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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第百五話 五色の絆、金色の勇気

               第百五話 五色の絆、金色の勇気
銀を失った悲しみをそのままにロンド=ベルはまた東京ジュピターに向かっていた。だが彼等の顔はどれも暗いものになっていた。
「厄介なことだな」
マイヨがその中で言う。
「戦争で誰かが死ぬのは当然のことだが」
「はい」
「ですが大尉殿」
「わかっている」
こうプラクティーズに対しても返す。
「私とて同じだ」
そして言うのだった。
「かけがえのない同志を失った」
「そうです」
「見事な最後でしたが」
「しかし」
カールもウェルナーもダンも普段の冷静さはなく感傷的になっていた。
「あれだけの見事な若者が命を散らすとは」
「これが戦争とはいえ」
「残念なことです」
「思えば我々は幸運だったのだ」
ここでマイヨは言った。
「我々はな」
「といいますと」
「数知れない死闘を潜り抜けてきた」
それがロンド=ベルの戦いでもあった。
「だが。誰一人として今まで犠牲者は出なかった」
「確かに」
「それは」
「これを幸運と言わずして何と言うか」
彼が言うのはこのことだった。
「違うか」
「そうですね。それは」
「その通りです」
三人もマイヨの今の言葉に俯きながらも頷いた。
「我々は今の今まで誰も欠けることはありませんでした」
「あれだけの戦いを経て」
「戦艦のクルーに至るまでもだ」
とかく戦死者がいなかったのだ。
「だが。それは運がいいだけだったのだ」
「そうですね。そうなります」
「それは」
「だからだ。誰かが死んでもおかしくはない」
マイヨは言葉を続ける。
「しかしだ」
「感情とは別ですね」
「やはり」
「そういうことだ。これは完全に否定できない」6
そういうことであった。
「惜しい男をなくした」
「全くです」
「ですが。我々よりも」
「彼等の方がその感情は」
三人はそれぞれ言った。
「強いと思われます」
「やはり。長い付き合いでしたし」
「絆もまた」
「立ち直れればいいがな」
マイヨの言葉は苦いものになっていた。
「何とかな」
「そうですね。しかし大尉殿」
「どうした?」
「そのゴライオンのことですが」
プラクティーズの面々はゴライオンのメンバーのことを心配していた。
「彼等は四人になりました」
「そうだ」
「では。今後は」
「その四人で戦うのでしょうか」
「それしかないのではないのか?」
彼はこう考えていた。
「メンバーがいないのだからな」
「やはり。そうなりますか」
「彼がいなくなったことにより」
「それしかあるまい。彼は死んだ」
マイヨはまたこのことを言う。言いたくはなかったが。
「それならばな」
「わかりました。そういうことですか」
「辛いですね」
「彼等がな。最もな」
マイヨも彼等のことを気にかけてやまなかった。
「それを感じている筈だ」
「ええ」
「それは確かに」
「今はだ」
彼はさらに言った。
「彼等はそっとしておくのだ。いいな」
「はっ、わかりました」
「それでは」
マイヨの言葉に応える三人だった。今ゴライオンの面々は沈んでいたが皆その彼等を必死に気遣っていた。だがここで。ある人物が名乗りをあげたのであった。
「ブルーライオンですが」
「んっ!?」
「私が乗ります」
名乗り出たのはファーラだった。彼女は意を決した顔で一同に言うのだった。
「私がブルーライオンに乗ります。そして銀さんの代わりに」
「戦うっていうのかよ」
「はい」
また意を決した顔で答えたのだった。
「ゴライオンは四人では力を発揮できません。ですから」
