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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百七十五話 ルナティック=ドリーム

          第百七十五話 ルナティック=ドリーム
      「不利な状況ではない」
ヴィガジは仲間達に対して言っていた。
「しかしだ」
「そうだな。戦力的にはまだ俺達が有利だ」
メキボスがこう彼に告げた。
「それでも、だな」
「そうだ、遂に月に来た」
彼はまずこのことを話した。
「そして度重なる戦闘でだ」
「兵器や弾薬の消耗が馬鹿になってないよ」
今度はアギーハが言う。
「もう洒落にならないまでに」
「ここで我等が敗れればだ」
「何もかも終わりって訳だ」
メキボスはわざと軽く述べてみせた。
「本当にな」
「そうだ。だからこそここでだ」
ヴィガジはさらに言う。
「奴等を食い止めなければならん」
「とりあえずは御前が防ぐんだな」
「そうさせてもらう」
ヴィガジの顔が意を決したものになった。
「それでいいな」
「ああ、それでいいぜ」
「あたしもね」
「・・・・・・・・・」
シカログは無言で頷いた。
「わかった、それではだ」
「ただしだ。必要な時はだ」
メキボスは彼にまた告げてきた。
「何でも言え。いいな」
「わかった。ではそうさせてもらう」
「これ以上の敗北はウェンドロ様どころかね」
アギーハの言葉も危惧するものになっている。
「本国への示しもつかないよ」
「あの男が牛耳るのは俺も好かん」
ここでヴィガジの顔が歪んだ。
「ゼゼーナンなぞにはな」
「御前も奴は嫌いか」
「あいつは特権意識と偏見の塊だ」
まさにそうだというのだ。
「門閥の家に生まれただけだ。それだけの男だ」
「確かにそうだな」
メキボスもそれは否定しない。
「あいつは俺達の国の歪みそのものだ」
「あいつがいるから我が国も歪んだ」
「全くだね」
ヴィガジだけでなくアギーハも嫌悪感を見せていた。
「あたしがインスペクターに入ったのはね」
「あいつを嫌ってか」
「あの考えは嫌いだね」
はっきりと言うのだった。
「何があってもね」
「そうか。だからだな」
「だからあたしはインスペクターにいるんだよ」
まさにそうだというのだ。
「ゼブやセティ達は嫌いじゃないけれどね、実際は」
「俺達の国も問題がある」
メキボスはこのことをよく自覚していた。
「全くな」
「だが今はだ」
ヴィガジがここで話を戻してきた。
「いいな」
「わかっている」
「それはね」
「・・・・・・・・・」
また四人の言葉が一致した。
「まずはロンド=ベルを退ける」
「何があってもな」
「そうするとしようね」
「・・・・・・・・・」
彼等はその決意を固める。そうして戦場に赴くのだった。
「そろそろだね」
「はい」
ショーンがカチーナに応えていた。
「月に降下して暫く経ちます」
「いよいよ敵とドンパチってわけだよな」
「とりあえずはですね」
ここでラッセルの言葉が明るくなった。
「アインストやムゲ帝国みたいに急に出て来る戦力はなくなっています」
「シャドミラーもだな」
アリオンも言う。
「とりあえずその分だけは気が楽だね」
「敵は倒せるうちに倒す」
フォルカの赤い目が光る。
「それだけだな」
「そうだ。それではだ」
今度言ったのはフェルナンドである。
「行こう」
「はい」
メイシスがフェルナンドのその言葉に応える。
「それでは」
「一気に先鋒が突撃して敵の攻撃を引き付けるか」
アルティスが作戦を反芻した。
「つまり囮だな」
「そのうえで思う存分やって下さい」
ショーンは微笑んでこう彼等に告げた。
「そこで我々が向かいます」
「相手が。そうだね」
ここでカチーナは言う。
「向こうから出て来るのが白目の禿野郎だったら」
かなり口が悪い。
「すぐトサカに来てあたし達に突っかかってくるだろうな」
「だろうね」
リューネも彼女の言葉に応えて微笑む。
「それでその時に、だね」
「相手の性質を利用する」
ヤンロンが冷静に述べた。
「それが戦いに勝つ秘訣だ」
「じゃあ大尉」
ミオが笑ってカチーナに告げる。
