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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百四十八話 刹那の記憶

                第百四十八話 刹那の記憶
ボゾンジャンプで金星に降り立った。だがそこにもまた。
「ちっ、またかよ!」
「もう待っていたのかよ!」
ロンド=ベルの面々が姿を現わしたそこにも彼等はいるのだった。
イノベイターの大軍が取り囲んでいた。既に攻撃態勢にも入っている。
「さて、着いた早々パーティーだな」
「そうだな」
ロックオンに対してサブロウタが笑いながら応えた。
「いいかリュウセイ」
「ああ!」
そのリュウセイがサブロウタに応える。
「何時でもいいぜ!」
「よし、それならだ」
ラッセがリュウセイの言葉を聞いて頷く。
「行くか」
「そうだな」
ナンガが彼の言葉に応える。
「敵を探す手間が省けた」
「じゃあ行くか」
クルツは既に出撃していた。
「派手にな」
「では諸君!」
レイヴンがここで言う。
「行くわよ!」
ここで仮面を外すとアヤカになった。
「いいわね!」
「ええ、何時でもいいわよ」
彼女にはメリッサが応える。
「心構えはできていたから」
「ただ。誰が誰なんだ?」
「そこがわからないけれどね」
ベルファンガンとボビーがここで突っ込みを入れた。
「サブロウタとクルツの区別がつきにくかったが、今のは」
「アヤカさんとメリッカさんってそっくりでなくて?」
「気にしたら負けだ」
「そうだよな」
何時の間にかレイヴンに戻っていてマサキがそれに頷く。
「私はレイヴンだからな」
「そういうことだよな」
「それではだ」
ヒイロも言うのだった。
「・・・・・・出る」
「そうだな。行こう」
今度はミリアルドが言った。
「敵は待ってはくれないのだからな」
「では少佐」
「私達も」
ノインとヒルデも続く。
「行きましょう」
「すぐに」
「その通りだ。行くぞ」
「はい」
「それでは」
「全軍出るのと同時に各自攻撃を開始して下さい」
テッサはこう指示を出したのだった。
「そうして敵を少しでも減らして下さい」
「さもないとやられるのはこっちね」
「そうね」
それは言われずともわかることだった。
「これだけの数がいると」
「前に続いて包囲戦なんてね」
「撃て!」
まずはシナプスが砲撃を命じた。
「目標を定めるな!一斉射撃だ!」
「一斉射撃ですね」
「そうだ」
こうパサロフにも答えるのだった。
「最早狙う必要も無い」
「確かに」
パサロフも彼のその言葉に頷いたのだった。
「これだけ敵がいれば嫌でも当たりますね」
「まずは敵の数を減らすことだ」
ここでもこの戦術が採られるのだった。
「いいな」
「わかりました」
「当たるを幸いね!」
「っていうか狙う必要がないから考えようによっては楽さ!」
言いながら攻撃を繰り出すクリスとバーニィだった。
「バーニィ、死なないことだけを考えてね!」
「クリスもね!」
「ふふふ、これはいい戦いです」
カラスは囲まれているこの状況をかえって喜んでいた。
「生き残るにはこれ位が丁度いいのです」
「そういうものなのかよ」
「はい、人間は試練を経なければ成長しません」
豹馬に述べた言葉はこれであった。
「ですから。この戦いもいいものなのです」
「何かわからねえけれどとにかく生き残れってことだよな」
豹馬はカラスの言葉をかなり簡単に考えていた。
「それならな。こうしてやるぜ!」
こう言って目の前に来た敵機を一機ツインランサーで両断したのだった。
「カラス先生、これでいいんだな!」
「はい、合格です」
「よっし!どんどんやってやるぜ!」
「けれど豹馬」
「油断は禁物です」
ちずると小介は彼にブレーキをかけにかかった。
「数が多いし」
「それに敵の本拠地ですよ」
「ほんまや、下手なことはできへんで」
「慎重にいかなければ駄目でごわすよ」
「それ位わかってらあ」
仲間達の言葉に不満げな言葉で返す豹馬だった。
「俺だってよ。それ位はな」
「ではそういったふうに頼むぞ」
神宮寺がブルーガーから言ってきた。
