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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第九十三話 ガンダムマイスター

               第九十三話 ガンダムマイスター
まずは新たな仲間と合流したロンド=ベルはウラジオストクに戻った。そこで数日整備や補給に専念した後でテッサから通達を知らされた。
「連邦軍からの要請です」
「要請ですか」
「やはり貴方達はお客人ということなので」
こうグローバルに答えるテッサだった。
「それでです」
「ふむ。左様ですか」
「はい。それでです」
こう述べてからさらに話すのだった。
「今後の作戦ですが」
「一体何でしょうか」
「まずはオーストラリアに向かって欲しいとのことです」
「オーストラリアに」
「はい。今あの地域はグレードディバィディング砂漠にガルラ帝国の軍事基地があります」
「ガルラ帝国の。それでは」
「はい、その通りです」
グローバルが何を言いたいのか察しての言葉であった。
「その基地の攻略です」
「わかりました。それでは」
「我々も向かいます」
テッサは自身も出撃すると言った。
「トゥアハー=デ=ダナーンで」
「それですが大佐」
グローバルはここでそのテッサに言ってきた。
「その潜水艦ですが」
「何か?」
「今後も我々と行動を共になさいますね」
「ええ。それは」
まずはその問いに答えるテッサだった。
「戦闘があり限り」
「わかりました。それではです」
テッサのその言葉を受けてまた言うのだった。
「マクロスかマクロス7には入られては如何でしょうか」
「トゥアハー=デ=ダナーンと共にですか」
「その通りです。どちらかならば」
グローバルはさらに言う。
「潜水艦の一隻なら収容可能ですし」
「そして必要な時に出撃をですね」
「そうです。それでどうでしょうか」
「そうですね」
グローバルのその言葉を聞いて考え込むテッサだった。だがそれもすぐに終わりこう答えるのだった。
「わかりました」
「どうされますか?」
「ではそれで御願いします」
こう答えるのだった。
「宜しいでしょうか」
「無論です」
グローバルには反論はなかった。これで決まりだった。
「それではすぐにでも」
「はい、それではそのように」
こうしてテッサ達も常に彼等と行動を共にするようになった。ロンド=ベルは要請通りにオーストラリアに向かった。砂漠ではもうガルラ帝国の大軍が展開していた。
「よっし、今回も盛大なお出迎えだぜ!」
「数にして五千ですね」
デュオに対してカトルが述べる。
「レーダーに映っている限りは」
「あくまでレーダーに映っている限りかよ」
「まだいる可能性があるな」
ウーヒェイはその可能性を考慮に入れていた。
「これはな」
「おそらくそうだな」
その彼にトロワが述べる。
「この砂漠は砂に隠れ易い。ならば」
「来るということだな」
ヒイロは五人の中でもとりわけ冷静に戦場を見ていた。
「ならばだ」
「各員迂闊な行動は避けよ」
リーが素早く指示を出す。
「何時何処に伏兵が出て来てもいいようにな」
「了解・・・・・・っていきたいけれどよ」
「どうした?」
ここで声をあげてきたカズマに顔を向ける。
「何かあるのか?」
「艦長さん、レーダーに何か反応はねえか?」
「むっ!?」
「ハガネのレーダーによ。どうだい?」
「反応!?ガルラ帝国ではなくか」
リーも伊達にこの若さで艦長をしているわけではない。カズマの言葉から何か不穏なものを感じ取っていたのである。この辺りの勘は流石だった。
「そうだ。ねえか?」
「今のところはない」
自分でも艦長の席の側に置かれているレーダーをチェックしたうえで答える。
