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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百七十三話 グラドス撤退

              第百七十三話 グラドス撤退
     「マーグ様、グラドス軍ですが」
「聞いているよ」
こうロゼに返すマーグだった。今度は司令室の中で話をしている。
「ロンド=ベルだけではなくだね」
「はい、ゲスト、インスペクター両軍にもです」
攻撃を受けたことを話すのである。
「その損害はです」
「あと一度かな」
ここでこう言ったマーグだった。
「戦えるのは」
「では次の戦いに敗れたら」
「休養を進めよう」
そうするというのである。
「今はね」
「わかりました、それでは」
「さて、それからだけれど」
既にグラドスの敗北を見越している言葉であった。
「まずはね」
「まずは」
「様子を見よう」
そうするというのである。
「ゲストも遂に敵の総司令官が地球圏に来たようだし」
「ティニクエット=ゼゼーナンですか」
「そう、彼がね」
まさにその彼だというのである。
「来たようだからね」
「では今は我等は」
「グラドス軍は崩壊したなら動かない」
はっきりと言い切った。
「それでいいね」
「はい、それでは」
「それよりも」
そしてさらに言うマーグだった。
「これからのことだけれど」
「これからですか」
「我が軍のこの七個艦隊の戦力を全てホワイトスターに集結させよう」
「全てをですか」
「そう、今も集めているけれど銀河辺境の防衛戦力も全てだ」
そうしたものもだというのだ。
「全て集結させよう」
「ではその全ての戦力で」
ロゼはマーグの考えがすぐにわかった。
「地球をなのですね」
「そう。それでどうかな」
「かなり危険な賭けです」
それはロゼには否定できなかった。
「極めて」
「わかっているよ、それは」
言うまでもないといった今のマーグの言葉だ。
「それでもだよ」
「今は地球をですか」
「その後のことはどうとでもなるからね」
「例えその間に何かがあったとしても」
「そう、十分に取り返せる」
彼は言うのだった。
「だからこそ今は」
「あらゆる戦力をこのホワイトスターに」
「そのうえでロンド=ベルと雌雄を決する」
それが彼の考えだった。
「そうしよう」
「わかりました、それでは」
ロゼも彼の今の言葉に頷いたのだった。
「その様に」
「うん。ではロゼ」
「はい」
「各艦隊の司令達を集めておいてくれ」
この指示も出すのだった。
「今後のことについて話しておきたい」
「わかりました。それでは」
こうしてであった。マーグはこれからのことを考えていた。既にグラドス軍には見切りをつけそのうえで考えているのであった。
そのグラドス軍を退けたロンド=ベルは今は平穏だった。その平穏の中で敵の動きを見ていたのである。
「グラドス軍の動向はわからないな」
「そうね」
シモーヌがエイジの言葉に応える。
「連中が動くのは間違いないけれど」
「けれどどう来るのかがわからない」
エイジはそれを危惧していた。
「またセダンに来るのかそれでもあの非道な作戦を行うのか」
「そうだな。問題は後者だな」
「その場合だね」
デビッドとロアンも言う。
「奴等は何でもしやがるからな」
「それをさせたくないし」
「それならさせないことだな」
今言ったのは京四郎だった。
「奴等にな」
「ってどうしろっていうの?」
ナナが今の彼の言葉に問うた。
「させないって」
「奴等が来る様にあからさまに動くことだ」
それだというのである。
「あからさまにな」
「?それだったら」
それを聞いて怪訝な顔になって言うナナだった。
「それこそこの基地を完全に空にするしかないんじゃないの?」
「そうだな」
一矢はナナの言葉に頷いた。
「それこそな。連邦軍の部隊にも出てもらってだ」
「それだ」
京四郎は今の一矢の言葉に応えた。
「それをするんだ」
「そうか。そうやってグラドス軍を誘い出して」
「そのうえで叩くのね」
「そうだ」
まさにそれだと。一矢とナナに述べた。
