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好き勝手に生きる!

作者:月下美人
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第十二話「アーシアちゃんがお引越しです」



 皆さま、こんにちは。兵藤一誠です。いかがお過ごしでしょうか?


 現在、私は夢の中にいます。なぜ夢の中と断言できるかって?


 それはもちろん現実ではありえないことが起こっているからですよ。空を飛ぶ夢を見た時は確実に夢だとお分かりになりますよね。それと同レベルの事態が起きているんですよ。


 なにせ――。


『おい、小僧。いつまで黄昏ているつもりだ』


 私、只今ドラゴンと向き合っている真っ最中なのですから。


 赤い鱗で覆われたその身は見上げるような巨大な身体。大きな目は真っ直ぐ俺に視線を合わせ、赤い瞳からは感情の色は伺えない。


 耳まで裂けた口には鋭い牙が何本も生え揃っていて、俺に本能的恐怖を与えていた。


 そして、何よりも印象的ななのはその背にある巨大な両翼。


 その姿は西洋のドラゴンそのもの。


 気がついたら目の前にドラゴンがいたって何の冗談ですか……?


 ぶっ飛んだ夢だわー、と思っていると、目の前のドラゴンは興味深そうな目で俺の顔を覗きこんだ。


『ふむ、驚いてはいるが変に冷静だな。今代の宿主はまた変わり種のようだ』


 ドラゴンさんがなにか言ってるよ。


『俺の名はドライグ。赤龍帝と謳われし二天龍が一柱よ。お前の神器に宿っている者だ』


 ドライグ? 赤龍帝? 俺の神器に宿ってるって、どういうことだ……?


『それについてはまたの機会にしよう。――ようやくだ。今までずっとお前に話しかけていたが、お前が弱すぎたせいか今の今まで俺の声が届かないでいた。だが、ようやくだ。ようやく、表に出ることができた』


 え、えっ? うそ、俺の中にずっとこのドラゴンがいたの? 今まで全然気がつかなかったぞ。


『それはお前が弱すぎるからだ。だが、まあいい。今回は顔合わせが目的だ。いずれ、また話そう。なあ、相棒……』





   †               †               †





「ドラゴン?」


 放課後、俺は今朝見た夢を部長に話してみた。


「ええ、ドライグっていうんですけど、俺の神器に宿っているって……。それと赤龍帝だとか何だか言っていました」


「赤龍帝ですって!?」


 驚愕の表情で部長が俺を見た。そこまで驚くことなのか? 見れば他の部員たちも呆気にとられた顔で俺を凝視している。


「神滅具の一つで『赤龍帝の籠手』だなんて……。どうりで駒を八つも消費したはずだわ」


 ソファーに背中を預け、首を振る部長。なんでしょうか、その反応は?


 事態の変動についていけず首を傾げる俺に木場が説明してくれた。


「数ある神器の中でも、神すら滅ぼすことが可能な力を持つと言われる特殊な神器のことだよ。現時点で十三種の神滅具が確認されていると言われている。『赤龍帝の籠手』は一度しか力を倍増しない『龍の籠手』と違い、十秒ごとに力を倍増するんだ。やがてその力は神をも屠る」


 解説サンキュー。っていうか、神を殺せる神器ってどんだけだよ! 俺の神器ちゃんってそんなに凄い物だったのか……。


 まさかのカミングアウトに愕然としていると、朱乃さんの膝に座っているレイがP〇Pから顔を上げた。朱乃さんの膝上でクッキー食べながらゲームとか、相変わらず羨ましい奴だな……っ!