「あくまで今のところはだが」
「そうか。四つ程変なのが見えた気がしたんだよ」
「四つ!?」
「そうです」
ミヒロも言ってきた。
「一瞬ですけれど」
「大きさはどの位だ?」
「大体モビルスーツ位だな」
カズマは答えた。
「その位だったぜ」
「モビルスーツ」
リーはそれを聞いてふと思い出すことがあった。
「そういえばこの世界にもガンダムがいたな」
「はい」
ここでそのリーにセティが答えてきた。
「我々連邦のものとは別に」
「それなのか?」
「で、どうするんだい?」
カズマはあらためてリーに尋ねる。
「そのガンダムが出て来たらよ」
「今はいい」
だがそれは構わないと判断したリーだった。
「まず周囲への警戒は怠らないが」
「ああ」
「今はガルラ帝国に対して専念する」
「まずはあいつ等か」
「そうだ。我々の第一の敵はガルラ帝国だ」
既にその優先順位まで決めていたのだった。
「だからこそだ。わかったな」
「了解。それじゃあよ」
「ただしだ」
ここでリーはカズマに一言言ってきた。
「迂闊に前には出るな、いいな」
「迂闊には、かよ」
「ただでさえ貴様は無鉄砲な行動が多い」
これは多分に嫌味も入っている言葉だった。
「それが戦局全体に影響を及ぼしてはならんからな」
「へっ、慎重過ぎてもかえって駄目なんだぜ」
「その言葉は生き残ってからにしろ」
今度の言葉は本気であった。
「わかったな。わからなければ営倉入りだ」
「何だよ、厳しいな」
「まあそう言うなカズマ」
ブレスフィールドがここでカズマに対して言ってきた。
「艦長殿は心配性なのだ。気遣ってやれ」
「おっと、そういやそうか」
「そうだな、艦長よ」
「私としては一刻も早く貴様を裁判にかけたいのだ」
リーは自分に顔を向けてきたブレスフィールドに対して忌々しげな顔で返した。
「その為には家族の証言も重要だからな」
「わしは何もやましいことはしておらんぞ」
「ほざけ、海賊が」
目が殺人未遂犯のそれになる。
「この戦争が終われば覚えておくことだ。宇宙海賊を許すつもりは全くないのは言っておく」
「その通りだがまた随分と堅苦しい艦長さんだな」
よりによってピートが言う。
「俺がこんなこと言うとは思わなかったが」
「だが堅苦しいのは確かだな」
神宮寺も言う。
「確かに犯罪は許してはならないが宇宙海賊はな」
「そうだ。ケースバイケースだな」
ピートが言いたいのはここであるらしい。
「いい宇宙海賊もいるからな」
「その通りだ」
「何故諸君等は宇宙海賊には寛容なのだ?」
リーは今度は二人を睨んでいた。
「全く。どういうわけだ」
「そうだな。何か縁を感じるからかな」
「俺もだ」
二人は実に不思議なことを言った。
「宇宙海賊ってやつにはな」
「何となくだがな」
「ふん、まあいい」
リーも話にラチがあかないと見たかこれで打ち切ってきた。
「まずは全軍一歩前に出ろ。そこで布陣し敵を迎え撃つ」
「了解」
こうしてロンド=ベルは砂漠に布陣し前方のガルラ帝国に対した。ガルラ帝国軍はまずはそのまま前進して来た。そこを攻撃するロンド=ベルだった。
「よし、今だ!」
まず攻撃を浴びせたのはノリスだった。ドライセンからドライブレードを放つ。
ドライブレードは複雑な動きを示しつつ敵に襲い掛かる。そうしてガルラ帝国のマシンを次々と切り刻んでいく。忽ち数機のマシンが爆発した。
「まずはこれで!」
「よし!」
「次は!」
彼の攻撃に続いてシローとアイナが出た。GP-02とアプサラス、二機の重モビルスーツはそこで動くことなくトーチカの様に留まったうえで攻撃を放つのだった。
「これで!」
「これなら!」
二機のマシンはそのままバズーカやメガランチャーで敵をまとめて叩く。機動力に劣るガルラ帝国のマシンにそれをかわすことはできなかった。またしてもその数を減らしていく。