「これでわかったな」
「また随分と大胆だな」
「そうね。セダンの門を完全に空けるなんて」
「だからこそだ」
また言う京四郎だった。
「奴等もそれなら乗る。俺達の基地を潰す為にな」
「またそれは大胆だな」
エイジは彼の作戦を聞いてかなり驚いていた。
「基地を空にしてまでする作戦なんて」
「虎穴に入らずんば虎子を得ずだ」
この言葉を出すのだった。
「そういうことだ」
「それでなのか」
「わかったな。じゃあこの作戦でどうだ?」
京四郎は他の仲間達にこの作戦の是非を問うた。
「これでいいか?」
「ああ、そうだな」
「それでいいんじゃないの」
皆もそれで頷くのだった。
「どうせやるなら派手にな」
「そうしないとね」
「よし、じゃあこれで決まりだな」
京四郎の案が通った。これで作戦が決まった。まず連邦軍が出てそのうえでロンド=ベルは月に向かうふりをする。するとであった。
「敵が来ました」
「セダンになのね」
「はい、そうです」
メイリンがタリアに対して答える。
「グラドス軍です」
「そう、予想通りね」
それを聞いて納得した顔で頷くタリアだった。
「それじゃあ全軍」
「予定通りですね」
「そうよ、予定通りよ」
こうアーサーにも答える。
「わかったわね。それじゃあ」
「はい、全軍反転!」
アーサーが指示を出した。
「そしてグラドス軍に攻撃開始!」
「よし、まんまと引っ掛かったな!」
「何ていうか物凄いお約束ね」
皆そのグラドス軍にかなり間抜けなものも感じていた。
そうしてであった。セダンに入ろうとするグラドス軍のその後方に現われたのであった。
「何っ、ロンド=ベルがだと!」
「まさか!」
「もう戻って来たのか!」
「残念だったな!」
一矢が驚く彼等に告げる。
「御前達の動きは読んでいた」
「読んでいた!?それでは」
「まさか基地を空にしたのは」
「我等を誘き出す為の」
「その通りだ。今わかったようだな」
京四郎も彼等に告げる。
「このことがだ」
「くっ、小癪な真似を」
「我等に対して」
「相手を侮るべからず」
ブンドルがここで言った。
「相手を侮りそれにより墓穴を掘るなぞはだ」
「ふむ、それはな」
「まさにな」
「醜いことだ」
カットナルとケルナグールの言葉を挟みながらまた言うブンドルだった。
「美ではない」
「流石に今度は美しいはないようだな」
「そういえば御主はグラドス相手には言わぬな」
「グラドスは醜悪だ」
彼等にはこの上なく強い侮蔑を見せるブンドルだった。
「それでどうして言えようか」
「その通りだ」
「この連中はだ」
カットナルもケルナグールも彼等についてはそう考えていたのだ。
「確かに醜いな」
「相手にするだけでも不快なものがある」
「私の美学に反する」
ブンドルはまた言った。
「この様な者達はだ」
「ではここはだ」
「いつも以上に派手にやるとしよう」
「その通りだ。容赦することはない」
三人もその考えだった。そうしてであった。
「行くとしよう」
「うむ、総攻撃だ!」
「グラドスの奴等、逃がさんぞ!」
ドクーガ艦が真っ先に出た。それを見て皆まずは驚いた。
「えっ、戦艦が真っ先に!?」
「嘘でしょ!?」
「残念だが嘘ではないのだよ」
「そうよ!わし等は嘘をつかん!」
「何もかもが本気よ!」
彼等は見事に本気だった。その本気のまま突っ込むのだった。
そしてその砲撃で左右にいるグラドス軍を倒し戦艦をラムで破壊する。
「他愛もない」
「撃て!撃ちまくるのだ!」
「一人も逃がすな!」
彼等の命令は単純かつ過激だった。そのままグラドス軍を倒す。
それを見てだった。ロンド=ベルの他の面々もだ。
「よし、行くぞ!」
「行くのかよコウ!」
「ああ、俺もあいつ等は!」
キースに返すコウだった。
「許せないからな」
「ええ、確かに」
「それは」
キースと共にコウの小隊にいるクリスとバーニィが応える。
「この連中だけは」
「放っておいたら」
「ここで二度と立ち直れないようにしてやる!」
コウも熱くなっていた。
「こいつ等だけは!」
「よし、それならな!」
キースもその言葉に乗った。
「俺も行くぜ!」
「ああ、来てくれキース」