「赤龍帝かぁ、どっかで聞き覚えがあるんだけどな……どこだっけ?」


「そうなんですか?」


「ん~……思い出せないや!」


「うぉい! なんじゃそりゃ! 期待しちまったじゃねえか! ……って、朱乃さんもあらあらって甘やかさないでください! ああもうっ、服にクッキーの食べ滓がついてるぞ」


 そうやって口に詰めるから、ポロポロ零すんだ。喉に詰まらないか見ていてハラハラする。


「なんだか父親みたいね」


「……手間のかかる子供の世話をするイッセー先輩」


「イッセーさんは世話好きなんですねー」


「意外と似合ってるね」


 部長、それ洒落になりませんから! 小猫ちゃん、やりたくてしているわけじゃないからね!? アーシアも 変なこと言わないで! 木場! お前はなにも喋るな!


「あらあら、また新しく家族が出来ましたわね」


「お父さん……イッセーパパ?」


 いや、朱乃さん、冗談にも程がありますって! そして、レイ! 誰がパパじゃぁああああ!


「でもイッセー、パパって感じがしないからいいや」


 レイの一言が意外と胸に刺さったのは何故だろう……。やっぱり見た目美少女だからか? そうなのか?


「まあ、イッセーのことはいいとして。あなたたち何かあったの? レイと朱乃、以前よりさらに仲が良くなってるから気になったんだけど」


 と、部長。それは俺も気になっていた。別段、特に変わった所はないように見えるんだが、なんというか、こう……甘ったるい空気? バカップルまではいかないにしてもそれに近しい空気を感じるぞ。口から砂糖を吐くような。


「何もありませんわ。わたくしたちはいつも通りですよ。ね?」


「ん! 朱乃お姉ちゃんとは仲良こよしなのです。ブイブイ!」


「「朱乃お姉ちゃん!?」」


 なななななにを言ってるんだコイツは! あ、朱乃『お姉ちゃん』だと!? 驚きのあまりに部長と声がハモちゃったじゃねぇか!


 ソファーに座って黙々と羊羮を食べていた小猫ちゃんも驚愕で目を見開き、テンポよく口に運んでいた手がピタリと止まった。


 木場も驚いた顔でレイたちを眺めていた。


 アーシアちゃんはよくわかっていないのか、可愛らしく首を傾げているけれど……。


 ――って、そんなことより!


「どういうことか説明してくれるかしら、朱乃? いつの間に『お姉ちゃん』だなんて呼ばれる間柄になったの?」


 そうだそうだ! 言ってやってください部長! あ、朱乃さんは悪くないんですよ? 悪いのは全部レイなんですから。


「ふふ、それはヒミツ、ですわ」


 人差し指を立てて可愛らしくウインクする朱乃お姉さまに萌えた。


 くそっ、こんな綺麗で可愛らしくておっぱいの大きい二大お姉さまを姉呼ばわりできるなんて、羨ましすぎる!


 レイって、あの顔にあの性格だから女子にはすごい人気なんだよな。小猫ちゃんと同じくマスコットキャラとしての知名度は非常に高く、こいつの食事風景を人目見ようと他クラスどころか他学年の女子が教室に押し寄せてくる始末だし。


 くっ、これだからイケメンは! ……こいつの場合、イケメンって言うのかな? 最近イケメンの定義が揺らいできたな、帰ったら辞書で調べなければ。


 あーあ、俺もモテたいなぁ……。





   †               †               †





「ぜぇ……ぜぇ……」


「ほら、もたもた走らないの。まだダッシュ六本残ってるわよ」


「お……おー、っす……」


 早朝五時、息を切らせながら俺は住宅街を走り込んでいた。


 フラフラになりながら走る俺の後ろを自転車に乗った部長が発破をかける。あ、相変わらずキツイ……。


 俺が人間から悪魔に転生してから一ヶ月が経過した。主である部長――リアス・グレモリー様の下僕として新たな人生を歩み始めた俺は日々、悪魔としての仕事に励んでいる。


 悪魔っていうのは人間に呼び出され、代価と引き換えにその人の願いを叶える〈契約〉を生業としている。それだけが悪魔の仕事というわけではないらしいが、新人の下僕悪魔である俺はこの〈契約取り〉を主な仕事としている。


