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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百八十三話 小なる器

               第百八十三話 小なる器
   「さてと、それじゃあ」
「基地が見えてきたし」
「最後の戦いね」
「この金星のね」
こんな話をしながらロンド=ベルは戦場に向かっていた。
そうしてであった。基地の前に来ると。ブライトが告げた。
「いいか」
「はい」
「いよいよですね」
「この戦いでゲストとの戦いが終わる」
こう言うのであった。
「目的は一つだ」
「あいつだよな」
「あいつを倒す」
「そうだ、ゼゼーナンの撃破だ」
まさにそれだけだというのである。
「他は無視して構わん」
「他はですか」
「いいんですか」
「そうだ、いい」
はっきりと言うブライトであった。
そしてだ。こうも言うのである。
「我々は最早ゲストと戦う必要性はない」
「あくまで戦うのは」
「ゼゼーナンだけなのですね」
「あの男を倒せばそれでいい」
また言うブライトだった。
「作戦はそれだけだ。それではだ」
「はい」
「それじゃあ」
「総員健闘を祈る」
こうして全員出撃し基地に来た。するとゼゼーナンの声がしてきた。
「下等な猿が」
「やれやれだね」
「こいつだけは変わらないわね」
「凄く悪い意味でね」
最早そうとしか思われていないゼゼーナンであった。
「どうしようもいないっていうか」
「進歩しない人間って本当にいるんだ」
「そういう人間もいるさ」
万丈も完全にゼゼーナンを見切っていた。
「自分のプライドだけだとね。ああなるんだ」
「成程、最高の反面教師って訳か」
「あいつは」
「身の程知らずが」
そしてまだ言うゼゼーナンであった。やはり彼は彼である。
「いいだろう、猿には猿らしい死を与えてやる」
「で、どうするんだい?」
万丈がその彼に軽く問うた。
「一体僕達に」
「本来ならば直接相手をするのも馬鹿馬鹿しい」
「へえ、じゃあ相手をしてくれるんだ」
「銀河法の手前だ」
こんなことも言ってきた。
「ジェノサイド兵器は使えんからな」
「要するにだ」
それを聞いた宙が言う。
「そういうのに頼らないと辛いってんだな」
「くっ、そう言うか」
「そうじゃねえのかよ。だから言うんじゃねえのか?」
それを既に見抜いているのは彼だけではなかった。
「今ここでそんな兵器のことを言うのはよ」
「もうわかってるんだよ」
今言ったのはキャオである。
「あんたのその器ってのはな」
「おのれ、野蛮人共が」
「では聞こう」
万丈がさらに彼に問うてみせた。
「何を出すつもりだい、御前は」
「この私を御前呼ばわりか」
「所詮その程度でしかないからね」
あえてゼゼーナンを怒らせる為の言葉である。
「御前はな」
「くっ、まあいい」
何とか怒りを抑えて返すゼゼーナンだった。
「このバラン=シュナイルで宇宙の塵にしてくれる」
こう言いながら巨大な宙に浮かぶマシンを出してきたのである。
「これだで!」
「ゼゼーナン、では言おう!」
またしても高らかに言う万丈であった。
「残るは御前だけだ!観念するんだな!」
「ふん、舐められたものだな」
ゼゼーナンはその彼に対して忌々しげに言葉を返した。
「貴様等猿が何匹集まろうがこの私を倒せるものか!」
「では見せてやるぜ!」
イルムのグルンガストが一歩前に出た。
「ここでな!」
「その前にだ」
ここでまた言うゼゼーナンであった。
「前座を用意しておいた」
「前座!?」
「それは何だ?」
「彼等と戦うのだ」
するとであった。バラン=シュナイルの前に無数のゲイオス=グルードとライグ=ゲイオスが出て来たのである。小隊すら組みかなちの数である。
「この者達を倒すことができればだ」
「手前、戦うつもりはねえのか!」
「ここまで来て本当に腰抜けね!」
「戯言は何とでも言え」
