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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百五十八話 純粋なる存在

               第百五十八話 純粋なる存在
エクセレンがアルフィミィリィの手で連れ去られてから三日が経った。ロンド=ベルはその間スカパフローの基地に留まったままであった。
「まだわからねえのかよ」
「残念だけれどね」
こうジャーダに答えるガーネットだった。
「何もね」
「ちっ、何だよそりゃ」
それを聞いて舌打ちするしかないジャーダだった。
「何もかも」
「そうよ。何もね」
「相変わらず姿を消すのは得意なんだな」
今の彼の言葉は完全な減らず口だった。
「それでいつも急に出て来るからな、奴等は」
「そうね」
ジャーダの今の言葉に応えたのはラーダだった。
「相変わらずね、そこは」
「けれど。何なんですかね」
ここで言ったのは統夜だった。
「何であんなにそっくりだったんでしょう」
「それもわからない」
こう答えるしかないキョウスケだった。彼もいるのだ。
「全くな」
「何なんだ?本当に」
ジャーダはここでまた言った。
「あの連中はよ」
「気のせいか」
今言ったのはククルだった。
「あの者達は明確な意志を感じない」
「意志をですか」
「感じない!?」
「本能的なものを感じる」
感じるのはそれだというのだった。他のものは感じないというのである。
「何かな」
「本能っていえば」
「宇宙怪獣に似ていませんか?」
言ったのはブリットとクスハであった。
「あの連中に」
「破壊衝動だけというのなら」
「そういえば」
言われて気付いたのはアムロだった。
「その通りだな」
「けれど違うのは」
ブライトがここでさらに言う。
「あの少女の存在か」
「アルフィミィリィだったな」
アムロがその名前を言葉に出した。
「あの娘だな」
「あの娘の正体もわからない」
まさに謎しかない状況だった。
「アインストそのものについてもだ」
「何かよ、何もかもわからねえのか?」
今言ったのは忍だった。
「あの連中のことがよ」
「実際にそうだね」
それに頷いたのは雅人だった。
「本当にね」
「けれどさ、化け物かっていうと」
沙羅は首を傾げさせていた。
「悪霊っぽくない?」
「そうだな、悪霊だ」
亮もその言葉に頷く。
「どちらかというとな」
「悪霊ね」
サフィーネが悪霊という言葉に反応して述べてきた。
「ヴォルクルスとはまた違った感じだけれどね」
「まああれじゃない?」
「どうしたのセニア姉さん」
「あの連中があたし達を邪魔に思ってるのは間違いないわ」
それはだというのである。こうテリウスに話すのであった。
「それはね」
「ってことはだニャ」
「あの連中すぐに出て来るってことだニャ」
クロとシロは彼女の言葉からこう考えたのだった。
「だったら今は待っていてもいいニャ」
「焦ったら負けニャ」
「俺の性に合わねえな」
しかし二人の主はこう言うのであった。
「そんなのはよ」
「あんたは出たら駄目よ」
しかしセニアはマサキに突っ込みを入れてきた。
「絶対にね」
「絶対にかよ」
「そうよ、絶対によ」
こう言うのである。
「わかったわね」
「わかったも何もよ。偵察に行かないと駄目じゃねえかよ」
「もうその人達出してるし」
それはもうやっているというのである。
「もうかよ」
「出てるわよ」
また言うセニアだった。
「とっくにね」
「一体誰が出てるの?それで」
ミオがセニアに対して問う。
「何か皆いるけれど」
「勇君達よ」
彼等だというのである。
「今ナデシコと一緒に出てるわよ」
「そう、あの人達なの」
話を聞いて納得した顔になるミオだった。
「それじゃあ今はお昼寝していていいのね」
「あの、ミオさん」
そのミオに対してプレシアが突っ込みを入れる。
「確か昨日は夜の九時から朝の九時まで寝てませんでした?」
「いつもそうよ」
平然と答えるミオだった。
「寝る時はね」
「あの、それでお昼寝ですか!?」
つまりまだ寝るのかということである。
「一体一日にどれだけ」
「人間寝ないといいネタも思い浮かばないのよ」
「ネタかよ」
そのミオに突っ込みを入れるマサキだった。
「御前の関心はまずそれかよ」
「その通りっ」
胸を張って応えるミオだった。
「この私のギャグは睡眠によって支えられているのよ」
「勝手に言ってろ」
思わず減らず口になっていた。
「手前はよ」
「何度でも言ってあげましょう」
「相変わらずへこたれないわね」
セニアもそんなミオにある意味感心していた。
「本当にね」
「その通り。ミオちゃんは何があってもへこたれないのよ」
「それはいいけれど」
プレシアは呆れる顔で横目でミオを見ながら言う。
「まだお昼寝できるなんて」
「じゃあお休み」
何とその場でソファーに寝転がったのだった。
「後は宜しく」
「宜しくじゃねえっ」
今度はマサキが突っ込みを入れた。
「ったくこんな時に緊張感がねえ」
「はっきり言えば緊張しても仕方ないわよ」
セニアはマサキに対しても言った。
「それはね」
「仕方ねえのかよ」
「だってあれじゃない」
