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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百七十話 コロニー攻撃

               第百七十話 コロニー攻撃
  アインスト達との戦いを終えたロンド=ベルはセダンの門に入っていた。そこでまずは休息を取っていた。
「連戦だったからな」
「そうですね」
アストナージの言葉にキャオが応えていた。
「どのマシンも相当痛んでますね」
「セダンは設備が整っていてよかったよ」
今二人の前であらゆるマシンが整備を受けていた。
「とりあえずはこれで何とかなるな」
「そうですね。これで」
「もう改造もどの機体も極限までやったしな」
この話もするのだった。
「二十段階か。流石に凄くなったな」
「武器もでしたからね」
「おかげで強くなったさ」
「ですね」
「それにだ」
アストナージはさらに言う。
「思ったよりダメージは受けてないしな」
「皆技量があがってますしね」
「それもでかいな」
このことは素直に喜んでいる彼等だった。
「死なないだけじゃなくてね」
「こっちの仕事も減りますからね」
「ああ、それでだ」
「はい。何かありますか?」
「俺達も休むぞ」
彼が今度言ったのはこれだった。
「それでいいな」
「あっ、休憩ですか」
「俺達も休まないとな」
右手を拳にして左肩を叩きながらの言葉だった。
「ガタがくるからな」
「そうですね。それじゃあ」
「さて、次の敵襲が来るまでだ」
「休みますか」
「とりあえずサウナでも行くか」
アストナージはそこに行くというのだった。
「ゆっくりとな」
「サウナですか」
「どうした?サウナは嫌いか?」
「いえ、好きだなって思って」
キャオが今思ったのはそのことだったのだ。
「マクロスのサウナもよく使ってますし」
「サウナは身体にいいんだよ」
こうキャオに述べるアストナージだった。
「だからな。あえて入るんだよ」
「汗をかいてですか」
「そういうことさ。これでわかったな」
「ええ、まあ」
「御前さんも一緒に来るか?」
キャオも誘っての言葉だった。
「セダンのサウナにな」
「俺は食いに行きます」
しかし彼はそれを選ぶのだった。
「ちょっとシェラスコに」
「あのブラジル料理にか」
「肉が食い放題ですからね」
満面の笑顔での言葉であった。
「じゃあ行かないと損じゃないですか」
「あの肉の塊を串刺しにして焼いたのだよな」
その料理のことはアストナージも知っていた。
「あれは確かにな」
「美味いですよね」
「ああ、かなりいい」
そして食べたこともあった。笑顔がそれを雄弁に物語っている。
「そうか。じゃあ俺は明日行くか」
「今日はサウナですね」
「とりあえずはな」
そこだというのであった。
「行って来る。それじゃあな」
「ええ、じゃあまた」
こうして二人はそれぞれの場所でリラックスしに向かった。その頃そのシェラスコレストランでは。コープランダー隊が集まって食べながら話をしていた。
食べているのは当然シェラスコだ。次々に切られて皿の上に置かれていくその肉を食べながらだ。彼等はあることを話していた。
「じゃあピートさん、じゃなかったミスター」
「ああ」
神宮寺はマリの言葉に応えていた。
「言っておくがハーロックでもないからな」
「先手を打ってきたわね」
「何か言われそうだったからな」
そこは読んでいた神宮寺だった。
「それで何だ?」
「ゲストの軍が負けたらしいわね」
彼女が問うのは戦局についてだった。
「バルマーのホワイトスターを攻めて」
「そうらしいな」
じんぐうじはその言葉に応えて述べた。
「大軍を送り込んだのはいいが」
「もっと多くの迎撃を受けたらしいわね」
「それで敗れた」
そのことはもう知っている彼等だった。
「結果としてな」
「何か凄いみたいですよ」
猿丸もここで話に入ってきた。
「七隻のヘルモーズがいて」
「えっ、七隻もかい」
洸はそれを聞いて驚きの声をあげた。
「それはまた凄いな」
「それを主軸としたバルマー軍の反撃を受けてです」
「敗れたのですね」
「はい。ですが」
今度は麗に応えながら述べる猿丸だった。
「軍の損害はそれ程ではありません」
「そうなのですか」
「大体二割を失った程度です」
それだけだというのである。
「かなりの数が健在です」
「負けを見て大人しく引き下がったというところだな」