平然とこう返すゼゼーナンであった。
「彼等を全て倒すことができればだ」
「手前だってのか!」
「その時に!」
「そうだ、その時は私が相手になってやろう」
こう言うのである。
「もっともその様なことは万が一にも有り得ないがね」
「消えたか」
「逃げた!?」
「いや、違うな」
ここで戦場にメキボスが愛機と共に出て来たのであった。
「この近くで観察している筈だ」
「へっ、またかよ」
「そんなことでしょうけれどね」
「最後まで卑怯な男だな」
こう言って呆れてさえいるメキボスだった。
しかしここで彼は。出撃しているゲスト軍に対して言うのだった。
「聞け」
「メキボス閣下!?」
「インスペクターの」
「今は枢密院の特使だ」
その身分をここで名乗るのであった。
「その立場で御前達に言いたい」
「我々にですか」
「では何と」
「枢密院及びゲスト両院の議決によりティニクエット=ゼゼーナンは主席の座を解任された」
そうなったと。彼等にも言うのだ。
「そして新しい主席が就任したのだ」
「何ですと!?」
「それはまことですか!?」
「そうだ。丁度いい」
ここで、であった。
「その通信が届いた。ほら」
「なっ、これは」
「確かに」
見ればその通りであった。そこにはしっかりとゼゼーナンの解任と新主席の就任が書かれていた。彼等がグレイターキンマークツーから送られたメールにはだ。
「それでは我々は」
「戦う必要がないと」
「そうだ。すぐに戦場を離れろ」
こう彼等に告げるのだった。
「さもなければ反逆罪に問われるぞ」
「反逆罪!?」
「それでは」
「そうだ。ゼゼーナンは最早反逆者だ」
彼等へのさらなる言葉であった。
「反逆者につくことはない。撤退しろ」
「は、はい」
「わかりました」
こうしてであった。親衛隊と突撃隊の将兵は全て戦場を離脱した。残っている者は一人もなかった。
「ゼゼーナン、見ているな」
万丈が隠れている彼に対して言ってきた。
「この通りだ。最早完全に御前だけだ」
「そうだ、出て来い!」
「さっさと自分で戦いなさい!」
皆彼に対して言う。
「少しは自分で何かしやがれ!」
「それでよく主席になれたわね!」
「所詮閥族だけの男だ」
またこのことを言うメキボスだった。
「所詮はな」
「おのれ・・・・・・」
遂にであった。ゼゼーナンが出て来た。実に忌々しげな顔をしている。
「まさか誰もいなくなるとはな」
「これが御前の実態だ」
イルムが彼に冷たく告げた。
「言ったな。その程度の男だとな」
「猿がまだ私を愚弄するのか」
「俺達が猿なら貴様はだ」
「何だというのだ!?」
「裸の王様だ」
まさにそれだというのである。
「そんなちっぽけな存在だ」
「私がだと」
「そうだ。さっさと諦めて何処かに消えろ」
またしても冷たく告げるイルムだった。
「そうすれば命だけは助けてやる」
「ほざけ」
当然ながらそんな言葉は聞かないゼゼーナンだった。
「猿には猿に相応しい惨めな死を与えてやる」
「ゼゼーナン、まだわからないのか」
メキボスは今度は彼に告げた。
「地球人のことが」
「何っ!?」
「彼等は立派に我々の同胞としての資格がある」
それを言うのである。
「それがまだわからないのか」
「世迷言を抜かすな!」
これがゼゼーナンの返答だった。
「では聞こう、メキボスよ」
「何だというのだ?」
「貴様は猿と対等の立場にだ」
「俺達をか」
「そうだ、自分を置けるというのか」
そのことを問うてきたのであった。
「それはどうなのだ」
「それが誤解だとうのだ」
こう答えるメキボスだった。
「御前のだ!」
「まだわからないのか!」
「ならば問おう!」
ゼゼーナンはまた言う。
「貴様は地球人についてどれだけ知っている」
「何っ!?」
「私はだ」
ゼゼーナンは自分の浅い知識を語りはじめた。
「かつてこの星に派遣された時だ」
「あの時のことか」
「そうだ。この星の歴史を全て網羅した」
「そんなことができるものか」
ダバはそれを聞いてすぐに言い捨てた。