「いや、けれどよ」
「それは」
ゴライオンの面々が中心となって彼女を止めにかかった。
「気持ちはわかるけれどよ」
「あのライオンはそう簡単には」
「ゴライオンは元々私の星のものでした」
彼女はこのことを言うのだった。
「ですから。きっと」
「動かせるっていうんだな」
「そうです」
強い顔での言葉だった。
「ですから。きっと」
「どうする?」
「姫様はこう言ってるけれどよ」
皆ファーラの強い決意の言葉と表情の前に顔を見合わせて話をした。
「どうする?」
「本当に」
「よしっ」
ここで最初に応えたのはサンドマンだった。
「ファーラ姫」
「はい」
「戦いは辛いもの」
彼はまずこう言った。
「そして果てしのないもの」
「わかっています」
「わかっているのだな」
「だからこそです」
サンドマンに対しても毅然と答える。
「ですから。私は」
「わかった」
サンドマンはファーラのその心を受け止めたうえで頷いたのだった。
「その心受け取った。ならばだ」
彼は言う。
「ブルーライオンに乗り給え。そして今こそゴライオンの戦士となるのだ」
「いいのですね?」
「戦士になるのは何か」
彼はまた言う。
「それは心によってだ」
「心によってですか」
「だからこそだ」
ファーラの目を見ていた。その純粋な目を。
「君はゴライオンに乗り戦う資格があるのだ」
「わかりました。それでは」
こうしてサンドマンの推薦もありファーラはブルーライオンに乗ることになった。まずはインドネシアのある島においてテストになるのだった。
「まさかな」
「こんなことになるなんてね」
「思いもしなかったわ」
エイジにミヅキ、ルナはグラヴィゴラスからファーラの乗るブルーライオンを見て言うのだった。他の面々もそれぞれの艦から見ている。
「大丈夫なのか?」
「あのお姫様のこと?」
「ああ」
エイジは何時になく真剣な顔でミヅキの言葉に答えた。
「ライオン、操れるんだろうな」
「さてな」
ピエールも不安な顔になっていた。
「正直可能性は相当低いだろうな」
「皆無と言ってもいいだろう」
シリウスも言う。
「やはりな」
「そうよね。やっぱり」
シルヴィアは兄の言葉を受けてその天秤を悲観的な方に大きく傾けた。
「幾らあのお姫様の星のものでも」
「だが。やってみる価値はありますよ」
「そうね」
つぐみの言葉に麗花が頷く。
「ひょっとしたら、があるから」
「そういうことです」
「じゃあ今は見守りましょう」
ジュンはこう結論を出した。
「ファーラ姫を。そうしましょう」
「まずはやってみることだ」
サンドマンはここでも言う。
「そうなればきっと道が開ける」
「そんなものか」
「そういうものだ」
アポロの言葉にも頷いてみせる。
「ここで。彼女のその心を見守るとしよう」
こうして彼等はファーラの操縦を見守るのだった。しかしであった。ブルーライオンは動かない。微動だにせずそこに止まったままであった。
「えっ!?」
「やはり」
「動かないのか」
皆それを見てやはりと思うのだった。
「あの姫様でも」
「動かせないのか」
「そんな、それじゃあ」
ファーラは必死に操縦しようとする。だがやはり動きはしなかった。
「ゴライオンは。このままずっと」
「じゃあそれでいいさ」
黄金は達観した声で述べた。
「やっぱり。四人で戦う」
「はい。そうですね」
錫石が諦めた声で述べた。
「やっぱり。僕達だけで」
「戦うか」
「銀の分までな」
青銅も黒銅も言う。
「俺達四人で」
「やるしかないか」
四人も諦めようとしたその時だった。しかしその時に。突如としてレーダーに反応が起こった。
「えっ!?」
「まさか、ここで!?」
「敵です!」
マクロスクォーターのブリッジが急に騒がしくなった。
「敵が来ました!」