「おそらくは」
こう神宮寺にも述べた。
「ですからゲストはまだまだ余力があります」
「そうだな。それは間違いないな」
それは神宮寺もわかっていた。
「まだ力はある」
「はい」
「それにしてもバルマーだな」
神宮寺は彼等について警戒の色を見せていた。
「七隻のヘルモーズか」
「確かそれぞれの艦隊の旗艦でしたね」
麗もこのことはよく知っていた。過去の戦いからだ。
「その核にあのマシンがいる」
「ズフィルード」
マリがその名を口にした。
「あれね」
「はい、つまり今彼等は七機のズフィルードを持っています」
「厄介だな、それはまた」
洸はそれを聞いてつい顔を顰めさせてしまった。
「あんなのが七機もかい」
「かつてのバルマー戦役と同じだな」
神宮寺はその時のことを思い出していた。
「そうなると」
「しかもですよ」
猿丸はさらに言うのであった。
「あの時は一個艦隊でしたし火星もそうでした」
「けれど今は」
「はい、七個艦隊です」
マリに対してこのことを言った。
「敵の方面軍全部が来ています」
「銀河辺境方面軍がか」
洸がまた言った。
「全部来たんだね」
「つまり奴等も本気だ」
神宮寺は簡潔に述べた。
「全力で戦いに勝ちに来たということだ」
「全力で」
「私達に」
「俺達だけじゃない」
今言ったのは京四郎だった。
「奴等のここでの敵は俺達だけじゃない」
「ゲストやインスペクターもなのね」
「そうだ」
まさにそうだとナナにも述べた。
「だからだ。敵が多いからこそだ」
「全軍を集めてきたの」
「今この地球圏で一番の戦力を持っている」
「私達よりも!?」
マリがそれに問うた。
「持ってるっていうのね」
「あの国は侮れない」
京四郎の言葉は冷静なものだった。
「それだけのものがある」
「そうなの」
「だからだ。まずは奴等の動向に注意すべきだ」
それを強く言う京四郎だった。
「絶対にな」
「わかったわ。それじゃあ」
ナナが彼の言葉に頷いた。
「とりあえず今後の方針はバルマーを念頭に置いてなのね」
「まず他の二つの勢力を何とかしたいな」
一矢はここでこう言った。
「あの連中をな」
「ゲストにインスペクターか」
「ああ、そうだ」
まさにその通りだと洸にも返した。
「あの連中を両方共倒しておきたいな。バルマーとの決戦の前にだ」
「そういえばだけれど」
マリが顎に手を当てていぶかしむ声で述べた。
「ねえ、そのゲストとインスペクターだけれど」
「ええ」
「その二つが一体」
「兵器一緒だし戦術も似てるのよね」
このことを言うのだった。
「何かね」
「同じ文明ではないかとは言われてますね」
猿丸がマリの今の疑念について述べた。
「彼等が来た当初から」
「そうよね。同じ文明の中で何かあるのかしら」
「そうかもな。俺達も同じだった」
神宮寺が言った。
「連邦だティターンズだジオンだとな」
「それと同じなのですね」
「若し奴等がそれぞれ同じ文明に属していたらな」
こう麗にも返した。
「そういうことになる」
「そうですか」
「ただ、どちらもバルマーとは対立している」
それはもう明らかだった。何度も交戦しているからだ。今だけではない。
「それを見ればだ」
「では今は四つ巴だな」
一矢が言った。
「完全にな」
「ええ、そうですね」
洸が一矢のその言葉に頷く。
「そうなりますね、アインストとシャドウミラーがいなくなって」
「さて、どうするかだな」
あらためて言う神宮寺だった。
「これからは」
「暫くは様子見ですかね」
今言ったのは猿丸だった。
「向こうの」
「それしかないか」
「おそらくバルマーが動きます」
猿丸はこう読んでいた。
「ゲストとの戦いに勝ちましたし戦力も桁違いです」
「その勢いと戦力でか」
「はい、必ず動きます」
こう京四郎にも答えた。
「ですから」
「そうなるか」
「私はそう思います。それでとりあえずは」
「食べましょう」
ナナの言葉はシンプルだがその通りだった。
「食べて英気を養いましょう」
「そうだな。ナナの言う通りだ」
一矢もその言葉に頷いた。そうして自分の皿の上の肉を食べはじめた。
「人間肉を食べているうちは負けないっていうしな」
「そうですね。それじゃあ」
「食べましょう」
マリと麗も彼の言葉に頷く。こうして今は食べるのだった。
三日後だった。ネオイギリスから通信があった。
「バルマーの軍勢がネオイギリスに向かって出撃してきた!?」
「グラドス軍が」
「奴等かよ」
シンがそれを聞いて真っ先に顔を顰めさせた。