セニアは彼にまた言うのだった。
「敵はまだいないのよ」
「ああ」
「その時から緊張しても何の意味もないわよ」
だからだというのであった。
「少なくとも今はね」
「要は戦う時にかよ」
「そういうこと」
彼女の言いたいことはそういうことだった。
「敵が出てから緊張すればそれでいいのよ」
「じゃあ今は落ち着けってことかよ」
「これでも飲むんだな」
ユウキがここで出して来たのは紅茶であった。
「お茶でもな」
「ああ、悪いな」
そしてその紅茶を受け取るマサキだった。早速口に含む。
その熱い紅茶を飲むとだった。彼も少し落ち着いてきた。そうしてその落ち着いた面持ちになってからあらためて皆に言うのだった。
「それでだけれどよ」
「うん。どうしたの?」
カーラが彼に応える。
「落ち着いたわよね」
「かなりな」
「それで今やることはわかったかしら」
「じっくりと腰を据えることだな」
それだと答えるのだった。
「今はな」
「そういうことよ。どうせすぐに来るわよ」
セニアもまたユウキの淹れたその紅茶を飲んでいた。
「その時にやればいいのよ」
「そうだな。じゃあ今はよ」
「ゲームでもする?」
テリウスからの誘いだった。
「丁度面白いゲームがあるよ」
「ゲームか」
「今までアスランと一緒にやってたけれど彼が呼ばれたから」
「何か御前等もいつも一緒にいるよな」
実はアスランとこのテリウスも仲がいいのである。
「本当にな」
「波長が合うからね」
それが理由だった。
「だからなんだ」
「波長か。それは俺もよくわかるぜ」
心当たりはたっぷりとあるのだ。
「本当にな」
「っていうかあんたはそれ言ったらきりないからね」
セニアが彼の横から突っ込みを入れた。
「まあそれを言ったらきりないけれどね」
「サラは今回複雑よね」
カーラはここでサラに声を振ってみせた。
「あんたの場合はね」
「そうなのよね。今ライトのドラグナーのコンピューターと話してるけれど」
「ああ、マギーちゃん」
「それかよ」
皆ドラグナー3のそのコンピューターの名前もよくわかっていた。
「あの娘となの」
「やっぱり」
「気が合うから」
だからだというのである。
「あの娘とね」
「エクセレンさんとも仲よかったよね」
テリウスは彼女にこう言った。
「そのエクセレンさんと」
「そうよ。だから」
また言うサラだった。
「今はね」
「まあ今は本当に様子見だな」
まだ紅茶を飲むマサキだった。
「待つしかねえな」
「待っていれば相手は自然にやって来るわ」
セニアの言葉は変わらない。
「それまではお休みよ」
「そうだね」
皆こう言って今は休んでいた。その数時間後であった。
その偵察に出ているナデシコからだった。報告があがったのだ。
「見つかりました」
「そう」
「それで何処ですか?」
皆明るい声で報告するユリカに対して尋ねた。
「確か今はアイスランドですよね」
「そっちですよね」
「はい、そのアイスランドです」
まさにそこだというのである。
「そこにアインストを見つけました」
「それで出て来たとか?」
「まさか」
「いえ、それはまだです」
今度はルリが皆に告げた。
「重力反応があっただけで」
「重力反応」
「それじゃあ」
これが何よりの証だった。それ以外になかった。
「出て来るのね」
「やっぱり」
「ですから皆さん」
また言ってきたユリカだった。
「アイスランドです。至急です」
「やれやれじゃのう」
しかしここで兵左衛門はぼやいた。
「寒い場所は苦手じゃ」
「そうですね、本当に」
それは梅江も同じであった。
「神経痛にこたえますから」
「できることなら避けたいのじゃがのう」
「けれどそうも言ってはいられませんよ」
そうぼやく二人に対して言ってきたのは一太郎だった。
「敵が出て来たんですから」
「じゃから嫌なのじゃよ」
「全くです」
「艦橋はあったかいから」
一太郎はさらにその二人に言う。
「だから行くよ」
「わかっておるわ。仕方がない」
「そうですね」
結局はそれに頷くしかなかった。こうして皆出撃するがここで。またしてもシンが言わなくていいことを言ったのであった。例によって。
「神経痛か。それならあれだよな」
「あれとは何だ?」
すぐにレイが彼に問うた。
「うちの艦長なんかやばいよな」
「それはどうしてだ?」
「だってよ。もういい歳じゃねえかよ」
今度はタリアへの言葉だった。
「寒い場所なんか言ったらそれこそリューマチとかにもなるだろ」
「リューマチか」
「おばさんだからな」
こう言うのである。
「厚化粧だけれど大変だろ。顔には出さないけれどな」
「そんなものか」
それを聞いてもレイは冷静なままだった。
「艦長は」
「そうだよ、二十を超えたらもうおばさんだぜ」
シンの言葉は続く。なおここにいるのはシンとレイだけでなくシンジもいる。今プラグスーツを着てまさに出撃準備にかかろうとしている。
「尻尾も九本まで生えてな」
「尻尾って」
シンジも言うのだった。
「そんな人?タリア艦長って」
「だからよ。女は二十を超えたら化け猫なんだよ」
無茶苦茶を言うシンであった。
「殆ど怪物なんだよ」
「そんなものかな」
「初耳だがな」
「へっ、艦長もな。二十とっくの昔に超えた猫又だぜ」
「猫又ね」
「そうだよ」
