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魔法少女リリカルなのは平凡な日常を望む転生者 STS編

作者:blueocean
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第16話 海鳴市にて………

 
前書き
こんにちはblueoceanです。

リリカルなのはInnocentとうとう始まりましたね!!
メンテナンスや不具合が多く、不満を洩らす人は多いですが、個人的にはそれなりに楽しんでます。
しかしレベルが上げづらい事………
SRが2枚揃っている組が3組あるのですが、まだ1枚もリライズ出来ない………

目指すはマテリアルズで揃える事ですがまだまだ道は遠いです……… 

 
「はぁ………」
「何よ零治君、嫌いじゃないでしょこういうの?」

腕を組み、人より大きい胸を押し付けながら、からかうように言う水無月先輩。
大学生活が始まってもこの関係は続き、同じ学部と言うこともあり、色々と会うことが多いのだ。

因みに星達3人とはそれぞれ違う学部だ。
星が経営学部。翠屋のバイトで培った技術で何かお店を出したいと言っていた。
ライはスポーツ学部。要するにインストラクターや理学療法師を育てる学部なのだが、ライは『何か体育系みたいで楽しそう!!』と軽い感じで決めていた。
夜美は文学部。夜美は将来本に携わる仕事に就きたいと言っていた。

ライはともかく、皆やりたいことを目指し、それぞれの進路を決めていた。
なのに俺は………

「………零治君?」
「はい?」
「どうしたのボーッとして」
「いや、少し考え事を………って先輩、いい加減にしてくれないと俺が危険です。前だって新入生歓迎の飲み会で酔い潰れ女の子を介抱してたらあの3人、皆の前で抱きついてきたんですよ!!私のものに手を出すなって感じに!!そのせいで俺、未だに男には嫌われ、女学生達からは変態扱いされてるんですから!!」
「ああ、あったわね………しかもその後、3人共ベロンベロンで、抱きついた後は星ちゃんが零治君の膝で猫みたいに縮こまって寝て、ライちゃんはライちゃんで暑い暑いって皆の前で脱ごうとするし、夜美ちゃんに関しては零治君の腕を抱えてくっついたまま永遠と愚痴ってたわね………」
「家でやる分はまだいいですよ。だけど流石に皆の前は勘弁してほしかった………あれほど飲みすぎるなって言ったのに………」

こうやって自然と愚痴ってしまうのも先輩の年上からの雰囲気が影響なのだろう。
………1つしか違わないけど。

「………って脱線したわね。私の用は1つ。新たな情報を入手したわ。海鳴市の湾岸辺りにあるリゾート地跡」
「………ああ!!ってかここって綺麗な街だと思いますけど、結構放置されてる場所ってありますよね?」
「街の活性化に伴い、色々開発計画が上がってたんだけど、それを推奨していたその時の市長が結構真っ黒な人で、途中まで達した所で悪事が発覚しそのまま解任され、計画も中止になってそのまま中途半端な建物が多いのよ………」
「なるほど………で今回そこが傷害事件を起こしているグループが潜伏してると」
「ええ………」

そう言って会長は俺にメモ書きを渡してくれた。
傷害事件の概要は以前にここ海鳴市であったバリアアーマー事件と同じだ。

未だにここ海鳴市ではバリアアーマーが出回っていて時々事件となっている。
それに関して流石に酷いのではやてにと思ったのだが、はやても忙しいし、他に頼りになりそうな魔導師達も知らないのでこちらで何とかしようと星達やアルピーノ家、スカさん家と話し合い、そういう結論に至った。
流石に管理局の部隊が大勢やって来たら俺達の事ばバレるかもしれないからな………

最初、スカさんとゼストさんはその情報があてになるのか半信半疑だったが、情報が正確で事件も解決できたので取り敢えず信用出来ると結論付けたようだ。

だけどそれでもう1つ不審な点が浮上した。







水無月先輩は何者なのか?


実はスカさんの方でも海鳴市の事件を調べているのだが、先輩ほどのデータを入手することはどうしても出来ないでいた。

なのに何故一般人である先輩が情報を得られるのか?

