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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-35 whereabouts

 
前書き



行方。


この場合は、夜神鳥麗矢。更識楯無。


 

 


楯無は麗矢のことが気になって全校集会どころじゃなかった。学園の長がこんなではいけない。
でも、自分が恋した相手がいなくなってしまった。行先が気になる。
急に姿を消した麗矢が行く先と言えばどこか。
……だめだ、分からない。


集会では会長挨拶があるが、正直そんな内容を考えているほど余裕はなかった。
自分の想い人がどこかへ消えてしまった。
これじゃあまるで八年前と同じではないか。
私はまた想いを告げることもせずに、あの人と別れなければないのか。――――そんなのは嫌だ。
別れるのは嫌だ、けど思いも告げずに別れるのはもっと嫌だ。


昨日までは元気な姿を私に見せてくれたのに、どうしていきなり居なくなってしまうのか。
思えば楯無は麗矢のことをよく知らない。
麗矢のことで知っているのは極僅か。
誕生日と性格。
この二つだけである。――――ちなみに麗矢は12月25日生まれ、ホワイトクリスマスだった。性格は面倒くさがり屋ではあるが、やると決めた以上やる人であった。


ISをどこでもらったとか、今までどこにいたとか聞くことはなかった。
せっかく再会できたのに、今の関係が崩れるのは嫌だった。
でも、もう会えなくなるのならば今の落ち着いた関係を崩してでも想いを伝えてしまいたい。
この言うことを聞かない気持ちを抑え込むのではなく、正直になってしまいたい。


もう全校集会は始まる。
麗矢の存在はトップシークレットではあるが、学園内の人なら知っている。
いなくなったのならすぐに噂が立つだろう。
噂が立つことは仕方がない。女性はそういうものが好きなのだから。
だけど悪い噂が立ってしまうと収まるまで時間がかかるものだ。
その間麗矢のことを悪く言われるのは我慢ならない。
どうにかしないと。


その時であった。
ISの通信端末、もっと詳しく言えば個人通信《プライベート・チャンネル》を通してメールが来た。
誰からだろうと思いつつ開く。
そのメールは『夜神鳥麗矢』からの物だった。
今まで椅子にもたれていた楯無は驚きのあまり勢いよく立ちあがった。
その様子を見ていた従者である布仏虚は楯無にどうかしたのかと聞く。
楯無は気を取り直して心配してくれた従者に何でもないと言いつつ、心の中では感謝を忘れない。


楯無は意を決して麗矢からのメールを開いた。
その内容は――――


【東経141度、北緯25度で待っている】


たったそれだけだった。一文のとても短い文。
しかし、同時に麗矢らしい文だった。とてもシンプルなもの。


当然疑問に思う楯無。
東経? 北緯?
一見するとどこかの場所を現しているのだろうか、そのように見える。
――――と、ここで楯無は閃いた。


これはただ単に場所を示しているだけで、それだけなのだろう。
虚に頼んで日本近海の地図を持て来るように言う。
疑問に思われながらも指示に従って地図を持ってきてくれた。
楯無はすぐさま開いて目的の場所――――東経141度、北緯25度を探す。


麗矢が示したところは東京都に属する小さな島々がある。
代表的なものと言ったら、八丈島や小笠原諸島あたりだろう。


「ここだ……」


楯無は見つけた目的の場所を。
小笠原諸島に属する島。だが、有名どころではなく少しマイナーな島である。
しかし、戦争ものの映画にこの島を中心としたものがあった。
この前、その映画が流れていたがよく見ていない。
麗矢のもとへ行こうとするが、あの辺りは火山列島である。
危険が伴う。
だが、楯無は躊躇うことはなかった。


「……私、これから出かけるから。集会、お願いね」
「! いきなり何を――――」


楯無は虚の言葉を最後まで聞くことはなく、あっという間に生徒会室を出ていった。
一人残された虚は額に手を当てて、ため息をついた。
これからのことを考えると虚は少し憂鬱になってくる。
でも、もう慣れてしまった。
楯無の突発的な行動は今に始まったことではないのだから――――


      ◯


楯無は校舎から出て、走っていた。
ふと前の方に見慣れた後ろ姿が見えた。金髪の髪と銀髪の髪、駆け抜けているため、風になびいている。
セシリアとラウラだ。


「あなたたちも麗矢から手紙をもらったの?」
「ええ、そうですわ」
「そうだ」
「行先は分かっているのかしら?」


楯無は二人に聞いた。
セシリアが答えると思いきや、意外にもラウラが答えた。


「愚問だ。それよりもさっさと行くぞ」


二人と一人は合流した。
三人は教師に無断でISを展開する。
楯無が先行してセシリアとラウラが並行する。
目指すべき場所はみんな分かっている。だからこそ学園を抜け出したのだ。
後で千冬からの説教が待っているかもしれないが、今は考えない。
恋は思案の外という言葉を知っているだろうか。恋する人の気持ちや行動は常識や理性では割り切れないという意である。
まるで今の三人のようだ。普通では無断先行などしない。
よこしまなことは全く考えることはしない。ただ、麗矢のことだけを考えて飛んでいく。


――――目的地【硫黄島】へと。


 
 

 
後書き
ううっ……話が思いつかない……

ここから先は不定期更新になると思います……
できるだけ、毎日更新していきたいとは思いますが。何卒ご理解のほどをよろしくお願いします。 
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