「これは・・・・・・」
「何処だ!?ガルラ帝国か、それともドーレムか」
「天使です」
ジェフリーの問いにモニカが答える。
「その数、千です」
「全軍出撃せよ!」
ジェフリーは報告を受けてすぐに指示を出した。
「急げ、ブルーライオンが危ない!」
「はい!」
「了解です!」
こうしてすぐにロンド=ベルの面々は総員出撃にかかった。当然ながらその中にはゴライオンの面々もいるのだった。
「いけるのだな」
「ああ」
黄金はクリフの言葉に応えた。
「安心してくれ。俺達はやれる」
「今まで以上に辛い戦いになるぞ」
クリフはこう忠告してきた。
「それでもいいのだな」
「辛くない戦いなんてあるのかよ」
これが黄金の返答だった。
「違うか?」
「それはその通りだ」
これはもう言うまでもなかった。特にロンド=ベルの戦いは。
「そういうことさ。だからな」
「戦うのだな」
「そうさ、行って来るな」
「わかった。では一つだけ言っておこう」
クリフは黄金の言葉を聞いてからまた述べた。
「何だ?」
「死ぬな」
こう彼に言うのだった。
「いいな。それだけはな」
「・・・・・・わかった」
言葉を返しはしたがそれでも表情は硬いものであった。
「それはな。それじゃあな」
「それだけだ。ではな」
「・・・・・・ああ」
こうして彼は戦場に向かうのだった。こうしてゴライオンは四人で出撃した。そしてすぐにブルーライオンの側に来るのだった。
「姫さん、ここはな」
「僕達に任せて下さい」
「だから下がれ」
「いいな」
四人はそれぞれファーラに告げたのだった。
「天使達は手強い」
「ましてや動けないのなら余計にな」
こうして彼等は天使達の軍勢からファーラを守ろうとした。しかし彼等に対して天使達の主力が向かうのだった。
「何っ、ゴライオンに!?」
「向かった!?」
「まずい!」
皆その動きを見て一斉に焦りを見せた。
「四人じゃとても!」
「天使達は!」
「おい、俺が行くぜ!」
ここでオルガが叫んだ。
「天使の百匹や二百匹程度なら何とでもなるぜ!」
「僕も!」
今度叫んだのはクロトだった。
「一匹残らず抹殺してやるからね!」
「ふん、俺一人で充分だ」
シャニまで出て来た。
「天使なんぞ。俺に勝てるものか」
「ああ、行け!」
珍しくそれが認められた。
「御前等なら何とか数は減らせるからな!」
「とっとと行け!」
「おいおい、いいのかよ」
クルツも軽口を言いながらもそれに賛成していた。
「あの連中はまた極端だぜ」
「極端でいいのです」
テッサも同じ考えだった。
「そうでなければゴライオンはとても」
「守りきれない」
宗介も言う。
「あの三人の非常識なまでの破壊力でないとな」
「まあそうだな」
結局はクルツもそれしかないと思っていた。
「頼むぜ。派手に暴れていいからよ」
「おうよ。行くぜ姫さんよ!」
「僕達の攻撃をよけるだけでいいから!」
「安心して生きろ」
こうしたところは相変わらずの三人だった。
「おら!とりあえず死ね!」
「姫様には近寄らせないってね!」
「地獄に落ちろ」
三人は早速総攻撃に入る。それで忽ちのうちの天使を百人程倒してしまった。
「いけますか?」
「これは」
「さて。どうでしょうか」
テッサはマデューカスとカリーニンの言葉に沈痛な顔で返していた。
「彼等はまだ来ています」
「むっ、確かに」
「やはり。ゴライオンを狙って」
「三人の破壊力は折り紙つきです」
このことは言うまでもなかった。
「しかし」
「しかし?」
「一体!?」
「それでもです」
テッサは言うのだった。
「数があまりにも」
「むう、それでは」
「このままでは」
「そうです。防ぎきれません」
テッサの声が険しいものになっていた。
「ですが今これ以上の戦力をゴライオンに回すことも」
「はい、そうです」
