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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第九十一話 新たな世界

             第九十一話 新たな世界
「相良軍曹」
「何だ」
「そちらの戦局はどうですか」
「思わしくはない」
こう返事を返すまだ少年の兵士がいた。人型のマシンに乗っている。
「敵の数があまりにも多い。千はいる」
「千ですか」
「そうだ。それに対してこちらは十九機」
数字としてはあまりにも圧倒的だった。
「これでは」
「バルディオスとゴッドシグマは」
「今最前線に出ている」
こうも通信に答える。
「だがそれもだ」
「芳しくありませんか」
「ダルタニアスのダメージも大きい」
また一つ名前が出て来た。
「そして俺達も」
「わかりました。では仕方ありません」
声は少女のものだった。
「撤退して下さい。Dポイントまで」
「そこまでか」
「そちらにトゥアハー=デ=ダナンを展開させます」
こう言うのである。
「ですからそこまで」
「わかった。では全員に伝える」
「落伍者だけは出さないで下さい」
少女の声はこのことを念押ししてきた。
「くれぐれも。御願いします」
「わかった」
これで言葉は終わった。彼はここでマシンに持たせているライフルを放つ。それで目の前の敵をまず倒した。
「宗介」
その彼にまた通信が入った。
「それで大佐からは何て?」
「撤退だ」
今度は大人の女の声だった。
「全機Dポイントまでだ」
「そう。仕方ないわね」
女はその宗介の言葉を聞いて納得したようである。
「これだけの数じゃね」
「それにしても今回は何なんだ?」
今度は若い男の声であった。
「この数はよ。尋常じゃねえぜ」
「クルツか」
「おうよ、クルツ=ウェーバーさ」
若い男は自分からも名乗った。
「何とか生きているぜ」
「見慣れない敵のマシンも多いね」
女がまた言ってきた。
「何なんだろうね、本当に」
「どうやらさ」
「エルフィ=ハディセットか」
「そうさ」
肌の黒いいささか大柄な女だった。
「こっちも何とか全員生きているさ、宗介」
「それは何よりだ」
「モビルスーツも連中もね」
「ねえエルフィ」
もう一人の女が彼女に通信を入れてきた。
「Dポイントに撤退よ」
「聞いてるさ、メリッサ=マオ」
エルフィは少し苦い顔になってそのメリッサに答えた。
「仕方ないね、こんな状況じゃね」
「四年前ならばだ」
黒い顔の男がいた。
「ガンダムが来たところだな」
「いや、ベルファンガン=クルーゾー」
宗介がその男の名を呼んで言った。
「それでもこの数ではだ」
「そうか。やはりな」
「こうなったらどうしようもないさ。全軍撤退にかかろう」
「ああ」
「それじゃあね」
こうして今にも撤退しようとした。しかしその時だった。
不意に。二隻の戦艦が戦場に姿を現わしたのだった。
「!?あれは」
「戦艦!?」
宗介達はその二隻の戦艦を見て声をあげた。
「しかも海上タイプでも海中タイプでもない」
「宇宙型!?しかも」
「あんな戦艦見たことねえぞ」
「ちょっと!」
エルフィの横で同じタイプの人型のマシンを操っていた金髪の女がその戦艦に通信を入れた。
「あんた達何なのさ、見慣れないけれど」
「むう、それはこちらとて同じこと」
老人が彼女に答えた。
「我々はアレクサンドリアに向かっていたが」
「何故だ?」
空母を思わせる戦艦に乗る壮年の男も声をあげる。
「ここは一体何処だ」
「ここ?ここはロシアよ」
「ロシア!?そういえば」
「そういう地形だな」
「間違いありません」
その空母を思わせる戦艦のブリッジにいる軍服の女の一人がここで言った。
「ここは地球です」
「地球か」
「はい」
「しかしここは」
「一体」
女達は首を傾げるばかりだった。
「本当に地球なのでしょうか」
「目の前にいるマシンはどれも」
「ちょっとあんた達」
