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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百十八話 明かされた醜悪

              第百十八話 明かされた醜悪
 
「ここでも牡蠣は美味いな」
「そうだな」
呉に着いた一行はまずは呉の海の幸を楽しんでいた。
「牡蠣だけじゃないしな」
「おい、この海老」
牡蠣に海老のフライである。
「かなりいけるぜ」
「この刺身もな」
刺身も食べているのであった。
「生牡蠣にはレモンで」
「ポン酢もね」
言いながら次々に食べていく。
「あとこの若布も」
「こっちの世界でも呉って海の幸がいいよな」
「そうよね」
「海は万物の母」
ここでサンドマンが言った。
「そこにあるものを食するのは実にいいことだ」
「同感だわ。実によきこと」
カナンも言いながら牡蠣を食べる。
「お酒もね。いいわね」
「そういえばカナンさんって」
ヒメは彼女が大杯で日本酒を飲むのを見ながら言った。
「お酒飲まれるんですね」
「お酒は好きよ」
自分でもそれは隠さない。
「もうどれだけでも飲めるわ」
「そうですか」
「俺もな。飲むのはこれだがな」
ラッセは白ワインだった。
「高貴な味がするからな。頭が高い、ってな」
「それはジークね」
ヒギンズが今の彼の言葉に突っ込みを入れる。
「最近何か他の人格が出てきたりしてるわね」
「俺も。そうなのか?」
勇は今のヒギンズの言葉で考える顔になった。
「どうもサイとは別人に思えてならないんだが」
「そんなこと言ったら私はどうなるのかしら」
そのヒギンズの言葉だ。
「レッシィともチャムともクェスとも」
「多いな」
ナンガは今の彼女の言葉にすぐに言った。
「一番多いのじゃないのか?」
「いえ、最近違うみたいです」
カントが注釈を入れた。
「それが」
「違うの?」
「はい、どうやら」
カントはヒメに対して答えた。
「ミスマル艦長が」
「私最近似ている人が増えたんですよ」
そのユリカが能天気に述べる。
「ナタルさんやステラちゃんだけでなく」
「そういえばそうだな」
ヒギンズが言う。
「最近の貴女の声はあちこちで聞いているような気がする」
「だよな。あとは」
ナッキィも言うのだった。
「ドモンさんもそういう人が増えたな」
「そうだな。少し羨ましいな」
勇はついつい本音を出してしまった。
「俺とサイは。二人だけか」
「私も最近クランが似てて」
ミリアリアはそれが嬉しそうであった。
「いい感じなのよね」
「俺もティアリアが入ったしな」
ミシェルも笑顔で述べる。
「やっぱり似た声が多いってのは有り難いな」
「頭が高い!ってね」
サブロウタが機嫌よく叫ぶ。
「いいよなあ。生きててよかったっていうかな」
「俺最近どうも」
ブリットはその中で難しい顔になっていた。
「蝙蝠だとか言われ困っているんだけれど」
「どうしてなの?」
「さあ」
クスハに言われても首を捻るばかりのブリットだった。
「それはどうしてかわからない」
「そうなの」
「キバっていくぜ、か」
ふと呟くブリットだった。
「一体何のことなんだ?」
「君はまだいい」
アスランが真剣な顔でブリットに言ってきた。
「俺は蝿だったんだ」
「蝿!?」
「何で俺が蝿なんだ?」
言いながらも思い当たるふしはあったりする。
「全く。カメレオンも好きじゃなくなったしな」
「訳がわからないことだらけね」
あらためて言うボビーだった。
「何か声のことになると」
「私は探偵か?」
カティがこんなことを言い出した。
「最近言われていることだが」
「ううむ、どうも声の話になるとおかしなことになるな」
こう言うクワトロも自覚があるのだった。
「私も忍者だったり蝙蝠だったりしたようだが」