「この戦いもかなり派手になるからな」
「ええと。数は十三万です」
猿丸がここで言った。
「何かガルラ帝国の残存戦力は全部吸収していたみたいですね」
「ガルラ帝国となると」
「だからこんなに数が多いの」
麗とマリもここでわかったのだった。
「これは確かに厄介ですね」
「ましてや敵の本拠地だから」
「いや、だからこそかえっていい」
しかし神宮時はこう言うのだった。言いながらブルーガーを操縦して目の前から来た敵の攻撃をあっさりとかわしてしまったのだった。
「ルリちゃんよ」
「はい」
「今ここにいる連中は金星の主力だよな」
「はい、そうです」
こう神宮寺に答えるルリだった。
「ここで私達を一気に倒すつもりのようです」
「それなら話はより簡単だ」
「ミスター、それじゃあ」
「ああ、洸よ」
洸に対しても言う神宮寺であった。
「ここで敵を一気に叩き潰せばそれだけ後が楽になるぜ」
「そうだね。それじゃあ」
「やるぜ!」
言いながらブルーガーのミサイルで敵を一機撃墜してみせた。
「数で来たらそれだけ潰してやるぜ!」
「そうだね。そうすればいいだけなんだ」
洸もここで頷く。
「それなら!」
弓矢を構え。それを放った。
「ゴォォォォォドゴォォォォガン乱れ撃ちだ!」
弓矢で敵を次々に撃墜していく。戦いはさらに激しくなっていく。
ロンド=ベルはここでも円陣だった。それで敵の攻撃を凌ぐ。
「ブラザーーーー!」
「イエーーーーーー!」
マイクと兄弟達もギターを手に戦場を駆ける。その音で敵を次々に粉々にしていく。
「ベイビーーーーー乗ってきたぜ!」
「よし!俺もだ!」
「どんどんやってやるぜ!」
「炎竜、私達もです」
「わかっているさ、氷竜」
彼等も当然そこにいた。そして二人で力を合わせて攻撃を加えていた。
「どれだけの数で来ようとも!」
「僕達は負けるわけにはいかない!」
「その通り!」
「この戦いに未来があるからだ!」
風龍と雷龍も戦っていた。
「だから負けるわけにはいかない!」
「今ここで!」
「だからこそ」
「俺達もいるぜ!」
ボルフォッグは手裏剣を放ちゴルディマーグは砲撃を放っていた。
「この命ある限り!」
「手前等には負けねえ!」
「いいね光竜、闇竜」
「うん、ルネ姉ちゃん」
「わかっています」
彼女達はルネの言葉に応えていた。
「やろう!この戦いも!」
「引くことなく」
「そうだよ、やるよ」
ルネは既に戦う姿になっていた。その黄金の鎧を纏い。
そして凱もまた。戦場で吠える。
「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
目の前の敵を拳で吹き飛ばす。それは一機だけではなかった。
一機、また一機と吹き飛ばす。そうして敵を次々と粉砕していた。
「来い!来れば来るだけ倒してやる!」
「凱、今はあまり前に出ないで!」
命からの言葉だった。
「ここはあまり」
「出るなか」
「ええ、まだ敵は多いわ」
だからだというのである。
「だからね」
「そうだな。まだ金星にも降下していない」
彼等はまだ金星上空の宇宙空間で戦っているのである。
「それならだな」
「そうよ。まだよ」
こう言うのである。
「まだ。無茶はしないで」
「わかった」
命のその言葉に頷く凱だった。
「なら今は来る敵だけを倒す!」
「それはいいが次々に来るな!」
「全くよ!」
ハッターとフェイがここで叫ぶ。彼等も敵をその帽子やビームで次々と藻屑に変えている。
「これで戦いが終わったらおめでとうってところだな!」
「御祝いして欲しいところね」
「だがそれは生き残ってからだな」
「そうだな」
テムジンとライデンはその中でも冷静だった。
「この戦いにな」
「なら生き残ってみせる」
「ブラザー、俺に任せろ!」
「私だっているわよ!」
ハッターとフェイは敵の度重なる攻撃をものともしていない。
「この程度じゃノープロブレム!」
「むしろ軽い位よ!」
「そうだな。そろそろか」
ここで言ったのはロジャーだった。
「敵の攻撃のピークが過ぎた」
「過ぎたの」
「既に十万は倒した」
瞬く間にそれだけ倒してしまったのである。
「後はだ。残りの敵を倒せばだ」
「それじゃあロジャー」