派手な格好の黒人の男が金髪の女達に対して問うてきた。
「何者なのよ、一体」
「私はキャシー=マクマホンよ」
金髪の女が答えた。
「ドニー=ウェン」
「ジャン=パトリック=シャプラン」
アジア系の男と黒人の男が答えた。三人はエルフィと同じタイプのマシンに乗っている。ただし色が違いエルフィのそれが赤なのに対して三人のそれは青である。
「a小隊よ」
「a小隊」
「聞いたことある?」
「いいえ」
また女達が首を傾げるのだった。
「初耳よね」
「ロンド=ベルにもそんな部隊は」
「ないわよね」
「ええ、ないわ」
「そうよね」
「ロンド=ベル」
宗介はその名に眉を顰めさせた。
「何だそれは」
「何だそれはって」
「私達がこれから合流する連邦軍の部隊だけれど」
「知らないの?」
「連邦軍!?」
「何それ」
「連合軍の間違いじゃないの?」
今度は宗介やエルフィが顔を顰める番だった。
「何が何だか」
「わからないわよね」
「ええ」158
どうやらお互い知らないようであった。
「けれど敵じゃないみたいだけれど」
「どうなのかしら」
「こちらはキングビアルだ」
「マクロスクウォーター」
老人と男が告げてきた。
「どうやらそれも知らないようだな」
「一体何が何なのかわからないが」
「まずは名乗ろう。わしは神北兵左衛門」
老人が名乗った。
「ジェフリー=ワイルダー」
続いて男だ。
「以後宜しく頼む」
「どうかな」
「ボビー=マルゴよ」
「モニカ=ラングです」
「ミーナ=ローシャンです」
「ラム=ホアです」
続いてその派手な黒人とマクロスの女の子達が名乗った。
「宜しく御願いね」
「まだ何かよくわからないですけれど」
「今後共」
「わかりました」
ここでまたあの少女の声がした。
「私はテレサ=テスタロッサ」
薄紫の髪に黄色い軍服の美少女がマクロスのモニターに出て来た。
「以後宜しく御願いします」
「うわ、可愛いじゃない」
「美少女ってやつ!?」
「確かに」
モニカ達はそのテレサの姿を見て思わず言った。
「今は御協力御願いします」
「目の前にいる敵軍に対してですな」
「はい」
テレサ、即ちテッサはこう兵左衛門に答える。
「どうか。ここは」
「わかりました。それでは」
「艦載機全機発進!」
ジェフリーが指示を出した。
「すぐに目の前の敵を迎撃する。よいな!」
「了解!」
「それじゃあ」
「貴官達の参加を歓迎する」
水色の軍服の厳格そうな女が今度モニターに出た相手だった。
「詳しい話は後でだ。私はロティ=マネキン」
そして名乗りもする。
「ここは共に戦おう」
「無論です」
彼女にも兵左衛門が答えるのだった。
「まだよくわかりませんが困った時はお互い様です」
「左様ですか」
「はい。ですから」
「バルキリー全機発進します!」
ここでミーナの声がする。
「バルキリー、ゴー!」
「了解!」
発進するバルキリー隊のうちの一機、黒と黄のカラーリングのものから返信が返って来た。
「新スカル小隊発進だ!」
「わかりました!」
「じゃあ!」
青いバルキリー、緑の背に円盤を背負ったバルキリーからも返答が来た。
「それじゃあ俺達の初陣」8
「行きます!」
青のバルキリーのパイロットは金髪に眼鏡の端整な少年、緑にいるのはまだ幼さの残る美少年だった。
「ミハエル=ブラン少尉」
「はい」
「ルカ=アンジェローニ少尉」
「はい」
二人はそれぞれモニカの通信に応える。
「無理はされないで下さいね」
「わかってますって」
「マクロスの近辺での戦闘に徹する、ですか」
「その通りです。マクロスの火力と連携して下さい」
「了解」
「そうさせてもらいます」
「いいか、二人共」
「少佐」
黒と黄のバルキリーに乗る男は二人からこう呼ばれた。
「俺について来い。初陣だからといって浮かれるなよ」
「はい、それは」
「承知しています」
「ならいい。初陣が一番戦死する奴が多い」
これも戦争の現実である。
「だからだ。そしてアルト」
「はい」
赤いバルキリーに乗る最後の男も応えた。
「御前もだ。油断するな」