「地球の歴史も長いんだ、全て網羅なぞ不可能だ」
「その通りだ」
サンドマンも言う。
「あの男は浅い知識で言っているだけだ」
「それ以外ではない」
不動もゼゼーナンを完全に見切っていた。
「あの男はだ」
「驚いたよ」
しかしゼゼーナンだけは気付いていない。
「ここまで愚かな種族が銀河に存在しているとはな」
「愚かか」
「バルマーと同じだと言っておこう」
ここではバルマーを話に出した。
「この連中は何千、何万という生物の種を絶滅に追いやっている!」
「それは俺達もだ!」
メキボスははっきりと反論した。
「俺達の過去はどうなのだ!一体幾つの生物の種を滅ぼしてしまった!」
「黙れ!」
ゼゼーナンはメキボスのその言葉を打ち消そうとした。
「そんなことは関係ない!」
「何っ!」
「この連中はだ!」
あくまで地球人だけを糾弾するのであった。
「そのうえ何度もだ!」
「今度は何だというのだ!」
「同じ種の仲間ともだ!」
「戦ってきたというのか!」
「そうだ、下らぬ理由で根絶やしにしてきた!」
こう主張する。
「銀河法では極刑に値する!」
「?待て」
ここで言ったのはレッシィである。
「あれはただの慣習法で極刑なぞない」
「そうだ、それを言うとはだ」
ギャブレーも言う。
「あの男はただ詭弁を言っているだけだ」
「そうなるな」
「その様な下等生物に生きる資格はない!」
「ならばだ!」
メキボスも本気で怒っていた。
「俺達はどうなる!」
「何だと、まだ言うのか!」
「俺達インスペクターとゲストは何度戦いを繰り広げてきた!」
彼等の歴史を言うのだ。
「そしてだ。何度も同じ種族同士でジェノサイドをしてきた!」
「それは関係ない!」
「ある!俺達も所詮地球人達と同じだ!」
そうだというのだ。
「罪あるのは地球人だけではない!そういう意味でも俺達は同じだ!」
「貴様、まだ言うのか!」
「そうだ!貴様はただ偏見で語っているだけだ!」
まさにその通りであった。
「確かにだ!」
「まだ言うのか」
「地球人はまだ未成熟だろう」
これは言う。
「しかし俺達も同じだ」
「同じだと!?我々が猿だというのか」
「貴様が地球人を猿だというのならな」
それに応えて言うメキボスだった。
「そうなる」
「貴様・・・・・・」
「貴様は何だ!」
そしてゼゼーナン自身にも言った。
「貴様はだ。一体何だというのだ!」
「愚かな」
ゼゼーナンはこれ以上聞くつもりはなかった。
「下等種族に感化されおったか」
「まあこいつはな」
「絶対にわからないって思ってたけれど」
トールとミリアリアが醒めた調子で言う。
「こんなにひどいなんてね」
「嫌なもの見たわね」
「ああいう人間もいるんだね」
「そうだね」
カズイとサイも言う。
「悪い意味で見本になるっていうか」
「全くだよ」
「ならば貴様も同罪だ!」
ゼゼーナンはメキボスに対して言い続けていた。
「まとめて始末してくれる!」
「やっぱり駄目か」
メキボスもわかっていたことではあった。
「聞く耳持たないか」
「こういう奴はどうしてもだな」
「そうなるな」
ムウとキースの声も醒めていた。
「結局のところはな」
「潰すしかないってことだ」
「悪いな、役に立てそうにもない」
「そうでもないさ」
だがその彼に万丈が言ってきた。
「メキボス」
「何だ?」
「君の考えを聞いたおかげでだよ」
「ああ」
「ゲストやインスペクターとの協調が可能だとわかったよ」
「それをか」
「僕達と君達は同じだ」
それを言うのだった。
「同じ罪を犯してきた」
「そうだな」
「あいつの言うことも事実だ」
「あいつは自分のことはわかっていないがな」
「それでもだよ」
事実は事実だというのだった。
「けれどね」
「けれど。何だ?」
「あいつは許せないな」
今度はゼゼーナンを見ての言葉だった。
「ゼゼーナン」
「何だ?」
「貴様の言うことは確かに事実ではある」
「ふん、それを認めるか」
「しかしだ」
そのゼゼーナンにさらに言うのだった。
「貴様がやろうとしていることはだ」
