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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-44 genuine or counterfeit

 
前書き


本物か偽物か。




この場合は、織斑一夏。夜神鳥麗矢。

 

 


管制室。
ここでは錚々たる顔触れが揃っている。
世界最強、IS発明者、学園最強。その他にも代表候補生やある人の妹というだけで有名である人ばかり。
裏の方では、亡国企業元幹部に織斑千冬のクローン。
第三者がこの顔触れを見ると何処に戦いに行くのかと疑問に思えるだろう。


その人たちの視線は一つのモニターに向いている。
大型モニターに映し出されているのはISを纏った二人の男。


ISは基本のコンセプトとして、男に動かせない、女だけ動かすことが出来るというものがある。
それを、織斑一夏はあっさりと裏返した。ただ、夜神鳥麗矢は例外である。
麗矢が乗っている機体《アルティメット・バード》の深層心理にあるコア人格が麗矢に一目ぼれという形で乗ることを許したのだ。
あの機体は麗矢しか受け付けない。メンテナンスには開発者の篠ノ之束も生みの親であるためできるが。


あの二人は立場が危うい。
学園の治外法権的なものがなければ、あっという間に実験材料にされただろう。
だから学園で保護する。
それでも一夏はデータ取りのために《白式》に乗っている。悪く言えば、モルモットであるが。
麗矢は学園以外からの接触を千冬と束がブロックしている。
公式な場での試合記録は学年タッグトーナメントしかない。それも一試合だけ。


そんな二人が戦っている。
手加減することなく全力で。
普通であればあんなに派手になることはないのだが、麗矢のISの武器類の威力が強いため、あちらこちらで土煙が上がる。
高威力の物を使うと反動が大きいはずだが、それを完全に殺している。
しかもその銃弾がアリーナのシールドエネルギーに当たると一気にエネルギーを持って行かれるのだ。


「――――束」
「うん。れーくん、決着をつけようとしてる。でも、後持って20分。それ以上はれーくんが暴走しちゃう」


モニターに映る麗矢は左目から青い何かが揺らめいて、両手にはあの青いブレードが。
あれは体に多大なる負担をかけるのだが、それを満身創痍の中二本展開した。
束は持って20分というが、楯無はそうは思えなかった。
額から口から止めどなく流れる血液。
エネルギーの限界より先に麗矢の限界を迎えそうだ。


麗矢の行く末を知らないセシリア、ラウラは麗矢を応援する。
行く末を知っている楯無、束そして千冬は浮かない顔をしている。
管制室にいたメンバーの中で三人の暗い表情に気付いたのは鈴だけだった。


試合開始から30分。
三人の表情は変わることはなかった。


      ◯


「……なんだよそれ……それがお前の力なのか?」
「……ゴフッ……ああ、これが俺の単一能力《ワンオフ・アビリティー》だ」


一夏のつぶやきを拾った麗矢は血を吐きながら答える。
体調を心配するが、関係ないと切り捨てる麗矢。


この時、麗矢はほとんど限界に近かった。
もう気力だけで意識を保って、あいつに負けるわけにはいかないという闘志だけで戦っている。
麗矢は闘志が折れることがなければいつまでも戦い続けることが出来るだろう。


一夏の一撃で装甲がボロボロではあるが、ブースターはまだ生きている。
それに超電磁砲も使うことがなかったため、決め手として使えるだろう。
やはり後ろに飛ばされるようにしたとはいえ、ダメージは大きかった。
4分の1を割り込んだ。
だが、それでも不思議と気分が高揚としていた。


先制したのは麗矢だった。
生きているブースターすべて使ってハイパーセンサーですら捉えることが危うくなる領域までスピードを上げた。
一瞬にして一夏に肉薄した麗矢はそのスピードのまま膝を腹に叩きこんだ。


「ガハッ!」


一気に肺から空気が抜けていき、壁にぶつかると空気を求めて喘ぐ。
その影響か視界がかすんで見える一夏。
そんな視界の中で青い一筋の線を見つけ、そこに《雪片二型》を合わせる。