「困難です」
天使達はゴライオンにだけ向かっているのではなかったのだ。他の面々にも攻撃を仕掛けてきているのだ。まるで雲霞の如きであった。
「このままではとても」
「ではここはどうされれば」
「宜しいのですか?」
「ゴライオンに期待するしかありません」
テッサの言葉は覚悟を決めたものだった。
「彼等に」
「ですが姫様、それでは」
「四人では」
「いえ、五人です」
しかしテッサはここで言い切った。
「彼等五人が。やってくれます」
「ですか」
「そうなればいいのですが」
「そうしなければなりません」
テッサの声ははっきりしたものになった。
「彼等で」
その言葉の間にも天使達はゴライオンに襲い掛かる。とりあえず合体はして五体にはなっていた。しかしそれでもであった。
「くっ、駄目だ!」
「この数じゃ!」
黄金と錫石が思わず叫んだ。剣で天使達を斬りながら。
「くっ、せめて」
「銀がいれば」
黒銅と青銅はつい言ってしまった。
「しかし今は」
「とても」
「ちょっと待ってよ」
その二人に錫石が言う。
「そうだ。それは」
「あ、ああ。そうだったな」
「今は」
黄金にも言われそれに気付いた二人だった。
「済まない、忘れていた」
「今の言葉は」
「いえ」
しかしファーラは今の言葉にも特に感情を荒立てることはなかった。
「ですが。このままでは」
「いや、大丈夫だ」
そのファーラに対しても言う黄金だった。
「俺達がいる。だから」
「黄金さん・・・・・・」
「生き抜いてやる!戦い抜いてやる!」
彼はまた叫んだ。
「何があってもな!」
叫びながら剣を振るって敵を屠っていく。既に斬り倒した敵はかなりの数になっている。しかしそれでも天使の数はあまりにも多かった。
次第に周囲を囲まれそのうえでダメージを受けていく。これで遂に。
「くっ!」
「なっ!」
「ゴライオンが!」
ゴライオンが遂に片膝をついてしまったのだった。
「くっ、俺が行く!」
「ああ、行くぞ!」
弾児の言葉に楯人が続いた。ダルタニアスだった。
「何があってもな!」
「ここはゴライオンの為にも!」
「いや、残念だがそれは無理だ」
しかしその二人を止めたのはナタルだった。
「二人共。ダルタニアスは」
「おい、何でだよ!」
「俺達なら何時でも!」
「そのエリアからダルタニアスを外せない!」
これがナタルの言葉だった。
「外せばその戦線から」
「ちっ、どうしてもかよ!」
「このラーディッシュもだ!」
ナタルの叫びが苦いものになっていた。
「動けないのだ!動ければ!」
「ちっ、そっちもかよ」
「動けないのか」
「動ければとうの昔に動いている」
ヘンケンも言うのだった。
「こちらとてな」
「ヘンケン艦長・・・・・・」
「それでかよ・・・・・・」
「私とてだ」
ナタルの声がこれまでになく苦いものになった。
「行きたい。行ければ」
「ナタルさん・・・・・・」
「そうか・・・・・・」
「頼む」
ナタルの今度の言葉は命令ではなかった。
「ここは。君達の場所で戦ってくれ」
「わかった。それじゃあな」
「ゴライオン・・・・・・頼むぞ」
彼等も彼等で目の前の敵と戦うしかなかったのだった。そうして激戦の中で片膝をついたゴライオンは何とか立ち上がった。だがそれでもだった。
天使達の攻撃は激しくなりダメージが蓄積されていく。それによりゴライオンは今にも倒れそうになっていた。
「こいつ等!」
「邪魔なんだよ!」
「うざい」
クロトもオルガもシャニも必死にゴライオンに向かおうとする。だがその数に阻まれていた。
「どけって言ってるだろうが!」
「おい、ゴライオンよ!」
「今行く」
何とか前の天使達を薙ぎ倒して先に向かう。だがそれは果たせない。その間にも天使達のゴライオンへの攻撃は激しさを増し今にも倒れんばかりになっていた。