「その時の挑発役は」
「任せておきな」
自ら買って出るのであった。
「その時はね。やってやるからね」
「ええ、頼んだわよ」
こう言ってであった。今は戦いに考えを向けていた。
そうしてそのうえで戦いに向かう。やがて。
目の前にゲストの大軍が出て来た。かなりの数である。
「来たな」
「ああ、やっぱり」
「こいつだ」
「予想通りだな」
モニターに出て来たヴィガジとガルガウを見て皆言う。
「予想していたけれど」
「やっぱり出て来たんだ」
「それで俺もいるぜ」
グレイターキンもいた。
「何か毎回会ってるがな」
「あれ、あいつまでいるの」
「また」
「予定が変わったんでな」
だからだというのである。
「またこのコンビって訳だ」
「頼んだつもりはない」
ヴィガジの言葉は憮然としたものだった。
「俺としてはな」
「まあ成り行きってやつだな」
「兵器の調達が間に合って来たというが」
「どっちにしろ俺もいた方がいいだろう」
「否定はしない」
とはいっても憮然とした声だった。
「とりあえずはな」
「じゃあそういうことだな」
「その通りだ。そしてだ」
「何だ?」
「メキボス、何か策があるな」
ヴィガジはこう彼に問うたのだ。
「ここで何かが」
「あると言えばどうする?」
「いざという時は頼りにさせてもらう」
ヴィガジは真剣な面持ちで告げた。
「その時はだ」
「何だ。いつもと態度が違うな」
「状況が状況だ」
だからだというのである。
「今はな」
「そうだ。ロンド=ベルはかなり手強い」
それは何度も戦ってきて痛いまでによくわかっていることだった。
「だからだ。用意しておいた」
「わかった。それではだ」
「やるぞ」
インスペクター軍は守りに入った。ロンド=ベルがそこに攻撃を加える。
まずは先鋒が突入する。ヴィガジはそれを見て指示を出す。
「叩け!」
一言だった。その彼等に攻撃が集中される。
ヤルダバオトもその中にある。だがフォルカはその攻撃を全てかわす。
「甘い!」
こう叫んで、である。
「この程度の攻撃では倒されはしない!」
「フォルカ、いいか」
アルティスが彼に告げてきた。
「ここはだ」
「わかっている。来た敵を倒すだけだ」
「そうだ。出来るだけ惹きつける」
それが作戦であった。
「そうしてだ。いいな」
「わかっている。間も無く仲間達が来る」
その後ろからだった。本隊が来ていた。今フォルカ達は囲まれていた。
だがその包囲するインスペクター軍にだった。ロンド=ベルの本隊が迫っていた。
「よし、今だ!」
「はい!」
ミドリが大文字に応えてきた。
「敵軍に突撃を仕掛ける」
「予定通りですね」
「そうだな。このままガイキングに突撃を仕掛け」
「突破口を開きましょう」
サコンも大文字に言ってきた。
「一気にです」
「よし、それならばだ」
「ただ」
だがここで。サコンはふと言うのだった。
「何かおかしいですね」
「おかしい!?」
ピートがその彼に問うた。
「サコン、何かあるのか?」
「インスペクターの動きが大人しい」
彼はそれを見ていたのである。
「妙にな。そうは思わないか」
「そうだな」
今の彼の言葉に応えたのはリーだった。
「どうも怪しいな」
「今までインスペクターは力技が多かったですけれどね」
ブンタはこんなことを言ってきた。
「それでもですか」
「インスペクターも負けが込んできている」
ピートは彼等の側に立って言った。
「それを考えればだ」
「有り得るな」
「罠もなんですね」
リーとブンタはその言葉に対して問い返した。
「となると一体」
「何をしてくるんでしょうか」
「へっ、そんなの今わかりゃしねえぜ」
「そうだそうだ」
サンシローとヤマガタケはその危惧にはお構いなしだった。
「そんなの今言ってもな」
「それよりも戦いの方が先だろ?」
「それも一理あるな」
サコンは二人の言葉を受けてこう述べたのだった。
「それもな」
「いいんだな、サコン」
ピートは今度は彼に問うた。
「それで」
「ああ、構わない」
サコンは冷静な顔で彼の問いに返した。
「機雷やミサイルなら充分に対処できるしな」
「それはその通りだな」
大文字もそのことは認めて頷く。
「何か。我々の足止めをするものならばだ」
「その時はどうしますか?」
