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遊戯王GX ~水と氷の交響曲~

作者:久本誠一
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ターン15 融合!英雄と騎士の意地!

 
前書き
今回はウチの主人公お休みです。これだけ書いたらノース校の話だー!サンダー! 

 
「え、俺?」
「そうなのニャ、三沢君とデュエルして、勝った方がノース校とのデュエルの代表となるんだニャ」

 あいもかわらず何の役に立つのかよくわからないけど聞いてるぶんには結構面白かったりする錬金術の授業中、大徳寺先生が軽い口調でとんでもない話を振ってきた。一瞬固まった部屋の空気の中でやはりというかなんというか、最初に復活したのは彼女だった。

「大徳寺先生、一体何があったんですか?………って聞きたいみたいです」
「いい質問だニャ夢想君。実は~」

 ちなみに彼女の名誉のためにつけたしておくけど、別に今の発言に悪意はない。ただ、つい昨日わざわざ校内放送で『ノース校とのデュエルの代表はシニョール亮に決定したのーネ!!』とえらくハイテンションなクロノス先生からの発表があったことを踏まえてのことだ。



『そんで?ノース校代表が一年だからこっちも一年で対抗しましょう(by鮫島校長)→遊城十代だな(byカイザー)→ならば私は三沢大地を推薦するのーネ!(byクロノス)…………ま、ここはそのまんまか』
「そのまんま?何が?まあそんなことはどうでもいいんだよ、問題はさ、僕だってその代表の候補ぐらいにはなってもよかったんじゃないの?ってことなんだよ。一応万丈目には勝てたんだし」
『面白くなさそーな仏頂面で帰ってきていきなり何を言い出すかと思ったらただの愚痴か。でもお前個人だと極端に実力にムラがあるだろ?同じ格上が相手でも勝ちっぱなしの十代と違ってお前勝ったり負けたりでなんかこうパッとしないし』
「うー否定できないー」
『そーゆーこった。ま、諦めて観戦してよーぜ』
「そだね。あ、そうそう十代から呼ばれてたんだった。デッキ調整やるから手伝ってくれって」
『先行ってるぜ~』
「…………壁抜けは卑怯だと思う」
『なはは、悔しかったら死んでみーろ』
「僕だって一回死んで………まあいいや、思い出したくもない。それに、どうせこの部屋の壁抜け程度なら造作もないもんね。よっこらしょっと」





「それでーは、これよりラーイエローの三沢大地と、オシリスレッドのドロップアウ…………じゃなかったノーネ、遊城十代によるデュエルを始めますーノ!」
「頑張れ十代、三沢ー!」
「アニキ~、負けるなー!」
『一晩寝てりゃさっぱりしてるあたり、こいつも単純というか素直というか』
「………頑張れ、だってさ」

 いつの間にか横に来ていた夢想と一緒に声援を送る。そういや、いまだ入学以来負けなしのはずなのになんで夢想はこっち側にいるんだろうか。選ばれるだけの実力はあるはずなのに。

「私?この間清明と一緒に制裁デュエルやったでしょ。あれの後でまた出すのもなんだからってことで学校側がやめたみたいだよ、だってさ」
「スケール違うねなんか。こっちは単に実力の問題なのに」
「ありがとね、だってさ」

 ちょっと得意顔になる彼女を見て、普通にアリだと思ったのはナイショ。ちなみにその頃ステージの中央では、十代と三沢が話し合っていた。

「へへ、お前とこんな早くに戦うことになるとはな」
「ああ、俺も驚いている」
「ところで、七番目のデッキはできたのかよ」
「いや、あれはひとまず保留だ。俺は俺のこれまでに作ってきたデッキを信じることにしたよ」

『…………ん?』

 へー、じゃあ何を使うんだろ。これまで見たことがあるのは…………光の【電池メン】、水の【ウォーター・ドラゴン】だったけど、またそのどっちかだろうか。それとも、まだ見たことない他の属性デッキだろうか。わくわく。

『う~ん、今更とはいえ一体どうなってんだ?もうこっからは全く先が読めねえな……』

 もっとも、隣でウチの馬鹿(ユーノ)がうんうん唸ってるせいでやかましくて今一つ集中できなかったけど。

「へえ、ちなみにどんなデッキなんだ?」
「いろいろ考えたんだが十代、俺がお前のデッキにメタを張って勝ってもそれは本当に俺が勝ったことにはならないからな。なるべく同じ条件の元勝ちたい………そう思った時、ぴったりのデッキがあることを思い出したんだ。このデッキは俺の名前と同じ大地のデッキ、地属性のものだ」

