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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第2章:おてんば姫とチャラ王の冒険
  第10話:アレの後の朝日は目に染みる

(テンペ村)
リュカSIDE

山々の隙間からテンペ村に朝日が降り注ぐ。
今し方までベッドで頑張っていた俺には、美しい朝日が目に染みる…
ルーラを憶えて本当に良かった…良い女の居ない村から、極上な女の居るサランまで、思い立ったら直ぐ往復出来る…本当に良かったよ!

少しは寝ておこうと思い、宿屋へと入る。
すると主人が深々と頭を下げ、この村を救った事のお礼を言ってきた。
勿論、俺は大して何もしてないし、どうでもいい事だと思っているので、適当にあしらって躱すのだが…それでもしつこく礼を言ってくる…うぜぇ~!

まぁ何もしてない俺にまで、感謝感激で礼を言ってくるのだがら、あの魔物を倒したんだろうと想像出来る。
一応無事を確認する為、アリーナの部屋を覗き様子を伺う…

だが驚く事に、アリーナの部屋に居たのは彼女だけでなかった!
こんな言い方をすると『お、クリフト…遂に姫様を押し倒したか!?』と、ピンク色の想像をしてしまうだろうが、実は違う!

泥の様に…と言うか、泥だらけでベッドに横たわるアリーナと、床に転がり爆睡する家臣二人が、色事の可能性を全否定する。
宿屋の主人に聞いた話では、魔物を倒して戻ってきたのは、つい2.3時間前の事で、帰って来るなり倒れる様に眠ってしまったらしい。

弱いワンコしか手下に居ないヤツごときに、そんなにも苦戦するとは…よえーなコイツ等。
あんまり手伝わない方が良いかもね…まぁ尤も、手伝う気なんか微塵もないけどね(笑)
でもアルル達と違って、アリーナは自分が強くなりたいという意志が強いから、俺に手伝えとは言ってこないだろう。
そう考えるとアルルってめんどくさい()だよね。

(コンコン)
自室に入り息子の嫁(予定)の事を考えていると、誰かが扉をノックしてきた。
何だ? 俺は(アリーナ達とは違う事)頑張りすぎて疲れてるんだ…
少しは遠慮してほしいなぁ…

「どなた?」
「あ、お疲れの所お邪魔してしまって申し訳ございません。私はニーナです…この村の村長の娘のニーナです」
村長の娘っていうと…この村唯一の美女か!?

「どうぞ! 全然疲れてないから大丈夫だよ!」
もう寝ようと思ってたので、マントを脱ぎ服も脱ぎかけだったが、美女の…それも命を救われた(俺以外のヤツに)美女の来訪にテンションが上がり、そのままの恰好で扉を開け来訪者を迎え入れた。

「本当にすみません…宿屋の主人に今聞き、少しでも早くお礼を言いたかったので」
凄い勢いで上がったテンションは、ニーナが彼氏連れで訪れた事で、フリーホールの様に落下する…
どうやら“お礼に私を喰べて♡”と言う事ではないらしい。

「貴方達のお陰で、僕達はこの村で幸せになれます。本当にありがとうございます!」
「ふ~ん…あ、そう…」
ニーナの彼氏(名前忘れた)が、俺の手を取り必至に礼を言ってくる…
どうせならニーナに手をニギニギしてもらいたい。

「もう良いよ…別に僕は大した事してないから…他の奴等に礼を言って」
どう考えても『お礼に僕の未来の妻を、味見して下さい!』って事にはならなそうなので、さっさと切り上げて眠りにつきたい。

「おお、あの魔物を退治してくれたんだってな!」
だが俺の望みは、更に現れた村長によって打ち砕かれる。
許可してないのにズカズカ部屋に入ってきて、ニーナの彼氏を押し退け、俺と激しく握手する。

「そうだ、この後我が家で朝食を一緒にどうだね? 激しい運動の後だろうから、お腹がすいているだろう! 遠慮する事は無いぞ! 娘の命を救ってくれた方だ…盛大に持て成させていただく!」
うん。それより眠りたい…って言おうとしたんだけど、お腹のヤツが勝手に鳴りやがった。

実際、凄く激しい大運動会をしてきたので、お腹ペコペコではあるんだよね。
ご厚意を無駄にしちゃ悪いから、俺以上に疲れ切っているアリーナ達の分まで、お持て成しを受けてこようと思います。
だって…食える時に食っとかないとね!

