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妖刀使いの滅殺者

作者:雨の日
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第2話

 
前書き
はるやすみ
 やることなくて
  ひきこもり

…なんとなく頭に浮かびましたww 

 
「じゃ、頑張ってねぇ!」

現在、朝の6時。昨日、≪ラグーラビット≫を取りに行くことを約束した(正確にはさせられた)せいで、朝靄も晴れていない早朝からホームを追い出されてしまった
街の中央にある転移門で、昨日、キリトと会った狩り場に向かう

「転移、コットタウン」

視界が青く染まり、何も見えなくなる。…のはたった数秒で、直ぐに視界は晴れ、眼前には高層ビルに似た建物が立ち並ぶ街並みが広がっていた

「早く終わらせよ…」

重い足取りで広大な草原に向かった。フィールドに出ると、街内で見せていた暗い雰囲気をぬぐって、戦闘モードに切り替える。いくら安全マージンをとっているとは言え油断は禁物だ

「索敵っと」

まずは索敵で≪ラグーラビット≫をさがすが、S級食材がそう簡単に見つかる訳もなく、雑魚しか見つからない
俺は仕方なく、辺りにいるモンスターを全滅させるために、一番近い≪ニードルワロン≫の元へ向かった

「早速始めますか…」

黒印を抜き、正面から突っ走る。≪ニードルワロン≫も俺に気づき、タゲをとってきた。だがそんな事お構いなしに黒印を両手に構える、と、刀身が紫に輝く

「でやぁぁぁぁぁ!!」

威勢のいい声と共に高くジャンプし、上から強烈な一撃、≪疾風雷神・斬≫を見舞う。≪ニードルワロン≫は、直立不動のまま黒印を喰らう

「まだまだぁ!」

黒印を構えなおして≪ニードルワロン≫に反撃の隙を与えずに、切りつける。その姿は「型」となっていて、スキル無しでも確実なダメージを与えていく
≪ニードルワロン≫は俺の攻撃を喰らいながらも反撃の一撃を繰り出してくる、が、背中から飛び出した針の直線上からすでに俺は離れ、反撃を一撃も喰らわずに綺麗に体力を削りきった

「さて、と。≪ラグーラビット≫はいるか、、、!?」

索敵スキルを使うと、何と直ぐ近く、もっと言えば背後に≪ラグーラビッツ≫がいた。俺は息を殺してゆっくりと振り返る

――いた

≪ラグーラビット≫はこの世界で最速を誇る敏捷度を持っていて、俺なんかの敏捷度じゃ確実に逃げられる。が俺には筋力がある。黒印をゆっくりと構え、≪風雅・散≫のモーションを発動させる。そして…

「ふんっ!」

距離にして約10メートル。ぎりぎり黒印の「射程」内だ
ズバーンと綺麗な音と共に青いポリゴンが四散した
その音を聞いて俺は軽く握りこぶしを掲げたが、直ぐに我に返りアイテムウィンドウを開いて≪ラグーラビットの肉≫が入手出来たかを確認した。すると、青い半透明なウィンドウに、確かに≪ラグーラビッツトの肉≫の表示があった

「よっしゃ!これでアイツも満足だろうな…」

俺はウィンドウを閉じて、転移結晶を取り出そうとした、がすぐ近くにもう一体の≪ラグーラビッツ≫反応がマップに表示された。俺は自分の体力バーを確認すると、駈け出した。本来筋力度だけを底上げしている俺は普通に走っても全くスピードは出ないが、地面を一回一回強く蹴る事で、短距離であればかなりのスピードがだせる
草原を風のように駆け抜け、≪ラグーラビット≫の元へ着くと、先客がいた。キリトだ
キリトはピックの≪シングルシュート≫で≪ラグーラビット≫を打ち抜き、青いポリゴンが散った