『地属性でHEROと同じようなデッキ………ああ、あれか。つーか【磁石の戦士】でも【妖怪】でもないのな』
「え、もう何使うかわかったの!?ところで【磁石の戦士】と【妖怪】って?」
「清明、いきなり何と喋ってるの?だってさ」
「え、ああ、なんでもないよなんでも!あ、ほら始まるよっ!」

 慌てて話を振って、再び十代と三沢の方に注意を向けさせる。まったく、こっちの声は人に聞こえるんだからもっと気をつけとかないと。注意注意。

「俺のヒーローと同じような?おお、なんかワクワクしてきたぜ!」
「ああ、俺もだ!」

「「デュエル!!」」

「先攻は俺からだぜ!俺は、手札のクレイマンとバーストレディを融合!来い、ランパートガンナー!」

 まず十代の場に先陣切って飛び出し防御の構えをとったのは、いかにもクレイマンとバーストレディの融合形態らしい攻撃的なんだか守備的なんだかよくわからない効果を持ったメカメカしい見た目の女性兵士。

 E・HERO(エレメンタルヒーロー) ランパートガンナー
融合・効果モンスター
星6/地属性/戦士族/攻2000/守2500
「E・HERO クレイマン」+「E・HERO バーストレディ」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが表側守備表示の場合、
守備表示の状態で相手プレイヤーを直接攻撃する事ができる。
その場合、このカードの攻撃力はダメージ計算時のみ半分になる。

「さらに、フレンドッグを守備表示で召喚するぜ。カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 片膝をつく女戦士の隣に、メカメカしいどころかもろに機械の犬がお座りのポーズをとる。

 フレンドッグ
効果モンスター
星3/地属性/機械族/攻 800/守1200
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
自分の墓地から「E・HERO」と名のついたカード1枚と
「融合」魔法カード1枚を手札に加える。

「なるほど、守備固めか………ならばあのカードは恐らく!」
「三沢、何ブツブツ言ってんだよー!もうお前のターンだぜー!」
「え、ああ、すまない。俺のターン、ドロー!見せてやるぞ十代、俺の融合戦士を!俺は手札から、ジェムナイト・フュージョンを発動!手札のサフィアとルマリンを融合し、パーズを召喚する!」

 三沢の場に現れたのは、トパーズの名を持つ刺激的な黄色のナイト。なるほど、融合の地属性ってジェムナイトのことか。

 ジェムナイト・フュージョン
通常魔法
自分の手札・フィールド上から、融合モンスターカードによって
決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
「ジェムナイト」と名のついたその融合モンスター1体を
融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
また、このカードが墓地に存在する場合、
自分の墓地の「ジェムナイト」と名のついた
モンスター1体をゲームから除外する事で、このカードを手札に加える。

 ジェムナイト・パーズ
融合・効果モンスター
星6/地属性/雷族/攻1800/守1800
「ジェムナイト・ルマリン」+「ジェムナイト」と名のついたモンスター
このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみ
エクストラデッキから特殊召喚できる。
このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

「パーズでランパートガンナーを攻撃する!」
「攻撃力の低いモンスターで攻撃!?怪しいな、ヒーローバリアを発動!その攻撃は止めさせてもらうぜ」

 ジェムナイト・パーズ 攻1800→E・HERO ランパートガンナー 守2500

 ヒーローバリア
通常罠
自分フィールド上に「E・HERO」と名のついたモンスターが
表側表示で存在する場合、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。

「お、十代が防いだ!」
『いや、まだわからんぞ。パーズの効果は2回攻撃だから、もう一度ランパートガンナーに攻撃すれば………いや、待てよ。読めたぞ三沢、そういうことか!』
「あれ、今の攻撃の狙いってもしかして、なのかな?」

 ほぼ同じタイミングで何かに気付いたらしい二人。ごめん、何が言いたいのかさっぱりなんだけど。

「かかったな十代!パーズでもう一度攻撃、対象はフレンドッグ!」
「『やっぱり!!』……だって!」

 ジェムナイト・パーズ 攻1800→フレンドッグ 守1200(破壊)