「あの連中だけは許せねえからな」
「何でも最低最悪の奴等らしいな」
エイジがこのことを彼に問うた。
「一般市民を平気で狙ったり虐殺もするらしいな」
「ああ、そうさ」
その顔でエイジの言葉に応えるシンだった。
「コロニーを核ミサイルで狙ってきやがった」
「それは酷いね」
斗牙もそれを聞いて顔を顰めさせた。
「そこまでするなんて」
「奴等には一切容赦しねえ」
既に牙を剥いているシンだった。
「奴等のマシンは頭にコクピットがあるからな」
「そこを潰せばいいんだな」
「ああ、そうしろ」
まさにそれだとエイジにも述べるのだった。
「そうすれば一発だからな」
「殺せってことか」
「彼等にはそれが一番だよ」
キラの言葉も何時になく嫌悪感を露わにしたものだった。
「彼等を一人でも生かしていればね」
「それだけで罪のない人が殺されます」
ラクスも言う。
「それを防ぐ為にです」
「彼等は一人残らず倒すんだ」
彼等もまたシンと同じ考えだった。
「それがグラドスに対するやり方なんだよ」
「つまりパイロットを殺すってわけさ」
万丈は実に単刀直入に言い切った。
「それだけさ」
「それだけかよ」
「彼等は偏見の塊なんだよ」
万丈もまた抑えているが嫌悪感を見せていた。
「そしてそれによってね」
「一般市民を殺戮するというのか」
レイヴンの声も怒っていた。
「まさに外道だな」
「さらに文化やそういったものも破壊するし捕虜を虐殺したりもするよ」
「さらに許せん」
その怒りはレイヴンだけが抱いているものではなかった。
「わかった。それではだ」
「やってくれるね」
「無駄な殺生は好まん」
ロンド=ベルに共通する考えであった。
「しかしだ。それを嬉々として行う輩にはだ」
「その通りだ。遠慮は無用だ」
サンドマンも言った。
「諸君、それではだ」
「ええ、それじゃあ」
「今から」
「ネオイギリスに向かう」
彼は言い切った。
「そしてあの者達を撃つ。いいな」
「了解です!」
「それでは」
「全軍出撃せよ!」
今その指示を下した。
「そしてこの宇宙に平和をだ!」
「わかりましたサンドマン」
レイヴンは今は『彼』としてサンドマンの言葉に応えた。
「これより」
「それにしてもだ」
サンドマンの目には明らかな嫌悪が見られた。
「この宇宙にも邪な者達がいるのだな」
「ええ、それは」
応えながら仮面の奥の目に悲しいものが宿る。
「残念ながら」
「あの宇宙と同じく」
彼等の元のことである。
「いるというのだな」
「そういうことですね。全く」
「それでは我々の世界と同じだ」
サンドマンはここでは感情を押し殺して述べた。
「それではだ」
「はい、行きましょう」
こうして彼等はそのネオイギリスに向かった。するとだった。
「まだグラドスは来ていないのか?」
「ああ」
「そうみたいね」
誰もがそれには一瞬拍子抜けした。しかしだった。
「いや、来る」
「そうだな」
アムロとクワトロが言った。
「この気配はだ」
「間違いない」
それを感じ取ったのだ。気配をだ。
「核ミサイルだ」
「それで我々ごとだ」
「まさか」
「それでネオイギリスも」
「来たぞ」
そうしてだった。今その核ミサイルが来たのだ。その数はかなりのものだった。
「ここでも核ミサイルかよ!」
「相変わらずやってくれるわね!」
シンとアスカが同時に怒りの声をあげた。
「それで俺達ごとってわけかよ!」
「毎回やってくれるわね!」
「来るぞ!」
そうしてだった。今かなりの数のその核ミサイルが来たのだった。
「ひゃあっはっはっはっはっはっはははああああああああ!」
「この笑い声は」
それを聞いたエイジが言った。
「ゴステロ!?」
「そうさ、俺さ!」
ここでグラドス軍が姿を現わした。核ミサイルの後ろにだ。
「俺がここで手前等を消し飛ばしてやるぜ!」
「手前まだ生きていたのかよ!」
彼の姿を認めたジュドーが怒りの声をあげる。
「さっさとくたばればいいのによ!」
「そうよ!」
「その通りよ!」
ルーとエルも彼と同じ考えだった。
「何であんたがよ!」
「生きてるのよ!」
「知れたことよ。このまま手前等を消し飛ぶのを見てやる為だ!」
「その為にネオイギリスも人達もかよ!」
「何てことするんだ!」
「一般市民のことは考えないのかよ!」
ビーチャとイーノ、モンドも講義する。
「前もそうだったな!」
「プラントでも!」
「それをまたするっていうのかよ!」
「その通りだ」
まさにそうだというゴステロだった。