戦局はまずはロンド=ベルに優勢だった。とりわけ新たなモビルスーツに乗り換えた面々の活躍が目立っていた。
「イザーク!」
「わかっている!」
ディアッカの声に応えてジャスティスを動かすイザークだった。ジャスティスもフリーダムもミーティアを装着しそこから照準をロックオンさせていた。
「使いこなしてみせる・・・・・・!」
「へへへ、来てるぜ雑魚共が!」
二人はそれぞれのモニターに次々とロックオンされるのを見て呟いていた。
「俺も。このガンダムを!」
「遠距離攻撃なら任せな!」
二人はそれぞれ攻撃を放つ。やはりこの二機のガンダムの強さは圧倒的だった。ロックオンしたうえでそれぞれビームを放ち敵を屠っていく。接近してきた敵にはニコルのデスティニーが向かう。
「凄い・・・・・・この力」
ニコルはあらためてデスティニーのパワーと機動力に驚いていた。
「こんなに違うなんて」
「ニコル!」
そのニコルにレイが声をかけてきた。
「デスティニーの力に振り回されるな!」
「わかっています!」
ニコルもそれはわかっていた。
「だから。ここで!」
一気に加速させた。あえてであった。
そうして接近してきた敵の攻撃をミラージュコロイドでかわしていく。それはまさに天使の舞いだった。
そのまま敵に接近し両手からビームを放つ。一気に敵を屠っていく。
「使いこなしてみせますよ。僕も!」
「そういうことだ。なら俺も」
レイもまた攻撃に移った。そのプロヴィデンスレジェンドからドラグーンを一斉に放つ。数が尋常ではない。プロヴィデンスとレジェンドのそれを合わせたよりも多かった。
その圧倒的な数のドラグーンが敵に襲い掛かり屠る。今までで見たこともない程の圧倒的なパワーだった。
「ラウ、この力」
彼は敵を倒しながらクルーゼのことを思い出していた。
「俺は人類の為に使う。その未来の為に!」
今それをあらためて決意するのだった。
そしてキラ達三機のガンダムもそれぞれドラグーンを放ち前方の敵を屠っていく。彼等の力はレイ達をも圧倒するものがあった。
「この力・・・・・・まさに」
「ああ。これならおそらく」
アスランがキラに対して答える。
「世界を切り開ける。これからの人間の世界を」
「そしてこの世界の危機も」
「終わらせられる。だから俺は!」
アスランはここでまたドラグーンを放つ。そして。
さらにビーム砲にミサイルも放つ。それで敵を薙ぎ倒していく。キラもそれに合わせてドラグーンとビーム砲で派手に敵を潰しているがシンは二人とはまた別の戦い方をしていた。
「はあああああああああああああああっ!!」
ドラグーンを放つとすぐにミーティアから離脱し接近している敵の前に現われる。そうして両手の掌からビームを放ち彼等をはとめて消し飛ばすのだった。そのうえでミーティアに戻る。一瞬にして複雑な動きで多くの敵を倒す彼ならではの戦法を見せていた。
「これならどうだ!」
「シン、敵を倒すのはいいが無茶はするな!」
アスランがそのシンに対して言う。
「敵はまだ多いんだ。エネルギーに気をつけろ!」
「そんなの気にしていてやってられるか!」
だがシンはこうアスランに言い返すのだった。そしてまた同じ様にして敵を薙ぎ倒していく。
「敵の数が多いんだ!悠長にしていられないんだよ!」
「それでもだ!今は自重した方がいい」
「いや、そうともばかり言えないよ」
だがここでキラが彼に言ってきた。
「僕達以外にも皆がいるし」
「皆がか」
「シン」
キラは今度はシンに声をかけてきた。
「そのままでいいから。エネルギーがなくなったらミサイルに切り替えて」
「それかよ」
「うん。ミーティアはとにかく武器庫だから」
まさにその通りである。
「だから。思い切ってやってくれたらいいよ」