〈契約取り〉には下準備として悪魔を召喚する魔方陣がプリントされたチラシを配るんだ。そしてチラシを経由して依頼者の下に召喚される。


 俺も悪魔である以上、魔方陣で召喚されると思っていたのだが、そうはならなかった。





 ――あまりに魔力が少ないがために、転移できないんだ。





 なんだよ赤子以下の魔力って! 某ゲームのように格好良く召喚されて、


「グレモリーが眷属、サーヴァント〈ソルジャー〉。求めに応じて参上した……。問おう、貴女が私の依頼主か?」


 って、やってみたかったのにぃぃぃ! キリッと決めてよぉぉぉ!!


 なんなんだよ、跳べないからチャリで訪問って!? 俺はセールスマンか!? しかも呼ばれる相手は変態ばかりだし!


 依頼の相手によって担当の悪魔は異なる。現に木場はお姉さま方を担当しているらしい。イケメン死ね!


 ちなみに俺が今まで担当してきた依頼者はやれコスプレ好きの変態だったり、頭に猫耳を付けたゴスロリ姿の巨漢だったりと、まともな相手だった試しがない。しかも何故か毎回おかしな方向に話しが飛びキチンと契約ができたことがないし。まあ、なんだかんだ依頼者には満足してもらって高評価は得ているんだが……。


 この〈契約取り〉を何度も成功させれば魔王様からの評価が高まるんだそうだ。ということは仕事しまくれば王様から爵位を貰えるかもしれない。


 俺には夢があるんだ。大きな夢が。爵位を貰って夢を叶えるんだ。


「ハーレム王に俺はなる……ぜぇぜぇ」


 走りながらつい声に出てしまった。


「そうよ、そのためには基礎体力からつけていかなくちゃ。少しずつ強くならないといけないわ」


 ええ、分かってますよ部長。


 未だに見習い悪魔で下僕な俺だが、活躍しまくって出世すれば爵位を貰える。そうすれば、俺も部長のように自分だけの下僕が持てるんだ。


 そうさ! 美女や美少女を集めて、俺だけのハーレムを作るんだ! 夢の世界を実現させるんだ!


 そのためには強くならないといけない。悪魔の世界は弱肉強食、圧倒的な腕力がものを言う実力主義の世界だ。


 知力や交渉力なんかでも上を狙えるらしいが、残念ながら俺のオツムはそんなに良い出来じゃない。そのため、こうして体力作りに精を出していた。今では早朝訓練は日課となってきている。


 ちなみに、部長はスパルタです。


「私の眷属が弱いだなんてことは許されないわ」


 とのことで、訓練に関しては一切の妥協なし。毎朝に十キロ近くを走らされ、その後はダッシュが十本。腕立て、背筋、スクワットなんかの各種筋トレは数えたくない程やっている。ぶっちゃけ、よく身体を壊さないなと思うような訓練メニューだ。つい最近まで帰宅部だった奴がやるようなメニューじゃないよ。しかし、俺の神器は基礎能力が高ければ高いほど真価を発揮する。そのための訓練でもあるんだ。


 悪魔は夜に力を発揮する住人だ。夜になると力が漲ったり、暗い場所が昼間のように明るく見えたりするのはコレが関係するらしい。逆に朝日は苦手とする。この辺はなんだか悪魔っていうか、夜に生きる者のイメージに合うな。


 そのため、訓練も日中に行った方が精神的にも鍛えられると部長は仰る。


 始めは地獄のような筋肉痛に苛悩まされたが、成れというのは恐ろしいもので今では何だかんだとこなせるようになってきている。自分でも日々、成長していることが分かるし、体育の時間なんかはそれが顕著だ。力をセーブしないと信じられない記録を叩きだしてしまうもんな。いやはや、人間と悪魔の体の構造の違いを様々と思い知らされたよ。


「はぁ……はぁ……」


 漸くゴールである公園に辿り着くことが出来た。膝に手をついて呼吸を整えると、全身から汗がブワッと噴出してくる。


「よく頑張ったわね。じゃあ、次はダッシュいくわよ」


 部長の笑顔が死神の笑顔に見えるのは気のせいだろうか?





