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ソードアート・オンライン 《黒の剣士と白の死神》

作者:桜狼
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第一部 全ての始まり
  第三話 デスゲーム開始後~人々の関わり~

 
前書き
今回は番外編!

楽しんで読んでください。



※四月六日 修正 

 
《これは、デスゲーム開始直後のお話。》

【ナンバー01―狂人と凶人―】



「いや…帰してえ!!帰してよお!!」

「ふざけんな!!俺は約束があるんだぞ!!」

俺―こと矢恵梨桔梗(やえりききょう)―キョウヤは、再び、始まりの街の広場へと戻ってきた。

広場は、未だに嵐となっている。

(これからは地獄になる……その前に一人でも死にそうなやつを救うか。)

別に慈愛の心でしているわけでも、優しい心でしているんじゃない。

ただ、俺は何となくしななければならないような感じがしたからだ。

叫び、罵倒し、恐怖し、号泣し、怒り、嘆き、苦しむ人々―――

この状況……いつになったら収まるか。

と、そんなことを考えていると、一人だけ輪から外れているやつが目に入った。

どうやら、こちらを目指しているらしい。



俺は念のため、場所を移動してみた。

こっちに来るなら、話しをしてみる。

こないなら、それでよし。

……しかし、それにしてもこの状況で、冷静になっているやつは少数だけだな。

今こちらに向かっているやつも、冷静か―――あるいは《狂ッテイル》か。

そうこうしているうちに、そいつがここに来た。

「何のようだ……お前は誰だ…?」

俺はなるべく素っ気無く、無表情で言った。

そいつは、始まったばかりと言うのに、フードを被り、片手剣を装備している謎のやつだった。

「WoW……つれないな。まず人にものを言うときは、自分が言うもんじゃないか?」

「それもそうか……俺はキョウヤだ。先に言うが、始めたばかりでよくわかんねえぞ。」

「ヘエ…キョウヤ、ねえ…。覚えておくぜ。」

そいつは、人とは違った雰囲気を出していた。

「それで、何のようだ。それにお前の名前は?」

「俺の名前は…言わないでおこう。だが、仲間内じゃあPoH(プー)って呼ばれてる。」



「プーか。またあう時まで覚えとこう。と言うか、なんでキャラネームじゃないんだよ。」

そういうと、プーはクックック、と笑った。

「殺しが始まるゲームで、相手の名なんか教えられないだろ?」

「じゃあ、フレンド登録しろよ。」

と、俺が冗談半分、本気半分で言うと、

「いいぜ…その代わり、情報提供はしろよ…」

「ハア……。情報提供はしないが、連絡ぐらいはやるよ。」

「…………」

プーは答えなかったが、俺のフレンド登録を見て、

「?……お前、男か?」

「お前もかよ……ああ、こんなのでもれっきとした男だよ。」

女だと思われていたのは、ここだけの話だ。

「…で、何のようだ?」

俺は、さっきからずっと気になっていたことを聞いた。

「イヤ……。なに、さっきのショータイムの時、あの状況でお前が《笑って》いたから

気になって来ただけだ。まあ、思ったより面白い男だったけどな。キョウヤ。」

「それはどうも……。ん?今キョウヤって……?」

「イッツ・ショウタイム。……楽しめよ。このゲームを。」

俺がプーに目を向けると、もう行ってしまった後だった。

「イッツショウタイム……ねえ。」

______________________________________________

【ナンバー02―狂人と少女―】

《サイド・シリカ》

怖い。

怖い怖い怖い。

私は、群衆の中から必死に出ると、通りの路地に隠れた。

ついさっきまで、このゲームを楽しんで、景色を眺めてたのに……

数分で、このゲームで、人も心も変わってしまった。

「わたし…どうしたらいいの……」

座り込むと、私は涙がこぼれないように上を向こうと―――

と、突然角から女の子が出てきて、わたしの足につまづいた。そのあと、派手にこけて。
       ・・・


「いたたたたた……まいったなあ…」

「だ、大丈夫ですか!?」

「ああ…うん。大丈夫だよ。ごめんね。」

その子は、女の子にしては少し声が低めで、不思議な子だった。

「君こそ大丈夫?」

「あ、はい。大丈夫です。」

「……あなたは、怖くないの?」

「怖いよ。怖くて逃げたくなるほどに。

まあ、君もこんな所にいるより、宿にでも逃げ込めばいいと思うよ。」