「そのまま戦う」
こうミドリにも述べた。
「動けないなら動けないならでだ。そうするしかない」
「覚悟を決めるってことですね」
「そうだ。それにだ」
またサコンに応えての言葉である。
「彼等は我々を倒さなくてはならない」
「ああ、その通りだぜ」
サンシローが言ってきた。
「そならやっぱりか」
「そうだ。そうしよう」
こう言って腹を括って戦いに赴くのだった。ロンド=ベルはその圧倒的な火力で敵を押しそのまま戦いの流れを掴もうとしていた。
しかしだった。ここで。メキボスが言った。
「よし、準備完了だ」
「いいのか」
「ああ、何時でもいける」
こうヴィガジにも返す。
「どうする?それではか」
「そうだ、やってくれ」
メキボスに対して告げた。
「今ここでな」
「わかった、それじゃあな」
メキボスは彼の言葉を受けてだ。グレイターキンのコクピットにあるボタンの一つを押した。するとであった。
「!?何だ!?」
「き、機体が!」
「動かないだと!」
ロンド=ベルの全軍に異変が起こった。
「何だこれは!」
「急に動けなくなった!?」
「しかも全機か!」
「艦艇もです!」
レフィーナも叫ぶ。
「これは一体」
「重力フィールドか」
今言ったのは刹那だった。
「それだな」
「何でそれを知ってるんだ?」
メキボスへ目を鋭くさせてその刹那に問い返した。
「あんた新顔っぽいがな」
「今ガンダムが上から押さえ付けられている」
こう述べる刹那さった。
「それならばだ。それしかないからだ」
「ふん、それで察したってわけか」
「間違いないな」
「そうさ」
そしてメキボスもそれを認めた。
「その通りさ。重力フィールドを使ったってわけだ」
「何っ、それでもこれは」
「全く動けない・・・・・・」
「どれだけ強いフィールドなの?」
「重力系の技術ではこっちの方が上なんだよ」
メキボスはここでこのことを彼等に話した。
「だからってわけだ」
「くっ、何てこった」
「これは」
「あまり奇麗なやり方じゃないが悪く思うな」
メキボスはこうも彼等に告げた。
「それじゃあ。ここで決着をつけさせてもらうぜ」
「まずい、このままじゃ」
「だが。それならそれで」
「やってやる!」
彼等は大文字の言う通り諦めなかった。その場で戦おうとするのだ。
「ここでな。逃げるかよ!」
「やらせないんだから!」
「そうだ!攻撃をかわす程度なら動ける!」
「それなら!」
こう言ってであった。早速再び身構える。そうして戦おうとする。
そしてその彼等の前に。ある者が姿を現わしてきた。
「流石ですね」
「!?」
「その声は」
「まさか!」
「そう、そのまさかですよ」
こう言ってであった。戦場にネオ=グランゾンが姿を現わしてきた。
それに乗るのは。やはり彼だった。
「何っ、手前は!」
「私のことは御存知の様ですね」
「シュウ=シラカワだな」
メキボスは彼の名前を言ってきた。
「そうだな」
「はい、その通りです」
シュウもまた彼に対して答える。
「私がそのシュウ=シラカワです」
「ここでか」
ロジャーは彼の姿を認めて呟いた。
「出て来るというのか」
「それで何の用だ?」
「無論貴方達に用があって参りました」
こう言うのだった。
「そう、今ここで」
「というと俺達の邪魔をするってわけだな」
「必然的にそうなります」
そしてこのことを隠しもしない。
「それで宜しいですね」
「何かよくわからねえがそれができるのか?」
メキボスは言いながらまたあのボタンを押した。
しかしであった。何も起こらなかった。グランゾンはまっすぐにロンド=ベルの方に来る。
「何っ!?」
「どういうことだ、これは」
メキボスだけでなくヴィガジも驚きの声をあげた。
「重力フィールドを無効化するってのか!?」
「あのネオ=グランゾンは」
「それだけではありませんよ」
こう言ってであった。ロンド=ベルの中に入ると。
何かの力を発動させた。黒いエネルギー波が彼等を通り過ぎた。
「あれっ!?」
「動ける!?」
「動けるようになったわ」
ロンド=ベルの面々はこのことに驚きを隠せなかった。
「まさかこんな」
「急に」
「一体何が」
「重力干渉波ってわけか」
メキボスはその動けるようになった彼等を見て忌々しげに声をあげた。