「俺も。何か野菜の王子になっていた気がする」
コウにも古傷があった。
「何から何まで。おかしなことがあるな」
「僕もどうにもルカ君と同じものを感じるし」
斗牙もそうなのだった。
「世界って狭いのかな。広いようで」
「そう、確かに狭いものだ」
サンドマンは伊勢海老を頭から食べながら言うのだった。しかも甲羅ごとである。
「様々な世界はそれぞれであって一つなのだ」
「一つ?」
「そう、一つだ」
彼は言う。
「あらゆる世界は一つだ。全てな」
「一つなんですか」
「そして」
「そして?」
「ある存在がそれを確かに知っている」
「ある存在!?」
テッサがその言葉に目を顰めさせた。
「ある存在とは」
「何時かわかる」
サンドマンはテッサに対しても答えた。
「それもだ」
「何かサンドマンさんって」
「そうよね」
皆今のサンドマンの話を聞いて言うのだった。
「シュウ=シラカワに似ている?」
「言っていることが」
「声は違うけれど」
声は確かに違っていた。
「それはね」
「けれど何か知ってるわよね」
「そうだな」
アムとレッシィが言い合う。
「声はギャブレーに似てるけれど」
「中身は全く違う」
「私もそれは自覚している」
ギャブレーもまたそれは自覚しているのだった。
「サンドマン殿には近いものを感じているが全く違う」
「そうよね。バーンさんにも似てるけれど」
「完全に別人だな」
「私もまたギャブレー殿やバーン殿には近いものを感じている」
そしてそれはサンドマンも同じなのだった。
「しかしだ」
「しかし?」
「私は私なのだ」
今度は牡蠣を殻ごと食べている。
「そう、サンドマンなのだ」
「ううん、わかったようなわからないような」
「とりあえず物凄い人なのはわかるけれど」
それはわかるのだった。
「けれどよ。世界は違うけれど一つって」
「どういうことなのかしら」
皆この言葉の意味はわかりかねているのだった。
「サンドマンさんはわかるっていうけれど」
「何かしら」
「今は戦うのみ」
彼はまた言った。
「そう。近いうちにこの世界を治めようとする者も出て来る」
「この世界を?」
「そう、子供の姿をした偽の神」
彼はこう表現した。
「その神は出て来るのだ」
「子供の姿をした偽の神!?」
「何だそりゃ」
皆この言葉の意味も理解することができなかった。
「何なんだ?そりゃ」
「また変なのが出て来るのかしら」
「人は神ではない」
サンドマンはまた言う。
「そしてだ。人とは何か」
「人とはって?」
「どういうことだ?」
「人は人であるのは心によってだ」
サンドマンは言い切った。
「どのような姿であろうともどの星に生まれようとも」
「よっし、俺も人間だぜ!」
「サンドマンさん・・・・・・」
彼の今の言葉にハッターは素直に喜びタケルは静かに微笑んだ。
「そういうことになるな!」
「俺も。人間なんですか」
「その通りだ。君達は人間だ」
サンドマンは彼等に対しても述べた。
「しかしだ。人であることを忘れ自ら高みに立とうとし」
「そして?」
「神に?」
「そう。神になろうとする愚かな存在が現われる」
彼は言った。
「彼等もまた。我等の敵なのだ」
「何かまた新しい敵が出て来るのかよ」
「どちらにしろ碌な奴じゃないね」
ジェリドとライラがそれぞれ言った。
「そうだな。何かシロッコの奴みたいなな」
「そういうのはどの世界にもいるんだね」
「どっちにしろそんな奴とも戦ってやるぜ」
ヤザンの闘争心はこの話を聞いても相変わらずであった。
「この俺がよ。どいつもこいつも安心しな」
「はい。それでは」
「この世界のその子供もまた」
ラムサスとダンケルはそのヤザンに続く。
「戦いましょう」
「我等は何処までも大尉と共に」
「おう、すまねえな」
「なあ。ひょっとしてよ」
「どうした」
イサムがガルドに問い彼もそれに応える。
「ヤザンの旦那って意外といい人なのか?」