   †               †               †





「イッセーさん、お茶です」


「あ、ああ……ありがとう」


 水筒を持参してやって来たアーシアからお茶を貰う。さっきまで腕立て伏せを五百回していたため腕はガクガクだ。でも、漸く一息つける……。


 アーシアはここ最近こうして俺のトレーニングに付き合ってくれている。水筒や軽食なんかを持参して。やっぱり美少女の応援は体に力が入りますな。アーシアの前で格好悪い姿なんて見せられないぜ。


 アーシアのためにも力をつけないとな。もう二度と寂しい思いをしてもらいたくないし。


「……」


 そういえば、部長が大人しいな。見ればお茶を飲みながら何かを考えている様子だった。


「どうかしたんですか、部長?」


 声を掛けると、ハッと我に返りコホンとと咳払いをした。


「いえ、なんでもないわ。それより今日にしようとしていたから、このままイッセーの家に向かいましょうか」


「へ?」


 なんの話ですか?


「もう荷物も届いてる頃でしょう」


 この言葉の意味を理解するのは今から丁度十分後だった。





   †               †               †





「ええ!? アーシアが俺の家に住む?」


 自宅にたどり着くと、玄関前には大量の段ボールが積まれていた。しかも、これらすべてアーシアの荷物らしく、部長に言われるがまま空き部屋に荷物を運ぶとアーシア下宿宣言が降された。


 現在は家族会議が招集され、我が両親と俺、部長、アーシアはリビングで円を描くように着席している。


 アーシアは初めて目にする俺の両親に緊張した様子であり、両親は部長を前にして何故か委縮していた。部長が放つ目に見えない威風がそうさせているのかもしれない。


「お父さま、お母さま、そのような事情でして、このアーシア・アルジェントのホームステイをお許し頂きたいのです」


 無茶な注文を突き付ける部長。どうやらアーシアの下宿先のアパートが不慮な事故が元で炎上してしまい、住む場所が無くなったという設定らしい。


「アーシアさん、でしたかな?」


「は、はいっ……イッセーさんのお父さま」


「お、お父さま……。くっ、綺麗な外国人のお嬢さんに立て続けに『お父さま』と言われるとは……! なんというか、感無量だね」


 うん、その気持ちよく分かるよ父さん。


「お父さん!」


 隣で母さんが父さんの脇腹を小突く。なんかモロに肘を入れていたような気がするんだが。


「ぐはっ……ハッ! ――ゴホン、ホームステイをするにしても、残念ながら我が家には性欲の権化とも言える馬鹿息子がいる。失礼だが、うちよりもそちらのお宅のほうが良いのではないかな? なにか間違いが起きてしまっては申し訳が立たない」


 実の息子を馬鹿呼ばわりかよ。しかも性欲の権化って……これ以上ないほど的を得ているじゃないか。


 しかし、父さんが言うことは至極当然のことだ。やはりそう簡単に同年代の異性を同じ屋根の下に泊めるのはいかがなものかと思う。そりゃ、襲う気はもちろん無いし、本音を言えば俺の家に住んでほしいが。


 母さんも同意なのか「そーよ、そーよ」と相槌を打っている。


 しかし、部長は笑顔を絶やさず交渉を続けた。


「では、こちらのアーシアが娘になるとしたら、どうでしょうか?」


 なんですか部長、その意味深な台詞は!


「どういうことですかな?」


「アーシアはイッセーのことを深く信頼しております。それは私も同様です。確かにイッセーは直情的でやや思慮に欠ける所も見受けられますが、向かってくる困難を切り開こうと前に進む情熱をお持ちです。私もアーシアもイッセーのそのようなところに惹かれています。特にアーシアは。ねぇ?」


「は、はい! イッセーさんは私を命がけで助けてくれました、命の恩人です。私の初めてのお友達ですし、今こうしてこの場にいることができるのもイッセーさんのおかげです! それに――」


 ぐぉおおおおお! 満面の笑みで喜々として話し始めるアーシアに俺は何とも言えない恥ずかしさを覚えた!