「裁きだ」
「違うな。それは」
万丈は遂に言った。
「貴様のやろうとしていることは今貴様が非難したことそのものだ!」
「何っ!?」
ゼゼーナンは一瞬びくり、となった。それから言い返したのだった。
「何と根拠に言うのだ!」
「その言葉そのままそっくり返させてもらおう」
こう返した万丈だった。
「貴様は何を根拠にしてだ」
「何を言いたい」
「地球人とその技術を我がものにしようとしている」
既に誰もが見抜いていることを突きつけるのだった。
「それは何故だ」
「知れたことだ」
そしてまた言うゼゼーナンだった。
「貴様等猿共から危険なものを取り上げる為だ」
「違うな、それは」
万丈はそれを否定した。
「貴様の目的はだ」
「それはもうわかっている」
大河も言った。
「既にな」
「そうだ。地球の軍事技術にある」
それだという万丈だった。
「貴様の主張はそれを独占する為の詭弁だ!」
「そうだ、それこそ」
「あんたが非難していることよ!」
「そのものだ!」
こう一斉に反論が起こった。まさにゼゼーナンは孤立していた。
「そんなのわかるんだよ!」
「すぐにね!」
「嘘だってな!」
「おのれ!」
ここまで言われてプライドの高いゼゼーナンが黙っている筈もなかった。
身体をワナワナと震わせてだ。言うのだった。
「下等種族が私に意見するというのか!」
「まただな」
バサラも呆れていた。
「このおっさんだけはどうにもならねえな」
「そうね、全く」
ミレーヌもであった。
「これはもうね」
「引導を渡すしかない」
レイも言った。
「最早な」
「戦いは終わらせてやるぜ!」
しかしバサラはここでもバサラであった。
「こんな奴にな、続けさせてたまるか!」
「その通りだ」
イルムはここでも鋭い声を出した。
「あいつは俺がだ」
「許さん!」
ゼゼーナンはまだ言っていた。
「戦いはこれからだ」
「親衛隊も突撃隊もないのにか」
「まだだ!」
メキボスに言い返してであった。己の周りに無数のゲイオス=グルードとライグ=ゲイオスを出してきたのであった。その彼等に囲まれるのだった。
「見よ、この力」
「無人機か」
メキボスはそれを見て素っ気無く言った。
「それを出してきちゃのか」
「これこそがだ」
ゼゼーナンは誇らしげに言う。メキボスとは逆であった。
「私が全宇宙の支配者となるべき定められた証だ」
「愚かな」
竜馬はその姿を見て思わず呟いた。
「ここまで愚かだったとは」
「そうだな」
甲児も言う。
「最低の野郎だな」
「俺が行く」
イルムがまた出て来た。
「言ったな一撃で終わらせるとな」
「そうだな」
リンが彼の言葉を受ける。
「では行け」
「行って来るぜ。じゃあな」
こう言ってグルンガストを駆りであった。
その剣を構えて。叫んだ。
「天に二つの禍つ星!」
まずはこう叫んで、であった。
「計都星と羅喉星」
そして。
「その名も計都羅喉剣!」
その技の名前は。
「暗剣殺!」
「何だと!」
一旦天高く飛びそこから一刀両断する。その威力はバラン=シュナイルの巨体をも一気に断ち切るものであった。
「斬!」
「うおおおおおおおおおおおおっ!」
まさに一撃であった。バラン=シュナイルもゼゼーナンも。これで完全に終わってしまった。
「これで終わりだ!」
「ば、馬鹿な」
あちこちから火を噴いていた。ゼゼーナンはその中で言う。
「下等生物にこの私が・・・・・・うおおおおおおおおおおおっ!」
「この通りだ。終わったぜ」
イルムはゼゼーナンの最期を見届けてから仲間達に告げた。
「本当にあっけなかったな」
「予想していたけれどね」
最初に応えたのは万丈だった。
「結局はね」
「この程度だった」
「そういうことなのね」
「自分しかなく相手を侮ってばかりの人間はね」
万丈は皆に対して述べていく。
「所詮はこの程度なんだよ」
「そういうことだな」
メキボスも彼の今の言葉に頷いた。
「ゼゼーナンは何もわかっていなかった」
「そういうことでしかないね」
「それにだ」