「グラドス人以外の奴等は全員屑なんだよ!」
「何て奴だ」
闘志也は今のゴステロの言葉を聞いて唖然となった。
「ここまでひでえ奴がいるのかよ」
「信じられないな」
マリンも言葉を失っていた。
「これがグラドス人か」
「ああ、その通りさ」
万丈の言葉も忌々しげなものだった。
「そうなんだよ。この世界でも最悪の連中さ」
「みてえだな、それは」
アポロも顔を顰めさせていた。
「これはな」
「どうするかは言うまでもないな」
シリウスも答えを出していた。
「こうした相手にはな」
「そうね。もう」
シルヴィアも言う。
「今核ミサイルを抑えないと私達だけじゃなく」
「その通りだ。ネオイギリスの人達の為にもだ」
不動が今言った。
「まずは核ミサイルを全て叩き落す!」
「はい!」
「そしてそのうえで」
「グラドス軍を殲滅する!」
それが彼の作戦だった。
「いいな。それではだ!」
「ええ、全機戦闘配置!」
「まずはミサイルだ!」
「全て叩き落せ!」
そうするというのだった。
「それじゃあまずは!」
「いいか、諸君!」
こうして彼等は戦闘配置についた。そうしてだった。
迫り来る核ミサイルに対してありったけの攻撃をぶつけていく。それで一発ずつ確実に落としていく。
その度に核ミサイルが空しく爆発していく。だがロンド=ベルの面々はにこりともしていなかった。
「いいか、一発もだ!」
また不動が仲間達に叫んだ。
「ネオイギリスに行かせてはならない」
「はい、わかってます!」
つぐみが彼の言葉に応える。
「ここは何があっても」
「そうですね。一発でも行かせたら」
ジュンも言う。
「それで終わりですね」
「だからだな」
「ええ」
グレンの言葉に麗花が頷く。
「だからだ。全てだ」
「撃墜しないと」
「アクエリオンはこういう時の為にあったんだな」
アポロは今それがわかったのだった。
「こういう奴等を叩き潰す為に」
「天使達が相手ではなかった」
また不動が言った。
「いいな、それではだ」
「核ミサイルを全部叩き落してだ!」
アポロは既に本気になっていた。
「それからあのグラドスの奴等を倒してやる!」
「私も同じ考えだ」
シリウスも怒りを露わにさせていた。
「どうやら本気で倒さないとならない相手だな」
「それでは」
「何があろうとも」
クルトとクロエも言う。
「まずはミサイルを全て撃墜して」
「そのうえで」
こうしてグラドス軍の核ミサイルを撃墜していく。そうしてだった。
「あれが最後の一発だ!」
「よし!」
「私が行く」
前に出て来たのはミリアルドだった。そのライフルに狙いを定めてだ。
「終わりだ!」
その信管の部分を撃ち抜き一撃で終わらせた。これで全ての核ミサイルが撃墜された。
それを見てゴステロはまずは忌々しげに舌打ちした。そうしてだった。
「ちっ、核ミサイルは駄目だっていうのかよ」
「当たり前だ!」
シンが彼に対して叫ぶ。
「手前の思い通りになるか!」
「何処まで最悪な奴なんだ」
シローも唖然となっていた。
「こいつは」
「だから言っただろ。地球人なんてな、只の野蛮人なんだよ!」
「黙れ!」
その彼にサンドマンが叫んだ。
「貴様にそれを言う資格はない!」
「ああ!?今何て言ったんだ?」
「貴様に人を定める資格はないということをだ!」
それを言ったのである。
「何もかもだ!」
「手前、そんなに偉いってのかよ」
そのサンドマンに対して粗野な目を向けるゴステロだった。
「地球人風情がよ」
「地球人やそういったことは問題ではない」
彼にしてみればそうなのだった。
「ただこれだけは言える」
「ああん!?」
「貴様は最早人ではない」
これ以上はないまでに忌々しげな口調だった。
「そしてグラドス人達も許される存在ではない」
「・・・・・・・・・」
エイジは彼の言葉を聞きながら今は沈黙していた。
「何があろうともだ」
「そうだな、もうな!」
「こいつ等だけは!」
「何があっても!」
誰もが激昂していく。
しかしその中で。デビッドとロアンは難しい顔になっていた。
「なあ」
「そうだね」
そしてお互いに言い合うのだった。
「これは」
「まずいね」
「エイジ」
シモーヌがここでエイジに声をかけた。
「エイジのことじゃないから」
「うん、それはね」
エイジも暗い顔で応える。
「わかっているよ」
「悪いのはあいつ等だ」
「エイジじゃない」
デビッドとロアンもまた彼に慰めの言葉をかけた。
「だからな。気にするな」
「今は」