「くっ、黄金!」
「このままじゃ!」
青銅と黒銅が叫ぶ。
「やばいなんてものじゃないぞ!」
「このままでは!」
「わかってる!」
こう二人に返す黄金だった。しかしだった。
「だが。このままじゃ」
「私に」
ここでファーラが言った。
「私が。せめて」
「姫様は気にすることはないよ」
彼女に声をかけたのは錫石だった。
「僕達でやるから」
「けれど」
「姫さんは気にするな!」
黄金は今度はファーラに対して声をかけてきた。
「俺達の戦いだからな」
「いえ」
しかしここでファーラは言うのだった。
「私が」
声は小さかった。
「私が。銀さんのかわりに」
また言った。
「銀さんのかわりに。ゴライオンの戦士に」
声は少しずつだが強いものになっていた。
「なります!だから!」
「!?」
「何っ!?」
「私もゴライオンの戦士です!」
声がさらに強いものになった。
「だから!ここで!」
「ひ、姫様!」
「まさか!」
「やります!」
今度は叫んでいた。
「私も!今ここで!」
その時だった。ファーラの獅子が光った。そして。
「なっ、光が!」
「姫さんのライオンから光が!」
「まさか!」
その光が消えた時ゴライオンが変わった。ダメージが消えそうして再び立ち上がり。その五体の獅子が今完全に一つになっていたのだった。
「なっ、まさかあの姫さんが」
「ゴライオンの戦士に!?」
「なれたのか?」
今そのことを感じているロンド=ベルの戦士達だった。
「まさか。そんな」
「あの姫さんが」
「ゴライオンの戦士に」
「いや、そのまさかだ」
これに応えたのは黄金だった。
「姫さんはなれたんだよ、ゴライオンの戦士にな」
「心が通い合ったんだな」
このことを最初にわかったのは弾児だった。
「姫さんとゴライオンが」
「ああ、間違いない」
弾児が彼の言葉に頷く。
「これはな」
「よし、それならだ!」
弾児の話を聞いて満面の笑みで頷く黄金だった。
「ゴライオンはまた戦えるんだ!姫さん!」
「はい!」
「頼むぜ!」
ファーラに対して声をかける。
「ゴライオンの戦士としてな!」
「わかりました!私もこれで!」
ファーラもまた黄金の言葉に対して返す。
「ゴライオンの戦士に!」
「ああ!」
こうして今五人目の戦士が再び加わった。それによりあらたな力を得たゴライオンは見事復活した。最早先程までの苦境はなかった。
「やるぜ!」
「うん!」
「また五人で!」
「戦うぞ!」
黄金の言葉に錫石、青銅、黒銅が応える。
そして剣を振るい天使達を薙ぎ倒していく。そうして瞬く間に周りの天使達を倒し終えたのだった。
戦いはゴライオンの復活を転換点としてロンド=ベル優勢になった。勢いに乗った彼等はそのまま天使達を退け勝利を収めた。彼等は見事復活を果たしたのだった。
「やったな」
「ああ」
弾児が黄金に対して応える。
「姫さんがな」
「その通りだ」
彼もまたそのことがよくわかっていた。
「あの姫さんが。本当に」
「全くだぜ」
「やってくれた」
言葉は笑っていた。
「全くな」
「それでどうするんだ?」
弾児はまた黄金に対して問うた。
「これから。やっぱり」
「ああ、そうする」
こう弾児に返した。
「五人だ」
「そうか」
「俺達は五人で戦う」
これが彼の考えだった。
「ゴライオンは五人で戦うものだからな」
「そうか。それならやっぱり」
「姫さんは戦士だ」
このことをあえて言った。
「ゴライオンのな」
「そうだな。ゴライオンのな」
「そうさ。いいよな、姫さん」
「はい」
ファーラには異論はなかった。
「御願いします。是非」
「わかったぜ。よし、皆!」
あらためて他のゴライオンのメンバーに対して声をかける。
「これからは姫さんも俺達の仲間だ、いいな!」
「ああ、勿論だよ!」