「そしてパーズのもう一つの効果でフレンドッグの元々の攻撃力分、つまり800ダメージだ!」
「ぐわっ!」

 十代 LP4000→3200

「やるな三沢……だけど、フレンドッグも効果発動だ!墓地の融合とバーストレディを手札に戻すぜ」

 序盤の攻防は、どうやら三沢の方が若干有利に終わりそうだ。それにしても二人とも、一体何がやっぱりなのさ。

『んー?簡単なことさ、ハナっから三沢の手札にパーズの攻撃力を上げるカードなんてなかったんだろうさ』
「え!?で、でもそれじゃ最初の攻撃は………?」
「あれは多分、伏せカードが攻撃反応だと仮定したうえで、そのカードを無駄打ちさせるための引っ掛けだったんじゃない?なんだって」
「そ、それじゃあ」
『ああ。確かに最初の攻撃がそのまま通ってりゃ、無駄にダメージを受けただけだったな。ただ、十代は1ターン目からランパートガンナーとフレンドッグの二体で守備固めをしてきた。なら、伏せカードがその守りをさらに強化するものでも不思議じゃないってこった。特に、十代の引きの強さならな』

 つまり三沢は、あるかどうかわからない攻撃反応罠に賭けて今の攻撃を、一瞬の迷いすらせずに繰り出したのか………つくづく凄いな、三沢。僕には真似できない戦い方だと思う。

『俺もあえて真似しようとは思わん』

 あ、はい。ですよねー。

「ふむ………あえてこの状況でバーストレディの回収を優先したか。なるほど十代、今のお前の手札はフェザーマンだな?そして返しのターンでフレイム・ウィングマンを召喚して俺にダメージを与えるつもりだろう」
「んなっ!ど、どうしてそう思うんだよ!」
「簡単なことだ。パーズの攻撃力は1800、ならば確かに俺がどんなカードを持っているかわからないとはいえ少なくとも単体で突破されることの少ないクレイマンを回収するのが基本というものだろう。だが十代、お前はあえてバーストレディを回収した。つまり、次の融合でパーズを突破できる組み合わせのモンスターが確実に出せるということ。バーストレディの融合体なら、一番可能性が高いのはフレイム・ウィングマンだというだけさ。カードを一枚伏せてターンエンドだ」
「ぐ、ぐぅ……」

 十代 LP3200 手札:3 モンスター:E・HERO ランパートガンナー(守) 魔法、罠:なし
 三沢 LP4000 手札:2 モンスター:ジェムナイト・パーズ(攻) 魔法・罠:1

「俺のターン、ドロー!………三沢、確かに俺の手札にはフェザーマンがいる。でもな、俺のヒーローの融合には無限の可能性があるんだぜ!手札のフェザーマンとワイルドマンを融合!ワイルド・ウィングマンを召喚だ!そして手札のバーストレディを捨てて、そのセットカードを破壊!」

 バッサバッサと翼を広げ地面に降り立つ、人の体と言い鳥脚といい微妙にハーピーと似てなくもないような気がしないでもない鳥人ヒーローが、その白い羽根から衝撃波を放ち三沢のセットカードを木端微塵にする。

 E・HERO ワイルド・ウィングマン
融合・効果モンスター
星8/地属性/戦士族/攻1900/守2300
「E・HERO ワイルドマン」+「E・HERO フェザーマン」
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。
手札を1枚捨てる事で、フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊する。

「かかったな、十代!今破壊された荒野の大竜巻の効果で、ワイルド・ウィングマンを破壊する!」

 衝撃波をまともにくらってバラバラになったセットカードから竜巻が巻き起こり、とても速いスピードでフィールドを駆け十代の方に近づいたそれがワイルド・ウィングマンをあっという間に飲み込んでしまう。

 荒野の大竜巻
通常罠
魔法&罠カードゾーンに表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。
破壊されたカードのコントローラーは、
手札から魔法または罠カード1枚をセットする事ができる。
また、セットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。

『えぐいなー。これ、普通にフレイム・ウィングマン出しときゃ攻撃通ったじゃねえか』
「ワイルド・ウィングマンが………なら、背に腹は代えられないか。ランパートガンナーを攻撃表示に変更して、バトル!ジェムナイト・パーズに攻撃、ランパート・ショット!」

