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とある麻帆良の超能力教師

作者:八柱
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とある麻帆良の超能力教師 二話



知らない土地で知り合いに出会うというのは心強いものである。
それが見知らぬ土地、見知らぬ世界ならたとえ仲が悪いとしてもだ。


「なァ?」


「なんだ?」


「本当になンでお前なんだろうなァ?」


一方通行はある意味知り合いの垣根を見て溜め息をつく。


「それはこっちのセリフだ白もやし」


「あァ?スクラップにされてェのかメルヘン野郎?」


互いに殺気を漂わせる。それは勿論であろう、一方通行と垣根は仲が悪いとかそういうレベルではないのだ。お互いに殺しあった奴。それが二人の関係である。


「………まあ今はお互い争ってる場合じゃねェ」


「奇遇だな俺もそう思う」


とりあえず殺気を抑えると二人とも冷静になる。


「とりあえずお互いに分かったことを言おうぜ、そうすりゃ何か分かるかもしれねぇ」


「そうだなァ」


垣根と一方通行は現状自分達でわかる範囲の情報を交換した。


そこで分かったのは
1・能力は使える
2・自分達はなんの前触れもなくここに来た
3・何故か死にかけの垣根はピンピンしてる
4・学園都市じゃない
5・ここは何かの施設


「ってとこかァ…まだ情報が足りねェな…」


「それと気になったことがあるんだが…どうもここは異世界ぽいな…」


「おいメルヘン、死にかけて頭の中まで完全にメルヘンになったか?」


一方通行は垣根を見ながら『何言ってんのコイツ?』というような顔をして言う。


「お前はよっぽど俺と殺りたいのか?」


「まあいい…俺は暫くは休戦するって決めたからな…」


そう今は争っている場合ではない、知らない場所である以上下手には動けない。さらにこの状況を打破するには一人よりは二人のほうが効率がいい。


「まあ黙って聞け第一位」


「確かにここが異世界っていう確証はねぇ、だがなんていうんだろうな…例えれば友達の家に泊まりに行って慣れない布団で寝れない感じだな」


「やけに例えが庶民的だなァ…まァ分からなくもねェな…」


互いに感じる異世界にいるという感じ。それはレベル5の二人だからこそ感じているのだろう。


「アレイスターの野郎の仕業ってのも考えたが、どうもしっくりこねェ」


「俺もその線は考えたがどうも違う…てっきりあの時の仕返しかと思ったが…」


「あの時?てめェなンかしたのか?」


垣根は真剣な目付きで頷くと、一方通行に話す。


「俺をいつまでたってもメインプランにしねぇから、腹いせにあいつの水槽に物体Kを入れてやった」


「お前の仕返し小せェなオイ、つか物体Kってなンだよ?初めて聞いたぞ?」


半分呆れながら物体Kについて聞いてみる。大方、未元物質で作った物だろうと予想する。


「物体Kってのはな、飲んだ奴を一週間下痢にする超強力な下剤だ…Kってのは『垣根』って意味な。ちなみにメイドイン未元物質だ」


「能力でどうでもいいもン作ってンじゃねェよ、というかその自信満々の『俺すげえ』みたいな顔ヤメロ」


「でもよ物体Kを入れてから数時間後、仕返し成功祝いでマッでシェイクを飲もうとしたら中身が一瞬にして消えたんだぜ…アレイスターの仕業以外考えらねぇ」


「お前のアホだけど、アレイスターもアホだなァオイ」


「つーかお前仮にも暗部で働いてンだから金はあるだろ…なんでマッなンだよ…」


「フッ…てめぇは知らねえみたいだな?マッシェイクの美味さを?あ、ちなみにバニラな」


垣根は自分の好物?であろうマッシェイク(バニラ味)について語り出す。
どうやら垣根いわく、バニラ以外は邪道らしい。


「甘ェのは嫌いなンだよ、てめェ知ってンだろ、あとかっこよく言ったつもりか知らねェが全くかっこよくねェからな」


「これだからカフェイン中毒者は…お前の体の水分って実はコーヒーじゃねぇのか?」


「そうかもなァ?」


「…えっ?マジか?」


「えっ…?今の信じたのお前?」


『こいつアホだ』と言いたげに垣根を見る。


「さて……話がずれたな、戻すぞ」


「誰がずらしたか分かってますかァ?」


とてもお互いに殺しあったとは思えない感じに見えるが、二人は殺し合いをしていたのは事実です。


「とりあえずだァ、俺達は協力しなくちゃならねェ」


「まあ不本意だがしょうがねぇな、まずはここが何処なのか?を優先的に知る必要があるな」


垣根の言うようにまずはここが何処なのかを知るのが最優先、場所によっては今後の行動が変わってくるからだ。


「ひとまず垣根が見つけた建物に向かってみるかァ」


「それもそう……おい第一位」


急に垣根の雰囲気が変わる。それと同時に一方通行の雰囲気も変わった。


「あァ…どうやら誰かいるらしいなァ…」


「敵か味方かは知らねぇが、コソコソする時点で怪しいってもんだな」


そう言うと垣根は六枚の白い羽を展開する。
垣根は能力を使用するときはどうしても羽を展開しなくてはならない。これは本人の意思に関係なく出現するのだ。


翼を展開させた垣根は一気に上空へと飛び、翼で気配がする場所を凪ぎ払う。
翼によって凪ぎ払われた場所は木々は勿論薙ぎ倒し、地面をえぐった。


「やれやれ…結構上手く隠れたつもりだったんだけどね」


垣根が凪ぎ払った場所から現れたのは一人の男性。
彼は学園長室から二人の様子を見に来た、タカミチだった。



数分前…



二人の侵入者の様子を見に来たタカミチは案外あっさりと一方通行と垣根を発見した。


「彼らが侵入者かな?」


見たところ生徒のようには見えない。かといって魔法使いにも見えない。


「ふむ…少しばかり様子を見るとしようかな」


タカミチは近くの木々に紛れると二人の様子を伺う。実際タカミチ程の力の者であればこのようなことはしなくてもいいのだが、今回は少し違った。


「魔力…気も感じられないな」


そう、まず魔力が感じられない。全く魔力がないわけではないが、あっても一般人よりも少し高いぐらいである。これではとても魔法使いとは言えない。そして極めつけは気すらも感じられないのだ。魔力も気も感じられない、しかしどこか異質な力を感じる。これは感覚ではなく経験からの感じだった。


そんなことを考えていると、二人の雰囲気が急に変わる。
そして金髪の少年は六枚の羽を展開し空へと飛ぶ。


(翼?鳥族とのハーフか?いやそれにしてはあの翼はなにか違う…)


垣根の翼の攻撃を回避しながら冷静に垣根の能力を分析する。だが未知の力に何一つ分からない。


「やれやれ…結構上手く隠れたつもりだったんだけどね」


これ以上は様子を見ることを出来ないと判断したタカミチは二人の少年の前に姿を表した。 
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