「・・・・・・うん」
頷きはする。しかしそれは弱いものだった。エイジは複雑な立場にあった。
しかしだった。ゴステロはあくまでゴステロだった。彼の周りには死鬼隊の面々がいた。
「おい、やるんだな」
「核ミサイルはもうないけれどな」
「それでもだな」
「ああ、その通りさ」
マンジェロとボーン、ゲティにその下卑た笑みで応える。
「コロニーごとやってやる。いいな」
「わかった。それではだ」
「行くとしよう」
「潰してやるぜ」
「無差別攻撃だ!」
ここでも非道な作戦を命じる彼だった。
「いいな、敵もコロニーもまとめて吹き飛ばせ!」
「こいつまだ!」
「そんなことを!」
デビッドやロアンも彼には激昂を露わにさせていた。
「どうやらこいつだけはな」
「倒しておかないと」
「僕が行く」
エイジが険しい顔で二人に告げた。
「こいつだけは僕が」
「いいのか、エイジ」
「例えあんな奴でも」
「そうよ」
シモーヌも彼に告げる。
「グラドス人だけれど」
「グラドス人やそうしたことは関係ないんだ」
今それを言うエイジだった。
「今それがわかったよ」
「わかったのかよ」
「それが」
「うん、わかったよ」
また言うエイジだった。
「それがね」
「よし、それじゃあな」
「行こう」
「グラドス人も地球人も同じなんだ」
それがエイジのわかったことだった。
「何も変わらないんだ」
「あいつはそれがわかっていない」
デビッドはそのゴステロを見て言った。
「何一つとしてな」
「そういうことだね。それにしても」
「どうしたの、ロアン」
シモーヌが彼に問うた。
「それにしてもって」
「ああいう風にはなり易いんだろうね」
ゴステロだけを見ている言葉ではなかった。
「人間っていうのは」
「その通りです」
ラクスがロアンのその言葉に応えた。
「人は時として驕ります」
「そうだね」
「そして意味もなく他の存在を蔑みます」
「それがまさにグラドス人」
「グラドス人という存在が悪なのではありません」
ラクスはそれはよくわかっていた。
「悪なのはです」
「心だ」
エイジが言った。
「彼等の心こそが悪なんだ」
「その通りです。ではエイジさん」
「うん」
「この地球の平和と人々の命の為にです」
「僕は戦う」
決意を新たにした言葉だった。
「ここでね」
「はい。それでは参りましょう」
「その戦いに」
こう言い合ったうえでグラドス軍との戦いに入る。その戦いは最初から熾烈なものであった。
「手前等だけは許せねえ!」
「そうよ!」
甲児もいつも以上に熱くなっている。
そしてさやかも。彼等は既に怒髪天を衝いていた。
「ここは一歩も通さねえからな!」
「そして一機も逃がさないわよ!」
実際に彼等は敵をまとめて粉砕していた。
「甲児君!」
「さやか、来たわ!」
ここに鉄也とジュンも来たのだった。
「俺達もだ」
「グラドスだけはね」
「そうよな、やっぱり」
甲児も彼等のその言葉を受けて頷く。
「絶対に倒しておかねえとな」
「それだけ後で一般市民達の犠牲が増える」
「そうした連中だから」
「しかし」
ここで大介が言った。
「彼等はバルマー外銀河方面軍に主にいたが」
「そうよね」
マリアが兄の今の言葉に頷く。
「銀河辺境方面軍にもこれだけいたのね」
「というより」
ひかるも言ってきた。
「これは」
「これは?」
「外銀河方面軍の戦力も入っている感じがするわ」
「そうみたいですね」
エイジが彼等の言葉に答えてきた。
「実際のところ」
「そうなのかよ」
「うん。グラドスに限ってだけれどね」
甲児に対しても答える。
「戦力を集結させてきたみたいだ」
「一体何の為にだわさ」
「グラドスの事情だと思う」
ボスの問いにも答えるのだった。
「彼等は十二支族の一つでもあって権限も大きいからね」
「権限も」
「だから方面軍の自分達への割合に介入できるんだ」
それだというのである。
「だから。それを考えれば」
「今戦力を集結させてることも」
「納得できるでやんすか」
「そういうことだね」
あらためてヌケとムチャの問いにも答えるのだった。
「だからじゃないかな」
「胸糞悪い奴等をここで一掃できればいいんだがな」
今言ったのは宙である。
「こういう連中は大嫌いだぜ」
「気持ちはわかるよ」
エイジは彼の今の言葉にも頷いてみせた。
「実際僕もね」
「そうなのか」
「プライドだけ高く差別意識の固まりで他の者を搾り取るだけで」
この言葉は実に辛辣なものだった。
「そうした連中だから」
「じゃあ容赦はいらねえな!」