「わかりました」
「早乙女アルト少尉」
モニカは彼にも通信を入れた。
「貴方は予定通りオズマ=リー少佐の新スカル小隊に編入されました」
「ええ」
「頑張って下さいね」
「わかりました」
「ちょっとモニカ」
今のモニカの言葉にラムが突っ込みを入れる。
「それだけ?」
「そうよ。それだけなの?」
ミーナもラムに続いた。
「アルト君に」
「それを言う為だけに通信を入れたの?」
「何かおかしいわよ」
「だって彼ってやっぱり美形なんだもん」
見ればアルトもアルトで先の二人に負けない美少年だった。アジア系の顔立ちで長く青と黒の髪を持ち極めて中性的な容姿をしている。
「声だって奇麗だし」
「やれやれ、アイドルに声かけるみたいね」
「どうしたものだか」
「引き続いてです」
何はともあれモニカの通信は続く。
「ピクシー小隊」
「おうよ!」
そこにいたのはメルトランディのあの人型のマシンだった。
「同じ様に御願いしますね」
「ああ、わかった!」
巨人そのものの女が彼女の通信に応えていた。三人いる。
「クラン=クラン大尉」
「ああ」
その中心にいる女がまず応える。
「ネネ=ローラ少尉」
「ララミア=レレニア少尉」
「はい」
「それじゃあ」
「ピクシー小隊も発進です。援護には」
「あたしだね」
「俺だな」
「はい、そうです」
モニカは名乗り出てきた二人に応えた。
「カナリア=ベルンシュタインはケーニッヒモンスターでピクシー小隊の援護を」
「わかった」
「そしてヘンリー=ギリアム少尉は新スカル小隊の援護を」
「よし」
「御願いします。では全機発進です!」
こうしてマクロスクウォーターからバルキリー達が一斉に発進する。オズマが後に続く三機に対して通信を入れた。
「いいか!敵の数は多い」
「はい」
ルカが彼の言葉に応える。
「遠慮はいらんとのことだ」
「だからこその反応弾ですね」
「そうだ。もっともロンド=ベルでは標準装備だがな」
それだけ歴戦を潜り抜けているということである。
「これからは遠慮なく使っていくぞ」
「今回もですね」
「そうだ。ミシェル」
「はい」
今度は青いバルキリーから声が返って来た。
「いつもの訓練の遠距離射撃よりもだ」
「まずはそれですか」
「そうだ。五機のバルキリーで一気に反応弾を放つ」
強い声で言うオズマだった。
「それでできるだけ数を減らす。いいな」
「了解。五機で反応弾ですか」
ミシェルはそれを聞いて考える顔になった。
「どれだけ減りますかね」
「俺達はそれぞれ二セット持っている」
マクロスの標準装備である。
「一機辺り敵を四機倒せるとしてだ」
「精々四十機ですか」
「そういうところだな」
「千機のところ四十機ですか」
「反応弾を使ってもそれだけですか」
ヘンリーも苦笑いになっていた。
「どうしたものですかね」
「それからはマクロスの援護を受けての攻撃になる」
作戦の第二段階というわけである。
「とにかく撃ち落とされるな。いいな」
「了解です」
「アルト、御前もだ」
オズマは最後にアルトにも声をかけた。
「いいな。まずはバルキリーで進み」
「ええ」
「反応弾を全て撃ち込んだ後でガウォークかバトロイドになって戦うぞ」
「わかりました」
「あちらさんも頑張ってくれているみたいだがな」
オズマは今度は元からいた軍を見た。
「だが。やはり数がな」
「さあて、どう戦い抜くかな」
その中で兵左衛門は冷静な顔であった。
「この難局。どうやって」
「お爺ちゃん、どちらにしろ」
一太郎がその兵左衛門に対して言ってきた。
「激しい戦いになりますから」
「それは承知のこと。それではじゃ」
「ええ」
「キングビアルも前に出るぞ」
彼もまた積極策を採る。
「この戦い、辛くとも負けるわけにはいかんからな」
「そうですね。ここが何処かも知りたいですし」
「そういうことじゃ」
キングビアルも前に出る。そうして激しい戦いに入る。まずは反応弾が五機のバルキリーから放たれ派手な爆発が起こる。
「よし、成功だ!」