ドロシーが彼に問い続ける。
「そろそろ出て来るのかしら」
「そろそろ?」
「イノベイターが」
出て来るのでは、というのである。
「彼等がか」
「出て来ないのかしら」
「いや、それはない」
それは否定するロジャーだった。
「彼等もやはりここにいるだろう」
「そう、やっぱりなのね」
「そうだ、いる」
断言しながら目の前の敵をビッグオーの拳で粉砕する。
派手にストレートを繰り出しそれで叩き潰したのだった。
彼もまた戦いに参加していた。ロンド=ベルの誰もが果敢に戦っていた。
「この程度でな!」
「やられるかよ!」
彼等は敵を次々に倒していく。敵の数自体は次々に減っていく。
しかしだった。彼等はそれに安心してはいなかった。むしろ警戒の念を強めていっていた。6
「おかしいな」
「そうですね」
フォッカーの言葉にビリーが応える。
「この指揮の出鱈目さはな」
「ただ攻めてきているだけですね」
ビリーはマクロスクウォーターの艦橋にいた。そこから彼と話をしているのだ。
「数を頼りに」
「指揮官がいないな」
また言うフォッカーだった。
「どういうつもりなんだ?一体」
「我々が姿を現わすポイントだけわかったようだな」
カティもそこにいた。
「だがその他に打つ手はないか」
「まさかとは思うけれどな」
ここでフォッカーはふと言うのだった。
「ここであのメメントメリで俺達を撃つつもりか?」
「そんなことになったら」
それを聞いてマリンが言う。
「俺達はここで終わりですよ」
「いえ、それはないです」
その可能性はルリが否定した。
「私があの時ハッキングした時にわかったことですが」
「どうなのですか、その辺りは」
シーラがそのルリに問う。
「二つ目のメメントメリは」
「まだ完成していませんでした」
こう答えるのである。
「完成する直前でしたが攻撃できるまでではなかったです」
「だったらそれはないか」
フォッカーはそれを聞いて言うのだった。
「それはな」
「そうか。だったら」
「今はありません」
ルリは断言した。
「だからこそ今こうしてただ包囲しているだけなのがわかりません」
「!?まさか」
ここでアムロが察したのだった。
「今上からプレッシャーを感じた」
「プレッシャー!?」
「上から!?」
「上から物凄いエネルギー反応が出て来ました!」
ここでマヤが慌てた声で告げた。
「この反応は」
「コロニーです!」
シゲルも言う。それはまさに叫びだった。
「まさか。奴等」
「コロニー落とし!?」
マコトは考えられる最も不吉な事態を言葉に出した。
「まさか」
「そうか。奴等」
加持がここで言った。
「俺達をそのまま潰すつもりだったんだな」
「コロニー落としで宙にいる俺達を全滅させるつもりか」
「一気に」
「そんなの撃墜したらいいだろうがよ!」
ジュドーがここで叫ぶ。
「コロニーが何だってんだ!俺が行く!」
「いや、俺だ」
ヒイロも行こうとする。
「ウィングならいける」
「いえ、待って」
しかしミサトがその彼等を止めた。
「二人が行く必要はないわ」
「何っ、何でだよ」
「どういうことだ、それは」
「二人も行く必要はないわ」
今度はこう言うのであった。
「ここは一人、いえ一機でね」
「よし、じゃあ俺が行く!」
今度名乗り出たのはシンだった。
「インパルスデスティニーならやれるぜ!」
「シン君はそのまま正面の敵を御願いね」
「おい、何でだよおばさん!」
「エレ女王」
ミサトはおばさんという言葉にすぐに顔色を一変させて隣でゴラオンの指揮にあたるエレに声をかけてきた。
「インパルスデスティニーに攻撃を向けて下さい」
「あの、本気ですか?」
「そうでない場合彼が帰って来たら射殺します」
ミサトは完全に本気の顔だった。
「今の言葉だけは許せません」
「おい、おばさんをおばさんって言って何が悪いんだよ」
「攻撃目標インパルスデスティニー」
何とゴラオン自体にまで指示を出すミサトだった。
「オーラノヴァ砲発射用意」
「あのですな」
エイブも唖然としながらミサトに言ってきた。
「今は戦闘中でして」
「くっ、仕方ないわね」
流石に戦闘中ではミサトも諦めるしかなかった。もっともそれでもシンを本気で攻撃しようとしていたのであるが。
