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ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
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終結

 
前書き
アインクラッド編ついに終了 

 
 ゲツガは突き刺さる腹に突き刺さった剣によっての痛み、片目を斬られた痛み、腕を落とされた痛み、そのほかにもたくさんの痛みのせいで意識が朦朧としている。

「何か戻ったみたいだな……だけど……今は奴の力を使わなくても……俺は負けられない……」

 そう掠れた声で言うと茅場晶彦は腹に刺さっている剣を一層に奥へと突き刺す。

「がああああぁあああ!!」

「正直、君が呼んだチェンジャーというものに聞いてもよく解らなかった。なぜ彼は、私しか持たない管理者権限(アドミニ)を持っていたと思う?それと、少しでも知っていたら教えてもらおうか」

 茅場晶彦の質問にゲツガはゆっくりと答える。

「奴らは……ウィルスだ……俺の身体を今まで蝕み続けた……野郎どもだ……」

「他に何人かいるのか?」

 そう言ってまた剣をぐりぐりと回転させていく。

「がああぁあああぁあ!!」

 ゲツガは痛みに堪え、口にした。

「あいつらは……七人いる……らしい……。そいつらは……俺を器の人間……そう呼んでいる」

 そう言うとゲツガは、茅場晶彦の腕を掴み攻撃を止めさせる。

「いい加減痛ぇんだよ……ッ!!」

 そう言って握力で握りつぶそうとするかのように力を込める。しかし茅場晶彦はそれをものともせずに攻撃を止めない。

「があああああ!!」

 ゲツガの叫びがドームの中を木霊する。

「他に知っていることは?」

「俺は……消去……される……ぐらい……だ」

 そう言うと茅場晶彦は言った。

「それのことなら安心したまえ。君は削除されない。さっきのチェンジャーという奴が君の身体をウィルスと悟られないように隠蔽されているらしくてね、カーディナルも私も気付けなかった。それと、君の身体を刺した時、なぜ奴が消えたんだ?」

「俺の背中には……あの力を……使ったり……乗っ取られる……と……契約印ってものが浮かび上がるらしい……。だから……たぶんその印を……破壊した……ことで……俺との接続が……切れたんだと……思う」

 そう言うと、茅場晶彦はもう十分に理解したのかゲツガに止めを刺そうと剣を更に突き刺そうと力を入れる。それを今出せる精一杯の力で防ぐ。だが、意識が朦朧として正直、持ちそうにないだからゲツガは手を離し茅場晶彦の後ろに向けて手を伸ばした。

「後は……お前らの仕事だぜ……」

「どういうこと……」

 そう言おうとする茅場晶彦の身体から細剣と黒い片手剣の先が突き出ていた。

「ゲツガ……お前は説明が足りなすぎるんだよ……」

「なんで……君はいつも一人でかっこつけようとするの……」

 キリトとアスナを見た茅場晶彦は微笑してからゲツガのほうを向いた。

「どうやら、私の負けみたいだな……」

 そう言ってヒースクリフ、いや、茅場晶彦はこの世界から消えた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「すこし眠くなっちゃった。膝、借りていい?」

 アスナはが聞いてくる。その問いかけに微笑んで答えた。

「ああ、いいよ。ゆっくりとおやすみ」

 そう言った瞬間、横からアスナに向けて何かが落ちてくるのにが目に入った。しかし、それはすぐにアスナに突き刺さった。

「え……?」

 最初見たときは理解できなかった。そしてその槍を持った手から人物の顔へと視線をずらす。その顔は、幼馴染で、今まで兄弟のように育ってきた男の姿だった。頭の中で色々な言葉が浮かんでは消える。だが一つの感情はふつふつとわきあがってくる。怒りだ。大切な人を目の前で刺されたことで、怒りがこみ上げてきた。

「ゲ……ツガ……ゲツガ……ッ!!ゲツガ!!」

 キリトは叫んだ。大切な人を刺したこいつを殺すために。エリュシデータを掴み上げ食って掛かる。しかし、ゲツガは先に片手で首を掴んで止めて、宙に持ち上げた。

「てめぇー……!!殺す……絶対に殺す!!」

 茅場晶彦より、こいつのことが許せなかった。今まで一緒にいた仲間を平気で刺すような奴が憎かった。殺したくて殺したくてたまらなかった。

「交代だキリト。後は俺に任せな」

 ゲツガはそう言ってアスナを持ち上げて、俺を放る。その後、その上にアスナを投げてきた。アスナをキャッチして抱き、ゲツガを睨む。しかし、ゲツガは茅場晶彦の方を見て何かを喋っていた。キリトはアスナに刺さっている槍を抜こうと槍を掴もうとしたが槍が消えた。なぜ?そう思うと視界の端っこにあるHPバーをみるとアスナのHPはマックスまで回復していた。