その答えは………

「……治君?零治君!」
「あっ、はい!?何ですか?」
「もう、本当にどうしちゃったの?………もしかして星ちゃんたちのエッチな想像してた?」
「えっ、いやそこまで溜まってないですよ」
「発散してもらってる?」
「………ボチボチ」
「あらら………」
「いや、何で先輩が赤くなってるんですか………それに何かさっきより力が強くなったような………」

腕が痺れてきた感覚まで感じ、背中に冷や汗が流れた。

「ねえ零治君。私ね、実はまだ処女なの。出来れば最初は零治君みたいな人が相手が良いなぁ………」
「じょ、冗談は止めてください………」

色っぽい声で言われ、思わずうろたえてしまう。

「ねえどう?私も結構自分の体に自信あるんだけど………」

そう言われ、思わず胸元に目がいってしまう。
ライ程ではないがそれでも充分大きな胸。
しかも恐らく美乳。

くそ、なんて胸だ………
そう即座に分析する俺も俺だが、それでも何とか踏み止まる。

「………レイ?」
「はっ!?」

不意に後ろから声をかけられ振り向くとそこには星が居た。

「何をしているのですか………?」

ニコリと爽やかな笑顔で、自分で言うのも何かバカップルって言われそうだが、もの凄く美人だ。
………なのだが、

(目が笑ってない………)

恐らく先輩だからこそ信じている部分があるからこそそうなっているのだろう。
先輩じゃなかったら速攻で連れて行かれてオハナシコースだったろう………

「………それと先輩もいつまでそうしてるつもりですか?」
「あら、少しくらいいいじゃない。星ちゃん達はいつも甘えているんでしょ?」
「先輩………、レイは私達のものです。だからその手を放してください」
「もう星ちゃんてば固いんだから………そうやって縛ってると零治君に嫌われるわよ?」
「嫌われる………?」
「零治君って縛られ過ぎるのにも疲れると思うのよ。零治君は特に自由人って感じがするし」
「いや、でもレイは文句は………」
「優しい零治君がそんなこと言うと思う?」
「………」

先輩にそう言われ、星は黙ってしまう。

「………まあ星ちゃんを別に苛めたくて言っている訳じゃ無いんだから。取り敢えず彼氏さんは返すわね」

そう言って先輩は簡単に俺の腕を離した。

「私の用事はもう済んでるからね。だけどちゃんと考えなさいね。あなただけでなく、ライちゃんも夜美ちゃんもだけどね」

そう言って先輩は校舎の中へ入っていった………

「………レイ」

弱々しく声をかけてきた星は不安そうにビクビクした猫の様に上目使いで俺を見ていた。
前から星達は俺を縛り過ぎていると色んな人に言われていた。当然先輩にもだ。
俺自身それは苦では………無くはないが、満更でも無いので何とも思わなかったので特に気にしてなかったが、今日の先輩の言葉を聞いて、確かにこの先どうなるか分からない。

「星、心配するなとはハッキリ言って言えない。未来の俺はこの先どう思うかは分からないし、星達も俺の事をどう思うかは分からない」
「レイ、私達は………」
「だけどな、俺は今は星達が大好きだ。他の誰でもないお前達がだ。だから今はそんなに気にしなくていい」
「レイ………でも先輩の言う通り苦では無いのですか………?」
「ああ、ぶっちゃけ苦だよ。だけどそれを感じる以上にお前達が好きなんだ。だからまだ無理して変わらなくても良い。だけど一つだけ、もっと俺を信用と言うか信頼して欲しい。確かに先輩に迫られたが、お前逹を裏切ってまで俺は飢えていない。何せ3人もいるんだからな」
「レ、レイ!!………エッチです………」

そう言って顔を赤くして俯きながら呟く星。
ヤバイ、お持ち帰りしたい………

「………っと、取り敢えずこの話は終わりだな。さっき先輩と教えてもらったんだが、またバリアアーマーを使う奴等の居場所が判明した」
「またですか!?最近一向に増えてきてますね」
「躍起になっているんだろう。今年になって件数が増えてきた………今月になって三度目だ」
「組織が焦っている?」
「何故かはハッキリしないけどな。取り敢えず目先の事を解決しよう。アイツ等も流石に封鎖結界を張るようになったがそれでも張らずに暴走してる奴は多い」
「はい、今日は翠屋のバイトはキャンセルします。ライと夜美にも言っておきます」
「俺はスカさんに連絡する。星頼むな」
「はい」