後ろからの声にも言う。シンジがその後ろを振り向くと。
「う、うわああああああっ!」
すぐに叫び声をあげてしまった。
「で、出たっ!!」
「出たって何がだよ!」
「シ、シン逃げないと!」
「逃げちゃ駄目なんだろ?」
シンはシンジがいつも自分に言い聞かせている言葉を彼に返した。
「それで何でそんなこと言うんだよ」
「いいから早く逃げないと!」
なおも言う彼だった。
「早く!本当に!」
「ったくよ」
そんなシンジの言葉を笑い飛ばす様な感じであった。
「何がいるってんだよ」
「後ろ後ろ!」
「後ろ?」
「もう来たから・・・・・・・遅かった!」
「遅かった・・・・・・んっ?」
気付くとだった。シンジの頭は後ろから見事なアイアンクローを受けていた。そしてそこには黒いタリアのシルエットが仁王立ちしていた。
目だけが銀色に輝いている。そこから恐ろしい光を放ちながら。彼女は言った。
「猫又って誰のことかしら」
「あ、あわわわわわわ・・・・・・」
シンジは流石に腰を抜かしていた。
「だから逃げろって言ったのに」
「シン=アスカ」
タリアは彼の名前を呼んだ。
「命は惜しくないようね」
「いきなり戦死者が出るなんて」
「困ったことだな」
シンジは愕然としていてレイは冷静だった。ミネルバの艦内に何かが砕ける不気味な音が響き渡った。
スカパフローから出た一同はすぐにロンド=ベルに着いた。そこにはもうナデシコがいた。
「あれっ、まだ?」
「まだアインストは出て来ていないの」
「そうなんだ」
ヒメが彼等に告げてきた。
「まだだよ、一人もいないよ」
「一人もいないって」
「何かあるのかしら」
「多分あれだな」
ここでジョナサンが皆に言ってきたのだった。
「俺達が集まるのを待っているんだな」
「俺達を!?」
「ってことは」
「すぐに円陣を組もう」
大河がこう告げた。
「それで警戒に当たるのだ」
「そうですね」
スタリオンが彼のその言葉に頷く。
「何時また出て来てもおかしくはないですから」
「また包囲かよ」
何と生きているシンが言った。頭に包帯を巻いているにしろ。
「奴等も芸がねえな」
「ってあんた生きてるの」
アスカがその彼を見て言った。
「タリア艦長のアイアンクロー受けたんじゃないの?」
「その後冷凍庫に放り込まれたさ」
タリアも容赦がない。
「マジで死ぬかと思ったぜ」
「何で死なないのよ」
また随分なことを言うアスカだった。
「別に死んでもいいのに」
「俺が死んでもいいっていうのかよ」
「そうよ」
実にはっきりとした返事だった。
「一回死んだら?そうしたら少しは頭がよくなるかもよ」
「手前が死んでろ、このドイツ猿」
今度はアスカと喧嘩に入る。
「ちったあその脳味噌穏やかにしやがれ」
「どうやら本当に死にたいらしいね」
言いながらインパルスデスティニーに照準を合わせる。
「苦しまないようにしてあげるから暴れないことね」
「何っ!?やるっていうのかよ」
「やってやるわよ!地獄に落ちなさい!」
「おもしれえ!死ぬのは手前だ!」
シンも受けて立つ。
「今度は猿じゃなくて真っ当な人間に生まれ変わるんだな!」
「死ぬのはあんたよ!あたしの手によってね!」
ここでもいつもの事態になろうとしていた。しかしであった。
「まあとにかく」
「戦争すぐだから」
言ってきたのはヒカリとケンスケだった。
「喧嘩してる場合じゃないわよ」
「エネルギー反応出て来たよ」
「おっ、そうかよ」
「遂になのね」
それを聞いてすぐに喧嘩は止めた二人だった。
「それじゃあな。あらためてな」
「出て来なさい、アインスト」
二人共切り替えは見事であった。
「手前等まとめて叩き潰して」
「エクセレンさんは晴れてよ」
「全く。いつもいつも」
「アスカにしてもシンにしてもね」
二人の喧嘩がやっと終わったと見てふう、と溜息をつくヒカリとケンスケだった。
「喧嘩好きよね」
「本当にね」
そのことに呆れ果てているのだった。
「何かっていえばだし」
「それも毎日毎日」
「飽きずにまあ」
そんな話はできた。しかしだった。
突如としてだった。エネルギー反応が起こったのだ。
「来た!?」
「遂に」
「全軍出撃です」
ユリカが告げる。
「おそらくこれだけの反応は」
「かなりの数ですよ!」
メグミは目の前の反応を見ながら述べた。
「これだけの巨大な反応は」
「それじゃあ今回も」
「決戦です」
ルリは言った。
「ここでアインスト達との戦いが決まればいいのですが」
「そして」
「エクセレンさんを」
皆彼女のことも言うのだった。
「何とか取り戻して」
「それで」
「!?ですが」
しかしだった。ここでハーリーが言った。
「おかしいですよ。反応は巨大だが」
「!?そうだな」
勇も彼の言葉に応える。
「何だ!?この反応は」
「一機だけみたいだな」
ジョナサンも言った。
「どうやらな」
「一機だけでここまで反応!?」
「あの娘!?」
誰もがアルフィミィリィだと直感した。
「あの娘がか!?」
「出て来たのは」
「同じだよ」
今言ったのはヒメだった。
「この感覚、あの娘だよ」
「そう。なら話は早いわね」
カナンはそれを聞いて静かに述べた。
「あの娘を倒して。それでエクセレンをね」
「取り戻す」
シラーは一言だった。