リュカSIDE END



(テンペ村)
ブライSIDE

ワシとクリフトは姫様に蹴り起こされた。
極度の疲労で宿屋に着くなり、一番近かった姫様の部屋で眠ってしまった為、先に起きたアリーナ様が着替える事が出来なくなっていたのだ。

昨晩は汚れた服も気にならない程、カメレオンマンと激闘を行い心身共に疲れ切っていたから、姫様のお部屋で眠りこけてしまったが、本来ならばあってはならぬ事…
蹴り起こされるくらいで済めば御の字だ。

まだ寝ぼけているクリフトを引きずり、自分たちの部屋へと戻る。
ちょっと気になったので、リュカの部屋を覗いてみると、ベッドを使用した形跡がない。
アイツ本当にサランまで行ってしまったのか?



ワシ等三人とも湯浴みと着替えを済ませ、村長宅へ昨晩の報告に出向いた。
もう安心して生活出来ると教えてやれば、さぞかし喜ぶだろうし、救われた(ニーナ)さんも彼氏と一緒に喜ぶだろう。

皆の喜ぶ顔を想像しながら村長宅にお邪魔すると…
既に宴が繰り広げられていた!
上座には何故だかリュカが座り、大量の食事を振る舞われている。

「あ、やっと起きたな! ほら、3人ともこっち来て座れよ…」
別に持て成されたい為に村を救ったワケではないのだが、最も苦労した我々を差し置いてコイツが勝手に持て成されているのは腹が立つ!

「何でリュカさんが宴の主役になってるんですか!?」
ワシと同じ気持ちのクリフトが、渋い表情でリュカに文句を言う。
「え……何でって………村の人達が『来い』って言ったから…」
責められているリュカは、キョトンとした感じで答える。

困っているのは村人達だ…
我々の険悪な雰囲気を感じ取ったのだろう。
ワシ等とリュカを交互に見て黙り込んでしまってる。

「え、何? 何で怒ってるの?」
「別に怒ってませんが、何もしてないリュカさんが、この村を救ったかの様に宴の主役になるのはおかしいでしょう! この場合、敵のリーダーを仕留めたアリーナ様こそが、その席に座り持て成されるべきです!」

うむ…全く持ってその通りだが…
喜んでいる村人達を不安にさせてまで言う事ではないな。
この村を出てから、個人的に咎めれば良いだけの事じゃ。まだまだ青いのぉ……

「だから僕も言ったよ。『大して何もしてないからお礼は他の人に言って』って…でも村の人達は直ぐにでも宴会をしたかったみたいで、出席をせがまれたんだ。君達は爆睡してるし…村人達の好意を無駄にも出来ないし…快く受け取るしかないでしょう!? …それともナニ? 好意を無駄にして、シカトすれば良かったの? 疲れている君達を叩き起こして、イヤイヤ宴会に出席させれば良かったの?」

確かにリュカは間違った事をした訳ではない。
村人達が強く勧めてきたのなら断る事など出来ないだろうし、ワシ等を叩き起こされても楽しく宴に参加出来ないだろう。
しかもこれで、何もしてないリュカを後でとっちめる事も出来なくなった。
あほクリフトめ…もう少し考えて発言せい!

「クリフト…貴方の気持ちは分かるわ。あの敵はとても強く、倒すのに苦労したからね…でもね、この旅は武者修行の旅なのよ! もしリュカが手伝いあの敵を倒したとしても、私にとっては無意味な事になるの。わざわざザコだけを倒してくれて、メインを私達に残してくれたリュカに、その言い様は無いと思うわ」
姫様がクリフトを窘める様に話しかけ、そしてリュカの隣に座り宴に参加する。

「そうじゃの~…」
ワシも姫様の発言に乗っかろうと、クリフトに話しかけながら宴の席へ移動する。
村人達も少し安心してきた様だ。

「ワシはな、宿屋を出る前にリュカの部屋を覗いたのだが…ベッドを使った形跡が無かった」
「そ、それが何でしょうかブライ様?」
「つまり、リュカはワシ等と別れた後、宿屋へ戻って眠っていたワケでは無い…物陰に隠れワシ等の戦いを見守ってくれてたんじゃろう。もし危険になったら助けようとして、ワシ等の事を見守っていたのじゃよ!」

「な。何を言ってるんですかブライ様…リュカさんは『シスター・パメラの所へ行ってくる』と言って、私達を置いていったではないですか!?」
「この村からサランまで、一晩で往復出来るワケがないじゃろう!“常に側にいて助けてもらえる”という思いがあると、自らの成長の妨げになる物じゃ…危険と隣り合わせだと思っておれば、自ずと成長して行くのが人間…村人達の好意を無に出来ぬリュカの事じゃ、そこまで考えておったのじゃろう」

クリフトはあまり納得してはおらん様じゃが、これ以上文句垂れるのを止めてくれた。
取り敢えずこれで良いじゃろう…村人に不安な気持ちを蔓延させてはならぬからな。
今は危機を脱した事を共に喜べば良いんじゃ。

ブライSIDE END



 
 

 
後書き
世の中には知らなくて良い真実ってあるよね。 
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