「ほぅ、うちのイッセーがねえ」


「人様の役に立つなんてね!」


 父さんも母さんも満更でもない様子で話を聞いている。そりゃ、お宅の息子さんが褒められれば親としては嬉しいものだろう。だけど、本人からすれば羞恥プレイなんだよー!


「どうでしょう、今回は花嫁修業というのを兼ねてみては?」


「「「花嫁修業!?」」」


 なんスか、そりゃ? 誰に対しての花嫁修業ですか!? 俺……なわけないよな。当のアーシアは話についていけていないのか頭に『?』を乱舞させている。


 父さんの双眸から、ブワッと大量の涙が溢れ出た。


「……イッセーがこんなのだから、父さんは一生孫の顔が見れないと思っていた。老後も妻と二人でイッセーのことを心配しながら過ごすのかと悲嘆に暮れたよ」


 涙を拭いながら語り出す父さん。って、そんな心配してたんですか! でも、日ごろの行いを見ればそれも当然ですね、ごめんなさい!


 隣では母さんがハンカチを目元に当てていた。あんたもですか!


「母さんね、イッセーにはお嫁さんが来ないと思っていたの。こんな性欲の塊を好きになるような娘は来ないって。世間に出しても恥ずかしくない教育をしてきたつもりだけど、どこをどう間違えたのか、こんな風に育って……。教育相談所に何度も顔を出したわ」


 そうなんですか!? 苦労をお掛けしました!


 父さんがアーシアの手を取る。


「アーシアさん、こんなダメな息子ですけれど、よろしくお願いできますか?」


「そんな、イッセーさんはダメな方なんかじゃありません。とても素晴らしい方ですよ」


 アーシアが純粋無垢な微笑みを返した。それを見て泣き崩れる母さん。父さんも滂沱の涙を流しながら部長に向き直った。涙を拭け、涙を。


「リアスさん! アーシア・アルジェントさんは我が家が責任を持ってお預かりさせて頂きます!」


「ありがとうございます、イッセーのお父さま、お母さま。というわけでイッセー、アーシアも一緒に住むことになったから、フォローしてあげてね。アーシアもこれからイッセーの家に住むのだから、粗相のないように。イッセーの親御さんと仲良くね」


「……本当によろしいのでしょうか? 私なんかがお邪魔してしまって……」


 困惑した様子のアーシア。


「あなたに『この部員の中で一緒に住みたいのは誰?』と聞いたら真っ先にイッセーが良いって言ったでしょう? それにこの国の分化や生活に慣れるには実際に暮らしてみるのが一番よ」


「は、はい……確かにそう言っていましたけど」


「いいんだよ、アーシアさん! この家で日本に慣れなさい。これから永住するかもしれないんだから」


「そうね、私もアーシアさんと一緒に買い物やお料理をしてみたいわ」


 と、父さんと母さん。それを聞いた部長は優しく頷いた。


「ほら、お父さまもお母さまもこう仰っているのだから」


 部長の笑顔を見て、困惑していたアーシアもやっと笑顔を見せた。


「……わかりました、部長さん。所々、よくわからないところもありましたが、イッセーさん、イッセーさんのお父さま、お母さま。不束者ですが、よろしくお願いします」


「うん、こちらこそよろしく頼むよ」


「可愛い娘ができちゃったわね」


 ということで、アーシアが俺の家で暮らすこととなった。嫁云々は俺も今一つ容量を得ないが、アーシアが暮らすことに関しては大賛成だ。


「……花嫁、ね」


 部長が少しだけ寂しげな表情を浮かべたのが、何故だか頭に残った。

 
 

 
後書き
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