そう言って星は駆け出した。

「さて、俺もスカさんに連絡をしないとな………」

そう呟きながら懐からスマホを取り出した………










「レイ、ここ?」
「ああ、準備はいいか?」

スカさんにも連絡を取り、完全バックアップしてもらっている状態で、先輩に聞かされたリゾート地跡にやって来た俺、アギト、優理、ライ。
星と夜美は空中で待機し、不測の事態に対応出来るようにしている。

「僕はOKだよ?」
「アタシもいつでもいいぜ」

ライとアギトからも元気な返事を受ける。

「レイ、私も暴れる!」

優理は少し物騒な事を言っているが、それでも心強い。
いつも通りの3人を見て零治を安心しながらも、不安を覚える。

(いつもの戦いで相手を舐めきっている………)

ハッキリ言って今までのバリアアーマーの敵はどれもレベルが低く、今まで楽に勝てる様な相手ばかりだった。だが零治には今までとは違う様な、そんな感が働いていた。

(杞憂だといいんだけどな………)

「行こうぜ!!」

そんな事を思いながらアギトに急かされ、リゾート地内にある巨大なホテルに静かに中に入る零治だった………











「レイ………」
「ああ、何かおかしい」

元々巨大なリゾート施設を目的とされ作られていた影響か、中はかなり広い。
3人はそれぞれ黒尽くめの格好で、それぞれ仮面を。

明らかな変質者だが、正体をバレないようにするためなので、ちゃんと着用している。
しかしこの格好を嫌がっているのは星と夜美だけで、優理やライ、そして今回スカさんのアジトに行っていて居ないセッテに関しては結構好評であった。
因みにアギトは零治のポケットにいる。

「静かすぎる。まるで誰もいないみたいだ」

優理に言われ、そう静かに話しながら警戒し慎重に進んでいく。
エントランスを過ぎ、大広間に天井も高く、上を見ると光が入るようにしているのかステンドグラスになっていた。

「ん?あれは………」

かなり広い大広間に出ると、その中心に1つの大きな影が。

「何だろあれ?」
「石像?」

恐る恐る近づくライと優理。

「おい勝手に動くなって………」
『マスター!!』

ラグナルの咄嗟の声に俺は駆け出す。
2人はまだ気がついてないが、今確実に目が光った。

「ちっ!!」

俺は直ぐに転移し、2人を抱え、また転移してその影から離れた。

するとその後大きな音が響き渡る。

「レイ!?」
「どうしたの!?」

抱えてい2人を下ろしさっきの場所を見るとその場所の地面が大きく割れていた。

「えっ!?」
「攻撃してきた!?」

「アギト!!」
「おう!!」

「「ユニゾンイン!!」」

肩に止まっていたアギトとユニゾンし、赤い髪、赤い目、そして体全体で炎を纏った姿になった。

「正体を見せろ!!」

右手にアギトの炎を呼び出し、発射する。
そして炎の照らしたその姿は………

「なっ!?」
「えっ!?」
「おお!!」

「………」

全身機械で覆われた大きなムカデのような生物がそこにいた………









「さてどうするのかな地球の魔導師君達?」
「あなたは………!!」

同じ時、零治達が戦っている大広間から遠く離れた部屋。
そこには縛られた1人の女性と白い髪の男がが白衣姿で展開しているモニターを見ていた。

「何を怒っているんだい水無月楓君?彼等は私達の敵だよ。私達の理想を邪魔する不届きな奴等だ」
「勝手に仲間なんかにしないで!!私の親が勝手にしてただけよ!!」
「まあそうだね。だからこそ今までたくさんの資金援助をしてきた水無月夫妻の娘と聞いたから今まで好き勝手させてきたが………まさか情報を横流ししてたとはね」
「………いい気味ね」
「おかげで随分と計画が遅れてしまったよ。ベヒモスのデータもあのバカが手掛かりを掴んだくせに独占して手柄を得ようとしたせいでね」
「あなた逹は一体何をしようとしているの………?そして私の親を何処へやったの!!」