「何故そう思う?」
「いやよ、あの二人に慕われてるしよ」
そのラムサスとダンケルを見ながらの言葉だ。
「今までこれといって話したこともなかったけれど意外とって思ってな」
「ヤザンはいい奴だ」
そのイサムに金竜が述べてきた。
「話がわかるしな」
「嘘だろ、おい」
その話を信じなかったのはタップだった。
「こんな見るからにおっかない人が話がわかるってよ」
「幾ら何でも御前に言われたくはないんだがな」
ヤザンは今のタップの言葉にはかなり複雑な顔をしている。
「というよりか御前には俺について何も言う資格はないんじゃねえのか?」
「おっと、そういえばそんな気が」
言われてはっとするタップだった。
「ケーンもダンケルさんやイーノにはちょっと言わないしな」
「俺もマシュマーさんにはな」
ライトも言う。
「ちょっとな。言えないところがな」
「全くよ。声が似てるってのはよ」
ケーンもいた。
「何か複雑なものがあるぜ」
「全くだな」
金竜もケーンの今の言葉に同意する。
「有り難いことではあるがな」
「しかしだ。敵には容赦しねえぜ」
この言葉はまさにヤザンのものであった。
「誰であろうがよ、ぶっ潰すぜ」
「あんたはそうでないとね」
ライラはそんな彼をよしとしたのだった。
「こっちも調子が狂うよ。じゃあね」
「ああ」
「これ食べたら高知だけれどね」
ライラはライラで魚を食べていた。ハマチの刺身である。
「気合入れていくよ」
「そうだな。高知は酒に鰹だったな」
しかしヤザンは食べ物の話をしてきた。
「戦い終わったらそれで一杯やるか」
「あんたも魚好きなんだね」
「ハンビラビの形見てみな」
また笑ってマウアーに言葉を返したのだった。
「それでわかるだろ」
「それだったら私は蝉好きになるわよ」
しかしマウアーは今のヤザンの言葉にこう返すのだった。
「その話だとね」
「おっと、そうだな」
「沖縄で食べたことがあるけれど」
実はあるのだった。
「そんなに悪くないけれどね」
「そうなのかよ」
「何でも料理次第で食べられるものよ」
マウアーは言う。
「虫でも何でもね」
「そんなものなのか」
カクリコンは蝉を食べると聞いて今一つわからないような顔になっていた。
「俺は生ものはいけるが虫はな」
「何ィ!?虫が食えねえだと!?」
「駄目だよ、それって」
「グルメ失格だ」
カクリコンの今の言葉にオルガ、クロト、シャニの三人が反応してきた。今日も手掴みで刺身を口に入れ貝殻ごと貝を食べ海老は甲羅ごと貪っている。
「あんな美味いものよ、食わないなんてよ」
「女郎蜘蛛なんてチョコレートみたいな味がするのに」
「ナナフシはサラダみたいな味だ」
「何で御前等そんなの食ってんだ?」
タップが思わず三人に問うた。
「蜘蛛とかナナフシなんてよ」
「他にもゲンゴロウとかもいけるぜ」
「カブトムシなんかもね」
「蟻も。香ばしい」
「一体こいつ等どんな食生活送ってんだ?」
「蟻!?」
「カブトムシはまだわかるとして」
皆あらためて三人の変態ぶりに気付いたのだった。
「俺達はな、真のグルメなんだよ」
「そうさ、だから虫だって大好きなんだよ」
「生が一番だ」
「あんた達、本当に動物だったのね」
アスカも流石に唖然としている。
「強化が解けても全然変わりないと思ってたら」
「俺達を捕まえて獣だとお!?」
「抹殺するぞこのクソアマ!」
「猿」
三人はそのアスカにくってかかってきた。
「手前も虫食えばそのよさがわかるんだよ!」
「ほら、さっさと食えよノコギリクワガタ!」
「美味いぞ」
「誰がそんなもん食べるのよ!」
全力で否定するアスカだった。
「この変態共!そのとんでもない味覚叩きなおしてやるわよ!」
「こっちの方こそな!」
「っていうか御前料理下手じゃん!」
「豚の餌」
「言ったわね!誰が豚よ!」