メキボスの言葉は続く。
「これでいい」
「ゲストとの戦争が終わったからかい?」
「そうだ。ゼゼーナンが死んでだ」
まさにそうだというのである。
「ゲストもまともになる。これでだ」
「君達との戦争は完全に終わりだね」
「インスペクターの方はもう決まっている」
他ならぬ彼等のことである。
「講和だ」
「もう決まってるね」
「そうだ。そしてゲストはだ」
「こちらもだ」
ロフが出て来た。ゼブとセティもである。
「講和するつもりだ。我々もまた」
「そうか。それでいいんだな」
「地球人とは話し合いができる」
ロフはこうメキボスに述べた。
「ならばだ。無闇に戦う必要はない」
「その通りだな。それじゃあ決まりだな」
「そういうことだ。さて」
「ああ」
「地球人達にも聞きたい」
その代表としてロンド=ベルをというわけだった。
「我々は君達と話し合いの場を設けたい」
「それを僕達から連邦政府にってことだね」
「そうだ。それをお願いできるか」
こうい万丈に言うのである。
「それはだ」
「安心してくれ」
大河が答えてきた。
「それは既にだ」
「話をしてくれているのか」
「その通りだ」
それこそまさに、であった。
「間も無く君達とも会談の場が設けられるだろう」
「そうか、それはいい」
ロフはそれを聞いて安心した顔になった。
「これで無益な戦いが終わる」
「そーーーだね。そーーれで」
「どうした、ゼブ」
「ロフ、あーーんたも立場がかわーーーるぜ」
こんなことを言ってきたのである。
「ちょーーーっとな」
「?どういうことだ?」
「貴方も傭兵隊も全て正規軍に入ることになったのよ」
セティも彼に言ってきた。
「ゲストからの通達でね」
「俺が正規軍にか」
「どーーするんだい、そーーーれで」
ゼブはまた彼に問うてきた。
「決めーーるのはあーーーんただ」
「そうだな。もうあの男もいない」
ロフは静かに考えながら答えた。
「そしてゲストの閥族主義もかなり変わるだろう」
「それじゃあ」
「ああ、そうさせてもらう」
微笑んで二人に答えたのだった。
「そうな」
「そう。それじゃあ」
「セティ、御前とのこともだ」
彼女に対しても言うのだった。
「じっくりと考えさせてもらう」
「有り難う。じゃあ」
「何はともあれこれでまた一つの戦いが終わった」
メキボスが安堵の言葉になっていた。
「俺達の文明はもう地球と無益な争いをすることはない」
「そうだね。遠回りになったけれどね」
万丈も微笑んでいた。
「これでもう君達とはね」
「そういうことだ。そして」
「そして?」
「俺の役目も終わった」
「特使のかい?」
「そうだ。これで終わりだ」
それも終わりだというのだ。
「完全にな。それではな」
「そうだな、また会おう」
こう言葉を交えさせて彼等は別れた。ゲストとの戦いも完全に終わったのだった。
ロンド=ベルは金星で補給を受けた後で地球に戻ることになった。後はだ。
「一旦セダンに戻るんだな」
「ああ、そうだ」
刹那にロックオンが答える。
「これでな。後は」
「バルマーだな」
ティエリアが言ってきた。
「残るは彼等だけだ」
「そうだね」
アレルヤも話に加わってきた。
「いよいよ。最後の相手だね」
「七個艦隊が全て揃ってるのですね」
「はい、そうです」
紅龍が留美の言葉に答える。
「銀河辺境方面軍全てがです」
「そうですか。それはかなり激しい戦いになりますね」
「ああ、それは間違いない」
リュウセイが出て来て言う。
「バルマー戦役じゃ第七艦隊一個で大騒ぎになった」
「そしてだ。あんた達が来る前にだが」
ライも言う。
「第一艦隊と火星で決戦になった」
「その時も凄かったのよ」
アヤも過去を思い出して暗い顔になっていた。
「それが七個艦隊だから」
「かなり激しい戦いになるのはな」
「覚悟してくれ」
「それは承知のこと」
不動はそれは当然だという。
「だが」
「だが?」
「一体」
「勝つ」
彼が今言う言葉はこれだけだった。
「勝つ。何があろうともだ」