「………それはおいおい。さて戦闘の続きを見ようじゃないか」

そう言って男は話すのを止め、再び戦闘に注目するのだった………













「だりゃああああ!!」

ライのハーケンが一閃。

「うそっ!?」

ライの斬撃は弾かれ、ライは弾かれた反動を利用してそのまま上昇した。

「ディバインバスター!!」

ライが上昇した後、先ほどまでライが居た場所を優理の砲撃魔法が通過する。

「………」

直撃したムカデだったが、その装甲には少し焦げ目が出来ているだけで、ダメージは全くない。

「AMFの影響で、いつも以上に威力が………」

零治達がムカデの姿を確認した後、ムカデは直ぐにAMFを発動。
3人共、AMF圏内の戦闘訓練はしてきたものの、やはりやりずらいのは変わらず、しかも相手が予想以上に硬い影響で、大きなダメージを与えられずにいた。

「だったら………!!」
「レイ!!」
「1人で突っ込んでも!!」

そんな2人の言葉を気にせず突っ込む。

「………」

何も発せず、大きな尻尾でなぎ払ってきた。

「ちっ!!」

転移で上空に避難した俺は無事だが、放置してあった物や机があちらこちらに散乱し、後ろにいたライや優理にも飛んでいく。

「ライ、優理、大丈夫か!?」
「うん!優理の盾で全て防いだよ!!」
「レイ、気を付けて!!」

そんな2人の言葉を聞いて再び敵に目を向ける零治。

「アギト、行くぞ!!」
『おう!!』

再びムカデに向かっていく零治。

「………」

今度は胴体の装甲がパカッと割れ、そこには大量のミサイルが。

「ちっ!?」
『あんなものまで!!』

封鎖結界があるため、音が外に漏れることはないが、 だからといってバンバン使われても困る。

(それにいつまで結界が持つか分からない以上、好き放題暴れられても駄目だ!!)

ミサイルをローリングして避けながら触れるところまで移動した零治。

「………」

その瞬間、零治を一斉に伸びた足が零治を襲うが、既にそこには零治はいなかった。

「………!?」
「………結局のところ、俺は御神流の技を初歩の初歩しか使えるようにならなかった。だけどこうやって魔力を使えば!!御神流・徹!!」

そう言ってムカデの背に乗り手を添え、力を注ぎ込む。
するとブクブクとその部分の装甲が膨らみ始め、零治が離れた瞬間、爆発した。

『零治、爆発したぞ!?』
「何か普通に使ったときと全然違うな………」

本来『御神流・徹』は衝撃を表面でなく裏側に通す撃ち方で威力を徹す打撃法。
高町家の面々の撃ち方だと本気になれば人を殺せるほどの威力があり、零治のブラックサレナの装甲をもっていかれそうになった事もあった。
しかし零治にはそんな威力はなく、精々気絶させるので精一杯なのだ。