 E・HERO ランパートガンナー 攻2000→ジェムナイト・パーズ 攻1800(破壊)
 三沢 LP4000→3800

「これで俺はターンエンドだぜ」
「俺のターン、ドロー!墓地のルマリンを除外し、ジェムナイト・フュージョンを墓地から回収する………そして融合だ、ジェムナイト・フュージョン!手札のガネットとアンバーを融合し、来い!ジェムナイト・ルビーズ!」

 二体目に現れたナイトの色は、赤。色合いがよく映える真っ青なマントをなびかせて、鎌を持った戦士がランパートガンナーの前に仁王立ちする。

 ジェムナイト・ルビーズ
融合・効果モンスター
星6/地属性/炎族/攻2500/守1300
「ジェムナイト・ガネット」+「ジェムナイト」と名のついたモンスター
このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみ
エクストラデッキから特殊召喚できる。
1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在する
「ジェム」と名のついたモンスター1体をリリースして発動できる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで
リリースしたモンスターの攻撃力分アップする。
また、このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

「攻撃力2500………!」
「ルビーズでランパートガンナーを攻撃する!行け、ルビーズ!」

 ジェムナイト・ルビーズ 攻2500→E・HERO ランパートガンナー 攻2000(破壊)
 十代 LP3200→2700

「このターン、俺は通常召喚をしていない。モンスターをセットしてターンエンドだ」

 十代 LP2700 手札:0 モンスター:なし 魔法、罠:なし
 三沢 LP3800 手札:0 モンスター:ジェムナイト・ルビーズ(攻)、???(守) 魔法・罠:なし

「十代、ここが正念場だね」
『そーだな。まあ十代だし、ここ一番でカードが引けないなんてありえねえだろ』

「俺のターン、ドロー!………このカードは!カードを一枚セットして、ターンエンドだぜ!」
「伏せカードが一枚、か。まあいい、ドロー!ジェムナイト・アイオーラを召喚し、アイオーラでダイレクトアタック!」

 ジェムナイト・アイオーラ
デュアルモンスター
星4/地属性/水族/攻1300/守2000
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、
このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●1ターンに1度、自分の墓地の「ジェム」と名のついたモンスター1体をゲームから除外して発動できる。
自分の墓地の「ジェムナイト」と名のついたカード1枚を選択して手札に加える。

 このまま2体のナイトの攻撃を受けたら、十代のライフは0になる。が、やっぱり黙ってやられる十代じゃなかったようだ。

「リバース発動、クリボーを呼ぶ笛!デッキからハネクリボーを守備表示で特殊召喚だ!」 

 クリボーを呼ぶ笛
速攻魔法
自分のデッキから「クリボー」または「ハネクリボー」1体を選択し、
手札に加えるか自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

 ハネクリボー
効果モンスター
星1/光属性/天使族/攻 300/守 200
フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時に発動する。
発動後、このターンこのカードのコントローラーが
受ける戦闘ダメージは全て0になる。

「ならばアイオーラの攻撃を中止し、ルビーズでハネクリボーを攻撃!」

 ジェムナイト・ルビーズ 攻2500→ハネクリボー 守200(破壊)
 十代 LP2700→400

「そんな、なんで俺がダメージを受けたんだ?」
『十代……ハネクリの弱点についてはテストのときに教えといてやっただろうが。もう忘れたんか』
「確かハネクリボーの効果って、自分が戦闘するときのダメージは防げないんだっけ、って聞きたいみたい」
「うん、そのはずだよ。………………(だよね、ユーノ?)」
『せーかい。ったく、困ったもんだ。こりゃ後で詰め込み直しだな』

 観客席で僕がまた一つ賢くなったところで………あ、もちろん僕は知ってたよ?ホントホント、僕ちゃんとわかってたから。あ、あはははは……。コ、コホン、とにかくハネクリボーは破壊されて、十代のライフが一気に削られたわけで。

「アイオーラをこのままにするのは危険か。メイン2でルビーズの効果を使えば………いや、まあいいだろう。ここでターンエンドだ」

 十代 LP400 手札:0 モンスター:なし 魔法、罠:なし
 三沢 LP3800 手札:0 モンスター:ジェムナイト・ルビーズ(攻)、ジェムナイト・アイオーラ(攻)、???(守) 魔法・罠:なし

「頼むぜ、俺のヒーロー達……!俺のターン、ドロー!」

 ここで逆転しない限り、十代にとっては最後となる一手。会場にいる全員が、息をのんで十代のドローカードを見守る。さあ、その結果は……?