「反撃来ます!」
「撃ち返せ!」
オズマはルカの報告にこう返した。
「来たらすぐにだ!いいな!」
「了解!」
「喰らえ!」
アルトがその中で反撃でまた反応弾を放った。
「これで!」
「アルト、無茶はするなよ」
「先輩、あまり前に出たら」
その彼にミシェルとルカが言う。
「御前は特にまだ訓練中でもあるしな」
「ですから無理はしないで下さいね」
「わかっている。しかしこれが」
「そうだ、戦いだ」
オズマはこうアルトに答えた。
「これがだ。わかったな」
「激しい。そして死んでいく」
アルトもまたその中で呟くのだった。
「これが」
「よし、変形だ!」
ピクシー小隊もまた攻撃を仕掛ける中で指示を出すオズマだった。
「全機一斉射撃に移れ!いいな!」
「了解!」
皆オズマのその指示を受けて素早くバトロイドに変形する。そうして目の前の敵に対してがんポッドを腕に持っての攻撃にかかる。
「撃て!」
「はい!」
バルキリー隊は派手な攻撃を浴びせていた。そこに宗介達のマシンも続く。
「いいね」
「ああ」
「わかってますって」
「無論」
メリッサの言葉に宗介、クルツ、ベルファルガンが応える。
「一斉攻撃だ。あの変形する戦闘機に続いてね」
「そういうことだな」
「撃ちな!」
彼等も四機で攻撃を仕掛ける。
「こうなったら撤退するまでにとことん減らしてやるさ!」
「そうあるべきだな」
「派手にな!」
彼等も彼等で攻撃にかかっていた。そうした攻撃が続く中で何時しか二分経っていた。すると今度は。また思いも寄らぬ面々が姿を現わしたのだった。
「全艦揃っています」
「そうか。皆収容しているな」
「はい」
トーレスがブライトの言葉に応えていた。
「それはもう」
「ではまずは安心か。だがここは」
「!?ここは」
「地球!?」
「あれは!」
「キングビアル!」
勝平と恵子が思わず叫んだ。
「そういや俺達と合流するって聞いてたけれどよ」
「どうしてここに」
「待て、何故ロンド=ベルがここに!?」
兵左衛門も彼は彼で驚きを隠せなかった。
「出て来たのだ」
「おかしい。どういうことだ」
ジェフリーも顔を顰めさせている。
「何故ここで」
「マクロスクウォーターまでいるとは」
グローバルもまたいぶかしんでいた。
「アレクサンドリアに向かっているとは聞いていたが」
「ここはどうやらシベリア東岸です」
キムがグローバルに報告する。
「ですからこれは」
「おかしい。それにここは我々の世界か?」
「!?そういえば」
「ここは!」
皆グローバルのこの言葉に思わず目を見張った。
「何だ!?あのマシンは」
「ここは一体」
「本当に地球なのか!?」
「お話は後です」
彼等の前にもテッサがモニターで出て来た。
「皆さん、宜しければ今は目の前の敵を」
「敵!?」
「この数は」
「約九百です」
サエグサがレーダーを見た後で答える。
「ですがどれも見たことのないマシンばかりです」
「ではここはやはり」
「違う世界だな」
アムロは持ち前の直感からこの結論を導き出したのだった。
「やはりな」
「そうだな。だが」
しかしここでブライトは言った。
「戦闘が行われている。しかも」
「この世界もまた侵略を受けているな」
「ならば。我々は」6
そこから導き出される決断は一つしかなかった。
「彼等に協力しよう」
「ああ、そうするべきだ」
「よし、全軍に告げる」
アムロの言葉も受けてあらためて言うブライトだった。
「総員出撃、マクロスクウォーター及びキングビアルを援護するぞ」
「そうだな。そういう指示なら」
アムロも今のブライトの指示に会心の笑みを浮かべる。
「必然的に彼等も援護することになるからな」
「そういうことだ。それではな」
「わかった。俺も出よう」
こうしてロンド=ベルは出撃し瞬く間に敵を蹴散らしてしまった。彼等の前では一千機あろうともものの数ではなかった。こうしてロンド=ベルは異世界での初戦を飾ったのだった。
だが問題は戦いにあるのではなかった。戦いを終えた彼等に対してまたテッサが通信を入れてきたのだ。