「それだけだな」
「その通りだ。行くぞ」
クインシィは既に彼女を倒すつもりだった。
「そしてアインストとの戦いも終わらせる」
「よし!それだ!」
「行くわよ!」
全機で向かおうとする。その彼等の前に姿を現わしたのは。
彼女ではなかった。それは。
「あれは」
「ヴァ、ヴァイスリッター!?」
キョウスケとリューネがそれを見て言った。
「あれは間違いないわ」
「そうだな」
ヤンロンもそれはわかった。
「間違いない」
「操られてるわね」
アイビスはそう直感した。
「間違いなくね」
「ですけれど」
リョウトが言った。
「何かシルエットが」
「そうよね」
リオが応える。
「あれ。何っていうか」
「生き物みてえだな」
カチーナは今のヴァイスリッターの姿をこう表現した。それは間違いなかった。
「それにこれは」
ツグミも言う。
「エネルギー反応はパーソナルトルーパーのものじゃないわ」
「それによ」
今度言ったのはカーラだった。
「ここで出て来たっていうのは」
「乗っているのは」
ユウキはそのヴァイスリッターに乗っているパイロットについて考えた。
「やっぱり」
「いや、待てよ」
タスクは今は慎重に言った。
「そうとは限らないだろ?」
「じゃあアインストに機体だけ奪われたっていうの!?」
エレナはその可能性を考えた。
「そうだっていうの!?」
「けれど何か」
「この反応は」
しかしここでブリットとクスハが言った。
「真龍虎王のこの反応は」
「違うと思います」
「そうだ、いる」
今言ったのはキョウスケだった。
「間違いなくな」
「いる!?」
「あの中にいるのは」
「そうだ、エクセレンはあの中に乗っている」
彼は断言した。
「間違いなくな」
「おい、それは本当か!?」
マサキがキョウスケの今の断言に問い返した。
「本当にエクセレンはあのヴァ椅子に乗っているのかよ」
「確認する」
ラミアは今はそうすることにしたのだった。
「それでいいな」
「そうだな」
ダイテツが彼女の言葉に頷いた。
「まずは確かめないとどうにもならない」
「そうだ。だからこそだ」
「頼んだぞ」
「うむ。エクセ姉様、応答を」
そのヴァイスリッターへ通信を入れたのだった。
「姉様」
「・・・・・・・・・」
それに対する返答はあった。しかしだった。
「・・・・・・オマエタチ」
「!?」
「今の声は!」
間違いなくエクセレンの声だった。しかしなのだ。
「抹消・・・・・・ハジマリノ地ノ者達ヲ」
「エクセレン!」
キョウスケが彼女に問う。
「どうしたエクセレン!」
「・・・・・・・・・」
今度は返答がなかった。全くだった。
「どうなってるんだ?」
「これは」
「まさか中尉は」
リンがその様子を見て言った。
「今は」
「そうだな」
ギリアムが彼のその言葉に頷いて応える。
「アインストの支配下に置かれている」
「まずいですよ、それは!」
ラッセルはそれを聞いて声を荒くさせた。
「中尉を人質に取られてるのと同じじゃないですか!」
「それだけで済めばいいがな」
「えっ!?」
「アインストはだ」
ラッセルに応える形で言葉を続けていく。
「エクセレンを使って俺達を消す気だな」
「糞っ、それかよ!」
「使い古された手だけれどね!」
皆それを聞いて歯噛みする。しかしだった。
「何時やられてもむかつくなおい!」
「厄介なことしてくれるわ!」
「けれどそれでもな」
トウマが言う。
「ここで何とかしないと大変なことになるぜ」
「キョウスケ」
その中でカイがキョウスケに告げる。
「今絵はエクセレンのところに向かえ」
「そうして」
「彼女を救出しろ」
こう話すのだった。
「わかったな」
「了解」
彼の言葉に冷静に応えるキョウスケだった。
「それでは今から」
「アインストです!」
「出て来ました!」
しかしだった。ここで彼等が出て来たのだった。
彼等はそのヴァイスリッターの周りに出て来た。数は。
「三万!」
「それだけいます!」
「よし、数は丁度いいぜ!」
「潰してやるにはね!」
「全軍突撃だ」
ダイテツが指示を出した。
「いいな」
「はい!」
「了解です!」
皆それに応えて一斉に動く。こうして両軍の戦いがはじまった。
ロンド=ベルは一直線に向かう。その前にはアインストの大軍が立ちはだかる。しかしだった。
「サンダーブレイク!」
鉄也はグレートマジンガーから雷を放った。それで目の前のアインスト達をまとめて吹き飛ばす。指から放たれた電光の力は健在だった。
「さあ、行くぞ!」
「よし、次は俺だ!」
「僕もだ!」
甲児と大介も続く。マジンカイザーも胸から炎を放った。
「ファイアーブラスターーーーッ!」
「反重力ストーム!」
それぞれ炎と七色の光を放ち敵を次々と葬る。ここでもその数を一気に減らしにかかる。
アインストの数は減っていく。しかしだった。
「くっ、どんどん前に出て来やがるな」
「相変わらずしぶとい奴等だぜ」
皆それを見て忌々しげに言う。
「何処まで出て来るんだ?」
「三万の数を一気に前にって」
「安心しろ」
だがここでキョウスケが言う。彼もまた前線に立って戦っている。
「数は減っている」
「数は」
「それにだ」
彼の言葉はさらに続く。
「次第に近付いている」
「中尉に」
「少しずつでも」