「そうか。それじゃあ!」
「だがシン」
ここでまた言うアスランだった。
「伏兵が来たぞ」
「やっぱり出て来たか!」
予想通りだった。ここでロンド=ベルを取り囲むようにしてガルラ帝国の新手が砂漠から出て来たのであった。
「二千です」
命が皆に述べる。
「二千また出て来ました」
「二千か。上等だ!」
宙がそれを聞いて吠える。
「来い!二千で俺達を倒せるか!」
「いえ、他にも来ました!」
「何っ!?」
「四機です!」
命はここで言った。
「四機。戦場に」
「誰だ!?」
「まさか」
ここでビリーが顔を曇らせる。
「彼等が!?まさか」
「レーダー反応、これは」
目を顰めさせる命だった。
「ガンダム!?まさか」
「ガンダム!?」
ここでロンド=ベルのメンバーの多くが顔を顰めさせた。こちら側の人間以外は。
「っていうとあれか!?」
「その噂の」
「はい、ガンダムマイスター」
ビリーはその彼等に対して答えた。
「その彼等です」
「そうか」
ヒイロはその言葉を聞いてまずは静かに頷いた。そのうえでビリーに対して問うてきた。
「それでだ」
「うん」
「そのガンダムは味方なのか」
彼が問うのはそこだった。
「俺達の。それとも」
「安心してくれ、ヒイロ君」
だがビリーはこうヒイロに言葉を返すのだった。
「彼等は味方だ。これは前にも言ったね」
「そうだったな」
「そういえば」
ノインとヒルデがそのことを思い出して言う。
「連邦政府と戦うことなく」
「平和を脅かす敵と戦っていたんですよね」
「その通りだ」
二人に答えたのは宗介だった。
「四年前は地球各地で連邦政府に反発しテロ活動を行う勢力が多かった」
「そういうのは何処にでもいやがるな」
マサキはそれを聞いて嫌悪感を露わにさせた。
「ったくよお。どうしようもねえ奴等だな」
「俺達もその掃討任務にあたっていた」
宗介はさらに話す。
「その時にだ。常に戦場に突如として現われ」
「そのテロリストを倒していった」
「そうだ。それがガンダムマイスター」
彼は言った。
「しかし奴等は滅んだとも聞いた」
「滅んだ?」
「何故だ!?」
「四年前にも大規模な宇宙からの侵略者がいまして」
「侵略者!?」
「一体それは」
「インベーダーっていってな」
彼等に答えたのは闘志也だった。
「その連中がどえらい数で攻めて来たんだよ」
「インベーダー!?」
「宇宙からの侵略者か」
「ああ。早乙女博士がそっちのボスになっちまって」
「早乙女博士!?待ってくれ」
竜馬が今の闘志也の言葉に声をあげた。
「今早乙女博士と言ったな」
「んっ!?そうだけれどよ」
話した闘志也は気付いていなかった。
「それがどうしたんだ!?」
「じゃあこの世界にもゲッターが」
「ゲッターが存在しているのか!?」
「おい、嘘だろ」
隼人と弁慶も驚きの声をあげずにはいられなかった。
「この世界にもゲッターが」
「しかも早乙女博士が敵なのかよ」
「そっちの世界はどうかわからないがこちらの早乙女博士は人類の敵だったんだ」
今度はジュリイが彼等に話した。
「かなり派手に暴れてくれてね。それこそ地球が滅亡しかねない程で」
「俺達も戦った」
謙作も言う。
「だが。最後はあの三人が真ドラゴンに乗って」
「真ドラゴン」
武蔵がその名を呟く。
「まさかそれがこの世界のゲッターかよ」
「どうもこちらの世界とはゲッターも大きく違うようだな」
大河がわかるのもここまでだった。
「やはり何もかもが違う世界なのか」
「それでです」
テッサが一同に話す。
「その時のインベーダーとの宇宙での最終決戦でガンダムマイスターは」
「壊滅した筈だったのか」
「その通りだ」
グラハムが言う。
「私も負傷した。そして彼等は」
「けれどここに出て来たってことなんですね」
「その通りだ」