「よっしゃあ!俺の手札がこのカード一枚の時、バブルマンは手札から特殊召喚できる!さらにバブルマンの効果発動、カードを2枚ドロー!」
『出たな、強欲な泡男!』

 E・HERO バブルマン
効果モンスター
星4/水属性/戦士族/攻 800/守1200
手札がこのカード1枚だけの場合、
このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に
自分のフィールド上と手札に他のカードが無い場合、
デッキからカードを2枚ドローする事ができる。

「さらに、装備魔法バブル・ショットをバブルマンに装備!これで攻撃力アップだ、アイオーラに攻撃!バブル・ショット!」

 巨大な、まるで水鉄砲のような形状の銃を片膝ついて構えたバブルマンが、勢いよくその銃から泡を発射してアイオーラを押し流す。

 バブル・ショット
装備魔法
「E・HERO バブルマン」にのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力は800ポイントアップする。
装備モンスターが戦闘で破壊される場合、
代わりにこのカードを破壊し、装備モンスターの
コントローラーへの戦闘ダメージを0にする。

 E・HERO バブルマン 攻800→1600→ジェムナイト・アイオーラ 攻1300(破壊)
 三沢 LP3800→3500

「カードを一枚セットして、ここでターンエンドだ!」
「俺のターン、ドロー!駄目だ、このカードだけではバブルマンの処理ができなくて、次のターン十代に流れを持って行かれる………しょうがない、あまり自分からは使いたくなかったんだが背に腹は代えられないか。セットモンスターを反転召喚、メタモルポット!さあ十代、カードを5枚ドローするんだ」

 メタモルポット
効果モンスター(制限カード)
星2/地属性/岩石族/攻 700/守 600
リバース:お互いの手札を全て捨てる。
その後、お互いはそれぞれ自分のデッキからカードを5枚ドローする。

「ただし俺はこれだけでは終わらん、今手札から捨てたジェムナイト・ラズリーの効果により墓地のガネットを回収、そして召喚する!」

 ジェムナイト・ラズリー
効果モンスター
星1/地属性/岩石族/攻 600/守 100
このカードがカードの効果によって墓地へ送られた場合、
自分の墓地の通常モンスター1体を選択して手札に加える事ができる。

 ジェムナイト・ガネット
通常モンスター
星4/地属性/炎族/攻1900/守 0
ガーネットの力を宿すジェムナイトの戦士。
炎の鉄拳はあらゆる敵を粉砕するぞ。

「そして墓地のラズリーを除外し、ジェムナイト・フュージョンをまた手札に。そしてまた発動!手札のクリスタと場の岩石族メタモルポットを融合して現れろ、ジェムナイト・ジルコニア!」

 拳がメラメラと燃えている赤みがかったオレンジ色の闘士の隣に現れた3体目の融合ジェムナイトの色は、クリスタル。ダイヤモンドそっくりの輝きを放つヘビィ・ナックルを両腕に装着した、余分な効果を全て捨てての戦闘力に特化したパワーファイターだ。

 ジェムナイト・ジルコニア
融合モンスター
星8/地属性/岩石族/攻2900/守2500
「ジェムナイト」と名のついたモンスター+岩石族モンスター

「バトル!ガネットでバブルマンを攻撃!」

 ジェムナイト・ガネット 攻1900→E・HERO バブルマン 攻1600(バブル・ショット破壊)
 E・HERO バブルマン 攻1600→800

「続いてルビーズでもバブルマンを攻撃!」
「セットカード発動、バブル・シャッフル!ジルコニアとバブルマンを守備表示に変更、さらにバブルマンをリリースしてエッジマンを特殊召喚!」

 ルビーズの鎌があと一歩でバブルマンに届く寸前、周りにバブルマンの姿が見えなくなるほど大量の泡が湧く。そしてその泡の中から姿を見せるのは、金色に輝く鎧を着た十代のメインデッキ最強の攻撃力を持つモンスター、エッジマン。