「流石にデンドロビウムには負けるけれどな」
デンドロビウムの強さは圧倒的である。
「それでも俺もな!」
「ああ、行こう!」
「バーニィ、私達も」
「ああ」
そしてクリスとバーニィもだった。
「行きましょう」
「そうだね、それじゃあ」
「覚悟しなさい!」
「俺も御前等は嫌いだからな!」
クリスのGP-02とバーニィのザクスリーもまた前線に出る。
そしてデンドロビウムの後ろで攻撃を浴びせるのだった。
「これで!」
「いける!」
「糞っ、セダンに先に入れば!」
「それで我等の勝利だというのに!」
「残念だがそれはできない」
グラドス軍に告げたのはクワトロだった。
「君達にはだ」
「何っ、何故だ!」
「何故そう言える!」
「君達が来るのはもうわかっていたことだ」
このことをまた言うのである。
「そしてだ」
「そして?」
「何だというのだ」
「前を見るのだ」
その彼等にまた告げるクワトロだった。
「君達の侵入ルートもわかっていた」
「何っ!?」
「ではまさか」
「そうだ。見るのだ」
そう言うとだった。前に機雷源が出て来たのだ。
「機雷源だと!?」
「くっ、まさかこんなものまで」
「用意していたというのか」
「敵の動きがわかっていればだ」
クワトロの言葉は続く。
「先に用意することもできるのだ」
「おのれ、地球人めが!」
「何処までも小細工を!」
「そして言っておく」
クワトロの言葉は冷徹なものだった。
「君達は自分達が思っている程優秀ではないのだ」
「ふざけたことを言うな!」
「我等がグラドス人だ!」
それこそが彼等の自信の根拠であるのだ。
「その我等がだ!」
「何故地球人なぞに劣るというのだ!」
「人に優劣なぞないのだよ」
クワトロはその彼等にさらに告げた。
「個人のそれぞれの個性はあるにしろだ」
「馬鹿な、地球人が我々に対して」
「変わらないというのか」
「劣っているとか思うならだ!」
今度はカミーユが彼等に告げた。
「何故御前達は敗れ続ける!」
「五月蝿い!」
「貴様等野蛮人のその蛮性に遅れを取っているだけだ!」
彼等が言うにはそうなのだ。
「それだけだ!」
「野蛮人共が!」
「野蛮か!」
カミーユはその言葉にさらに返した。
「俺達を野蛮というならだ!」
「何だ!」
「今度は何を言うつもりだ!」
「関係ない一般市民を狙う御前達こそ野蛮だ!」
カミーユはこのことを批判した。
「その御前達こそがだ!」
「何処までも我等を愚弄するか!」
「その減らず口で!」
「ああ、何度でも言ってやる!」
ハイメガランチャーを構えながらの言葉だった。
「御前達こそ!最も野蛮だ!」
「う、うわああっ!」
「き、来たぞ!」
そのハイメガランチャーを受けて吹き飛ばされる彼等だった。
そしてカミーユはまたすぐにランチャーを放つのだった。
光の帯が続け様に放たれる。今度は戦艦を一撃で真っ二つにした。
「そ、総員退艦!」
「間に合いません!」
艦に乗っている全ての者が炎に包まれる。カミーユはそれでも攻撃を止めない。
「今度はだ!」
「カミーユ、攻撃するのはいいけれど」
その彼の横でファが言ってきた。
「周りはよく見てね」
「ああ、わかってる」
それはわかっていると返すカミーユだった。
「ただ」
「ただ?」
「こいつ等は許せない」
怒りに満ちた目はそのままだった。
「絶対に!」
「そうね、私もそれは」
それはファも同じだった。
「グラドス人はね」
「俺はこのままこのメガランチャーで倒していく」
その間にも敵小隊を一つ消し飛ばしている。
「ファはだ」
「私は?」
「周りに来る敵を頼む」
「わかったわ」
カミーユのその言葉に頷く。
「それじゃあ私はそれで」
「頼む」
「私もいるわ」
フォウのリガズイも彼の側に来た。
「左右は任せてね」
「フォウ、君も」
「カミーユはやらせないわ」
微笑んでこう告げたのだった。
「何があってもね」
「済まない」
「御礼はいいのよ」
今度はエマがいた。彼の上にいる。
「私達もグラドスはね」
「そうですか」
「ティターンズを思い出すわ」
強い声で言うエマだった。
「このやり方はね」
「ええ、確かに」