それで零治が考えたのが………

「魔力も一緒に『徹して』みたがこんなになるとはな………」

ビクンビクン動くムカデの胴体と足を見て、零治が呟く。
それほど零治にとっても予想外だったのだ。

「はああああ、瞬雷一閃!!」

そんな胴体に向かって超高速でライが通り過ぎた。

「ガガ………」

不気味な機械音と共にムカデが大きくズレる。

「またつまらぬものを切ってしまった………」

ザンバーを斜め上に構え決めポーズまで決めるライ。

「ライ………」
「後はお願いね、優理」
「はぁ………行きます、エターナル………セイバー!!」

優理はライの行動にため息を吐きながらもレイピアに込めた魔力を一気に放出。
それはまさに超巨大な大剣。

その大剣はムカデの足を完全に飲み込んだ。

『………相変わらず容赦ねえな………』
「俺の技が全く目立たないな………まあいいや、取り敢えずこれで………」
『マスター!!』

ラグナルの声を聞いて周囲を見渡すとゆっくりと動く音が聞こえてくる。

「あれは序の口って事か………」
「へん、僕はまだまだ余裕だよ!!」
「私も大丈夫!!」

と余裕そうにそれぞれのデバイスを構えるライと優理。
AMFにも慣れてきたようで、自信満々だ。

『頼りになるな』
「だな………さて、もうひと暴れするぞアギト、ラグナル!!」
『おう!!』
『イエス、マスター!!』

そんな2人と共に零治もムカデ達に向かって駆け出した………











「星………」
「ええ、いますね………」

2人が上空でホテルの様子を見ていると、天井にあるステンドグラスから光が漏れていた。

「加勢に行きましょうか?」
「いいや、レイから連絡があるまで待とう。レイ達なら大丈夫だ」
「そうですね」

そんな話をしていたときさった。

「転移反応………!?夜美!!」
「ああ、今回はゆっくり待っていられないようだ」

星が見ている視線の先には機械仕掛けのプテラノドンの
様な生物だった………









「さて、ムカデ達は簡単にやられてしまったが、コイツらはどうだい?」

もう1つ出したモニターを見ながら男がニヤニヤと笑いながらそんなことを呟く。

「何なのこれは………ムカデといい、その恐竜といい、今までとは全然違う………」
「私の発明品だよ。ガジェットを作ったスカリエッティや、あのバリアアーマーを作ったクレインよりも強硬で量産がマシンモンスター。これが完全に量産できた暁にはミッドなど容易に占領できるね」
「そうかしら………?ミッドには多くの優秀な魔導師がいるわ」
「魔導師?………ククク………クレインがバリアアーマーを発明してから魔導師なんてものは時代遅れなのさ。低魔力の魔導師はAMFを展開すれば何も出来ない。ならばよっぽど機械の方が役に立つ」
「だけどしょせん機械よ」
「当たり前だ、これが生物だったら私が怖いよ」

そんな言葉を吐いた男に水無月は小さくバカにしたように笑った。

「甘いわね………あなたは何も分かってない」
「ほう?私の何が………かね?」
「魔導師は時代遅れなんかじゃないわ。むしろ世界を守る剣よ。それを機動六課が証明してくれる」
「あの広告塔の部隊がかね?確かに教えているのはエース・オブ・エースを始めとした高ランク魔導師ばかりだが、新人達は低ランクの者や傭兵や民間協力者ばかりだろう。とても地上の精鋭が集う七課には勝てないと思うがね」
「………だからあなたはしょせんそこまでの科学者なのよ。有名なマッドサイエンティストはちゃんと人の力を、魔導師の力を分かっていた」
「君こそ理解不能だよ、君は頭が回る方だと思っていたが………」
「あなたこそ流石固い頭ね」

水無月にそう言われ、険しい顔で画面に目を向けた。

「なっ………!!」

驚愕する男が目にしたのは、どの画面もマシンモンスターが破壊された映像だった。










「………新型と思い、警戒したが大した事は無かったな」
「下でも恐らく襲われているのでしょうけどこの程度なら問題ないでしょう」

2人並んで浮かぶ星と夜美。
既に回りにいた機械のプテラノドンはおらず、空には2人しかいない。

「さてどうしましょうか?」
「取り敢えずスカリエッティにデータを送ろう。一応新型であり、AMFも使ってきたしな」
「そうですね、そうしましょう」

そう話し合った2人は連絡を取るのだった………










「お疲れ~!何とか片付いたね!」

結局の所、ムカデは対した事はなかった。
俺はともかく、ライも優理も次々倒していき、残骸だけが広がっている。
いくらAMFが張ってあり、ライの斬撃や優理のディバインバスターを防いだとしても、それが小手調べみたいなものである2人とって全く問題なかった。

ライのスピードにはついていけず、優理の守りも破れない。
………ハッキリ言って前までいたバリアアーマーの方が手強かったような気がする。

『マスター、この先に人の反応があります。どうやら逃げないようです』
『覚悟を決めたって事か?』
「ほぅ………今回は敵さんから話を聞くことが出来そうだな………」
「レイ、油断しちゃ駄目だよ?」
「「ライが言うんだ………」」
「ええっ!?せっかく言ったのに何その反応!!」

アホな事に入り口前で叫んでしまったライ。

「ライ、敵が気がついちゃう!!」
「ご、ごめん!!」
「もう手遅れだけどな………」

しかし部屋の中では特に動きはない。
何か仕掛けるつもりか………?