「そうだ。このまま行けばいい」
言いながらその拳でアインストをまた一機粉砕してみせた。
「じっくりとな」
「じゃあキョウスケさん」
「ここは俺達に任せな!」
ここで全員その気力をあげた。
「こうやってな!」
「道は開けるわ!」
言いながら総攻撃を仕掛ける。その中で。
「レッシィ!」
「わかってるよ!」
アムとレッシィが動いた。二機並びそのうえで、であった。
同時にバスターランチャーを放つ。それで道を開けるのだった。
「よし、キョウスケさん!」
「道を開けたぞ!」
まずはこうして道を開けたのだった。
そこにショウとトッドが切り込む。そうして。
「前に来るなら!」
「俺のオーラ斬りは痛いぜ!」
その剣で切り伏せていくのであった。
エクセレンまでの道は開いた。まさに瞬く間に。
キョウスケはそこに入った。そして一気に進む。
「エクセレン!」
ヴァイスリッターに対して叫ぶ。
「俺だ!応答しろ!」
こう彼女に叫ぶのだった。
「エクセレン!」
「・・・・・・・・・」
しかしだった。彼女からは返答はなかった。
「そうか」
そしてそれを見て。キョウスケは判断を下した。それは。
「やはり直接接触しなければならんか」
「それならよ!」
アスカが出て来た。何と一気にキョウスケの前に出たのだった。
他の三機のエヴァは彼女について来るので精一杯だった。アスカはそのATフィールドを取り出して。
「どりゃああああああああああああああっ!」
ATフィールドを横薙ぎに払う。それで目の前のアインスト達をまとめて両断したのである。
「ATフィールドはこう使うのよ!」
「こう使うって」
「相変わらず派手にやるわ」
シンジとトウジはそれに戸惑いを見せていた。
「それにしてもよく斬れるね」
「っていうかよおそんなん考えつくわ」
「けれど道は開いたわ」
二人に対して述べたのはレイだった。
「これでね」
「そうよ。キョウスケさん」
アスカは敵をまとめて潰したうえでキョウスケに対して声をかけた。
「いいわね」
「わかった」
アスカのその言葉に応えて頷くキョウスケだった。
「それではだ」
「行って」
アスカは今度は一言だった。
「エクセレンさんのところにね!」
「周りは俺に任せろ!」
今度は一矢が出て来た。ガルバーも一緒である。
「さあ、今のうちに」
「行ってくれ!」
一矢と京四郎もアインスト達を倒しながら彼に告げる。
「道が開いているうちに!」
「今だ!」
「済まない」
その彼等に対して礼を述べるキョウスケだった。
「それではだ」
「そうよ。何があっても」
ナナも彼に対して告げるのだった。
「エクセレンさんをね」
「一矢さんだってシンの奴だってドモンさんだってね」
アスカは今度は目の前の敵にポジトロンライフルをマシンガンの如く放って彼等を倒しながらそのうえでキョウスケに対して言うのだった。
「最後は囚われのお姫様を救い出したんだから」
「囚われのか」
「それで一つ予約しておくわ」
アスカはさらに言うのだった。
「タケルさんもよ」
「タケルさんもなんだ」
「当たり前でしょ、あたしは断言するわよ」
シンジに対して返した言葉だった。
「絶対にお兄さんを取り戻せるから」
「絶対になんだ」
「愛は勝つのよ」
断言だった。
「そうよ、何があっても最後には愛は勝つのよ」
「それがアスカの考えなんだね」
「じゃああんたはどうなのよ」
そのシンジにまた返すのだった。
「一矢さん見てわかったでしょ」
「確かにね」
今も自分達の前で戦う一矢を見ての言葉だ。その彼をだ。
「あの人は。本当に」
「エリカさんは幸せよ」
エリカについても話した。
「あんな素晴らしい人に愛してもらえるんだから」
「そしてエリカさんもまた」
「だからよ。あたしそういうのを見てわかったのよ」
その一矢達をというのだ。
「絶対にね、愛は勝つのよ」
「そうだね。それじゃあ」
「その為にはまず行くことよ!」
今度はグレイブを派手に振り回す。まさに鬼神であった。
「キョウスケさんには指一本触れさせないからね!」
「じゃあ僕も」
シンジもそのアスカの横についた。そうしてライフルを連射しだす。
「キョウスケさんの為に!」
「そうよ、あんたも必死で戦いなさい!」
「アスカってそういう一途なの好きやったんやな」
「悪いの?」
ジロリとトウジを見ての言葉であった。
「そう言うあんたもね」
「わかっとるわ。戦えちゅうんやろ」
「そうよ、さっさと戦いなさい」
それが言いたいのであった。
「いいわね」
「わかっとるわ。俺かてハッピーエンドが好きやからな」
「勿論あんたもよ」
最後はレイに声をかけるアスカだった。
「頑張りなさいよ、キョウスケさんの為に」
「ええ」
レイも応える。敵は援軍まで繰り出してきた。しかし彼等は果敢に戦い敵を寄せ付けない。そうしてキョウスケを先に行かせるのだった。
キョウスケも正面の敵を倒していき突き進む。そして遂に、だった。
「よし、取り付いたぞ!」
「・・・・・・・・・」
ヴァイスリッターの側に来た。だがエクセレンの反応はない。
しかしそのエクセレンに対して。彼は声をかけるのだった。
「エクセレン、俺だ!」
こう声をかけるのだった。
「キョウスケだ!そこにいるのはわかっている!」
声をかけ続ける。