すると、その子はすぐに走り去ろうとする。

「あの!あなたの名前は何?」

「僕の名前はキョウヤ。じゃあね。」

彼が走り去ったあと、私はなぜかさみしくなった気がした。



あのあと私は、広場へ戻ろうとしたのだけど……

「帰り道、どこだっけ……?」

帰り道が分からなくなっていた。

どうしよ……と思いつつも、私は進んでいく。

日も沈み、だんだん暗くなっていく中で、私は心配になった。

突然、「よう、お譲ちゃん……帰るところが分からないのかね?」

二、三人の男の人に声をかけられた。

「いえ大丈夫です……」

私はすぐに駆け足で逃げた。

だけど、相手はこの街を知り尽くしているみたいで、私は袋小路に追い詰められてしまった。

「こっちも……あっ!」

「おとなしくしな……金品を出せば何とかしてやるよ…ゲヒヒヒ…。」

「止めて!放してください!」

「どうだかねえ…くふふふふ…」

私は捕まえられた。

もうだめだ…そう思った時、なぜかキョウヤちゃんの顔が思い浮かんだ。

「そこまでにしておこうか?」

その時に、声が響いた。



《キョウヤ・サイド》

「なんだお譲ちゃん…君も遊ぶかい?」

ゲヒヒヒヒヒ…と汚い笑い声が響く。

「残念だが……俺は男だ!!!」

俺は片手剣を抜くと、二人の男を叩きつけた。(ように見えるだけだが。)

「な、何しやがる……くらええ!!」

三人目の男が、安っぽいナイフを振り回すが、足払いをしたら簡単に地に伏せた。

ただ、レベルがレベルなので、そんなに吹っ飛ばない。

え?ならどうしてだって?そんなもの気迫とかで代用だ。感情表現がオーバーなSAOならできるさ。

俺はそいつに剣を首筋に構える。

「死にたくなかったら、二度とこんなことすんじゃねえぞ、この……負け犬が!!」

俺は飛び切りの『笑顔』で言う。

「ひ、ひいいいいいい…」

「…思い出した!この笑い方!この仕草!確かベータテスターの《片手剣の狩人》!!

リーダー……こいつ関わるとろくなことがねえよ……」

「ああ……そうさ。俺こそ《片手剣の狩人》。HPが0になったら死ぬんだ…。」

俺はプーのセリフを真似してこういった。

「イッツ・ショウタイムと行くか……死にたくないんなら消えろ!!!」

「「う、うわあああああああああ…」」

男たちは逃げていった。

俺は帰ろうとすると、

「あの……ありがとう…」

彼女のことを忘れていた。



《シリカ・サイド》

あのあと私は、キョウヤさんと歩きながら話しをした。

「さっきはありがとうございました。」

「いいよお礼なんて。」

「……と言うか、あなた男だったんですか?」

「……なんか俺今日ついてないな…ああ、立派な男だよ。ったく…」

わたしがそれを言うと、キョウヤさんは苦笑した。

「……これから、あなたはどうするんですか?」

言うと、笑っていたキョウヤさんも真面目な顔になる。

「俺は、次へ行く。」

「行くんですか!?危ないのに?」

「行くよ。とまってても仕方ないからな。シリカはどうする?」

ちなみに最初あったときにフレンド登録はしている。

「私は……」

すると、キョウヤさんは、何も言わずに黙ってくれた。

「……なら、誰かとパーティを組むといい。もちろん信用できる…な。」

「そうですね。……でも、」

「でも?」

言えなかった。

そんなこと。

「いえ、何でもありません…今日はありがとうございました。またいつか、会いましょう。」

「そうだな。またいつか。気をつけろよ。」

私は、そう言って、街のほうへと走っていった。

キョウヤさんとは二度とあわない覚悟だったが、近いうちに会うことにはなるとは知らなかった。

《彼女とキョウヤが再会するのは、また別のお話。》

______________________________________________

《キョウヤ・サイド》

「またいつか、ねえ……」

もしかしたら、明日死ぬかもしれない。この状況で、そんなことがいえるとは。



今日はいろんなことがあった。

キリトとクラインと出会い、デスゲームが始まり、謎のプレイヤー、PoHとシリカに会い、やつにも合った。

さてと…

「そろそろいくか…」

俺はひとり言うと、キリトに追いつくため、外に向かって走っていった―――
 
 

 
後書き
今回は番外編でした。

主人公いろんなやつと会ってるな…

プーは進み具合によってはレッド化しないかも?

次は、第一層攻略予定! 
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