こうして恒例の喧嘩に入る。だがそんなこんなの間に部隊は食事を終え高知に向かった。高知に到着すると敵はまだ来てはいなかった。
「いないな」
「っていうか逃げた?」
アウルがスティングに対して言った。
「だったら楽なんだけれどね」
「まあそれはないだろうな」
「だろうね」
それは実はアウルにもわかっていることであった。
「あの連中に限ってね」
「絶対に来るな」
スティングはまた言った。
「ここじゃなくても何処かにな」
「けれどどうして四国?」
ステラはそこが気になるのだった。
「しかもこの高知って」
「この高知が一番上陸に適しているからだ」
そのステラにピートが答えた。
「それに高知沖で敵が見つかったからな」
「だからなの」
「そうだ。だから俺達はここで敵を待つ」
こうステラに話した。
「だが。何処に来てもすぐに向かう」
「その通りだ」
サコンも出て来た。
「ここで敵を待ち受けるにしてもだ」
「多分敵はこの四国を占領して日本攻略の足掛かりにする気だ」
「何かガルラ帝国も他の敵と変わらないんだな」
アウルはその話を聞いて言った。
「考えることもやることもな」
「そうだな。言われてみれば同じだな」
サンシローはアウルのその言葉に頷いて述べた。
「あいつ等もな。他の敵とな」
「それを考えれば対処は容易だな」
リーは冷静にサンシローに応えた。
「あの連中の相手もな」
「そうですね。数が多いことは多いですが」
ブンタも言う。
「それでも。行動パターンがわかっていれば対処は容易です」
「さあ、早く出て来いよ」
ヤマガタケは早速指をボキボキと鳴らしていた。
「また叩き潰してやるからよ」
「今度は誰が出て来るかだな」
フォッカーはもう発進していた。バルキリー隊がそれに続く。
「同じガルラ帝国でもどうも色々な連中がいるみたいだからな」
「この世界の宇宙を支配していますからね」
マックスが言ってきた。
「それも考えてみれば当然ですよね」
「そうだな。それはな」
「仙台の連中はこれまでのガルラ帝国とは違いましたね」
柿崎も話に入って来た。
「どうも。何か戦い方まで」
「そうだよな。凄い軍律が厳しいような」
輝は敵の動きからそうしたことを見抜いていたのだった。
「そんな感じが」
「じゃあ今度も」
次に言ったのはガムリンだった。
「そうした相手でしょうか」
「いや、そうとは限らないだろうな」
その彼にダッカーが言ってきた。
「別の系統の敵でもおかしくはないな」
「それもそうですか」
「とにかく。敵が出て来たら」
フィジカはそうしたことはまずは考えてはいなかった。
「どうするかですよね。やっぱり」
「どんな相手でも一緒の奴はいますけれど」
ミレーヌは言いながらバサラを見ていた。
「あんたはやっぱり歌うのね」
「俺の歌でな」
やはりバサラは相変わらずであった。
「戦いを終わらせるって言っただろ。ここでもそうさ」
「全く。何処でも我が道なんだから」
「しかしそれがバサラだ」
レイはそんな彼でいいというのだった。
「それがな」
「いいか、それでだ」
フォッカーが全員に指示を出した。
「敵が出てもまずは動くな」
「先手はかけないのですね」
彼の指示にミリアが問うた。
「まずは」
「そうだ、引き付ける」
これが彼の考えだった。
「まずはな。それからだ」
「引き付けたうえで一斉攻撃」
レトラーデが言う。
「それですね」
「そういうことだ。まずは攻撃射程に入ったところを派手にやる」
フォッカーも彼女に応える。
「いいな、それでな」
「了解です」
ミスティは静かに言葉を返す。
「その戦術で」
「問題は来るかどうかだな」
霧生は敵を待っていた。
「ここに。果たして」
「来るさ」
その彼にヒビキが言った。
「間違いなくここにな」
「またえらく自信だな」
ネックスが今のヒビキに対して少し茶化して言ってきた。
「絶対に来るなんてよ」
