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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-41 emotion

 
前書き



感情。


この場合は、織斑一夏。

 

 



麗矢が《亡国企業》に復讐を果たした次の日。
麗矢は背中に少女を背負って、隣にいる女性《スコール・ミューゼル》と肩を並べて歩いていた。


昨日、束から連絡があった後、すぐに指定された場所に向かった。
IS学園の第三アリーナに。
そこは麗矢が初めて一夏と戦ったところ。
麗矢にとっても、一夏にとってもそれなりの思い入れはある。


最初は麗矢と背中に背負っている少女《織斑マドカ》の二人で行く予定だったのだが、スコールが同行を申し出てくれて、ここまでの足も出してくれた。
――――感謝している。
口に出して言うと、スコールにからかわれることを知っている麗矢は口には決して出さない。


「どーいたしまして」


と、スコールが言った時は本当にびっくりした。
心の内を読まれている!? とまで思ったほどだった。
顔に出ているとは全く思わなかったが、指摘されて初めて知った。


そんなこともありながらも、ようやく目的の場所が見えてきた。
麗矢は改めて気を引き締める。
麗矢は自分でもわかっていた。


――――麗矢の命はこの戦いで燃え尽きてしまうことを……


      ◯


一夏は心の高まりを抑えられなかった。
ようやく目標に定めたあいつと戦えることに高揚しているのだ。
もう一つある。
シャルロットにどうして攻撃を与えたのかを知るためでもある。


そんな一夏を横目に楯無は人知れずため息をついた。
誰にも見られていていないと思っていたが、同じように事情を知っている束には気づかれていたけど。
力なく笑う束に、楯無は苦笑を返した。


戦いのときは一刻一刻と迫ってきている。
そのことがさらに気分を落ち込ませる。


楯無にはまだ成し遂げていないことがあるのだ。
もうこの気持ちを抱いて10年になるだろうか。
幼いころのこの気持ちは時間が過ぎればなくなってしまうだろうと思っていたが、現実はどうだ。
いつまでたっても忘れることはできない。
それどころか逆に思いは募っていくばかり……
だから久しぶりに再会した時に麗矢のことを押し倒してしまったのだ。
あの時は悶え死そうだった。


今でも顔が赤くなってくる。
――――忘れよう。
楯無は深く息を吸った。


――――よし、収まってきた。


いつもの自分に戻ることはできないだろう。
麗矢が死んでしまったら、もうどうなってしまうのかは自分でもわからない。
当たり前のこと、未来なんて分かる筈もないのだ。
ただ、過去を思い出すことはできる。
今となっては後悔だらけであるが。


麗矢が消えてからの楯無は探すことだけに集中していた。
強くなって、麗矢を見つけて、また昔の日常に戻りたかっただけだった。
麗矢のことばかり考えていたら、いつの間にか自由国籍を持って、ロシアの国家代表になっていた。


そうやって自分のことばかり考えているから、自らの妹にかかる重圧を考えなかった。
妹、更識簪はもう心を開いてくれることもないだろう。
更識とだけ見られて、簪とみてくれない周りの人。
いつも姉と比べられて、知らないところで不愉快にさせてしまった。
自らの姉――――つまり私、更識楯無――――にコンプレックスを抱いて、心を閉ざしたあの少女。


一夏君だったらその壁も破ってくれるかもしれないが、どちらにせよ今のこの関係は変わらない。
私は影であの子を応援して、……駄目だ、それしかできない。
やっぱり、一夏君に頼むしかない。


その結果、無自覚な女たらしだから簪は墜ちるかもしれない。
私? 私は墜ちないわ。だって、麗矢一筋だから……


      ◯


千冬は寮の廊下を走っていた。
つい先ほどまで、調べ物をしていたのだ。……世界最強の名誉のために言っておくが、寝過ごしたわけではない。


麗矢の身に何が起こっているか、それがやっと分かった。
あんなものを作った本人に問い詰めるべく、走っているのだ。


夜神鳥麗矢を調べていくことで分かったこともあった。
日本の戸籍には登録されていなかった。――――夜神鳥麗矢という名では。
全くの赤の他人で登録して、それがばれない様にしていた。親が。
今となっては事実を調べようにも調べられない。麗矢も知らないようだし、当事者たちもすでに亡くなっていた。


まあ、麗矢個人のことは置いておいてもいい。
だが、あのIS《アルティメット・バード》のことだ。
あれに乗っているということは麗矢は自殺志願者なのかもしれない。
自分で機体の性能を分かっておきながら、何の躊躇いもなく乗っているのだからそう思うのも無理はない。