「それを使ったって訳だな」
「その通りです」
シュウは涼しい顔をして彼の言葉に応えた。そして言うのだった。
「その程度の重力波なぞ」
「何てこともないってか」
「そうです。重力を操る私のネオ=グランゾンの前にはです」
次の言葉は。
「赤子同然です」
「地球人、そこまで手強いか」
「さて、これでどうされますか?」
「おい、シュウ」
ここでマサキがシュウに声をかけてきた。
「どういうつもりなんだ?一体」
「どういうつもりとは?」
「御前が何も考えなしで動いたりしねえことはわかってるんだ」
怪訝な声であった。
「それで今度は何だ?何を考えてやがるんだ?」
「貴方達にはここで危機に陥ってもらっては困るのです」
「ここで、かよ」
「そうです。少なくともゲストの方々の前に辿り着いてもらわないと」
ならないというのである。
「私としても困りますので」
「それで今俺達を助けたってわけか」
「はい」
まさにその通りだという。
「そういうことです」
「ゲストかよ」
「その時に面白いことがわかりますよ」
ここでは思わせぶりに言うのだった。
「それではまた」
「これで帰るのかよ」
「はい」
またマサキに対して答える。
「私のここでの仕事は終わりましたので」
「シュウ様、それでは」
「お元気で」
モニカとサフィーネは見るからに名残惜しそうであった。
「御会いできたのが懐かしくもあり悲しくも寂しくもありですけれど」
「モニカ、文法が変ですよ」
このやり取りは相変わらずだった。
「それは」
「あっ、そうでないわけでもないのでございますの?」
「あんた今何て言ったの!?」
セニアも流石に今のは訳がわからなかった。
「何処をどうやったらそんな文法になるのよ」
「それはいいとしてよ」
マサキはとりあえずモニカの話は無理矢理中断させた。
そしてそのうえであらためてシュウに対して言うのだった。
「それで何を考えてるんだ?」
「ですからゲストへと」
「そこまで俺達には生きて欲しいってわけかよ」
「それ以降もですがね」
ゲストに止まらないというのだ。
「何はともあれ今はこれでいいですね」
「ああ、まあな」
マサキはそれはいいとした。
「助けてくれたことには礼を言わせてもらうぜ」
「いえいえ」
「じゃあやらせてもらうか」
「御健闘をお祈りしています」
こう言ってシュウは姿を消した。戦いは仕切りなおしになった。
「とりあえず今のあいつは俺達の敵じゃねえ」
「そうね。今はね」
ウェンディもそれは感じ取っていた。
「彼の考えがあるにしても」
「とにかく。今はこっちだな」
「さて、メキボス」
万丈が彼に問い返す。
「これで仕切りなおしだな」
「どうやらまたしてやられたか」
メキボスはここでこんなことを言った。
「それならだ。ここはだ」
「戦うっていうのかい?」
「いや、俺は撤退させてもらおう」
こう言うのだった。
「これでな」
「おい、メキボス」
その彼をヴィガジが呼び止めた。
「それは本気か」
「ああ、本気だ」
彼に対してもそのまま答えるのだった。
「こんなところで嘘を言ってどうなるんだ」
「じゃあそれでいいんだな」
「戦力は半分程度だな」
「そうだ」
「なら今が潮時だ」
残存戦力を聞いても判断は変わらなかった。
「撤退するべきだ」
「そしてどうするつもりだ?」
「基地で戦う」
そこでだというのだ。
「あそこでだ。いいな」
「ムーンクレイドルでか」
「そうだ、あそこだ」
「ここで倒しておきたがったがな」
「だが今はそれは無理だ」
メキボスはそう判断していたのである。
「重力フィールドを無効化されちまってはな」
「くっ、止むを得ないか」
「あそこで倒せばいい」
メキボスはそれでいいというのである。
「わかったな。それじゃあな」
「致し方あるまい。それではだ」
「撤退するぞ」
「うむ」
こうして彼等はここではあっさりと戦いを終えた。ロンド=ベルは一応勝利を得た。しかしであった。
「ムーンクレイドルか」
「あの基地は確か」
「そうだ」
ダイテツがテツヤに対して告げる。
「その通りだ。インスペクターの本拠地になって久しい」
「そうですね。その通りです」
「それをどうするかだが」