「宙さん行きましょうね!」
「ああミッチー!」
いつものやり取りのうえでさらに前に出る彼等だった。
彼等もそれぞれの攻撃で敵を倒していく。そしてやがて。死鬼隊の本陣が露わになった。
「決めてやる!」
「行け、シン」
レイが彼に告げる。
「一気にだ」
「ああ。手前等のせいで彼の家族も殺されそうになったんだ」
このことを決して忘れないシンだった。
「だからだ。ここで手前等をまとめて消してやる!」
叫びながらドラグーンを放とうとする。しかしだった。
それより前にレイズナーマークツーが前に出た。凄まじい速さだった。
「何っ、レイズナーがかよ」
「シン、ここは僕に任せてくれ」
エイジが彼に告げる。
「ここはだ。頼む」
「頼むって相手は四機だぜ」
「大丈夫だよ」
彼が言うとだった。その後ろから三機来たのだった。
「俺達がいるからな」
「だから」
「エイジは任せて」
デビッドとロアン、それにシモーヌだった。
「これで四対四だろ?」
「それなら文句ないよね」
「数は」
「ああ、わかった」
シンは彼等のその言葉に頷いてみせた。
「それならな」
「よし、エイジ!」
「僕達も来たよ!」
「貴方はゴステロをね!」
「済まない!」
その彼等に礼の言葉を述べるエイジだった。
「それなら。このまま」
「ああ、そのままな」
「ゴステロの相手に専念して」
「後の三機が私達が」
「へっ、そう上手くいくかよ」
ゴステロは彼等が来てもその表情を変えない。
「俺が地球人なんかにやられるかよ!」
「いや、倒す!」
エイジが強い声で彼に告げた。
「御前はこの僕が倒す!」
「何っ!」
「御前は最早人ではない!」
こうゴステロに告げるのだった。
「そしてグラドス人も!」
「何だってんだ!?」
「同じだ!それがわからないだけだ!」
「グラドス人と地球人が同じだってのかよ」
「俺に言わせりゃな」
ディアッカがこれ以上はないまでに忌々しげな顔で彼に告げてきた。
「グラドス人みてえな最低な奴等ははじめてだぜ」
「野蛮な地球人が!」
「何を言う!」
「うるせえ!」
反論したグラドス軍のパイロット達をコクピットごと貫いたディアッカだった。
「手前等がやったことの方がずっと野蛮だろうが!手前等がやられた時のことを考えやがれ!」
「これは制裁だ!」
「そうだ、正義の裁きだ!」
だがなおも彼等は言うのだった。
「戦乱を引き起こし宇宙の平和を乱す地球人達へのだ!」
「そして我々が教化してやる!」
「その為に・・・・・・ぐわっ!」
「いい加減やかましいんだよ!」
オルガが彼等の発言の途中で一斉射撃を浴びせて消し飛ばした。
「偉そうに言う手前等の方がよっぽど平和を乱してるじゃねえかよ!」
「その通りだね!抹殺!」
「ぐわっ!」
「ぎゃあっ!」
クロトはミョッルニルを振り回し彼等のコクピットを粉砕していた。
「一般市民を狙ったり文化財を攻撃したりね!」
「黙れ!地球の文化なぞ!」
「そんなものは我がグラドスの・・・・・・ぐはっ!」
「死ね」
シャニもフォピドゥンの鎌を彼等のコクピットに突き刺した。忽ちその機体が爆発四散する。
「汚い言葉を聞く気はない」
「全くだ!手前等は所詮ただの薄汚い差別主義者だ!」
ロウもその巨大な剣を振るっている。
「それ以外の何でもねえんだよ!」
「それ以外何でもないな」
劾も彼等のコクピットをビームライフルで一機ずつ確実に撃っていく。
「貴様等はな」
「己を知らない奴等なぞ」
イライジャも同じだった。彼も冷静にグラドス軍を倒していく。
「どうということはない」
「手前等、地球人の分際で」
「そんなことは関係ないと言っている!」
エイジが叫ぶ。
「そしてゴステロ」
「ああん!?」
「僕はもう貴様を許すつもりはない」
彼を睨み据えての言葉だった。
「何があってもだ」
「まだそんなこと言うつもりかよ」
「そうだ。行くぞ!」
言いながらだった。レイズナーマークツーを一気に加速させる。そすいてだった。
「VーMAX発動!」
「何っ!?」
恐ろしい速さだった。それで彼に向かいだった。
体当たりめいたその攻撃で斬りつける。それはゴステロとて避けられるものではなかった。
「う、うわあああああっ!」
「これで終わりだ!」
技を放ちながら言うエイジだった。
「ゴステロ、地獄へ行け!」
「こ、この野郎!」
だがまだあがきを見せる彼だった。
「俺は死なねえぞ!まだだ!」
しかしだった。これで死ぬのだった。ゴステロも遂に倒れた。