 バブル・シャッフル
速攻魔法
「E・HERO バブルマン」がフィールド上に
表側表示で存在する時のみ発動する事ができる。
自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する「E・HERO バブルマン」1体と
相手フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を守備表示にする。
守備表示にした「E・HERO バブルマン」1体を生け贄に捧げ、
「E・HERO」と名のつくモンスター1体を手札から特殊召喚する。

 E・HERO エッジマン
効果モンスター
星7/地属性/戦士族/攻2600/守1800
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が越えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 ジェムナイト・ジルコニア 攻2900→守2500

「エッジマンとは、また厄介なモンスターを……悔やんでも仕方がないか、カードを一枚伏せてターンエンド」

 十代 LP400 手札:4 モンスター:E・HERO エッジマン(攻) 魔法、罠:なし
 三沢 LP3800 手札:3 モンスター:ジェムナイト・ルビーズ(攻)、ジェムナイト・ガネット(攻)、ジェムナイト・ジルコニア(守) 魔法・罠:1

「いくぜ、三沢!俺のターン、死者蘇生でワイルドマン復活!さらに融合を発動してワイルドマンとエッジマンを融合!ワイルドジャギーマンを召喚だ!」

 E・HERO ワイルドジャギーマン
融合・効果モンスター
星8/地属性/戦士族/攻2600/守2300
「E・HERO ワイルドマン」+「E・HERO エッジマン」
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。
相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。

「さらに魔法カード、H-ヒートハートを発動!ワイルドジャギーマンの攻撃力を500ポイントアップさせるぜ」

 燃え上がるHの文字をバックに、ワイルドジャギーマンが自らに気合を入れる。

 H-ヒートハート
通常魔法
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。
そのカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が越えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
この効果は発動ターンのエンドフェイズまで続く。

 E・HERO ワイルドジャギーマン 攻2600→3100

「ワイルドジャギーマンでガネット、ルビーズ、ジルコニアに攻撃!インフィニティ・エッジ・スライサー!」

 E・HERO ワイルドジャギーマン 攻3100→ジェムナイト・ガネット 攻1900(破壊)
 三沢 LP3800→2600
 E・HERO ワイルドジャギーマン 攻3100→ジェムナイト・ルビーズ 攻2500(破壊)
 三沢 LP2600→2000
 E・HERO ワイルドジャギーマン 攻3100→ジェムナイト・ジルコニア 守2500(破壊)
 三沢 LP2000→1400

「カードをセットして、ターンエンドだ」

 E・HERO ワイルドジャギーマン 攻3100→2600

「すごい、ここまで巻き返した……!」
「やるね、だってさ」
『三沢も三沢で、ちょっと勝負を急ぎすぎてたかもしれねえけどな。それにしたってつくづく大したもんだ、十代』
「ふっ、だがそれでこそ面白い!俺のターン、ドロー!手札の死者蘇生を発動、墓地のジルコニアを蘇生!」
「またワイルドジャギーマン以上の攻撃力のモンスターが」

 ジェムナイト・ジルコニア 攻2900

「ああ、だがそれだけじゃないぞ。墓地のクリスタを除外し、ジェムナイト・フュージョンをもう一度手札に。そして発動し、場のジルコニアと手札のアンバー、エメラルを融合!見せてやるぞこのデッキの切り札、ジェムナイトマスター・ダイヤ!!」

 満を持してフィールドに現れる、これまでのジェムナイトたち以上の威厳をもつ騎士の王にして宝石の王。ワイルドジャギーマンが思わずといった感じで一歩退いたように見えたのは、僕の気のせいだろうか。

 ジェムナイトマスター・ダイヤ
融合・効果モンスター
星9/地属性/岩石族/攻2900/守2500
「ジェムナイト」と名のついたモンスター×3
このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。
このカードの攻撃力は、自分の墓地の「ジェム」と名のついた
モンスターの数×100ポイントアップする。
また、1ターンに1度、自分の墓地のレベル7以下の「ジェムナイト」と名のついた
融合モンスター1体をゲームから除外して発動できる。
エンドフェイズ時まで、このカードは除外したモンスターと同名カードとして扱い、
同じ効果を得る。

