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とある麻帆良の超能力教師

作者:八柱
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とある麻帆良の超能力教師 三話



垣根が翼で凪ぎ払った場所からは何一つ傷ついていないタカミチが出てきた。
傷ひとつつかず出てきたタカミチを垣根は少しだが驚いていた。


垣根は軽くとはいえ、ただの人間が食らえばただではすまない威力だ。だがそれを目の前の男は避けたのだ。
ということは目の前にいる男はただの人間ではない、自分達と同じ能力者、又はそれ以外の力を持っている可能性がある。


「今のを避けるたぁやるじゃねぇかオッサン」


垣根は翼を展開したままタカミチに話かける。あの攻撃を避けた人間なのだから、警戒して当然だろう。


「そりゃどうも、それよりも僕としては争いはしたくないんだけどね?その翼を収めてもらえないかい?」


「あの攻撃はただの一般人には避けれねぇ、それを避けたてめぇはただの人間じゃねえからな、警戒を解いた瞬間に何されるかわかんねぇだろ?」


「そりゃごもっともだ、だが少なくとも今の僕に敵意はない、無駄な争いは君達にとってもよくないだろ?」


タカミチは敵意がないことを示すが、垣根は警戒を解く気配はない。


「オイ垣根、とりあえず羽しまえ。潰すか潰さないかはまずはコイツの話を聞いてからだ」


「敵意がないのは本当らしいな…しょうがねぇ」


垣根は翼を収束させ、警戒を少しだが緩める。
翼がなくなったところで、タカミチは二人に話を始める。


「すまないね、ところでいきなりなんだが…君達は何者かな?」


「学園都市のレベル5第一位ィ」


「学園都市のレベル5第二位だな」


「ん…?レベル5?第一位?」


聞き慣れない単語に首を傾げるタカミチ。学園都市はおそらく麻帆良学園の事だろうか?しかし麻帆良にレベル5などいうのは聞いたこともない、さらにこの二人も見たこともない。


「君達は学園の生徒かい?」


「学園?やっぱここ学校だったわけかァ?」


「麻帆良学園を知らないのかい?」


「麻帆良学園?聞いたことねえな…おいオッサンここは何学区だ?」


またまた聞いたこともない単語が飛び出してくる。流石のタカミチも対応が出来ない。


「…どうやら君達は少しばかり訳有りみたいだね…よければ君達がここに来た経由を話してくれないか?」


「かまわねェ」


一方通行はそう言うと、タカミチに今までの経由を話した。
何処から来たのか、何者なのかを。


「なるほど…どうやら君達は異世界からやって来たと言うわけか…」


「異世界から来たとか信じるんだなあんた」


「今でも信じられないさ、でも君達の目を見ていたらとても嘘をついているとは思えなくてね」


そうは言ってもタカミチはまだ信じられない。いくら魔法が存在しているといっても異世界からやってくるなどとは聞いたこともない。そして何よりこの二人の少年がいた場所も信じられない。『超能力開発』この二人が住んでいた場所、学園都市で行われていた授業のひとつらしい。そしてその超能力者の一位と二位がこの二人というのだ。確かにそれなら先程の力は納得がいく。しかし超能力とはタカミチの予想の斜め上をいった。


「話を聞くかぎりじゃあオッサンは敵じゃねェみたいなンだけどよォ?」


「ああ心配しなくてもいいよ、少なくとも君達の敵じゃないさ」


「しっかし、異世界かよ…これじゃあ帰りかたもわかんねぇな…おまけに犯人もわかんねぇ」


垣根は怠そうに喋る。突然異世界なんかに連れてこられて、帰りかたも分からない、犯人も分からない、衣食住も確保出来てない、これではイヤになるも当たり前にである。


「そうだ、二人とも学園長に会ってみないかい?何か知ってるかもしれないよ?」


「まァ何時までもここにいたって何も変わらねェしな」


「そうだオッサン、あんたの名前聞いてないな」


「おっとすまない、僕は高畑・T・タカミチ、この学園の教員だよ」


これが垣根と一方通行は初めての異世界の人との出会いだった。



学園長室



垣根と一方通行はタカミチに連れられ学園長室へと来ていた。


「おィ、このぬらりひょんは誰だァ?」


「ぬらりひょんか…うん、ぬらりひょんだな」


「お主ら初対面の人になかなか失礼極まりないのぅ」


「ハハハ…」


垣根と一方通行は学園長を見てとりあえず挨拶もせずいきなりぬらりひょん呼ばわりする。それを見て苦笑いをするタカミチ。


「ところでお主達が侵入者ってことでいいんじゃな?」


「まァそうなるンだろうなァ」


「そこでそこのタカミチが、てめぇに聞けばなんか分かるかもってことでちょっとばかし話に来たんだよ」


「ふむ…分かった、わしにわかる範囲なら答えよう」


垣根と一方通行はタカミチに説明したように今までの経緯を話した。そして元の世界に戻る方法も聞いた。

「成る程~異世界のぅ……うん、全く分からんわい」


「タカミチ、この妖怪に聞けば分かるじゃなかったのかァ?」


「分かるかもしれないだよ…」


「成る程、分からないってことは無能かこの妖怪」


「えっ?何かわし苛められてない?何かしたのわし?」


異世界に帰る方法など分かるわけもないのに、正直に答えたらこの仕打ちである。


「し、しかし超能力とはのぅ…実際に見ておらんから信じれんが…」


二人からは魔力や気が感じられない。タカミチも実際に魔力や気ではない力を見たというのだから超能力はおそらく本当なのだろう。そして何より驚いたのは二人の能力の基準であるレベルである。
学園都市では能力レベルが0~5段階で分けられており、二人はその最高であるレベル5なのだと言う。重要なのはその力である、レベル5と言うのは軍隊に匹敵する力を持っていると言われるほど強力なのだ。