「おめでとさん」

≪ラグーラビットの肉≫をウィンドウで確認していたキリトは背後からの俺の声に両肩をビクンと硬直させた

「そんなにビビんなくてもいいだろ…」

「ははっ…イキナリでびっくりしてさ」

「そういや、≪ラグーラビットの肉≫俺もゲットしたぜ」

キリトは目を丸くして、また驚きの表情を浮かべたが、直ぐに思い当たる節を思い出して、くすくす笑い出した

「アイツに頼まれたのか?」

「あぁ、おかげで朝早くから狩りだよ…。でもまぁ直ぐ見つかってよかったぜ」

「相変わらずレイは強運もってんなー」

「まあな、てかお前も例のスキルあるんだから強運じゃねぇか」

俺とキリトはお互いの顔を見て笑い出した

「でもお前、誰に料理してもらうんだ?」

「え?」

俺はまさか、といった目でキリトをみた

「S級の食材はレストランじゃ料理してくんねぇぜ?」

一瞬の静寂

「えぇぇぇえええぇ!?」

俺はコメカミを抑えながら続けた

「ちなみに、内はお断りだぜ」

「な、なんでだよ!」

ため息を着いてから俺はキリトに俺のステータスを可視状態にして見せた

「あ…」

「そ、今日は俺の誕生日。つー訳で、アイツが多分はりきって料理するからなぁ」

そう。今日は俺の誕生日なのだ。昨日の「食べたくないの!?」の意味は「一年に一度のイベントにS級食材食べたくないの?」という意味が含まれていた。そして俺は、≪ラグーラビットの肉≫をどうしようか迷っているキリトに隠れてアスナにメールを送った

「キリト、とりあえずエギルのとこにでも行ってみろよ」

キリトは、え?といった表情になった

「なんでだ?」

「あそこならいろんな人が集まるだろ、ひょっとしたら暇な料理人がいるかもよ」

「暇な料理人なんているのかよ…」

俺はにやぁと笑った

「いいから行くぞ!」

半ば強引にキリトを壁ことエギルのもとに誘拐した
エギルが店を出しているのは、55層の僻地で、中世の街並みに、いかにもありそう商店街で、たくさんのプレイヤーがアイテムの売り買いしにこの街に溢れかえっている
俺とキリトは転移門をくぐって、早速エギルのもとに向かった。しかし、俺の目的はここに溢れるプレイヤーではなく、さっきメールで呼びつけたアスナだ
5分前――
『キリトがおいしい食材を入手したが料理人がいなくてこまってるZE!ちなみに、これからエギルんとこ行ってきまーす』