「ダイヤは墓地にいるジェムナイトの力を自分のものにできる………まず、俺の墓地にいるジェムナイトはサフィア、パーズ、アンバー、アイオーラ、ガネット、ルビーズ、ジルコニア、アンバー、エメラルの9体だ、したがって攻撃力が900ポイントアップする。もっとも俺はダイヤの特殊効果を発動、墓地のパーズを除外してその効果と名前を得る!」
「パーズの効果………フレイム・ウィングマンが二回攻撃するのと同じあれか!」

 三沢が効果を発動すると、ダイヤの手にする大剣に埋め込まれた宝石の一つ…………トパーズがひときわ強い輝きを放つ。

 ジェムナイトマスター・ダイヤ 攻2900→3700
 ジェムナイトマスター・ダイヤ→ジェムナイト・パーズ

「最後のバトルだ!パーズとなったダイヤで、ワイルドジャギーマンに攻撃!」
「なあ、三沢!」
「…………?どうした、十代」
「デュエルって、やっぱり面白いよな!最後まで何が起きるかわからなくてよ!」
「ああ、そうだな。楽しかったぞ、十代!」

 宝石の大剣とワイルドジャギーマンの抱える剣。二つの剣がフィールドのど真ん中でぶつかり合い、爆発を起こす。

 ジェムナイト・パーズ(ジェムナイトマスター・ダイヤ) 攻3700→E・HERO ワイルドジャギーマン 攻2600(破壊)
 十代 LP400→0

「どうやら、今回は俺の勝ちのようだな」
「それはどうかな?これが俺の、最後のトラップだ!リバースカードオープン、英雄変化-リフレクター・レイ!!」

 英雄変化(チェンジ・オブ・ヒーロー)-リフレクター・レイ
通常罠
自分フィールド上に存在する「E・HERO」と名のついた融合モンスターが
戦闘によって破壊され墓地へ送られた時に発動する事ができる。
破壊された融合モンスターのレベル×300ポイントダメージを相手ライフに与える。

「なに!?まだそんな隠し玉を持っていただと!?」
「だから言ったろ、デュエルは最後まで何が起こるかわからないって!」

 三沢 LP1400→0





「いやー、終わった終わったー!」
『そういや、結局ノース校の件どーすんだろーな。引き分けだから二人出します、ってのは無理だろ』
「じゃあ清明、私は寮に帰るからね?だってさ」
「うん、それじゃあまた」
「また明日会おうね、だって」

 そう言って夢想が席を立っ…………た瞬間、校内放送が響いた。この声、校長だな。

「三沢大地君、遊城十代君、お疲れ様でした。両者ともに、素晴らしいデュエルでしたね。さて、すみませんが二人とも、それにオシリスレッドの遊野清明君、オベリスクブルーの天上院明日香さん、河風夢想さんは、このあと校長室まで来てください」
「『えっ?』」





 とりあえずさっき呼ばれた5人で集まって校長室へ歩いていく…………んだけど、僕と十代はちょっと顔色が悪い。というか行きたくない。もちろん、校長室に行きたくないということはそれ相応の理由があるワケで。

「ねえ十代。………まさかとは思うんだけど、『アレ』ばれたのかな?」
「い、いや、大丈夫……だろ?ほら、大徳寺先生だって2階に上がってきたことはないし、昼は俺らと一緒に学校にいるわけだし、な……」
「貴方達、さっきから何の話かしら?」
「い、いや、こっちの話だぜ明日香!」
「一体お前ら、何をやらかしたんだ?」
「や、やだなー三沢ったら!別に何もしてないよっ!」
「ホントに?嘘ついたら駄目だよ、だってさ」
「う」

 見るなー!そんなまっすぐな目で僕を見ないでくれー!

「で、お遊びはいいとして。貴方達が一体何をしたのか、正直に言いなさい」

 十代と顔を見合わせて、アイコンタクトだけでなんとかこの場を言い逃れるすべがないか緊急会議を開く。

「(十代、なにかいい話題ある?)」
「(さっぱり思いつかないぜ。清明も、何かあるか?チクショウ、なんで校長室はこんな遠いんだよ!)」
「(いや、校長室に着いたら本末転倒だから)」
「早く言いなさい、二人とも?」
『諦めろ、お前ら。もう言い逃れは無理だぜ?それにどーせコイツらには黙っててもそのうちばれるだろ』
「「ハイ………実は、誰にも言わないでほしいんだけどさ」」