「今は生かしておいてあげるわ」
「まあそうして下さい」
「それでどうされるのですか?」
エレは少し心配そうにミサトに尋ねた。
「上からコロニーが来ますけれど」
「誰を行かせるのですか、それで」
「ゴーショーグンです」
ミサトがここで話を出したのは彼等だった。
「ゴーショーグンに行ってもらいます」
「よし、御指名だな」
「私達じゃなければってことね」
「任期者は辛いねえ」
早速真吾とレミー、キリーが応えてきた。
「何をどうやるかはわかってるからな」
「それじゃあ任せてね」
「ちょちょいとやって来るか」
「この程度ならどうとでもなるわ」
ミサトはこの中でまた言うのだった。
「コロニー落とし位だったらね」
「コロニー落とし位ね」
リツコは今のミサトの言葉に少し苦笑いになった。
「随分と凄い言葉ね、考えてみたら」
「けれどやれるわ」
ミサトはそれでも言うのだった。
「充分にね」
「イノベイターはそれを知らないのかしら」
「知らないというよりも見くびってくれているわね」
ミサトの分析ではそうなのだった。
「私達、っていうか人間自体をね」
「愚かな話です」
シーラがそれを聞いて言ってきた。
「同じ人間だというのに。彼等も」
「自分達ではそう思っているのでしょう」
ミサトは実に冷めた言葉であった。
「自分達では」
「それでは彼等は」
「倒せます」
また言うミサトだった。
「他人を侮る存在程組み易い相手はいません」
「それでは」
「はい、ゴーショーグンならば必ずです」
また言うミサトだった。
「やってくれます」
「コロニーが視界でも確認できるようになりました!」
キムがここで叫んだ。
「遂に」
「ゴーショーグン御願いします!」
八雲も彼等に言う。
「貴方達なら」
「まあ任せてくれよ」
「力を抜いてね」
「さて、いきますか」
既にゴーショーグンは戦場より上の場所でスタンバイしていた。そうして。
「ゴーフラッシャーーーーーーーッ!」
背中から緑の幾つもの光を放つのだった。それは今にも彼等の前に降ろうとするそのコロニーを撃った。それによるとだった。
コロニーはその一撃でまず動きを止めた。そうして。
内部から火を吹きそのうえで崩壊した。コロニーは完全に破壊され破片すら降り注ぐことなく炎として消え去ってしまったのであった。
「ゴーフラッシャーで一撃かよ」
「流石だな」
ロンド=ベルの面々は戦いながらその消えていくコロニーを見て言った。
「とりあえずこれで危機は去ったな」
「ああ、何とかな」
「この程度ならどうにかなるさ」
「だってゴーショーグンよ」
「ヒーローはこういう時にこそ決めるってね」
三人は気さくに仲間達に返す。その頃には戦闘もかなり決着が着いていた。
「まさかコロニー落としを防ぐなんてね」
そして敵をあらかた倒した頃に数隻の戦艦が出て来た。そのうちの一隻からの言葉だった。
「人間なのに。やってくれるよ全く」
「御前か」
刹那はその言葉の主が誰なのかすぐに察した。
「ここで出て来たか」
「思った以上にやってくれるよ」
その忌々しげな言葉が続く。
「全くね」
「俺達を侮っているからだ」
刹那はこうも彼に言い返した。
「だからだ。貴様は失敗した」
「くっ・・・・・・」
「そしてどうするつもりだ」
忌々しげな声を出すリボンズにさらに問うてみせた。
「まだ俺達とここで戦うつもりか」
「言ってくれるね」
かろうじて平静を装いながらの今の言葉であった。
「君も成長したものだよ」
「成長だと」
「そうだよ。あの時はね」
さらに言うのだった。
「まだ小さな子供だったのに」
「小さな子供!?」
「どういうことだそりゃ」
皆ここで今の彼の言葉に怪訝な顔になった。
「あいつは見たところガキだが」
「はったりか?」
「覚えているかな。あの時モビルスーツが前に出て来たことを」
「モビルスーツだと」
「あの時君は何をしていいのかわからなかった」
こう刹那に言うリボンズだった。
「そうだったね。ほら、あの戦火とテロの日々の中で」
「まさか」
今の彼の言葉に眉を動かす刹那だった。
「あの時のモビルスーツは」
「そうさ。僕が操縦していたんだ」
「戦火とテロだと」
ティエリアがそれを聞いて言った。