フォウは彼女のその言葉に頷いた。
「こうした非道なやり方は」
「だから余計に腹立たしいわ」
言いながらであった。
「私もね。やらせてもらうわ」
「ほざけ!」
「所詮地球人だ!」
「そうだ、どうということはない!」
そのエマのスーパーガンダムに敵の一個小隊が来た。
「我等の前にはだ!」
「劣等種族が勝てるか!」
「丸見えよ」
その彼等に冷静に返すエマだった。
そして拡散バズーカを構えてだ。それを放って彼等をまとめて倒した。
「ぐ、ぐわああっ!」
「何故だ、何故我等が!」
「ここまで簡単に負けるのだ!」
「他の皆も言っているけれど」
その彼等に冷静に告げ続ける。
「そうして他人を訳もなく見下す限りは」
「どうということはない!」
またカミーユが叫ぶ。
「所詮はだ!」
「敵の数五割を切りました」
ルリが皆に告げる。
「あとはです」
「このまま殲滅します」
ユリカはその報告を聞きながら述べた。
「機雷源に押し付けるようにしてです」
「攻めるのですね」
「はい、そうです」
まさにそうだとルリに返す。
「それで御願いします」
「わかりました、それでは」
「ここでグラドスを叩いて」
彼女はさらに言う。
「一般市民への攻撃を減らしましょう」
「ああ、そうだな」
リョーコが今のユリカの言葉に頷いた。
「あの連中を放っておいたら碌なことはねえしな」
「そうですよね。グラドスがいなくなったら」
ヒカルも言う。
「インスペクターやゲストとの戦いにも専念できますし」
「ムゲ」
だがここでイズミがぽつりと呟いた。
「ムゲは無限」
「何っ!?」
今の彼女の言葉に大いに驚いたのはスレイだった。
「イズミが普通にまともな駄洒落を言ったぞ!」
「ええ、確かに」
マヤも驚きを隠せない。
「今はっきりと」
「どういうことだ」
スレイの驚きはそのままだった。
「イズミが。そんな」
「誰が誰の声だ?」
ノインは三人のそれぞれの言葉を聞きながら首を傾げていた。
「わからないのだが」
「私もちょっと」
ヒカルがまた言う。
「ノインさんとリョーコさんのどちらがどちらなのか」
「そ、そうか」
そう言われると急に大人しくなるノインだった。
「そうなのか」
「はい、ちょっと」
「自覚はしている」
「あたしもな」
そしてそれはリョーコもなのだった。
「前からノインとはな」
「どうも似ているところがあるからな」
「ですよね、それは」
「全く。他人の空似にしてはだ」
「そっくり過ぎるぜ」
「それも気になりますけれど」
ヒカルは話を変えてきた。
「やっぱり今は」
「イズミが普通の駄洒落を言うとなんて」
「驚いたものなんてものじゃないわよ」
今度はヒルデとキャシーが言う。
「そうよね、ジャクリーン」
「今のは」
「ええ、確かに」
その二人の言葉に応えるジャクリーンだった。同時にこうも言った。
「私達も三人揃うと」
「どうも声が」
「一緒に聞こえるわね」
この三人もなのだった。
「そうよね。何か」
「やっぱり他人の気がしないし」
「どうしてかしら」
「これが縁ってやつかしら」
四人でそれぞれ言い合うのだった。
「私達もそういう相手がお互いにいるってね」
「みたいね、これは」
「他人じゃない感じの相手がいるのは」8
「まあとにかくな」
「それはいいことだな」
リョーコとノインがまた言った。
「それでな。後はな」
「戦いの決着をつけるとしよう」
「ああ、そうね」
「それはね」
「確かに」
三人は言われてそのことを思い出した。
「じゃあ何はともあれ」
「それを」
とりあえず戦いに戻った。そうして彼等も激しい戦いに入る。そのグラドス軍は。
「くっ、このままでは」
「また全滅だ」
「どうする?」
劣勢に追い込まれていたのだ。それもかなりだ。
「前に進んでも機雷だしな」
「後ろに進んでもだ」
「それに」
しかもであった。
「今残ってる戦力ではこのまま生きて帰ってもだ」
「戦力が減り過ぎた」
「このままではバルマーに戻ってもだ」
地位の低下は確実だ、そのことがわかっていたのだ。
「だが。生きていればだ」
「そうだ。何といってもまず生きてからだ」
「そうだな。それはな」
生きて帰ろうと思った。それしかなかった。