「キリト君?」

「ア……スナ……」

 キリトはアスナを抱きしめた。だが、ある疑問が浮かび上がった。なぜ彼女はHPがなくなったはずなのに生きている?そういうアイテムの類は着けていなかった。それならばなぜ?考えるがわからなかった。しかし、アスナが呟くように言う。

「多分、ゲツガ君のおかげだと思う」

 その瞬間、視界の右部分に表示画面が出た。

【asunaは蘇生されました】

 それを見た瞬間、キリトは息を呑む。だが、その蘇生法がわからなかった。混乱している頭を回転させてようやくその答えに辿り着く。

「あの槍か……」

 キリトが考え付いた答えはあの槍のおかげ。それ以外考え付かない。アスナのHPがなくなったときに近くにいたのはキリト、アスナ、茅場晶彦、ゲツガの四人しかいない。そして、不可解な行動をしたのは、ゲツガだけだ。ゲツガの持っていたあの槍には蘇生効果がついてた。それしかアスナが助かった理由が考え付かない。それに気付いたキリトはゲツガを見て小声で言った。

「お前は……お前は何で、自分を悪者にしようとするんだよ……」

 しかし、そのゲツガはまったく別人に見えた。姿形が同じでも長い間一緒にいたはずのあいつとはまったく違う。そう思って耳を澄ますと聞こえた。

「俺のマスターは、この世界の起源からいるんだ。管理者権限(アドミニ)を何個も複製して持ってんだよ」

 その言葉にキリトは気付く。あいつはウィルスの力を使い、乗っ取られたと。キリトは毒付き剣を握る。そして、自分はただ見てることしか出来なかった。あいつが、ゲツガが壊れていくところを。すると、アスナが言った。

「もしかして……ゲツガ君の狙いって……私達が茅場晶彦を倒させるさせることじゃないかしら?」

 アスナと目を合わせる。そして、考える。あいつがなぜこんなことをしたのかを。考えていると、ゲツガの悲鳴が聞こえた。

「があああぁああ!!」

ゲツガは茅場晶彦に腹を貫かれている。しかも、ゲツガに戻っている。茅場晶彦が俺らが後ろにいるが気付いていない。それなら、そう思いキリトとアスナは立ち上がる。

「行こう、アスナ」

「うん、ゲツガ君を助けに、そしてこの世界から出るために」

 そう言ってキリトはエリュシデータをアスナはランベントライトをしっかりと握り、茅場晶彦にへと突っ込んだ。ゲツガはキリトたちが見えたのか微笑し、こちらに手を伸ばした。そしてアスナとキリトは茅場晶彦を背中から突き刺した。

「ゲツガ……お前は説明が足りなすぎるんだよ……」

「なんで……君はいつも一人でかっこつけようとするの……」

 この攻撃によりHPがゼロになったので茅場晶彦に勝った。

「どうやら、私の負けみたいだな……」

 ゲツガのほうを向いて茅場晶彦はポリゴンとなり消えて言った。

「「ゲツガ(君)!!」」

 キリトとアスナは剣が刺さりっぱなしのゲツガの近くによる。ゲツガはもう目には光が消えかかったように暗かった。アスナは素早くユキの方に走って行った。

「ゲツガ!!今、お前を殴りたいところだがこれを飲んで早く回復しろ!!」

 そう言ってゲツガはキリトから差し出されたポーションを受け取ろうとしたがそんな力も無いのか持った瞬間、すぐに落ちてしまった。その間にゲツガは剣に貫かれているため刺突継続が続いた。すぐに抜いたがその瞬間、HPがゼロになってしまった。

「おい、ゲツガ!お前こんなところで死なないんじゃなかったのかよ!!」

 キリトはゲツガの名前を必死に叫び続ける。その時、アスナはユキを連れてきた。

「ゲツガ君!!」

 ユキはアスナから離れ倒れそうになるが何とか堪えゲツガの横に膝を突く。

「私を置いていかないって言ったじゃない!!何で約束を守ってくれないの!!」

 そう叫ぶとゲツガはゆっくりと口を開いた。

「ゴメン……な。ユ……キ……。約束……守……れなく……て」

「ホントだよ!!叩きたいけどゲツガ君がこんな状態じゃ無理だよ!!」

 そう言うと微笑んでゲツガは言った。

「もしも……俺が……死んだ……ら……一回……俺に会いに……来てくれ。俺の……現実の名前は如月……優だ……。分からなかったら……キリト……に聞いて……くれ……」

「絶対行かない。君は生きるんだよ……。この世界から出てもゲツガ君は生きてるから……」

 ユキは涙を流しながら言った。ゲツガは次にアスナを見る。

「ゴメン……な……。アスナ……お……前に……何の……説……明も……無しに……槍を……突き刺し……て」

「いいんだよ。そのおかげで生きていられるんだから……」

 アスナは涙を流しながら答えた。

「最後に……キリト……いや……カズ……お前にも謝っとく……悪かったな……。勝手に……大切……な人を……刺して……」

「ああ、正直、お前を殺したいくらい怒りがこみ上げてきたが、生きているから殴るだけで我慢してやる……」

 キリトは下を向いて言った。しかし、絞りだしたような声で泣いていると言うことが分かる。ゲツガは最後の力をふり絞って言った。

「みんな……ゲームクリア……おめでとう」

 そう言ってゲツガはポリゴン片となってこの世界から消え去った。

「「うわああああああ!!」」

ユキとアスナが絶叫を上げて泣きじゃくる。

 キリトも声を上げていなかったが、泣いていた。そして三人は身体が消え、ログアウトして行った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ピー……ピー……ピー……