「刹那は中東に生まれた。中東で戦火というとだ」
「刹那が子供の頃よ」
スメラギも言う。
「そう、十五年は前よ」
「十五年前!?」
「じゃああいつは」
「言った筈だよ。僕は絶対者だってね」
ここではロンド=ベル全員に告げたリボンズだった。
「だから歳だってね」
「そうかよ」
「だからなのね」
だが皆それを聞いてわかるとそれ以上は驚かなかった。
「何かと思えば」
「そんなことだったの」
「何っ、何故驚かないんだ」
彼等の反応に唖然となるリボンズだった。
「僕のことを知って」
「そんな奴は今まで幾らでもいたんだよ」
「そうなのよ」
馬鹿にしたような声で返す彼等だった。
「それで今更驚くかよ」
「だから何だっていうのよ」
「くっ、神である僕に対して」
「神!?そう自称する奴も幾らでもいたぜ」
今度は忍が彼に言い返した。
「そんな奴もな」
「そうした奴は大抵呆気なく倒されている」
アランも言ってみせた。
「例外なくな」
「僕が倒されるというのか」
「そうよ」
アスカが極めて冷たく言い切った。
「あんた程度で何をするっていうのよ。馬鹿言わないでよね」
「くっ、何処までも僕を愚弄するつもりなんだね」
「愚弄!?違うな」
ドモンも言う。
「俺達はただ事実を言っているだけだ」
「事実だというのか」
「そうだ」
また言うドモンだった。
「貴様の程度なぞ知れている。小者だ」
「言ってくれるね、好き放題」
「ならばだ」
次に言ったのはクワトロだった。
「今まで君が失敗し続けているのはどういうことだ」
「何っ!?」
「君が仮に神だったとしよう」
その言葉自体が彼を否定している言葉であった。
「君は下位にある筈の私達の抹殺に失敗し続けている」
「くっ、それは」
「メメントメリもコロニーレーザーも失敗した」
こう告げるのだった。
「二度もだ。ガルラ帝国に取り入った時もだったか」
「あの連中はただの道具だったんだ」
リボンズは逃げるようにして言った。
「役に立たなかった。だから捨てただけか」
「だが俺達を抹殺することはできなかったな」
アムロがクワトロに代わって言ってみせてきた。
「何をしても。それが現実だ」
「うう・・・・・・」
「御前達は神じゃない」
アムロはさらに言った。
「むしろ人形だ。それに過ぎない」
「僕達が人形だというのか」
「そうだ。御前達は人形だ」
彼は言い切ってみせた。
「自分達が勝手に神だと信じ込んでいる。ただの人形だ」
「言わせておけば」
「よせ、リボンズ」
「今は駄目よ」
しかし周りの仲間達が激昂を見せようとした彼を止めた。
「数がない」
「そんな中で戦っても」
「敗れるだけだというのか」
「あれもまた最終調整中だ」
「だからとても」
「・・・・・・わかったよ」
忌々しいがこう言うしかない状況だった。彼にとっては。
「では今は退こう」
「メメントメリとあれがある」
「あの連中を裁くのはその時でいいわ」
「刹那、その時にだよ」
リボンズは怒りに満ちた目で刹那を見ながら述べた。
「その時にこそ神の力を見せてあげるよ」
「好きにすればいい」
刹那はその彼に対して冷たく返すだけであった。
「俺はその貴様を倒すだけだ」
「その言葉忘れないことだね」
捨て台詞を残して姿を消す彼であった。他のイノベイター達もまた。彼等が姿を消すと後には何も残ってはいなかった。ロンド=ベルはまずは金星にあるイノベイターの基地に入った。
基地の中は完全な無人だった。だが巨大でしかも設備は整っていた。物資はボゾンジャンプで共に持って来たものを入れとりあえずの基地としたのであった。
「さてt、足掛かりは手に入ったけれどな」
「問題はね」
「ああ、連中だ」
基地に入ってこう言い合う彼等だった。
「リボンズの奴、妙なことばかり言っていたな」
「あいつが神かそうかなんてどうでもいいけれど」
それには構わない彼等だった。
「問題は刹那とのことだな」
「刹那が子供の頃に会っていたなんて」
「まさか」
皆このことに対して思うのだった。それは確かに異様なことだった。しかもそれだけではない。刹那は表情こそ変えないが沈痛な様子で基地の一室にいた。
「まあな。あれだ」
「気にすることはないさ」