「一緒にな!」
「戦うぞ!」
彼等にも最早異存はなかった。こうしてファーラは完全にゴライオンの戦士の一人となったのだった。新生ゴライオン誕生の瞬間であった。
ゴライオンの新生を迎えた彼等はまた日本に向かうことになった。行く先はやはり東京ジュピターであった。
「思ったより時間をロスしてしまいましたね」
「そうか?」
ヘンケンはナタルの言葉にそれ程驚いた様子はなかった。
「特にそうは思わないがな」
「そうなのですか?」
「俺はな」
こうナタルに返すのだった。
「この程度は想定の範囲内だ」
「想定のですか」
「そうだ」
こう答えるのであった。
「充分間に合う」
「間に合いますか」
「この程度の時間のロスはいつものこと」
言葉の調子を少し変えてきた。
「違うか?ロンド=ベルではな」
「言われてみれば」
ナタルもロンド=ベルに入ってかなり長くなっていた。
「それもそうですね」
「そうだな。ロンド=ベルでアクシデントは日常茶飯事だ」
こうも言うのだった。
「突然の戦闘はな」
「ではこの程度は」
「普通ではないか」
また言うのだった。
「違うか?」
「言われてみればそうですね」
ナタルもその言葉に頷くようになっていた。
「この程度の戦闘は」
「そうだな。では特に不安に思うことはない」
「時間的にはですか」
「その通りだ。時間のロスもいつものことだ」
ヘンケンはまた言った。
「それも計算に入れてある」
「ですね。杞憂でしたか」
「しかし考えておいて損はない」
ヘンケンの言葉は一聴すれば矛盾するものだった。
「時間のことはな」
「不安に思うことはよくなくても考えることはいい」
ナタルも言った。
「そういうことですか」
「そうだ。では少佐」
「はい」
「進路はこのままだ」
「東京ジュピターにですね」
「そうだ。あの少年」
ヘンケンはふとした感じで述べた。
「誰だったかな」
「神名綾人君ですね」
「そうだった、彼だ」
ヘンケンは綾人の名を思い出した。
「彼にもまた会うことになるな」
「不思議な少年です」
ナタルはここで表情を微妙なものにさせてきた。
「しかし」
「しかし?」
「神か」
ヘンケンが言うのはこのことだった。
「神が生まれるというのか?」
「神が生まれる?」
「この世界のことはまだよくわからないが」
この辺りはやはり仕方がなかった。
「だが。それにしてもだ」
「あのラーゼフォンという存在については私も」
「少佐も?」
「深い謎を感じます」
ナタルは言った。
「この世界そのものに深く関わっているような」
「そうだな。どうやらただ東京ジュピターに向かうだけではないようだ」
「はい」
「深い謎に関わる」
ヘンケンの顔が真剣なものになる。
「俺はそんな気がする」
「はい。それでは」
「その謎を解く為にもだ」
ヘンケンはまた言った。
「行くか。東京ジュピターに」
「ですね。謎を解く為に」
こうして彼等は東京ジュピターに向かうのだった。今は戦闘はないがそれでも深い謎を感じながら戦いの中に向かうのであった。
「そういえばよ」
そこに向かう中で闘志也が皆に話をしていた。
「一つ気になることがあるんだけれどな」
「気になること?」
「ああ、パラダイムシティな」
「それ聞いたことがあるわね」
応えたのは海だった。
「確かこの世界にある街よね」
「ああ」
「この世界の何処かにあるっていう」
「何処かにとは妙ですわね」
風が海の話を聞いて述べた。
「あるのはわかっているのに」
「あるのは確かなんだ」
ジュリイも言う。
「存在は知られているんだ」
「けれど場所はわからないのか」
光は怪訝な顔になっていた。
「どういうことなんだ?」
「行き方は誰もわからない」
闘志也は光達に話す。
「けれど。辿り着いた奴はいるんだ」
「それって誰なの?」