「何とか敵中を突破するぞ!」
「よし!」
「何とかな!」
その敵陣を突破しようとする。しかしだった。
「くっ、やはり!」
「強い!」
ロンド=ベルの強さは相変わらずだった。彼等の数をさらに減らしていく。
「このままでは」
「一人残らず」
「そうだ、死ね!」
シンは言われずとも殲滅するつもりだった。実際にその彼等の前に立ち敵を潰していく。
「手前等だけは生かして返すつもりはねえからな!」
「ル=カイン司令は何処だ!?」
「今回の作戦には参加しておられん」
「くっ、何ということだ」
彼等はまさに絶体絶命の危機だった。しかしだ。
ロンド=ベルの後方にだ。グラドスの援軍が来た。
「来た!?」
「援軍だ!」
「助かったぞ!」
「間に合ったか」
アーマス=ゲイルだった。彼が来たのだ。
「よかったな。これでだ」
「はい、同胞をこれで」
「助けられます」
彼等はそのことにまず安心した。そのうえでロンド=ベルに向かう。
「行けっ、友軍を助けるぞ!」
「このままだ!」
「今度は手前等かよ!」
その彼等に対して闘志也が向かう。
「手前等とはまだ付き合いが薄いが許せねえ!」
「そうだな。どうもな」
「好きになれないな」
ジュリイと謙作も同じ考えなのだった。
「だからだ。闘志也!」
「行くぞ!」
「ああ、言われなくてもだ!」
その彼等に突き進むバルディオスだった。彼等もまたグラドス軍を許せなかったのだ。
「おらっ、くたばれ!」
「このままいくんだ!」
「いいな!」
ジュリイも謙作も向かう。そうして戦うのだった。
援軍に来たグラドス軍も成す術もなく倒されていく。セダンに向かっていたグラドス軍はもう一機も残ってはいなかった。
「おのれ、もう一機も残っていないのか!」
「全員倒したというのか!」
「ああ、殺してやった!」
シンが彼等に言い返す。
「手前等の仲間は俺達が一人残らず地獄に叩き落してやったぜ!」
「糞っ、同胞を!」
「よくも!」
「そこまで同胞が大事ならだ」
レイも彼等に対しては険しい。
「貴様等のその蛮行を慎むべきだ」
「何っ!」
「我等が野蛮だというのか!」
「そうだ。そうしていれば俺達は貴様等をここまで憎むこともなかった」
彼もまた明らかにグラドス人を嫌い憎んでいた。
「ここまではだ」
「ふん、下等種族が」
「我等にそう言うのか」
「この誇り高きグラドス軍に対して」
「多くを話す必要は認めない」
そう言うとだった。そのプロヴィデンスレジェンドののドラグーンを一斉に放つ。それでだった。
「死ね」
無数のドラグーンを放ちだった。それぞれでコクピットを貫く。
「ぐ、ぐわああっ!」
「た、助けてくれ!」
「最初から降伏を認めるつもりはない」
そのままドラグーンを放ち一方的な攻撃を続ける。
「そのままこの世から消えろ」
「うわあああーーーーーーっ!」
「ゲ、ゲイル様!」
断末魔の叫びが轟く。そしてだった。
援軍のグラドス軍も壊滅状態に陥った。ゲイルはそれを見て呻いた。
「馬鹿な、地球人の強さは」
「消えやがれ!」
ディアッカも敵艦を真っ二つに撃ち抜いていた。
「命乞いは聞かねえ!いいな!」
「貴様等、そのまま消えろ!」
イザークも敵のマシンをそのコクピットを潰して倒す。
「宇宙からな!」
「ええ、その通りです」
ニコルもだった。敵の小隊を消し飛ばしていた。
「僕も貴方達は許せません」
「ゲイル様、これでは」
「我等も」
「わかっている」
ゲイルは部下の言葉に苦い顔で応える。
「退くしかない」
「これで失敗すれば休養を薦められますが」
「それでもですね」
「止むを得ない。このままだ」
こうして彼等は撤退しようとする。しかしだった。
「退こう」
「はい、残念ですが」
「これで」
「しかし。エイジ」
彼の前に来たエイジのレイズナーマークツーを見ながら言う。
「何故君は地球に」
「グラドスは間違っています」
そのエイジが彼に返した。
「ですから僕は」
「グラドスが間違っているというのか」
「そうです」
はっきりと答えた。
「自分達を根拠もなく優位に思いそうして他人を見下すことがです」
「だが我々グラドスは」
ゲイルも彼の言い分があった。