「あいつは君を惑わせることを目的としていた」
その彼にロックオンとアレルヤ、それにティエリアが話している。ベッドに座り込む彼の前に囲むようにして立ちそのうえで話していた。
「そういうことだ。だからな」
「忘れるんだ」
「過去に何があったとしても」
「俺の過去は」
だがここで刹那は言うのだった。
「何もなかった」
「何も?」
「なかった?」
「あるのは戦いだけだった」
それしかないのだというのだ。
「戦火と。それに追われ」
「ああ、当時の中東はな」
「そうだったね」
「いつも戦争とテロがあって」
「テロに巻き込まれそれに加わり」
幼い頃のことを思い出しながらの言葉だった。
「そうして過ごしていた。それが俺だった」
「そうか」
「そんな日々だったんだ」
「君は」
「しかし今の俺は違う」
ここで顔をあげた刹那だった。
「少なくとも今は違う」
「そうだ、その通りだ」
「今はね」
「明らかに違う」
三人は今の刹那の言葉に表情を明るくさせた。
「時間だ」
そして立ち上がる刹那だった。
「行く」
「時間!?」
「時間って?」
「どういうことだい、一体」
「トレーニングの時間だ」
こう言うのである。
「今から行って来る」
「ああ、そうか」
「君のその時間だね」
「確かにな」
三人はそれぞれの左手の腕時計を見て話した。
「この基地にもそうした施設はあるな」
「ああ、あるぜ」
「それもかなり充実したのがね」
「だからそれを使うといい」
「わかった」
三人の言葉に応えて頷く刹那だった。
「では今から行く」
「そうか。じゃあ俺達もな」
「行かせてもらうよ」
「僕達も鍛えなければならない」
三人もここで述べたのだった。
「だからこそな」
「それでいいよね」
「どうかな」
「俺は何も言わない」
それについてはということだった。
「好きにするといい」
「そうか。それではな」
「行こうか」
「四人でな」
「これが今の俺だ」
そしてまた言う刹那だった。
「今はこうして進むだけだ」
「そうか。それが今なんだな」
「今の刹那なんだね」
「過去は覚えていても」
「過去は過去だ」
歩きながらの言葉だった。もう基地の廊下に出ていた。
「それだけのことだ」
「そうだな。それじゃあな」
「今を歩こうか」
「今からこれからに向かって」
こうして今を歩く刹那だった。そのうえでトレーニングを行い。それからシャワーを浴びると。彼を待っていたのは恒例の宴会であった。
「やっぱり戦いが終わってほっとしたらな」
「やっぱりこれよね」
「そうそう」
皆笑顔で言うのだった。そうしながら楽しく飲み食いしている。
「食べ物はそれこそ町一つ分あるから」
「じゃあ楽しくやって」
「飲みましょう」
「そして食おうぜ」
こう話してそのうえで楽しくやるのであった。
皆次々に飲み食いしていく。その中には刹那もいた。
「あっ、刹那」
「ああ」
沙慈の言葉に応える。彼はルイスの隣にいる。
「君も来たんだ」
「騒がしいのが気になった」
だからだというのである。
「それにカロリーを消費し過ぎたここで摂取しておきたい」
「だから来たんだね」
「宴に入るのははじめてだ」
実はそれははじめてだったのである。
「しかしだ」
「しかし?」
「いいものだな」
こう言うのである。
「皆楽しくやっていてな。いいな」
「そうだよね。そう思って僕もね」
「来たのか」
「僕だけじゃないよ」
ここでこうも言う沙慈だった。
「ルイスもね。連れてきたんだ」
「ええ」
ここでルイスが刹那に顔を向けてきた。表情は変わらない。
「沙慈が連れて来てくれたの」
「そうか」
「こんなお祭に入ったのは久し振りよ」
その乏しい表情で述べる。彼女の前にはビールとおでんがある。おでんの具はこんにゃくにゆで卵、それに筋肉とはんぺんであった。
「こんなのは」
「そうか」
「けれど楽しい」
ルイスはこうも言った。
「こういうのも」
「そう思ってね」
沙慈はじっと彼女を見ていた。
「だから連れて来たんだ」
「私が少しでも笑えるように」
ルイスも言ってきた。
「どうかな。それで」
「楽しい」
こう答えるルイスだった。
「こうして皆と一緒にいられるのが」
「そう。それなら」
「けれど」