「御前に・・・・・・御前に何があった!?」
「キョウ・・・・・・スケ」
「反応しているわ」
ラミアが今のエクセレンの言葉を聞いて述べた。
「エクセ姉様がナンブ中尉の呼び掛けに反応しているわ」
「それならだ」
クォヴレーがそれを聞いて述べた。
「完全に洗脳されてはいないのだな」
「おそらくは」
こうクォヴレーに答えるラミアだった。
「それなら」
「エクセレン!」
「無駄ですの」
しかしそのキョウスケに声をかけるアルフィミィだった。
「声をかけても」
「どういうことだ、それは」
「戻っただけですの。だからですの」
だからだというのであった。
「エクセレンは」
「エクセレンは!?」
「より純粋な存在に」
それを聞いてキョウスケだけでなく誰もが。戦いながら眉を顰めさせた。
「純粋な存在!?」
「何それ」
「どういうことなんだ!?」
その言葉の意味が全くわからなかった。キョウスケも彼女に問わずにはいられなかった。
「貴様、あいつに何をした」
「・・・・・・・・・」
だが答えようとしない口をつぐむだけだった。
キョウスケはそれを見て。こう言ったのだった。
「なら御前を倒しエクセレンを取り戻すだけだ」
「何故ですの?」
しかしアルフィミィはその言葉には返してきたのであった。
「私はエクセレンと同じですのに」
「同じだというのか」
「そうですの」
こう答えるのである。
「それなのに貴方は」
「何を言っている」
キョウスケはいぶかしざるを得なかった。そしてハガネの艦橋でリーも今の彼女の言葉にその眉を顰めさせていた。そうして言うのだった。
「あの女の、いやアインストの目的は何だ?」
「それだな」
ブレスフィールドもそれに応えるのだった。
「わしにもわからん。見えんぞ」
「得体の知れない不気味さを感じる」
それは感じているリーだった。
「この連中との戦い。早期に終わらせるべきだな」
「そうね。それだけは感じるわ」
アカネがリーのその言葉に頷いた。
「さもないと大変なことになりそうね」
「いつもの展開では終わらせん」
キョウスケは今はアルフィミィと対峙していた。
「御前が何者でエクセレンをどうしたいのか」
「それをですのね」
「そうだ。聞かせてもらおう」
「それはですの」
キョウスケのその言葉に応えて言うアルフィミィだった。
「貴方が私を受け入れてくれれば」
「悪いがその気はない」
それは否定するキョウスケだった。頭から。
「なら力づくでエクセレンを返してもらおう」
「それならですの」
それを聞いたアルフィミィの言葉だった。
「不純物を排除し鍵の力を見定めますの」
「鍵!?」
「何それ」
皆ここでもまた眉を顰めさせた。そしてまた援軍が出て来た。
「何処までもよくもまあ」
「十万は倒したってのに」
しかしまだ出て来るのであった。
「飽きないっていうか」
「本当に決戦だな」
「来るべき刻を迎える為の鍵」
アルフィミィの言葉は続いていた。
「その力を」
「鍵が何かは知らない」
キョウスケは彼女に向かいながら述べた。
「だが」
「だが?」
「俺はエクセレンを取り戻す」
その彼女を見ての言葉だ。
「貴様を倒してな」
「キョウスケ・・・・・・」
今のキョウスケの言葉を聞いて悲しい顔になるアルフィミィだった。
「何故わかってくれないんですの?」
「それならば理解できるように説明しろ」
それが条件だというのだ。
「御前が俺達をここに誘き寄せた真意は何だ」
「私達に必要なもの」
それだというのである。
「その力を見定める為ですの」
「俺以外のか」
「そうですの」
こくりと頷いての言葉であった。
「わかりました」
「わかっただと!?」
「そうですの。抹消より利用すべきと」
そうだというのである。
「わかりましたので」
「これまでの戦いでか」
「・・・・・・はい」
まさにそれだという。
「これまでのことで」
「それならこれまでの戦い」
数多いアインスト達との戦いを思い出すキョウスケだった。
「全て俺達をここにか」
「その通りですの。つながり易くなりますので」
「何処へ何をつなげるつもりなのかは知らない」
キョウスケは今はそれには興味がなかった」
「だが」
「だが?」
「俺達の力が見たいのならば相応の覚悟をしてもらう!」
言いながら本当に突っ込んだ。アルフィミィはそれを受けてみせた。
「むっ!?」
「もう一人いましたの」
「貴方は鍵の一つ」
攻撃を受け止めてうえでの言葉だった。ギリアムに顔を向けていた。
「可能性の高い」
「鍵だと?俺がか」
「はい」
そのギリアムに向けての言葉であった。
「まだ完全ではないようですが」
「まさか貴様は」
「ですけれど」
アルフィミィの言葉が変わった。
「やはり」
「やはり!?」
「今では駄目ですのね」
こう言うのだった。そして。
アインスト達も殆ど倒されていた。しかしその彼等やエクセレンと共に姿を消そうとしてきた。キョウスケはそれを見て彼女に問うた。
「逃げる気か」
「時間はまだありますの」
こう応えるアルフィミィだった。
「少しだけですけれど」
「時間だと」
「でも必要なものはある程度見定めることができましたの」
その中での言葉であった。
「次こそは」
「逃がすか!」
「行きますの、エクセレン」