トビアの言葉に対して答えるグラハムだった。
「何故だ。どうしてここに」
「それはわからない。しかしな」
ロウが言う。
「味方なんだよな?俺達の」
「それは間違いありません」
テッサもそれは保証する。
「私達が攻撃しない限りは」
「よし、わかった」
「それじゃあな」
ロンド=ベルの面々は今のテッサの言葉で納得した。そうなれば後は素早かった。
「あの四機のガンダムには攻撃を仕掛けるな」
「了解」
皆セティの言葉に頷く。
「我々は包囲してきているガルラ帝国軍の相手に専念するぞ。いいな」
「それが妥当ですね」
パトリックはそれで納得した声を返した。
「それじゃあ早速」
「包囲されているのならされているで戦い方があるってね!」
アレックスが陽気な声をあげて早速目の前の敵に攻撃を浴びせた。
「こうしてな!」
「各自外に向けて攻撃を放て!」
セティがまた指示を出す。
「いいな!」
「はい!」
「それじゃあそういうことで!」
先程まで正面に向けていた攻撃を今度は外に向けて放つ。忽ちのうちに数十機倒しさらに倒していく。だが彼等はその中でその四機のガンダムの戦いを見るのだった。
「あのガンダム達は」
「どうしたい?お嬢さん」
アルフレッドがソーマに対して問う。
「何かあるのか?」
「どれも四年前とは違います」
「バージョンアップしてるってことか」
「はい。前よりも機動力も火力もあがっています」
見れば四機のガンダムは阿修羅の如き動きで前の敵を倒していっている。まさに縦横無尽だ。
「あれだけの強さはありませんでした」
「敵でなくてよかったってわけだな」
アルフレドはソーマの言葉を聞いてこう述べた。
「つまりは」
「いえ」
だが違うと。ソーマはこう返した。
「そうではなく。果たして」
「果たして。何だ?」
「私達の味方で最後まであり続けるのか」
彼女が言うのはそのことだった。
「どうなのでしょうか。それは」
「まあそれはわからないな」
アルフレドもこう答えるしかなかった。
「実際のところはな」
「そうですか」
「俺達の中にもかつては敵味方だった奴が一杯いるさ」
それがロンド=ベルの大きな特色の一つでもある。
「それこそな。どれだけいるやら」
「そのことは御聞きしていました」
「ならわかるな。敵になってもその時はその時さ」
「左様ですか」
「それよりもだ。喰らえっ!」
ここで前に攻撃を派手に放ちガルラのマシンを数機まとめて吹き飛ばす。
「こうやってな。敵を倒す。いいな」
「わかりました」
「そういうことだ。しかしこいつは」
ここでアルフレッドはふと思うのだった。
「思ったよりな」
「どうしました、少佐」
「いや、ちょっとな」
キーエンス=バウアーに対して答える。
「ロンド=ベルに合ってるって思ってな」
「確かに」
キーエンスも彼のその言葉に頷いた。
「そういう感じですね」
「そう思うだろ。これはいいな」
今度はこう呟いて笑うのだった。
「人形みたいだったが。案外な」
そんなことを考えながら戦いを続ける。やがて彼等はガルラ帝国軍を殲滅し遂に基地を陥落させた。この時戦場に入るのは彼等と四機のガンダムだけであった。
「さあて、勝ったが」
「それでもな」
あらためて彼等を見るのであった。
「まだ残っているしな」
「なあ、あんた達」
バーニィが彼等に声をかけた。
「一体何者なの?」
「本名はない」
いきなり表情のない青年がこう答えてきた。
「俺達には本名はない」
「本名はないって」
「コードネームならいいか」
今度はこう言ってきた。
「それならあるが」
「ええ、それじゃあ」
戸惑うバーニィに代わってクリスが答えてきた。
「御願いするわ。貴方達の名前は?」
「刹那」
その表情のない青年の名乗りだった。
「刹那=F=セイエイ」