「先生!!心拍数が安定してきています!!」

「信じられん……さっきまであれほど心拍数がさがっていたのに……まさに奇跡としか言いようがない……」

(何処だ……ここ?天国か……?)

 目をゆっくりと開く。見ると何人もの看護士や看護婦、医者が自分の顔を覗き込んでいる。
意識が戻った俺を見て全員が驚いた。

「先生!!意識も戻りました!!」

 その瞬間、場が、ドッと沸いた。しかしゲツガは耳がよく聞こえず、分からなかった。片目も開けているのにぼやけて見える。声を上げようとしたらまったく声が出なかった。絞るようにがんばって声を出す。

「こ……こは……?」

「病院の集中治療室だよ。君はSAO事件の中での不適合者だったのか痛みがじかに届いていたらしくてここにつれてこられたんだ。まあ、しばらくしたら精密検査を始めるからそれまだはゆっくりしといてくれ」

 そう言って医者達は部屋から出て行った。

(生きてる……のか?)

 そう思うが実感がわかない。あの時継続ダメージによりHPがゼロになって死んだ俺がなぜ生きてるんだ?自分が生きていることに疑問を持つ。

(茅場晶彦の仕業か?)

 そう思うがあいつがそこまでするだろうかと考えた。しかしすぐに考えるのをやめる。生きている、今はそれだけで十分だから。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「おい、どういうことだ!!印を攻撃されたぐらいで破壊されないし、リンクが切れるはずもないだろう!!」

 チェンジャーは怒りに声を荒げていた。

「チェンジャー、うるさいぞ」

 初老の男、コントロールが声を出した。それを聞いたチェンジャーは更に声のボリュームを上げて怒鳴る。

「テメェの仕業か!!邪魔しやがって!!ぶっ殺してやる!!」

「今回は俺がした」

 突然、別のところで声がする。声は青年くらい。この声はパス。

「ぶっ殺してやる!!」

 そう言うといきなり何かが目の前を通りすぎた。

「お前等、うるさい。人がゆっくりとしている時にもう少し黙っていてくれ」

すると無表情の青年がチェンジャー達のほうに手を向けていた。

「テメェ!!「ぶっ殺すとでも言いたいのか?逆に殺すぞ」……ッ!!」

 チェンジャーは黙った。あいつとは自分との実力差が激しいとわかっているからだ。チェンジャーが黙った時に今度は少女の声が響く。

「あれ?皆どうしたの?そんなに黙って?」

 レストアは異常な静かさに疑問を言った。

「あれなんだよ。皆思春期って奴さ」

 そう言って二十歳ぐらいの男の声が聞こえる。

「そういうもんなの?」

「そういうもん」

 男がそう返した後、今度は老人の声が聞こえる。

「チェンジャー、パスのしたことは正しい」

「何でだ!!俺の邪魔をしたのにか!!」

「パス、話してやれ」

「……分かったよ。まず、お前を戻した理由はあの世界はもう要らないとあの方が判断したからだ。だから、お前を奴のリンクから切り離した」

「何であの方はそう思ったんだ」

「それは俺はわからない」

 そう言うとチェンジャーは使えねえなといって、黙った。そしてそのタイミングを見計らってか老人が話し始める。

「まあ、基本的にはあの方からの指令はコントロールが受けるから問題なかろう。それとチェンジャーお前は色々とあの方が褒めておったぞ。お前は素直でとても役に立つとな」

 チェンジャーは声を出したりしなかった。しかし、身体があれば確実ににやけていただろう。

「さて、これからあの方の命令は私が聞いたから説明する。器は必ず次の世界に必ず行く。その時、システムの奥まで行くことに成功したら私らの力だけを返してほしいということだ。どうやらあの方は自分が出るらしい」

 そう言うとコントロールは意見する。

「次の世界に行くなんてなぜ分かる?その根拠は?」

「それは私がお兄ちゃんに前に言ったじゃん。この世界からログアウトする人間のうち300人弱は仕掛けに引っかかってまだ閉じ込められたままだよ。お兄ちゃんの大切な人もその中にいるから絶対にいくに決まってるもん」

 レストアがそう言うとコントロールはそうかと頷いた。

「よし、それでは今後は隠密性(ステルス)になっておけ。どうせこのナーヴギアを使うだろう。そして、勝手な行動はするな。以上だ」

 そう老人がいうと全員の気配がなくなった。 
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