キョウスケに構わずエクセレンに声をかけるのだった。
「これで」
「エクセレン!」
「無駄ですの」
しかしアルフィミィはエクセレンを呼ぶキョウスケに対して告げた。
「貴方の声は届いても意思は届かない」
「何っ!?」
この言葉を。キョウスケはこう考えた。
「人形だというのか、今のエクセレンは」
「違いますの」
だがアルフィミィはそうではないと答える。
「より純粋な存在に」
「またその言葉か!」
「私は完全に」
言うのだった。
「エクセレンは純粋なる存在に」
「えっ!?」
今の言葉に声をあげたのはウェンディだった。
「私とエクセレンが今重なって」
「そうね。言葉が重なっていたわ」
セニアも今の言葉を聞いていた。
「どういうこと?あの娘とエクセレンがって」
「何かがあるようだけれど」
「その時まで御機嫌よう」
しかしそれまでだった。アルフィミィもエクセレンも姿を消していく。
「キョウスケ。これでまた・・・・・・」
「待て!」
まだ追おうとする。しかしそれは適わなかった。
「エクセレン!」
「駄目です、大尉」
リョウトがその彼に言ってきた。
「アインストの反応はもう」
「全て消えたか」
「はい」
リオが彼の言葉に応える。
「全て」
「・・・・・・そうか」
「戦闘終了です」
レフィーナが無念そうに述べる。
「全機警戒にあたりながら帰還して下さい」
「了解」
「わかりました」
皆彼女のその言葉に頷くしかなかった。
そうして帰還する。しかしであった。
「まただ」
キョウスケはクロガネに戻りながら述べるのだった。
「あいつはまた俺の前に姿を現わす」
「またですね」
「やはり」
「そうだ、間違いない」
彼は感じていた。そしてそれは確信であった。
「その時こそだ」
「大尉・・・・・・」
「それじゃあ」
何はともあれ帰還する彼等だった。アイスランドの戦いは勝利に終わったがそれでもだった。彼等はその目的を果たすことができなかった。
「ちっ、後味の悪い話だぜ」
「そうですね」
「全くです」
ラムサスとダンケルがヤザンに応えていた。ヤザンはコーラを乱暴に飲み干すとそのうえでソファーの上にその腰をどっかりと下ろしたのだった。
そのうえでの言葉であった。実に忌々しげな。
「こう言うとロンド=ベルそのままだがな」
「はい」
「何でしょうか」
「仲間を救い出せなかったってのは腹が立つな」
「ええ、確かに」
「勝った気がしません」
「ティターンズの時は勝てばそれで終わりだったさ」
まさにそうだった。だがそれはあくまでティターンズだけのことである。
「けれどな。今はよ」
「仲間を助けられなったことが」
「それよりも遥かに」
「そうだよ。忌々しいことだぜ」
こう言うのであった。
「全くな」
「それに」
マウアーが言ってきた。
「あのヴァイスリッターは一体」
「明らかに形が違っていたな」
「そうだな」
ジェリドとカクリコンが応える。
「騎士っていうか悪魔だな」
「あの禍々しさは何だ」
「アインストだね」
ライラはそれだという。
「連中の手が入って変貌したんだろうね」
「では少尉は」
サラはそれを聞いて顔を曇らせた。
「その手によって」
「いえ、それにしてはおかしいわ」
今度言ってきたのはエマだった。
「ただ単に操られているだけには見えないわね」
「そういえばフォウやロザミィの時と違う」
カミーユはエマの言葉から気付いたのだった。
「どちらもただの洗脳だったけれど」
「そうよね。何かそれ以上におかしいっていうか」
「純粋な存在?」
ファとそのフォウが顔を曇らせていた。
「何なのかしら、それって」
「それにあの娘と一緒になっていたけれど」
「何かさ」
カツも言う。
「あの娘と少尉ってそっくりじゃない?」
「そっくり!?」
「まさか」
皆まずはそれを否定しようとした。
「似てる感じはするけれど」
「そっくりっていうのは」
「いや、そういえばだ」
しかしだった。ここでカミーユが思い出しながら述べた。
「雰囲気は何処か」
「似ている!?」
「それも!?」
「同じだった」
そのニュータイプの鋭い感覚での言葉だった。
「そしてプレッシャーも」
「まさか」
「そんな」
「私はそこまでは感じなかったけれど」
フォウはこう言って顔を曇らせた。
「カミーユは感じたのね」
「俺の気のせいかも知れないが」
「いや、気のせいじゃない」
ここでアムロが出て来た。
「俺も同じものを感じた」
「中佐も」
「それじゃあやっぱり」
「あの二人は同じだ」
アムロは断言さえしたのだった。
「何もかもが同じだ」
「そうですね。確かに」
カミーユはアムロの言葉で己の感じたものが正しいとはっきりと認識したのだった。
「あの二人は」
「それにだけれど」
ロザミアも口を開いてきた。
「より純粋な存在って」
「それだ」
キョウスケがそこを指摘した。
「それは一体何だ?」
「わからない。しかしだ」
「しかし?」
「中佐、それで一体」
「あの言い方はだ」
その純粋な存在という言葉についてであった。
「まるであの状態が彼女にとって自然であるかの様だな」
「言われてみれば」
「確かに」
皆ここでそう感じたのだった。
「何故かわからないけれど」
「どうしてなのかしら」
「これはだ」
ギリアムが述べてきた。