「刹那=F=セイエイ!?」
「それが俺の名だ」
こう言うのである。
「覚えておいてくれなくとも結構だ」
「まあ本人がそう言うんなら」
構わないというバーニィだった。
「別にいいけれどさ」
「だが名乗りはした」
声にも表情がなかった。
「それだけだ」
「はあ。そうなんだ」
「ロックオン=ストラトス」
今度は二人目が名乗ってきた。
「それが俺の名前ってわけだ」
「ロックオンね」
「ああ、そうさ」
クリスに対して答えるその声は刹那よりかは抑揚があった。
「まあまた会うかもな」
「アレルヤ=ハプティズムです」
また一人が名乗った。
「また御会いした時はどうなるかわからないね」
「何か引っ掛かる物言いなんだけれど?」
今の言葉に反応したのはエルフィだった。
「まあ前みたいな変な感じはなくなったみたいだね」
「どうも」
「そして僕はティエリア=アーデ」
眼鏡の青年だった。
「これで全員だ」
「それで君達は」
「ガンダムマイスター」
刹那がアムロに対して答えた。
「そう覚えておいてくれ」
「それは聞いているよ。ところで」
「何だ?」
「君達もガルラ帝国と戦っているんだな」
「そうだ」
こうアムロに答えてきた。その感情のない声で。
「俺達も。また」
「そうか。なら君達は俺達も」
「しかしだ」
だがここでティアリアが彼等に言った。
「僕達は君達には入らない」
「えっ!?」
「何でだよ」
「僕達ガンダムマイスターはそういう組織じゃない」
だからだというのである。
「だから。それは諦めてくれ」
「前と同じということか」
それを聞いて言ったのはグラハムだった。
「四年前と」
「そういうことだ」
ティアリアは彼にも答える。
「わかってくれたらいい」
「おい、それじゃあよ」
キリーがその彼等に対して言う。
「あんた達だけでこれからもずっとゲリラ戦みたいにやるってのかい?」
「そうなります」
今度はアレルヤが答える。
「僕達は僕達で」
「ただし」
ロックオンも彼等に対して述べる。
「あんた達と目的は同じだ。戦うことはない」
「目的は同じで共同戦線は張っても」
「交わることはないか」
「そういうことなのね」
真吾とレミーはこう解釈した。
「そういう方法もあるにはあるが」
「けれどガルラ帝国って宇宙規模の勢力よね」
このことはもうファーラ達から聞いて知っていた。
「そういう連中にゲリラ戦か」
「言うけれど辛いわよ」
「だが俺達は戦う」
しかし刹那はあくまで彼等にこう答えるのだった。
「だから。今はこれで」
「去るというのか」
「そうだ」
マリンにも答える。
「それではだ。また縁があれば」
「会おう」
ティアリアの言葉を最後にして四機のガンダムは戦場から姿を消した。何はともあれこれでオーストラリアの基地はロンド=ベルが奪取した。作戦は成功であった。
「今までどうしても陥落させられなかったこの基地が」
「いとも簡単に」
ジェミーとジャックはこのことを言う。
「やっぱりこれも」
「あんた達のおかげだな」
こう言って新たに入った仲間達を見るのだった。
「おかげで助かった」
雷太が彼等に礼を述べる。
「これで太平洋は解放された」
「いや、礼には及ばないよ」
コウがこう彼等に言葉を返す。
「俺達も今ではここの世界の為に戦っているから」
「そうなのか」
「そうさ。ここの世界に来たからにはね」
こうマリンに述べた。
「俺達も同じさ」
「そう言ってもらえると有り難いな」
「そうね」
それに頷くのはシンルーだった。
「何はともあれこれで太平洋で残るのは」
「あれかい?東京ジュピター」
キースが悪戯っぽく彼等に述べる。
「あれをどうにかするのかな、やっぱり」
「はい、その予定です」
ここでまたテッサが彼等に答える。
「あの場所からドーラムが出て来て攻撃を仕掛けてきますので」