その頃には他の三人も撃墜されていた。そして残った僅かなグラドス軍も逃げ去っていた。
「撃墜数は敵の九割を超えました」
「そうか」
ブライトはサエグサの報告に頷いていた。
「皆よくやってくれたな」
「それでは艦長」
「残敵の哨戒にあたれ」
それは忘れなかった。
「いいな。何時来てもだ」
「はい、わかりました」
その後でセダンに帰る。ネオイギリスでの戦いは終わった。
しかしであった。エイジは今一つ浮かない顔をしていた。
そうしてだった。その顔で言うのだった。
「ゴステロは」
「ああ、死んだな」
「やっとね」
「いや、多分まだ生きている」
デビッドとロアンに対しての言葉だった。
「まだね」
「生きているっていうのか?」
「あれで?」
「コクピットを潰せなかった」
だからだというのだった。
「しつはそうでもしないと死なない」
「そういえば俺達も」
「死鬼隊は」
彼等もここで気付いたのだった。
「コクピットは射抜かなかったからな」
「じゃあひょっとしたら」
「失敗したわね」
シモーヌも苦い顔になっていた。
「これは」
「ちっ、一番厄介な奴等をかよ」
デビッドはこう言って舌打ちした。
「まずったな」
「そうだね。けれど」
ロアンがその彼をフォローして言った。
「次だね」
「次かよ」
「絶対にまた来るよ」
もうそれを読んでいるのだった。
「だからね。次だよ」
「それでいいか」
「うん。じゃあ今はとりあえずね」
「帰ろうか」
エイジが三人に言ってきた。
「戦いも終わったり」
「ああ、そうしようぜ」
その彼に黄金が声をかけてきた。
「丁度いい具合に終わったしな」
「そうだね。じゃあ」
「しかしあれだな」
ここでジェリドも笑いながら話に入ってきた。
「俺やヤンロンもそうだがエイジと黄金は声が似てるな」
「ああ、そうだな」
カクリコンもそれに気付いた。
「御前等は似ているな」
「劾もそうだな」
彼もなのだった。
「だから何か今のロンド=ベルは好きだな」
「声が似ている人がいるっていうのは」
シモーヌは今一つ実感が湧かないようであった。
「そんなにいいことなの」
「ああ、シモーヌちゃんよ」
その彼女にカイが笑いながら言ってきた。
「あんたに頼みがあるんだけれどな」
「私にですか」
「ちょっと俺のことダーリンって呼んでくれよ」
こう頼むのだった。
「最後にだっちゃを付けてな」
「ダーリン、何してるっちゃ」
それに応えてすぐに言ってみたシモーヌだった。
「これでいいんですか?」
「やっぱりな。何かな」
「私も今のは思うところがありましたけれど」
フォウもなのだった。
「どうしてでしょうか」
「俺もだ」
何とそれは竜馬もだった。
「どうしてなんだ?そういえばカイさんとは」
「そうだよな。他には北斗とか聞くと思うところあるよな」
「そうですよね。他には」
ここで竜馬だけでなく洸や一矢もだった。サンシローもである。
「ブンドルさんにもそうだし沙羅さんにも」
「その話も結構問題じゃないのか?」
何故かこんなことを言い出すリュウだった。
「あの世界も話すときりがないぞ」
「無茶苦茶な世界だった気がするんだが」
それでもまだ言う竜馬だった。
「そういえばサイシーやタスクもどうやら」
「ああ、俺だよな」
タスクも応えてきた。
「俺も何かレイちゃんやクリスさんやパットさんとな」
「一緒だった?」
「お水被ると?」
「そうよね」
三人共心当たりのあることなのだった。
「他にはエイジさんやジュンコさんやギュネイさんやアキトさんやブライト艦長といつも喧嘩ばかりしていてブンタさんにあまりいい親父を感じなかったりな」
「複雑なのね」
それを聞いたアイナが呟いた。
「私もそっちの世界に縁があったような」
「僕もですよね」
ハーリーもだった。
「そんな気がします」
「全く。この世界には複数の世界が混雑してるのね」
クローディアもかなり戸惑っていた。
「そういう私も何か雪女だった気が」
「あれ、貴女確か」
その彼女に未沙が言ってきた。
「あれだったんじゃないの?ネコ型ロボットの相方の」
「それも何か記憶にあるわ」
彼女も彼女で色々あるのだった。
「未沙だってマーベルちゃんと何か」
「ううん、やっぱり似てるわよね」
「そっくりね」
こうまで言われるのだった。
「まあ私も日吉君と他人の気がしないし」
「この世界にもそっくりさんが多くて他の世界にもってことね」
「そうみたいね」
とにかく皆色々あるのだった。あり過ぎて何が何だかわからない程だ。