それを言うのである。
「まずどういった基地になっているのか知る必要がある」
「ではどうされますか?」
「内部を偵察する人員を送ろう」
ダイテツはここで一つの判断を下した。
「それでいいな」
「偵察ですか」
「そうだ。問題は誰を送るかだが」
「それだったら私が」
「私も行くわ」
ここで名乗り出て来たのはビューティーとレイカであった。
「私達がね」
「行かせてもらうわ」
「えっ、君達が!?」
二人を見て驚きの声をあげたのはエイジだった。
「いいのかい!?本当に」
「あら、言うわね」
「私はこれでも諜報部員なのよ」
レイカは誰もが忘れている話をここで出してきた。
「私だって工作とか護身術は身に着けているし」
「大丈夫なんだから」
「ええと、僕が行かせてもらうつもりだったけれど」
「俺もだったんだけれどな」
ショウも呆気に取られた顔になっていた。
「こうした仕事は慣れてるしな」
「何言ってるのよ、ショウのビルバインは戦場で必要よ」
「そうよ」
二人の言うことは正論ではあった。
「エイジのレイズナーマークツーだってね」
「なくてはならないものじゃない」
「その言葉は有り難いけれど」
「それでもそれはあまりにも」
「だから大丈夫よ」
「安心して」
あくまでこう言う二人であった。
「絶対にやってみせるからね」
「大船に乗ったつもりでいていいわよ」
「ええと、それじゃあ」
「万丈はどう思うかな」
二人はここで万丈に話を振った。
「今回のことは」
「どうかな」
「そうだね」
万丈は少し考えてから述べるのだった。
「いいんじゃないかな」
「そうか、万丈がそう言うのなら」
「俺もそれで」
これで二人も納得するのだった。
「志願してるんだからね。けれどいいかな」
「ええ、万丈」
「何かしら」
「君達は志願したんだ」
このことを二人に強く言うのだった。
「何があっても。自分で責任を持ってくれよ」
「わかってるわ、それは」
「充分にね」
二人も真剣な顔で応えるのだった。
「それじゃあそれでね」
「やらせてもらうわ」
こうして二人はムーンクレイドルに潜入し偵察及び内部工作に当たることになった。ロンド=ベルはそれと並行して基地攻略に当たることになった。彼等はそのまま基地に向かった。
そしてその頃。インスペクターの総司令部では。
「ああ、そうなんだ」
「はい、ムーンクレイドルにいよいよ」
「・・・・・・・・・」
アギーハとシカログがある者の前に控え平伏して報告していた。
「迫っています」
「わかったよ」
それを聞いてその声は頷いた。子供の声であった。
「それはね」
「はい」
「ああ、それでだけれど」
ここで子供の声は二人に言ってきた。
「君達にもムーンクレイドルに行ってもらうけれどそれはいいね」
「わかりました」
「・・・・・・・・・」
アギーハは言葉と共に、シカログは無言で頷いた。
「それではこれより」
「そしてヴィガジには言っておいて」
彼のことも話すのだった。
「作戦に失敗しても」
「その場合においても」
「別に責任を追及したりはしないよ」
それはないというのである。
「だからそれは安心していいってね」
「畏まりました。それでは」
「ムーンクレイドルが陥落してもここがあるからね」
「この基地が、なのですね」
「そうだよ」
子供の声は素っ気無く答えた。
「だからだよ。何も気にしなくていいからね」
「畏まりました。ではその様に」
「君達四天王には最後の最後まで頑張ってもらわないとね」
それが彼の考えのようである。
「だからね。頼んだよ」
「はい、それでは」
「じゃあ君達も向かってね」
そしてまたこう告げるのだった。
「それでいいね」
「わかりました、それでは」
「まだゲストもいるし」
彼等のことも忘れていなかった。
「バルマーもね」
「あの者達に対抗する為にもですか」
「だから君達は必要なんだよ」
またこの話になった。
「わかったね。それじゃあ」
「では今より」
「・・・・・・・・・」
二人はそのまま向かう。そうしてまた戦いになろうとしていた。

第百七十五話完

2009・12・19  
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