「だからか」
「それなら」
「はい、次の攻撃目標は東京ジュピターです」
既に決まっていると言わんばかりの言葉だった。
「では少し休んでから日本に行きましょう」
「了解」
こうしてロンド=ベルは一旦休憩を取ってから日本に戻ることになった。休憩場所はメルボルンだった。そこに入る海に出てオフを過ごすことになった。
「あれ、アムロ中佐は?」
「何処なの?」
既に派手なビキニに着替えているエルフィとキャシーがアムロを探す。
「いないけれど」
「ひょっとして当直なのかしら?」
「ああ、アムロ中佐はな」
彼女達にモンシアが答える。アロハに膝までのズボンと如何にも、という格好だ。
「オフはいつもこうなんだよ」
「いつもこうって」
「引き篭もり?」
「そうさ。部屋の中で機械弄りだ」
楽しそうに笑いながら二人に言う。
「それでいつもハロとか作っているのさ」
「そうだったの」
「意外と根暗?」
「最初はもうどうしようもなかったよな」
「全くだよ」
ここでカイとハヤトが笑いながら言い合う。
「一人よがりでな」
「どうなるかって思ったね、本当に」
「へえ、あのアムロ中佐がねえ」
「意外っていうかな、それは」
剣人に弾児もこれには素直に驚いていた。
「あの責任感に溢れる人が」
「そんなのだったなんて」
「あいつも変わったんだ」
リュウが彼等に説明する。
「成長してな。戦いから」
「そういえばリュウさん達って」
「一年戦争の頃からアムロさんと一緒でしたね」
ハワードとダリルが彼等にこう声をかける。
「だからですか。それで」
「よく御存知なんですね」
「そうさ。少なくとも俺だってな」
「御前もかなりひねくれていたぞ」
ハヤトは今度はカイに言う。
「あの時はな。俺だって」
「お互い若かったってことだな」
「セイラさんにひっぱたかれていたんでしたっけ」
シーブックがカイに問う。
「確か」
「そうさ。あれは効いたぜ」
自分からそれを認めるカイだった。
「一瞬何かって思っな」
「そうだったんですか、やっぱり」
「そう思うと俺も成長したかな」
「少なくとも見違えるようにはなったわ」
白いビキニのセイラが彼に言う。そのプロポーションは健在だ。
「あの時とはね」
「そういうセイラさんはあの時よりもさらにしっかりしたよな」
「色々とあったから」
こう言うのである。
「だからね」
「出来事は人を成長させるってね」
スレッガーは軽い調子で大きなことを口にした。
「まあそういうことだな」
「しかし。あのアムロ中佐がかよ」
ジョシュアはそれがかなり意外そうだった。まだ言っている。
「信じられないな、本当に」
「御前も見習えよ」
「全くだ」
ドニーとジャンがそのジョシュアに対して言う。
「相変わらずスタンドプレーばかりだからな」
「いい加減に死ぬぞ」
「俺は不死身なんだよ」
しかしジョシュアは二人に言われてもこたえない。
「やってやるさ、今度こそな」
「やれやれ。変わらない奴は変わらないか」
パトリックはお手上げといわんばかりに肩をすくめさせる。
「全く。どうしたものかね」
「貴様もだ」
黒いビキニで胸や腹部に白い花をあしらった水着を着ているセティがここでそのパトリックに言う。
「少しは真面目にやれ、いいな」
「俺は真剣なんですけれど」
「何処がだ」
「大佐に対して」
こう言うのである。
「ですから今もですね」
「今も。何だ」
「どうですか?一緒にあの島まで泳ぎに」
「鮫が出るから駄目だ」
あくまでクールである。
「以上だ。却下」
「うう・・・・・・相変わらず手強い」
こんな調子である。その海に今テッサが入ろうとしている。ピンクの見事なビキニである。
「うわ、テッサちゃんって」
「確かにねえ」
皆そのテッサを見て思わず声をあげる。
「顔もいいけれど」