何はともあれセダンに帰る彼等だった。その頃ホワイトスターでは。
マーグとロゼが玄室にいた。そこで話をしていた。
「やっぱり失敗したんだね」
「はい」
マーグに対して答えるロゼだった。
「そうです」
「予想通りだね」
それを聞いて驚くところのない彼だった。
「それもね」
「予想通りですか」
「グラドス人は他人を見下し過ぎる」
彼等の欠点はもう把握しているマーグだった。
「どうもね」
「はい、それは確かに」
「だからそれはもうわかっていたよ」
「そうなのですか」
「そして」
さらに言うマーグだった。
「死鬼隊は生き残っているんだね」
「残念ながら」
自軍に対する言葉ではなかった。
「生きています、まだ」
「やれやれだね。折角ここで倒れてくれると思ったのに」
「そうは上手くいかないようで」
「わかったよ。それじゃあ」
「こちらで粛清しますか?」
「いや、それには及ばないよ」
それはしないというのである。
「どのみち彼等はまた出撃するね」
「はい、次もです」
「ではその時にロンド=ベルと戦うから」
「その時にですね」
「正直に言わせてもらうと」
ロゼにだけ本音を話すのだった。
「私はグラドス人が好きじゃない」
「それは私もですが」
そしてそれはロゼも同じなのだった。
「彼等の考え方や作戦は好きになれません」
「私もだよ。できれば今回の戦いに彼等は参加させたくなかったが」
「グラドス家からの要請では」
「しかも陛下の御命令でもある」
彼にとっては断れない事情なのだった。
「それではね。仕方がないよ」
「残念なことに」
「外銀河方面軍にこそ相応しいと思うけれど」
こう言って嫌悪感まで見せるのだった。
「彼等はね」
「全くです。ハザル=ゴッツォ司令にこそ」
「相応しいね」
「そしてそのハザル司令の腹心達も合流してきていますし」
「彼等だね」
「はい」
二人の脳裏にキャリコとスペクトラの仮面の姿が浮かんだ。
「彼等もですし」
「そして孫光龍も」
マーグの顔はさらに暗くなるのだった。
「来ている。戦力的には充実しているけれど」
「その顔触れはどうも」
「気をつけよう」
明らかに懸念を抱く顔でロゼに告げたのだった。
「ここは」
「はい、それでは」
「次の作戦もグラドス軍に任せよう」
あらためて言う彼だった。
「それでいいね」
「はい、それでは」
「ル=カインにも指示を出そう」
彼にもだというのだった。
「ロンド=ベルを倒せとね」
「彼等が軍令に違反した場合は」
「その場合は容赦する必要はないよ」
ばっさりと切り捨ててみせた。
「その時はね」
「わかりました。それでは」
「ゲストは退けたけれどまだ戦いが残っている」
マーグは強い言葉で言った。
「インスペクターもいればロンド=ベルも」
「そして」
「そして?」
「司令、御気をつけ下さい」
今度はロゼの顔が懸念するものになった。
「司令は御命を狙われています」
「私の命が」
「そのハザル=ゴッツォ司令にです」
彼の名前を出すのだった。
「狙われています」
「彼が私をかい」
「あの方は目的の為には手段を選ばれない方です」
少なくともロゼはそう見ているのだった。
「ですから」
「私を殺して銀河辺境方面軍もというわけか」
「どうやら」
「相変わらずの野心家の様だね」
マーグも彼を知っているかのように言うのだった。
「彼は」
「そしてその野心で、です」
「わかったよ」
その言葉に頷くマーグだった。
「じゃあ充分に注意しておくよ」
「おそらくグラドス軍やあの二人にしても」
「そうだろうね。そうじゃないとおかしいね」
「彼等をできるだけ側に近付けないで下さい」
ロゼの今の言葉は必死さがこもっていた。
「そして私も」
「ロゼも?」
「いますので」
自らこう言ってきたのであった。
「御安心下さい」
「身の周りにはだね」
「常に司令のお側にいます」
声には切実さもあった。その目にも。
「ですから」
「わかったよ。それじゃあね」
「お任せ下さい」
今度は言葉に決意があった。
「司令に危害は加えさせません」
「頼むよ。それじゃあ」
「はい」
「これで話を終わろう」
こうロゼに告げたのだった。
「今はこれでね」
「はい、それでは」
こうして話を終えた。彼等はまた作戦を繰り出すのだった。宇宙での戦いはまだこれからであった。

第百七十話完

2009・12・5
 
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