「確かシュウ=シラカワだったか」
「おい、待てよ」
シュウという名前に反応したのはマサキだった。
「この世界でもあいつは動いていたのかよ」
「こっちの世界じゃ有名な科学者だぜ」
こう話したのはヘクトールだった。
「俺達のヒュッケバインやグルンガストの開発もしてくれたな」
「どういうことかしら」
「わからないな」
リューネとヤンロンも顔を顰めさせるばかりだった。
「グランゾンの力を使ったのはわかるけれど」
「この世界でも動いていたのか」
「まあいいことをしてくれる人よね」
「そうよね」
パトとミーナはこう言い合う。
「素性ははっきりしないけれど」
「何かあれば助けてくれるし」
「確かに今のあいつは何かを破壊したりはしねえ」
マサキもそれはわかっていた。
「けれどな。あいつが関わってるってなるとな」
「間違いなく何かとんでもないことがあるわね」
セニアが持ち前の鋭い洞察力を発揮してきていた。
「これはね」
「そうだ。何かある」
マサキはまた言った。
「そのパラダイムシティにもな」
「そうね。けれど果たして行けるかしら」
「その辺りは運命じゃないの?」
ミオが話に入って来た。
「運命に導かれていざって」
「そんな単純に行くか?」
「行くわよ。ひょっとしてその時になったらまたあの人が出て来て」
「・・・・・・それはあるわね」
セニアはその可能性は否定しなかった。
「クリストフの今までの行動を考えたらね」
「ああ。シュウ、今手前は何をしていやがるんだ?」
マサキは今度はシュウについて考えた。
「また俺達の前に姿を現わすっていうんなら。何をしてきやがる」
「それがわかる時になったらだけれど」
今度はテュッティが話す。
「また。私達にとっては大きな謎のはじまりになるわね」
「何よ、謎が謎を呼んでるじゃない」
海は少しうんざりとしたように述べた。
「全く。どうなってるのよ」
「今は仕方あるない」
クリフの言葉は達観したままだった。
「ここでの戦いもはじまったばかりと言っていいのだからな」
「そうやな」
カルディナがクリフのその言葉に頷く。
「それはその通りや」
「けれど」
アスコットも口を開いてきた。
「何かおかしくない?」
「おかしい!?」
「うん。東京ジュピターもだけれど」
彼はまず東京ジュピターについて言及した。
「そのパラダイムシティだって」
「ああ」
「何かあんまりにも独特じゃない」
彼が言うのはこのことだった。
「それも有り得ない程にね」
「有り得ないか」
ラファーガがアスコットの今の言葉に考える顔になった。
「そうだな。一つの街が完全に一つの世界になって独立する」
「しかも二つね」
アルシオーネはそこに注目した。
「考えてみれば。本当に」
「ひょっとしたら」
カルディナはまた言った。
「関係あるんかもな」
「関係って!?」
「その東京ジュピターとパラダイム何やらとや」
「関係、ね」
遥はカルディナのその言葉に眉を顰めさせた。
「そういえばその可能性は考えたことがなかったわ」
「ほな考えてもええな」
「そうね。パラダイムシティも謎に包まれた存在だし」
「謎が謎を呼ぶ」
またこのことが言われた。
「しかもこの話にも関わるのが」
「シュウの野郎かよ」
今度はマサキが顔を顰めさせた。
「あの野郎、本当に何処まで知っていやがるんだ?」
「また出て来た時に聞くしかないわね」
「そうだな。忌々しいけれどな」
セニアの言葉に頷くしかできない今のマサキだった。だが彼等がこうした話をしている間にも東京ジュピターには順調に向かっていた。そうしてあらたな運命が彼等を出迎えようとしていたのだった。

第百五話完

2009・1・26 
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