「実際に超能力というのを見せてくれんか?」


未知の力というのは誰もが気になるものである。学園長は内心少しばかり未知の力というのに興味がある。


「おィ垣根、てめェが見せろよ」


「あ?なんで俺なんだよ?」


「俺はチョーカーの電池使うだろうがァ、こンなことで無駄遣いできねェ」


「チッ…しょうがねぇ」


文句を言いながらも能力を発動させる。垣根の背中からは六枚の白い翼が展開される。


「おお…すごいのぅ…」


「これは俺の能力発動状態にすぎねぇ、能力使うと色々面倒だからこれで我慢してくれ」


「我儘を聞いてくれてすまんの、しかし君達の能力は一体なんなんじゃ?」


学園長は話の流れに乗り、二人の能力の詳細について聞き出そうとする。今はまだ敵ではないが、いつ敵になるか分からない。それが未知の力なら尚更危険だからだ。だから今のうちに対策はしておきたいところだからだ。


「そンなに簡単には言うわけねェだろうが、俺達はてめェらを完全に信用してるわけじゃねェからなァ」


やはりそう簡単には教えてはくれない。それもそうだろう、自らの弱点を教えるバカがどこにいるのだろうか。弱点でなくても対策をとられてしまうようなことも駄目だ。それが異世界で敵か味方もはっきりしない現状では尚更だ。


「ふむ、まあ当然じゃな」


「しかしよ、俺らからしてもお前らは不思議だぜ?魔法?そんなメルヘンチックなもんが本当にあるなんてよ」


こちらで超能力が珍しいように向こうの世界では魔法は珍しい。


「まあ俺等の世界にも魔術ってェのはあったがなァ」


「魔術?マジで?」


「マジだ」


そう一方通行達の世界にも魔術はあったがこれはこちらの魔法と似ているようで似ていない。


「ところで君達はこれからどうするんだい?帰りかたも分からないんじゃあまずいだろ?」


「それなんだよなあ…せめて調査とか情報を集めれればいいんだがな…」


帰りかたが分からない今、一方通行と垣根はある意味ピンチでもある。いくら能力があるといっても限界があるからだ。


「………そうじゃお主等、先生にならんか?」


「………はァ?」


「おい第一位、ジジイがなんか今とんでもないこと喋ったぞ?」


「ありゃ妖怪の戯言だ、気にすんじゃねェ」


「そうだな、気のせいだな。まさか俺が教師とかありえねェよ」


「なにこれ?わし提案してあげたのにこの扱いはなんなの?泣くよ?わし泣くよ?」


ことごとく酷いことを言われる学園長。彼が一体何をしたというのだろうか。


「二人は学園都市でトップにいたらしいじゃないか、だから頭もいいんじゃないのかい?」


「まあ東大程度の問題なら余裕だな」


「つーかよォ、東大とかよりも遥か上の問題も余裕だわ」


流石学園都市のトップ1・2。頭の良さもトップである。むしろ頭がよすぎて怖いくらいである。


「…お主等は今情報を必要としておる。この学園ならそういった情報も集まりやすいからの、なんせこの学園は関東魔法協会の本部みたいなもんじゃからな」


「確かに衣食住を確保しつつ、情報も集められる…悪くはねェな」


「ジジイ訂正してやる。ナイスアイディアだな」


「ただし条件があるがの」


「条件だァ?」


「あと一週間もせんうちに新しい新任の先生が来るじゃ、名前はネギ・スプリングフィールド10歳の少年じゃ」


一方通行と垣根は10歳という単語で思考が一瞬止まる。10歳で教師だなんて学園都市でもありえないからだ


「おいジジイ、10歳ってなんの冗談だよガキじゃねぇか」


「いやいや確かに10歳じゃが天才魔法少年なんじゃよ?」


「大方魔法の試験とかじゃねェのか?」


「鋭いのう一方通行君、その通りじゃよ。君達はネギ先生のサポートをしてほしいんじゃ」


「君達二人の力は強い、そのうえ見た目以上に数々の修羅場を潜ってきておるみたいじゃからな、先輩として色々サポートしてやってくれんか?」


学園長はこの短時間で一方通行と垣根がこれまでどんなことをしてきたのかを悟った。流石は学園長というべきだろうか


「チッ…ガキの世話は苦手だけどよォ、しょうがねェな」


「てめぇは打ち止めみたいな幼女じゃねぇとやる気がでねぇからな~」


「よしゴミ掃除でもするかァ?」


「冗談だ、冗談だからチョーカーの電源入れんな」


一方通行と垣根はその後、他の教員に案内され学園長室を後にした。


「あの二人…おそらく裏の世界で生きてきたんじゃろうな…」


「裏ですか…雰囲気でなんとなく予想はしてましたけど…」


「あんなに若い子がのう…違う世界のこととはいえ胸が痛いわい」


学園長は一方通行と垣根をの目を思い出す。まるで世界の闇を見てきたような目。しかし決してその瞳は闇には染まってはいなかった。彼らが何を見てきたかは分からない、だがこの世界で少しでも彼らの闇が晴れるのであってほしいと思う学園長だった。 
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