だがその声は笑ったものではなかった。沈んだままだった。
「私は今は」
「まだ笑えないんだね」
「御免なさい」
こう言うのである。
「今はとても。だから」
「そう。それだったらね」
沙慈はその彼女の言葉を受けて言葉を返した。
「これからでいいんじゃないかな」
「これから」
「僕だって戦いたくないよ」
彼の本音をここで話した。
「けれど今はね。それよりも」
「戦うの。戦いたくなくても」
「それが僕のやらなくちゃいけないことだと思っているから」
だからだというのである。
「考えてソレスタルビーイングに志願してそのうえでここに来たけれど」
「貴方も志願したの」
「うん」
こうルイスに答える。
「そうだったんだ。君もだったね」
「私は他に行く場所がなかったから」
だからだというのだった。
「沙慈はソレスタルに入ったのは」
「姉さんがいなくなって。皆が戦うのを見て」
己の事情を話すのだった。
「それでソエスタルビーイングの人達が街で連邦軍と一緒に戦っているのを見てね」
「いつものことだ」
こう返したのは刹那だった。
「俺達にとってはな」
「そのいつものことで決めたんだ」
今度は刹那に述べていた。
「僕はね」
「そうか」
「そして僕は今ここにいる」
また言うのであった。
「君と出会えるなんて思わなかったけれどね」
「私も」
ルイスにしろそうだったのだ。
「まさかここで会えるなんて」
「しかも同じロンド=ベルでね」
「こうして貴方と会えたのは運命かしら」
「そうかも知れないね。だったら」
「私やってみるわ」
静かに言うのだった。今は。
「何時かまた笑えるように」
「していこう」
こんな話をする二人だった。二人も今を生きてこれからを見ているのであった。
そしてロックオンとアニューもまた二人でいた。二人で静かにウイスキーを飲みながら話をしていた。一緒にあるのは胡桃とチーズだった。
「私こんなのははじめて」
「そうか。はじめてか」
「ええ。こうして皆で飲んだりするのは」
「ここに来るまでそういうのはなかったんだな」
「なかったわ」
静かに言うアニューだった。
「こんなことは」
「そうだったのか」
「だから。不思議な感覚よ」
ウイスキーが入ったそのグラスを手にしての言葉だった。グラスの中には氷がある。褐色の中にその透明な光が映えて静かに輝いている。
「今こうしてここにいるのが」
「嫌か?」
「いいえ」
そうではないと答える。
「嫌じゃないわ。むしろ嬉しいわ」
「そうか。嬉しいんだな」
「このままずっといたい」
こうも言うのだった。
「そう。ずっと二人で」
「じゃあいればいいさ」
そんなアニューを受け入れるロックオンだった。
「俺もこうしていたいしな」
「貴方もなのね」
「アニュー」
また言うロックオンだった。
「まだ飲むよな」
「ええ」
彼の言葉に対してこくりと頷く。
「貴方もそうよね」
「俺は酒には自信があるんだよ」
彼もまた氷が入っているグラスを持っている。それは右手に持ち左手でアニューを抱き締めていた。そうして肩を寄り添わせ合っているのであった。
「幾ら飲んでな。平気さ」
「そうなの」
「けれどな」
だがここでこうも言うのであった。
「平気じゃないこともあるな」
「それは一体」
「御前とこうしていたら」
彼は言葉を続ける。
「それだけで酔っちまいそうだ」
「私と一緒にいたら」
「ああ、それだけでな」
こう言うのである。
「酔っちまう。だからこうしてここにいていいか」
「私も御願いするわ」
それは彼女もだというのだ。
「二人でずっとこうしていたい」
「そうだな。ずっとな」
「ロックオン、貴方と出会えてよかった」
また言うアニューだった。
「私は。一人じゃないのね」
「俺だって一人じゃなくなった」
アニューをさらに自分の方に引き寄せての言葉だった。
「ずっとな。一緒だぜ」
「ええ。一緒に」
二人は今ここロを通わせていた。しかしそれが永遠のものではないことはアニューだけがわかっていた。それに心を痛めながらも。思っているのだった。

第百四十八話完

2009・9・9
 
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