「この宇宙に平和をもたらす為に他の種族を教化することが」
「馬鹿を言え!」
カガリがその言葉に怒鳴り返した。
「御前達のやっていることは唯の虐殺だ!」
「そうだ!」
アスランも言う。
「御前等はただそれをしているだけだ。その文化も破壊してだ」
「しかしそれは」
ゲイルは明らかに戸惑っていた。
「劣った文化を消す為に」
「消す為だと!じゃあこうなるわね!」
今度はアスカが怒鳴った。
「あたしから見てあんた達は最低!だから皆殺しにしてやるわよ!」
「その様な理屈なぞ」
今の彼女の言葉には唖然となるゲイルだった。
「我等を殺す為の適当なだ」
「そうよ!あんた達も同じよ!」
そう言うのだった。
「それがね!わかったらとっとと全滅するか撤退しなさい!」
「我々は間違ってはいない」
それでも言うゲイルだった。
「ただ銀河の平和の為にだ。銀河のほかの種族を」
「いい加減その考え捨てたらどうだ」
フォッカーが言った。
「俺達は同じだ」
「同じではない!」
「じゃあゴステロは何だ!」
今叫んだのはデビッドだった。
「あいつのやっていたことは何だ!」
「それは」
「俺達から見ればグラドス人こそが最低の種族だ!」
「そうだね、本当にね」
ロアンもそうだというのだ。
「僕達はバルマー軍でも誰でも積極的に命を取ったりはしない」
「グラドス軍以外はね」
シモーヌも言う。
「あんた達は罪も関係もない人達を巻き込むから」
「うう・・・・・・」
「だから僕はグラドスを去りました」
ここでまたエイジが彼に告げた。
「そして地球に」
「我々が間違っているというのか」
「言っておくが俺は何があっても手前等を許さねえ」
忍も激しい敵意を隠さない。
「一匹残らず殺してやる。楽しみにしてろ」
「・・・・・・全軍撤退だ」
ここでゲイルは指示を出した。
「いいな、ホワイトスターにだ」
「わかりました、それでは」
「このまま」
「エイジ」
最後にまた彼を見るのだった。
「また会おう」
「・・・・・・はい」
グラドス軍は撤退した。エイジはその彼等を見送る。その顔は決して晴れやかなものではなかった。
「これでグラドス軍は」
「暫くは来ないだろうな」
「ここまで痛めつけたらね」
その彼にデビッドとロアンが言ってきた。
「多分だがな」
「損害が大きいから」
「そうだね。けれど」
「別に気にすることはないわよ」
シモーヌはエイジが何故塞ぎ込んだのかわかっていた。
「それはね」
「そうなの。それじゃあ」
「ただね」
しかしであった。ここで彼女はさらに言った。
「いいかしら、エイジ」
「!?」
「戦争だから」
このことを言うのだった。
「だからね。これはね」
「そうだね。だから」
「やるとなればとことんやるだけよ」
「そういうことだな、だからな」
「同胞でもね」
またデビッドとロアンが言ってきた。
「気にするな」
「僕達は守る為の戦いをしているから」
「地球の人達を護る為に」
「グラドスは地球人を殺そうとするだろ」
「文化を破壊して」
「うん、確かに」
それはエイジもよくわかっていることだった。
「それはね」
「その攻撃から護るんだ」
「だからこそ」
エイジも二人の言葉に応えた。そして言うのであった。
「僕達は。そうなんだね」
「わかったな、これで」
「そういうことになるんだよ」
「グラドス人であろうとなかろうと」
エイジはこうも考えていった。
「何の根拠もなく他人を見下したり虐待、虐殺をする者は」
「どんな奴でも悪さ」
「グラドスでなくてもね」
「だからグラドスは悪なのよ」
シモーヌの言葉は逆説的であった。
「だからこそ」
「そうだね。僕もこれで」
エイジは三人の言葉をここまで聞いてその顔を明るくさせた。
「わかったよ。それじゃあ」
「行くぜ、次の戦いにな」
「それでいいね」
「頭を切り替えて」
「うん」
明るい顔になっていた。そしてその顔で一旦セダンに戻りであった。またあらたな戦いに向かう彼等だった。

第百七十三話完

2009・12・13  
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