「負けることは許されないってことか」
「その通りだ」
リュウセイに対しても言うのであった。
「それはその通りだな」
「はっきりと言ってしまえば」
ライが彼のその言葉に応える。
「その通りです」
「ならば答えは出ている。すぐに地球に戻るとしよう」
「はい、そうしなければいけません」
今度はルリが出て来た。
そうしてであった。一同に対して言ってきたのである。
「補給と整備を受けてすぐにです」
「というと」
「まさか」
「はい、バルマー軍が動きました」
こう言うのであった。
「ソロモンに向かって来ています」
「もうか」
「来たっていうのね」
「ボゾンジャンプでソロモンにまで戻ります」
ルリはさらに言った。
「そしてそこで」
「ソロモンか。縁だな」
スレッガーはソロモンと聞いて静かに言った。
「またあそこか」
「そうですね。ガトーはもういない」
コウも言う。
「けれどあの場所でまた」
「七個艦隊全てが動きました」
ルリの言葉はさらに続く。
「ですから」
「七個艦隊が全て」
「それじゃあ」
「はい、総力戦です」
ルリの言葉は簡潔だが事実そのものを語っていた。
「バルマー帝国銀河辺境方面軍とです」
「そして最後の戦い」
「いよいよ」
「補給と整備が整い次第」
アヤも言ってきた。
「すぐに戻りましょう」
「はい、ボゾンジャンプの用意はもうできています」
ユリカも真剣な面持ちである。
「ですからすぐにでも」
「ソロモンに」
「そしてバルマーと」
「タケルさん」
ルリは今度はタケルに声をかけてきた。
「いいですね」
「バルマーと。そして」
「そうです」
「兄さんと」
「今までのことで」
ルリはその彼にさらに言う。
「貴方の御心は伝わっています」
「それじゃあ」
「はい、まさに最後です」
彼にとってもだというのだ。
「ですから」
「わかった、今度こそ」
タケルはここで立つ。その心が。
「兄さんを救い出す、絶対に」
「貴方ならばです」
ルリの彼への言葉は何処までも温かいものだった。
「必ずできますから」
「有り難う、ルリちゃん」
「御礼はいいです」
しかしそれはいいというのである。
「それよりもです」
「そうだ、兄さんをだよ」
「絶対にですよ」
「助け出す」
リョーコとヒカル、イズミも言ってきた。
「約束しろよ、いいな」
「ここまで来たら絶対にハッピーエンドですよ」
「それ以外にない」
「皆・・・・・・」
「わかったらすぐにソロモンだ!
ダイゴウジも叫ぶ。
「最高のドラマを演出してやる!」
「はい、ヤマダさん」
ルリは彼にはいつも通りだった。
「そうしましょう」
「俺はダイゴウジ=ガイだ!覚えておけ!」
「わかりました、ヤマダさん」
この辺りはいつもである。しかしであった。
「整備と補給を急いで」
ジュンが皆に言う。
「本当にそれが終わったらすぐに」
「ソロモンだな」
「行かねばな」
サブロウタとナガレも言う。
「主役もいるしな」
「しかも二人だ」
「タケルさんと」
アキトはまず彼を見て。言った。
「そして」
「私は」
ルリがここでまた言うのだった。
「この部隊に入って本当によかったです」
「それはやっぱり」
「皆を見たからなのね」
「はい」
そうだとメグミとハルカに対して述べる。
「一矢さんもそうでしたしキラ君とシン君も」
「ドモン君や綾人君もね」
「サンドマンさんだって」
「人は美しいです」
これが今のルリの言葉だった。
「その美しさを見られるのですから」
「では行こう」
その中の一人であるダバも言った。
「バルマーとの戦いに」
「タケルさんは必ず見せてくれます」
ルリは確信していた。
「最高に美しいものを。私達に」
こう言いながらその最後の戦いに赴くのだった。ロンド=ベルの地球圏での、そしてタケルとマーグの最後の戦いが遂にはじまろうとしていたのであった。

第百八十三話完

2010・1・14  
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