「2人共、油断せずに行こう………」

俺はそう言って中へ入っていった………










「零治君………」
「先輩!?何でこんなところに!?」

部屋に入ると部屋のベットにロープで縛られた水無月先輩と白い髪の男がいた。

「まさか私の作ったマシンモンスター達をいとも簡単に倒してしまうとはね………いやはや、本当に驚いたよ………」
「お前がクレイン・アルゲイルか………?それにしては余りにもお粗末過ぎる………」
「お粗末とは手厳しいね………これでも並みの魔導師なら手も足も出なくなるように開発したつもりだけど………まあいい、名乗っておこう。………私はドクター・リヒター、冥王教会の科学者をしている」

そう自己紹介をしたリヒターは深々と俺達にお辞儀した。

「なるほど、クレインじゃないのか………」
「君もクレインか………彼には手を焼くよ、管理局であんな名前を売るような事をして………今では我々もコンタクトが取れない始末。一体何を考えているのか………」
「クレインは組織から離れてる………!?」
「おっと、余計な事を話してしまったかな………にしてもここも潮時かな?君達みたいな強力な魔導師が居て、なおかつベヒモスのデータは見つからない………もう時間も無くなってきたし、あのプランで行くしか無いだろうね………」
「お前等は一体何をしようとしている………?」

俺は刀に手を添え、抜刀の構えを取り、リヒターに聞いた。

「詳しくは言えないよ。だけど今度こそ冥王教会が世界を手に入れる。それだけは言っておこうかな」

そう言ってゆっくりと白衣のポケットに手を入れるリヒター。

「それじゃあこれで私は失礼するよ。君達も早めにここから退散することをオススメするよ」

何か手を動かした後、そう言いながら男は水無月先輩へと近づいていく。
するとホテル全体が激しく揺れ始めた。

「これって………もしかして………!!」
「レイ、この建物崩れるんじゃ………!!」
「正解だよ、そこのチビッ子君。ここは後数分も持たないだろう。早めに退散することだね」

そう言ってリヒターは水無月先輩の腕を掴んだ。

「おい、水無月先輩に何をする気だ………?」
「何をとは?この娘は我等の情報を流した裏切り者だ。裏切り者を自由にするのは我々の勝手だろう?」
「そうか………だが、それはさせる訳にはいかないな」
「何を………!?」

その続きを喋る前にリヒターが掴んでいた腕の感覚が無くなっていた。

「おかしいな………腕の感覚が………!?」

そう思い、自分の腕を見ると、肘から下の部分の腕が無くなっていた。

「なっ!?」
「知ってるか?剣の達人に斬られると斬られた感触が無いらしいんだぜ?」
「お、お前………」
「ライ、優理来い!!」

リヒターの腕の状態に呆然としていたライと優理に声をかけ、触れたのを確認した後………

「ジャンプ!!」

俺はその場を直ぐに飛んだ………

「う、腕が………これでは研究が………」

その後、建物は大きな音を立て崩れさった………








「星!!」
「何でこんな!!!」

いきなり大きな爆発音があったかと思ったら建物が崩れていきました。
もしかして中で激しい戦闘が………

「星、待て!!」
「だけど救援に向かわなくては皆が!!」
「落ち着け!!いざとなればレイの転移があれば逃げ延びれる!!我等は逃げてくるかもしれぬ敵を一掃するべきだ!!」
「夜美!!」
「星!!!」

夜美にいつもじゃ出さない様な大きな声で怒鳴られ、頭が冷えました。

「………すいません、冷静を欠いてました」
「いや、我も似たようなものだ。星が我より冷静さを欠いてくれたおかげで我が逆に冷静になれた、礼を言う」

おかしなお礼に互いに笑みが溢れましたが、直ぐに崩れ去るホテルへと目を向けました。
レイなら大丈夫、私達は私達の出来る事を………

「ふう、危ない危ない………」
「うえ、いきなりだったから気持ち悪い………」
「優理はいい加減なれなよ………それとレイ、抱えてる先輩のおっぱいとかちゃっかり触ったりしたら駄目だよ」
「おいライ、俺を誰だと思ってる!!」
「「「年上お姉さん大好き男」」」
「アギト、ユニゾン解いた途端声を合わせてそんな事言うなよ………」

良かった皆無事だ………

「………で、レイ、我等に説明してくれるだろうな?何故先輩を抱えているのかを」

そうだ、何で先輩がレイと一緒に………?

「それはスカさんのアジトで話してもらう。悪いですけど付いてきてもらいますよ?」
「分かってるわ。全て話すわ、私の知っている事全てを………」  
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