「俺の推測だが」
「はい」
「それで?」
皆は今度はギリアムの話を聞くのだった。その彼の言葉は。
「中尉は過去に」
「過去に?」
「それもアインストが我々の前に現われる以前にだ」
話はまずはそこまで遡って話されるのだった。
「彼等と接触していたかも知れない」
「むっ」
ギリアムの今の言葉を聞いたキョウスケの眉がピクリと動いたのだった。
(若しやあの事故と)
「それでですけれど」
リィナが怪訝な顔でそのギリアムに党。
「少尉を助けることは」
「できないとは思わない」
これもギリアムの推測だが周りを安心させはした。
「ただしだ」
「ただし!?」
「そこには何が」
「彼女がヴァイスリッターの様に変貌を遂げる前ならばだ」
その前だというのだ。
「彼女とアインストを物理的に引き離すことができればだ」
「その時は」
「出来るっていうんですね」
「あるいはな」
やはり言葉には確証がない。推測しかなかった。
「何分今アインストについてはっきりしていることは少ない」
「だからですか」
「はっきりとはですか」
「そうだ。そしてあえて言うがだ」
ギリアムの言葉は続く。
「今までと同じ様なやり方で彼女を助けられるかどうかというとだ」
「それはわからないと」
「そういうことですね」
「そうだ。その通りだ」
まさにそうだというのであった。
「とてもな」
(しかし)
今キョウスケは心の中で考えていた。
(アルフィミィはまだ時間があると言っていた)
こう心の中で呟いていた。
(それはエクセレンに関することかのか?それとも)
考えているうちにだった。こうも思うのだった。
(そして奴等にとって必要な物とは)
それが何かというとであった。
(俺なのか?)
答えはでない。そしてだった。ギリアムも思っていた。
(ナンブ大尉とエクセレン中尉)
二人のことであった。
(彼等の過去を調べてみた方がいいかも知れんな)
戦いが終わって。レフィーナはショーンと話をしていた。その話とは。
「振り出しに戻ってしまいましたな」
「はい」
無念そのものの言葉を出すレフィーナだった。
「本当に」
「まさかとは思うがな」
ここでイルムが言った。
「連中自分の手の内を見せる為だったのかもな」
「手の内か」
「そうさ。有り得ねえことだがな」
こうリンに断りはするイルムだった。戦いとは手の内を見せないことが勝利への第一歩だからである。だからそれは有り得ないことだった。
「ということは」
「中尉を人質に取ったことを私達に」
ジェスとミーナが言った。
「その為にわざと出て来て」
「そういうことなのかしら」
「ああ」
まさにそれだと。イルムは言うのだった。
「それで俺達に何らかのりアクションを起こさせようってな」
「それでわざわざ」
「そうやって」
今度はヘクトールとパットが言った。
「手が込んでいるうえに」
「何か得体が知れないけれど」
「しかしだ」
「思うんですけれどお」
アーウィンとグレースが言ってきた。
「それならまさか」
「大尉を?」
「大尉が欲しいのは間違いない」
イルムはそれは確信していた。
「しかしだ。大尉まで引き入れるならばな」
「同じ方法を使えばいいな」
リンはすぐに述べた。
「それだけでな」
「その通りだ。しかしそうしなかった」
「それが何故か」
「そこですね」
「しかし奴等はだ」
また言うイルムだった。
「それをせず俺達をストーンサークルに誘い込んできた」
「そこが疑問だ」
リンも言う。
「何故かだ」
「そういえば」
今度言ったのはトウマだった。
「何か中尉は操れても大尉は操れないような気もするな」
「そうね」
それにミナキも頷いた。
「だからあの状態になった中尉を見せてこちらの動揺を誘った」
「しかしあのストーンサークルはだ」
クォヴレーも考えていた。
「何なのだ、一体」
「門じゃないかな」
こう言うのはリョウトだった。
「あれは。彼等にとってゲートみたいなものじゃないかな」
「ゲートか」
それを聞いたラウルの眉がぴくりと動いた。
「何か今宇宙にもおかしなゲートがそのままだけれどな」
「それとも関係があるのかしら」
フィオナも言う。
「ひょっとして」
「向こうの世界につながる何かとかか?」
ジョッシュはそうではないかと仮定を立てた。
「奴等の世界に」
「そうね。それでその世界は」
リムが彼の言葉を受けて述べた。
「アインストの世界になるわね」
「アインストの世界」
「どういった世界か」
ウェントスにもグラキエースにも想像しにくいものがあった。
「それは一体」
「禍々しさこそ感じるが」
「とにかくです」
ここでラージは話を現実に戻してきた。
「我々はこれからどうしましょう」
「そうですよね」
ミズホも彼の言葉に頷いた。
「これ以上アイスランドに留まっていても」
「一旦ヘブンズベースに入るとしよう」
こう言ったのはシナプスだった。
「そこの連邦軍の基地で整備及び補給を受ける」
「わかりました。それじゃあ」
「今は」
彼等は多くの疑問を感じながらヘブンズベースに入った。アインストの謎はまだ解けてはいなかった。

第百五十八話完

2009・10・14  
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