「もっとも四国に上陸するのならここだけれど」
シルビーもそれは予測していた。高知の地形からである。
「果たして。どうなるのかしらね」
「いや、来たぞ」
カムジンがグラージのレーダーを見て言った。
「遂にな」
「来た!?」
「ここで」
「敵です」
マクロスの艦橋でキムが言った。
「レーダーに反応、七十万機です」
「おいおい、また随分と来たな」
アレンはキムの言葉を聞いて思わず軽口を言葉に出した。
「相変わらずって言ったらそれまでだけれどな」
「楽しい宴のはじまりってやつだな」
フェイもアレンに合わせて軽い調子にしていた。
「今回もな」
「その通りデーーーース!楽しいパーティーのはじまりデーーース!」
ジャックはいつもの通りだった。
「ベリーグッド!ファイト開始ね!」
「しかし。いつも思うが」
「ああ、そうだな」
「やはりな」
プラクティーズの面々は今のジャックの言葉を聞いて思うのだった。
「ジャックさんの日本語は」
「作っているようにしか思えない」
「そうだな」
三人はそう感じ取っていた。そしてその話の間に敵がもう高知湾に大挙して姿を現わしていたのだった。
「来たぞ」
マイヨが全員に告げる。
「戦闘開始だ。いいな」
「了解」
「それじゃあ今から」
「全軍敵を引き付けて下さい」
未沙はフォッカーの指示をそのまま全員に伝えた。
「そして敵を水際で叩いて下さい」
「何かそれも三回目だけれど」
「まあいいか」
それでもなのであった。
「ここはね。それでね」
「やりますか」
「全軍迎撃用意!」
また未沙の指示が出された。
「陣形を整え敵を待ちます!」
「わかりました!」
こうして皆まずは前に出なかった。そのまま守りを固め敵が来るのを待つ。そうして敵が今まさに上陸せんとしたその時にであった。
「撃て!」
「撃て!」
攻撃が復唱され放たれる。それが総攻撃のはじまりだった。こうしてロンド=ベルとガルラ帝国の戦いが再びはじまったのであった。
「こうした時やっぱり広範囲に攻撃できる武器あるといいな」
「そうね」
エルがビーチャの言葉に頷いていた。
「あんたの百式は特にそうね」
「ああ、このハイメガランチャーな」
今もその巨大なランチャーを放っている。
「便利だぜ。そっちはどうだ?」
「こっちもね」
スーパーガンダムのミサイルをここぞとばかりに放っていた。
「ミサイルがあるからね」
「こっちも」
モンドもスーパーガンダムに乗っていた。イーノもだ。彼等にスーパーガンダムはまんべんなく使われるようになっているのだった。
「何とかやっていけれるよ」
「正直マークツーじゃ少し辛かったけれど」
イーノもそのミサイルを放っていた。
「こうしてね。広い範囲に攻撃を放てるからね」
「それはいいわね」
ルーはそれが少し残念そうだった。
「リガズイはこうした場合ね」
「ちょっと辛い?」
「運動性能がいいのは有り難いけれど」
戦闘機形態のまま戦っていた。そうしながらエルに応える。
「広い範囲に攻撃できないのが」
「その分あたし達がいるけれどね」
「任せろ」
プルとプルツーはキュベレイマークツーのファンネルを使っていた。
「けれどリガズイもファンネルあればね」
「全く違うがな」
「正直インコムでもあればね」
ルーはぼやきながら言った。
「違うんだけれど」
「何かそれ考えたらダブルゼータって凄いんだな」
ジュドーが言う。
「これだけミサイルだのハイメガキャノンだのぶっ放せるんだからな」
「そうね。それにしてもゼータがね」
ルーはまだぼやいていた。
「整備中なのが」
「あと二分だ」
ヘンケンがそのルーに言ってきた。
「二分経ったらいける。それまで待っていてくれ」
「わかりました」
とりあえずヘンケンの言葉に頷く。
「それまでの間は」
「そうだ。二分だけの我慢だ」
ヘンケンのラーディッシュも攻撃を行っていた。
「待っていてくれ。いいな」