このメールを送って、ウィンドウを閉めるわずか2秒の間にアスナはメールを返してきた

『すぐいくわ!』

漢字変換もせずにそっけないメールが返ってきた。がその文面だけでアスナのキリトに対する異存っぷりがよくにじみ出ていた

閑話休題-終

「よっエギル」

「おぉ!レイにキリトじゃねぇか、久しぶりだな!」

一瞬壁がしゃべったのか?と目を疑いそうなほどごつくていかついスキンヘッドが店から顔をだした

「今日はどうした?」

「いや、こいつをゲットしたけど料理人がいなくて…」

エギルは俺をみた

「?レイんとこにいるじゃねぇか、料理人」

キリトはため息をつきながら俺の代わりに答えた

「今日、レイの誕生日なんだと…」

エギルはなるほど!と両手をポンっとついた

「なら二人っきりにしてやらねばな」

明気に何かにやにやしながらエギルがこずいてくる

「俺のことはいいからこいつに料理人、紹介してやってくれないか?」

と、そこへまるで見計らったかのように、赤と白の防具に身を包み栗色の髪をなびかせた、kob副団長(正式名称は血盟騎士団)のアスナがあらわれた

「キリトくん」

キリトは振り返り、アスナの手をつかんだ

「え?え?」

「…シェフ確保」

「キリト、食い意地張りすぎだ。せめて名前で呼んでやれよ…」

アスナが頭に???を浮かばせている

「アスナ、料理スキルっていまどのくらいだ?」

キリトが手をつかんだまま、アスナに尋ねる

「聞いて驚きなさい。先週コンプしたわよ」

キリトの目が丸くなった。ちなみに後ろでは壁が目を丸くした

「てことはアイツにようやく追いついた訳か」

俺はニヤッとしながら言った

「そうよ!…あっ!師匠にお礼言うの忘れてた、レイ君これ渡しておいてくれない?」

アスナがアイテムを渡してきた。それは中身が見えないようになっていて、掌サイズだがずっしりとした重みだった

「?これは?」

「この前頼まれてたアイテム。中身は聞かないでね♪」

そこまで言うなら開けまい
俺はそのアイテムをアイテムストレンジに入れた

「で、その料理スキルの腕を見込んで頼みがある」

「?なぁに?」

キリトは素早くアイテムウィンドウを開いた

「え!?≪ラグーラビットの肉≫!!?」

流石のアスナもS級食材を目にしたのは初めてのようだ

「でも、料理ならレイの…」

以下同文

「なるほどね…わかったわ。料理、引き受けたわ」

「っと、キリト、お前どこで料理してもらう気だ?まさかGがいるおまえんちとか言うなよ…」

再びキリトはうなだれた

「し、しまった…。Gはいねぇが流石に…」

「はぁ、仕方ないわ。うちに来なさい」

アスナの大胆かつ爆弾発言に俺は肝を抜かれた

「いいのか?」

キリトの目が輝いた。が、そんな空気をぶち壊す声がアスナの背後から聞こえてきた

「いけません!アスナ様!!」

防具はアスナと似ていて赤と白で腰には大剣をさしていた

「こんなゴミだまりに顔を出すだけでなくこんな得体のしれない男を部屋に招くなど・・!」

なんだコイツ…
男はアスナの手を無理やり引っ張って連れ戻そうとした

「別にいいでしょ!離してよ!」

「お…」

「おい…」

キリトよりも早く俺が声をあげた
その声には確かな怒りと殺意がこもっていて、殺意を向けられていないはずのキリトでさえ恐怖をかんじた

「離してやれよ…」

「うるさい!貴様もたかだか一プレイヤーのくせにアスナ様になれなれしいぞ」

「アァ!?離せっつってんだよ?聞こえてんだろ?」

「あ、いな」

俺の気迫にひるんだ男はゆっくりと手を下した

「あ、ありがと」

アスナが手首をさすりながら感謝を述べてきた

「レイ、こえぇな…」

キリトは完全に俺の殺意にビビっちゃったな

「き、貴様等…!?あっ!思い出した!」

男が気味の悪い笑みを浮かべた

「黒い防具に片手剣、貴様はベーターだろう!そしておまえは…」

俺のことを指差したが声が出てきていない

「俺は、何だ?」

「…っ。す、スレイヤーだろ!」

スレイヤー。その通り名は聞けば誰もが知っている名だ。キリト、エギルはあちゃぁといった表情だが、アスナや街をあるくプレイヤーはただ驚いている

「で、そのスレイヤーが俺だったら何か問題でもあっか?」

「おおありだ!貴様など、チーターにも値する!」

チーター呼ばわりされる事に慣れている俺は何ら動じずに真っすぐ男を見据える

「クラディール!いい加減にしなさい!」

「しかしアスナ様、私から言わせてもらいますとコイツ、スレイヤーこそがこの世界の元凶、つまり茅場ではないのでしょうか!」

さすがにこの言葉には誰もが俺を見た
もちろん俺は茅場ではない。ただのこの世界の被害者だ。いや、あながち間違いでないかもな…

「クラディール!!」

クラディールはただ、言ってやったと言わんばかりの顔だった
が、それはキリトによって打ち砕かれた

「おい、お前本気でレイが茅場だと思ってんのか?」

「あぁ。でなければ、スレイヤーなどと異名がつくまい!」

「ふざけんな!!」

キリトがかなりの大きさの声をあげた。これには俺も少々驚かざるを得なかった

「レイはなぁ、苦しんでんだ!自分のせいで仲間も…」

「キリト、それ以上はいい。っとクラディールだったか?今俺の機嫌は最高にいいんだ、だから、さ。さっさと失せてくんない?」

キリトの怒声と俺の「さわやかな」笑みにクラディールも怖気づいたようで、さっきまでの威勢がすっかり消えていた。これを好機とみたアスナが追い打ちをかける

「クラディール。今日の護衛はこれで終了。即刻この場を離れなさい」

「んな…ッ!?ちっ…」

静かに言い放たれたその言葉はクラディールをここから追い払った。俺は奴が去ったのを確認すると二人に礼を言った

「別に、アイツが気に入らなかっただけだよ」

「それに、悪いことしちゃったしね…」

アスナが申し訳なさそうに頭を下げた

「いいっていいって。全く気にしてねぇから」

「でも…」

俺はなお頭を下げようとするアスナを真っすぐ見据えてこういった

「後ろばっか振り返ったって前には進めねぇンだ」

「レイ君…」

ずいぶんと重い空気になってしまった

「兎に角、邪魔者は消えたんだ、アスナんとこでディナーしてこいよ二人っきりでナ」

二人の顔は確かに赤く染まっていた。その光景だけで俺の心は満たされていった気がした
その後俺はフィールドに出て6体ほどだが経験値の高い≪プラデル・クオーツ≫を狩ってアイツの待つホームへ帰った 
 

 
後書き
レイ「なぁ作者さんよー」

雨の日「なんだねレイ君」

レイ「もう少し戦わせてくんねぇか?」

雨の日「……善処します」

レイ「大体さぁ、戦闘してる描写が10行ってさぁ、どんだけチーとなんだぁ?」

雨の日「だ、だから善処するって…」

レイ「こんなんじゃ、余裕勝ちの戦闘しかできないぜぇ」

雨の日「……(YOY)」

雨の日「これからもっと頑張ります…」

レイ「てな訳で心優しい読者の皆様、感想だけでなく指摘やアドバイス。お待ちしてまーす」 
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