、地下空間の部分に入ったが彼は何とも思わなかった。

「あれが私たちの秘密基地、NERV本部。世界再建の要、人類の砦となる所よ」

「そうなんですか…?」

 世界再建の要、人類の砦。そんな訳がない。このまま行くと、人類を滅ぼしかけたニア・サードインパクトの爆心地になるだけの場所。そして人類補完計画を進める「悪の組織」NERVの根拠地になる場所。シンジは悲しい眼で、鋼鉄のピラミッドを見つめた。












 NERV本部でもすぐ道に迷うミサトを「こっちだと思いますよ」「そっちは何か…」とか言いながら、シンジはミサトをなんとはなしに誘導する。おかげで歩き疲れずに、そして時間通りにケージの前まで到着する。

「あらミサト、早いじゃない。どうせまた遅れると思ってたのに」リツコは遅れても早くても何か言ってきた。ミサトは目を細める。



「これが例の男の子?」

「そう」

「技術局一課、E計画担当責任者、赤木リツコ。よろしくね」

「はい…」

 そっけない自己紹介。前世と同じだった。



 しばらく経つと、シンジは彼女らとボートに乗りあの場所へ向かった。巨人のいる場所へ、そして父と話しに。


「碇シンジ君、あなたに見せたいものがあるの」

 フロアが一気に明転する。

「人の作りだした、究極の汎用人型決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン、その初号機」

 見覚えのある紫色の巨人がそこに立っていた。

「我々人類の、最後の切り札よ」

「これが…父さんの仕事…なんだね…」

 シンジは巨人の上方に目線を向ける。その目線は鋭かった。
 気付かれたゲンドウは少し驚いた表情をした。そのあとニヤリと笑い、答えた。

「そうだ。久しぶりだな」

「父さん…」

 前の様な弱々しい声ではなかった。怒りがこもった声だった。

「フッ…。出撃…」

「そんな、零号機は凍結中でしょ…。まさか、初号機を使うつもり!?」

「他の道はないわ。碇シンジ君、あなたが乗るのよ」

 うつむいていたシンジは顔を上げた。それは覚悟を決めた凛々しい顔。そして間を開けて、答えた。

「わかりました…」

「いいのシンジ君!?」ミサトは焦った様子で訊いてくる。

 しかしシンジはそれに、はっきりとした口調で答えた。

「大丈夫です…」

 時代の改変が、ここから始まった。 
 

 
後書き
 どうも、緋空です。

 最初から短い話連発です^^

 最近全く書いてなかったせいで腕がなまってます。

 駄文お許しくださいm(_ _)m 
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