「はい、それでは」
「艦長、敵の援軍です」
アゼレアが彼に言ってきた。
「どうしますか」
「引き付ける」
彼はすぐにそのアゼレアの言葉に応えた。
「今はな」
「わかりました。前には出ないんですね」
「前に出ればそれで終わりだぞ」
こう言って言葉を少しきついものにさせた。
「総攻撃を受けてな」
「その通りです」
ナタルが今のヘンケンの言葉に頷く。
「ですから今は」
「その通りだ。動かずに水際攻撃に専念する」
それが今のロンド=ベルの戦いだった。
「いいな」
「わかりました」
「それでは」
ナタルとアゼレアは今の彼の言葉に応えた。戦いはそのまま続く。敵の援軍がまた攻めてきた。やはりロンド=ベルは動かず攻撃を続けた。
「おのれ、ロンド=ベルめ」
「動かないか」
それを見たガルラ帝国の本陣では歯噛みしていた。
「出て来たところを囲み潰すつもりが」
「読んでいるのか」
「どうやらそうだな」
仮面の男が彼等の言葉に頷いていた。
「ロンド=ベルも愚かではないということだな」
「愚かではありませんか」
「伊達に今まで我々の攻撃を防いだわけではない」
彼はまた言った。
「どうやらな」
「しかし」
岩石のような男がその彼に言ってきた。
「クロッペン司令」
そして仮面の男の名を呼んだ。
「ここはこのボイダーにお任せを」
「どうするつもりだ?」
「このまま正面から押し潰すだけです」
これが彼の考えであった。
「数を頼んで」
「ふん、愚かな」
しかし今の彼の案には反対する意見が出て来た。恐竜の様な顔の者だ。
「そんなことをしても何になる」
「わしの案を駄目だというのか」
「そうだ」
彼はこう言ってボイダーの言葉をさらに否定する。
「このプロザウルスならば」
「どうするというのだ?」
「左右から囲んで攻める」
これが彼の案だった。
「そうして殲滅するのだ」
「駄目だな」
またそれに反対する意見が出ていた。
「プロザウルス、貴様の提案も愚かなものだ」
「何だと、カブト」
プロザウルスはその虫の顔の男を見据えた。
「では貴様はどう考えているのだ」
「ただ包囲しただけであの連中は倒せん」
カブトは言うのだった。
「やはりおびき出してだ」
「それができんからではないのか」
「頭を使え」
しかしカブトはプロザウルスに言い返す。
「頭をな。一旦退きそのうえで誘い出すのだ」
「それができぬからであろう」
植物のような緑の女の言葉だった。
「カブト、御前もわかっておらん」
「ミズカか」
「そうだ」
女は名前を言われ答えた。
「それもまた愚だ。何者かを捕らえそのうえで人質として脅しをかけるべきであろう」
「それが通じる連中ではないと思うがな」
カブトはこう述べて彼女の考えを拒んだ。四人はそれぞれ自分達の案を出して引かない。しかしその間もクロッペンは敵を見据えていた。
「やはりここはこのまま攻める」
「このままですか」
「ロンド=ベルには小細工は通用しない」
彼はこう見ていたのだった。
「だからだ。ここはな」
「このままですか」
「このまま攻めて敵の消耗を待つ」
彼は言った。
「それで行くぞ」
「ですがそれは」
「それだけでは」
四人の将軍達はその案にかなり否定的なようであった。
「今まで通りでは」
「何にもならないのでは」
「しかし下手に攻めようと損害を増やすだけだ」
彼は言うのだった。
「だからだ。今はな」
「それしかありませんか」
「囲むのも正面突破も誘い出しもおそらくその都度破られる」
三人の案を退けた。
「人質もだ。おそらくすぐに解放される」
「それでは」
「そうだ。今のやり方しかない」
こう言うクロッペンだった。
「我々は今はな」
「くっ・・・・・・」
ボイダーはそれを聞いて歯噛みした。
「それしかありませんか」
「予も不本意だ」
クロッペンにしてもそうなのだった。
「だが。仕方がない」
「ではこのまま」