「まったく………」
「清明、ずいぶん大胆だね……だってさ」
「呆れて声も出ないわね」
「いや、だって、その、ね?」
「な、なあ!あれはしょうがないよな、清明」

 ああ、皆からの呆れた視線が痛い。まあぶっちゃけ何をやったかっていうと、レッド寮あるでしょ。僕らの愛すべきボロ……こほん、味のある家。この間、僕の部屋と十代の部屋の間にあった壁を寝ぼけて蹴りつけた拍子に大穴開けちゃってね?慌てて土木工事した結果、壁を埋めるはずだったのになぜか気が付いたら僕のいる部屋と十代達の部屋の間にドアが一つ増設されることになって。いや、壁ぶち抜いてそこに廃品回収で捨ててあったのを拾っておいたドアはめ込んだだけなんだけど。でも、おかげで僕らの部屋だけ出入りは随分楽になったよ。もう他のレッド生も退学だの転校だので数が減っていって、気づいた時にはだいぶ人が少なくなってたからこそ通った無茶。あんま反省してない。後悔も特にする気はない。でも怒られるだろうな、ってのはさすがに想像つくからなぁ。
 とりあえず正直に打ち明けた3人には絶対秘密にしておくようお願いして、ついにたどり着いた校長室。代表して十代がノックを………しようとしたら、自動ドアがスウッと開いた。だいぶ緊張してんな、十代。

『お前も膝、震えてんぞ』

 あ、どうりで視界がカクカクすると思ったら。そんな僕らを見かねたのか、三沢が救いの手を差し伸べてくれた。

「三沢大地以下四人、ただいま参りました。それで校長、用件というのは?」
「よく来てくれましたね。実は、非常に急な話で申し訳ないのですが………」

 なんだろう。さすがに『退学』ってことはないだろう。それならわざわざ関係ない夢想たちまで呼びつける意味がない。あ、じゃあ『停学』あたりかな?って、それを言うにしても僕らだけで十分だろう。じゃあ………?

「あなた達5人には、今度のノース校とのデュエルで本校の代表を努めていただきたいのです」










 時が止まった。










「……………は?えっとすいません校長、もっかい言ってくれませんか?」
「混乱するのも無理はありませんが、あなた達5人に本校の代表になって欲しいのです」
「それはどういった訳があるんでしょうか、校長?」

 さすがの明日香も、この発言には戸惑いを隠せないようだ。校長の机にバンッと手を置き、そのまま詰め寄る。軽くため息をつきながらえらく手慣れた感じで夢想が明日香の腕を持って後ろに引っ張って勢いを殺してたけど、もしかして女子寮の日常風景ってこんなんなんだろうか。

「実はですね、さっきのデュエルの最中、ノース校の校長から電話がかかってきまして。なんでもあちらの代表が、お互いに5人ずつ選手を決めて順番に戦い先に3勝したほうが勝つ団体戦デュエルというのを提案して、生徒全員がそれに乗り気になったようで」
「それで、断りきれなくなったノース校の校長がこちらに同意を求めてきたと?」
「はい。できればこの試合、君たちが受けてくれると有難いのですが………」

 団体戦っていうと、あれか。先鋒、次峰、中堅、副将、大将にわかれてやるやつか。

『そうそう。ちなみに一つ補足しとくと、鋒の読み方は「ぽう」だからな。「ぼう」なんて読んで恥かくなよ』

 まあ、ぽうだろうがぼうだろうがどっちでもいい。返事?もちろんきまってるさ。こんな面白そうな話なんだから。

「「「「「もちろん引き受けます」」」」……ですって」
「そうですか………ありがとうございます。詳しいことはまた、追って連絡しますので」

 そう言ってほほ笑む校長の顔を見て、もしかしたらこの返事も織り込み済みなんじゃないかと思った。いや、別にそれでもかまわないんだけど。 
 

 
後書き
ちょっとだけネタバレ。ノース校編は全5話予定、一話につきワンデュエル構成。先に言っておくけど、あっちは大将以外は全員オリキャラで固めます。どうせ一回しか出番ないだろうし、TFキャラにゲスト出演してもらうのももったいない。

※ラストターンですが、実際このタイミングでリフレクター・レイの発動はできません。今回だけはアニメっぽく演出の優先ということでご容赦ください。 
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