束は知っている。作った本人だから。
しかし、原因は分からないという。
ISコアでさえ、ブラックボックス的な存在であるのに、その上あの機体。
束が言うには、あれは麗矢にしか動かすことが出来ない。
深層心理にあるコア人格が目覚めたことである程度分かったらしいが。


纏めて言ってしまえば、コアが麗矢にだけ認めた。ということなのらしい。


あいつは気にしている様子は見えなかった。
互いの了承の上で載っているのだろう。
そこまでして果たしたいことなのだろうか。


分からない……
千冬は何とも言えないものを心に秘めながら、駆けてゆく。


      ◯


IS学園、正門前。


麗矢と一夏は向かい合った。
一夏の側には、箒、セシリア、鈴、ラウラ、楯無、束、真耶。
後ろから肩を上下させながらもゆっくりとこちらに歩いてくる千冬の合計9人。
一方麗矢の側はスコールと、麗矢の後ろに隠れているマドカの3人のみ。


一夏たちにはマドカのことは見えていない。
麗矢が臨戦態勢に入っていて一瞬たりとも麗矢から目を話すことが出来ないからである。悍ましい殺気で。


「麗矢、どうしてシャルにあんなことをしたんだ」


やはり聞いてきた。
そこの点はどうしても気になるところなのだろう。
麗矢は一旦目を瞑って、一つ間を開けてから再び目を開き、言った。


「正当防衛」
「――――ッ!! てめえっ!!」


一夏が激情する。どうしてあんなにも自分のために動こうとしないのか。自分を犠牲にして、他人のためにあんなに怒って、力を振るう。
力を他人のために振るうことはいいことであるとは思う。だが、結局は自分のために、自己満足のために、力を振るって、力に物を言わせて解決する。


セシリアと戦っているところを見たことはないから分からないが、鈴の時がそうだった。
あのまま続けていたら一撃大きくダメージを与えていただろうよ。所詮そこまでだったが。
国家代表として、負けるわけにはいかない鈴は全力で戦ったはずだ。
あの時の互いの実力を考えると、軍配は鈴に上がるのが確実。
自分の力の無さをそこで実感していればよかったのにと思う。


次にシャルロット・デュノアだ。
最初から女だっていうのは分かっていた。
一夏がそれを知った時にほかの権力を使った。
案に自分では何もできないと言っているようなものなのに、気づくことなかった。


挙句の果てにラウラの時。
あいつは千冬姉、千冬姉と叫び他人にすがっているだけではなかったか。
お前がそれに乗るな? 御託を並べるのもいい加減にしてほしかった。
自分では何もできなかったのに。
一時の感情に流されて、ろくに考えもせずに突っ込めばああなる。
だから麗矢はご丁寧に気絶させたのだ。
綺麗事には飽きた。


「一夏。俺はこう思う」
「何だよ、言ってみろよ」
「確かにやり過ぎたとは思っている。だが、先に銃を向けたのはあっちからだ。少々、過剰防衛だったが……そこまで。法に頼ると、裁かれるのは俺もあいつもだろうが、あちらの方が重いはず……いや、このご時世、俺の方が重いか」
「だからと言って、許されていい訳が――――」
「言っただろう。俺は自分の非を認めているんだ。あいつが銃を向けた。そして、俺が、クラスター爆弾を爆発させた。それだけの話だ」


一夏の感情は歯止めがきかないようで、次から次へと何かしら言ってくる。
麗矢からしたら、ただの我が儘にしか聞こえない。
というより、マドカが怖がっているからやめてほしいそうだ。
口にも顔にも出さないが。


「じゃあっ、何でシャルを斬ったんだ!!」
「…………あの攻撃届いていたのか?」


麗矢は分からないといった様子。
それを見た一夏はさらに声を荒げる。
見かねた楯無が、麗矢に告げる。


「ええ、届いていたわ……あと数ミリ深かったら即死だったそうよ」
「そうか……それはすまないことをした。悪かった」


そう言って、頭を下げた麗矢。
一夏は許そうとはしなかったが、千冬に言われて戦いの準備に入った。
同じように麗矢にも言おうとして麗矢に振り向いた時だった。


「あなたが……私の、お姉ちゃんなの?」


千冬は麗矢の前に麗矢に支えられるようにして立つ少女を見て激震が走った。


 
 

 
後書き
サブタイトルのネタ切れ。無理して英単語にすることなかった。
文才がほしい……




そんな作者の叫びを無視して、先日見たなのはの映画について。
どうしてあんなに悲しい物語なのだろうか?
卒業式で泣くことの無かった私ですが、なのはは映画を見るたびに泣いてしまいます。


なんだか切なくなってくる物語。
見ていて、悲痛な叫びを聞いて、心が痛む。 
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