「スタイルも抜群じゃない」
「そ、そうですか?」
皆にこう言われて赤面するテッサだった。
「私は。そんなに」
「いや、本当に」
「これは全く」
「目の保養」
ジュゼにイワン、ハンスが言葉を続ける。
「我等の参謀殿は今日ももって」
「才色兼備で」
「まことに麗しいことです」
「そうでしょうか」
「私に言われても」
彼女の横では競泳水着のシンルーがいる。競泳水着なのでその際立ったプロポーションがことさら目立つ形になってしまっている。それはテッサと比べても劣ることがない程だった。
「どう返答すればいいか」
「そうですか、すいません」
「ですが大佐」
「はい」
それでもシンルーは言いテッサもそれを聞くのだった。
「あまり気にされることではありません」
「そうですか」
「注目されるに越したことはありません」
こう言うのである。
「こうした場合は」
「こうした場合はですか」
「そうです。とりあえず今は」
「今は?」
「骨休めを楽しみましょう」
にこりと笑ってテッサに述べた。
「その時間ですし」
「そうですね。それでは」
テッサもそれを受けて微笑む。ここでアロハのオズマが皆に言う。
「おい、皆」
「おや、少佐」
「どうしたんですか?」
「焼きそばができたぞ」
こう皆に言うのだった。
「焼きそばだ。早く取りに来い」
「おっ、もうですか」
「早いですね」
「素早く的確にだ」
オズマの言葉は実にわかりやすい。
「それが焼きそばのコツだからな」
「流石は男やもめでいらっしゃる」
「しかも既に所帯持ち」
皆も皆で言う。
「それじゃあ早速」
「この焼きそばを」
早速食べはじめる。やはり海にはこれであった。
そしてビールだ。皆次々と飲む。
「美味い!」
「暑い場所ならやっぱりこれだよ!」
「そうなのか」
黒いワンピースのソーマはそれを静かに聞いていた。
「海にはこれなのか」
「そうですね。美味しいものです」
その彼にアンドレイが答える。
「こうした暑い場所では」
「では私も」
「はい。では私も」
「何か意外と話せる顔触れだね」
ミンはアンドレイ達のやり取りを見て言う。早速その焼きそばをずるずると乱暴にすすっている。その動作はまさに動物そのものだった。
「最初はうちみたいなもんかって思ったけれどね」
「それはいいけれどよ、ミンよ」
「何だい?ゴル」
「御前水着は?」
見れば彼女は普段と同じ格好である。ゴル達もだ。ゴルはフランクフルトを何本もまとめて喰らっている。
「見たところ着てねえけれどよ」
「ああ。そんなの持って来てないよ」
はっきりと答えるミンだった。
「あたしはね。やっぱり泳ぐよりね」
「食うのかよ」
「そういうことさ。さて」
ここでミンはまた言う。
「ジン」
「何だ?」
「ビールあるよね」
「ああ。ここにな」
「欲しいんだけれどさ」
「ほらよ」
ジンはそう言われるとすぐにビールを投げた。ミンはそれを受け取るとすぐに空け飲みだした。瞬く間に缶を一本空けてしまった。
「やっぱり海はこれだよ」
「お、おでも」
ゴルもビールをやっている。
「この為に生きている」
「ははは、皆今は骨を休めろ」
グン=ジェムは一人で牛の丸焼きをたいらげている。豪快というレベルではない。
「すぐにまた楽しい戦争だからな」
「さて。東京ジュピター」
マイヨはここでも真面目だった。
「どうなるかな」
「ですが大尉殿」
「我等は」
「わかっている」
プラクティーズにも真面目に言葉を返す。
「戦うだけだ。それだけだ」
「はいっ」
「それでは」
休暇の中にも次の戦いへの気構えがあった。何はともあれ今は身体を休める戦士達だった。

第九十三話完

2008・11・23  
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