ガキィッと音を立てて、刃同士が打ち合わせられるが、とっさのことで力が全く入っていない一夏は押し込まれる。


視界が何とか回復した一夏は力を込め、押し返したまま攻撃に転じる。
カウンター。
それは直撃コースだったはずだ。


「――――なっ!」


麗矢は高速切換が得意だったのだ。だから、押し返された拍子に上に《スラッシャー=ジェノサイド》を飛ばして、瞬時に《デストラクター》を展開して防いだ。
一夏は動揺を隠せなかったが、今のうちにと麗矢から距離を取る。
麗矢は重力に従って落ちてくる《スラッシャー=ジェノサイド》を掴んで《デストラクター》を量子化した。


再び麗矢から動き出す。
接近して一夏に斬りかかる。
エネルギー構築体ならばと一夏は《零落白夜》を発動させて迎え撃つ。
そして弾いた一夏は攻撃を繰り出す。
三合。七合。――――十六合。……
斬りかかり、弾くか防御、その後攻撃に転じる。
その一連の行動を繰り返す。


《雪片二型》と《スラッシャー=ジェノサイド》が打ち合ってもエネルギー構築体であるはずの青いものが消えない。
無限に続く打ち合い。
段々と焦りを感じてくる一夏。


実は麗矢は《零落白夜》を発動させている《雪片二型》と打ち合う時に『ジェノサイド』を一時的に解除しているのだ。
一瞬のことで青いブレードがちょっと揺らいだぐらいにしか感じない。
この事実を管制室にいる千冬、束、楯無はすぐに気付いた。
だが、目の前にいる一夏は全く気付く様子がない。


きりが無いとみた一夏は一旦離れ、遠くから麗矢に向けて粒子砲を放つ。
避ける様子を見せない麗矢は、自分の前で二本の《スラッシャー=ジェノサイド》を交差させてそのまま突っ込んでいく。
そしてどこに避けたかと探している一夏のもとへ飛び出す。


「これでっ、終わりだ!!」


声を荒げて一夏に向けて一直線に向かっていく麗矢。
声に気付いた一夏は《雪片二型》を麗矢に向ける。
先ほどの衝突の再現になりそうだった。
だが、麗矢は同じことは二度しない。


いつの間にかチャージしていたのか、超電磁砲から紫電が迸る砲弾が出てくる。
それは《雪片二型》に当たり、弾き飛ばした。
交差させたまま一夏に向かう。
一秒もしないうちに肉薄した麗矢は、《スラッシャー=ジェノサイド》を振った。


その瞬間。
辺りを轟音と共に青い爆発が包んだ。そして、青白い閃光が視界を塞ぐ。
爆発の衝撃に二人は巻き込まれる。


爆発が止み、轟音が聞こえなくなり、閃光が消えた。
ようやく確認できるようになると、麗矢と一夏は地面に立っていた。
――――傷だらけになって。


「――――ぐっ。……もう限界か」
「……俺は、お前のおかげで強く、なれた。……でも、まだ、届かないんだな……」
「……あた、り……まえ、だ」


麗矢は一夏のISが解除されて、倒れるのを見てから自分も倒れた。


先ほどの交錯の時、麗矢はまず《スラッシャー=ジェノサイド》を一つ振った。
それを一夏は《雪羅》で防御したんだ。
だが、それで粉々に砕けて、二つ目を防御することもできずに直接くらった。
そして、爆発と衝撃でダメージが増えた。


一夏は麗矢からの攻撃もあったから、エネルギーシールドが切れ、ISが解除された。
麗矢は、ISが解除されることはなかった。
しかし、少しすると解除されて、ボロボロになったルティアが実体化して麗矢のもとへ駆け寄る。


幕切れ。
決着。


本物の勇者と偽物の勇者。
ほとんど同時だったが、勝ったのは偽物。偽物でも勝てることを、本物に勝てるを示した。


    ◯


リザルト、織斑一夏 VS 夜神鳥麗矢。
戦闘時間、41分54。


勝者、夜神鳥麗矢。


 
 

 
後書き
あっ……サブタイトルがかぶってる…… 
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