「ただ攻めるだけですか」
「敵の補給が切れるのを待つ」
これが彼の考えだった。
「それを待つしかな」
「わかりました。それでは」
「それで」
将軍達も渋々ながら彼等に従う。そのうえで攻め続ける。しかしロンド=ベルの補給は潤沢で彼等の猛攻に充分耐えていた。そうして遂に限界が来たのは帝国軍だった。
「終わりだな」
「終わりですか」
「戦力が二割を切った」
こうミズカに述べた。
「これ以上の戦闘は無理だ」
「それではここは」
「撤退ですか」
「そうだ、撤退だ」
遂に決断を下した。
「ここはな」
「無念ですな」
プロザウルスが忌々しげに言葉を出した。
「敵地を一歩も踏めずとは」
「それに殿下が」
カブトも言ってきた。
「何を仰るか」
「仰るだけで済めばいいのですが」
ミズカもその顔を暗くさせていた。
「何しろあのような方ですから」
「馬鹿者、口を慎め」
ボイダーはすぐに彼女に怒った声で言い返した。
「そのような言葉聞かれればどうなると思う」
「すまない」
「貴様だけでなく我等全員が処罰されるのだぞ」
こうミズホに言うのだった。
「それこそな」
「そうだった、済まない」
ミズホはまた彼に謝罪した。
「危ういところだった」
「帝国において殿下は絶対の方だ」
クロッペンも言ってきた。
「それを忘れることはないようにな」
「はい」
「それは確かに」
彼等もクロッペンの今の言葉に対して頷いた。
「それではだ。退く」
「わかりました」
「それでは」
こうして帝国軍は撤退した。後には誰も残らなかった。今回も戦いもロンド=ベルの勝利に終わった。そしてまた風間博士に捕虜が引き渡される。そうして彼がおのれに提供された研究室に入って暫くのことだった。
「そこまでだ!」
「動くな!」
この言葉と共にロンド=ベルの者達がその研究室に入って来たのだ。皆銃を手にしている。
「風間博士、貴方の身柄を拘留します」
ブライトが彼に対して告げた。
「用件は捕虜虐待に関してです」
「わしがだと」
「そうです」
強い声で彼に述べた。
「その証拠は既に」
「これはただの研究だ」
傷だらけになり横たわる捕虜を見下ろしての言葉だった。
「それでわしを拘束するというのか」
「その通りでず」
「戯言を」
博士はそれを一蹴しようとする。
「わしを誰だと思っている」
「誰かですか」
「そうだ、誰だ」
こうロンド=ベルの面々に対して問う。それは詰問だった。
「わしは風間博士だ。それを知ってのことか」
「勿論です」
ブライトはその彼に対して毅然と答えた。
「それは承知しております」
「では何故だ」
「それは簡単です。貴方に捕虜虐待の嫌疑がかかっているからです」
「捕虜虐待か」
「その通りです」
またしても毅然と答えたブライトだった。
「だからこそ我々は今こうして貴方を拘束するのです」
「証拠があるというのか」
「無論です」
また答えるブライトだった。
「それがこの証拠です」
「むっ!?」
彼が博士に見せたものは写真だった。あの時ヘクトール達が撮っていた写真を今彼に対して突きつけたのだった。
「これで宜しいですね」
「捕虜が何だというのだ」
しかし博士は悪びれることもなくこう言ってきた。
「あのような者達なぞどうなってもだ」
「その御言葉。捕虜虐待の独白だと断定させてもらいます」
彼はまた言った。
「では博士、こちらへ」
「おのれ・・・・・・」
博士は呪詛の言葉を出したがもうどうにもならなかった。そのまま連行されていく。こうして風間博士は捕虜虐待の咎でその身柄を拘束され裁判にかけられることになったのだった。しかしここから誰もが思いも寄らなかった事態になることをまだ誰も知らなかったのだった。

第百十八話完

2009・4・7


 
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