「有り難うございます」
「あんたがこっちの軍の司令官かよ」
「そうなっています」
こう忍に答えるのだった。
「テレサ=テスタロッサ。階級は大佐です」
「大佐ねえ」
「地球連邦軍に所属しています」
「何だ?そっちでも連邦政府なのかい」
沙羅が今のテッサの言葉を聞いて思わず言ってきた。
「何処でも連邦政府なんだね」
「そちらもなのですか」
「そうだよ。もっとも世界はあんた達の世界とは随分と違うけれどね」
「左様ですか」
「少なくともさ」
今度は雅人が言う。
「ここも地球圏は統一されているんだね」
「はい」
これはテッサが保障するのだった。
「その通りです」
「だが外の世界から地球外生命体が侵略してきている」
亮はこう予想立ててきた。
「そして地球でも不穏分子がというところか」
「では貴方達の世界も」
「残念だがその通りだ」
シナプスが答えた。
「こちらの世界ではどの勢力かはわからないがな」
「まず地球外生命体はガルラ帝国といいます」
「ガルラ帝国!?」
「何かわからないけれど変な名前」
「如何にも悪そうだけれど」
その名を聞いてロンド=ベルの面々の感想である。
「けれどその国が」
「地球に攻めて来ているんですね」
「そして謎の天使達や」
「天使・・・・・・」
天使と聞いて眉を顰めさせたのはミサトだった。
「使徒とはまた違うようだけれど」
「それに他にもドーラムといった謎の勢力もいますし」
「どちらにしろこっちの世界も混沌としてるてわけかよ」
「簡単に言えばそうです」
テッサはケーンの言葉に答えた。
「様々な敵が入り混じり時折こちらに協力するガンダムという謎のモビルスーツ部隊も」
「こっちにもガンダムがいるんですね」
「ああ、そうだな」
オリファーはウッソの今の言葉に頷いた。
「どうやらな」
「違う世界にもガンダムが存在しているなんて何か」
「我々は彼等を彼等の呼び名通りガンダムマイスターと呼んでいますが」
「ガンダムマイスター!?」
「また面白そうな名前ね」
マーベットとジュンコが言った。
「ドイツ語で親方」
「ガンダムの親方。他にもマイスターには色々な意味があるけれど」
中には熟練工といった内容も含まれている。
「どちらにしろ話を聞く限りじゃ」
「最初の頃のヒイロ君達に近いかしら」
「ええ、そうですね」
「おそらくは」
二人の言葉にヒルデとノインが答えた。
「突如出て来て戦うようですし」
「どうやらそのようですね」
「他にも色々なマシンがあるし」
「テッサさん」
「はい」
あらためてロンド=ベルの言葉に応えるテッサだった。
「話、聞かせてくれる?」
「もっとじっくりね」
「わかりました。それでは」
こうしてロンド=ベルはテッサ達に合流した。こうして彼等はここでの戦いをはじめるのだった。だがより詳しく聞いた話は彼らを驚かさせずにはいられないものであった。
「東京ジュピター!?」
「東京がそのまま別れて異世界化するなんて」
「驚くでしょうけれどその通りなのよ」
黒髪の美女が一同に説明していた。白いミニスカートの軍服がよく似合っている。
「東京だけね。別れて」
「うわあ、凄いことね」
「流石にそれは予想しなかったぜ」
「ああ、全くだ」
「あと申し遅れたけれど」
美女はここでまた言って来た。
「私の名前は紫東遥」
「紫東さんね」
「遥でいいわ。階級は大尉」
悪戯っぽく敬礼さえしてみせる。
「以後宜しくね」
「ええ、こちらこそ」
ミサトが微笑んでその遥に返礼する。
「宜しく、遥」
「ええ。それにしても何か」
挨拶を終えた遥は微笑んでタータに顔を向けて述べた。
「私に感じが似てる人もいるし面白い部隊なのね、ロンド=ベルって」
「そやな。うちもあんた気に入ったわ」
タータもタータで遥に対して述べた。
「他人の気がせんで」
「そうね、うふふ」
早速打ち解ける二人だった。だが話はこれで終わらない。
「一部別働隊として送り込んでいたのですが」
「ここにいる部隊だけじゃなかったのだな」
「はい、そうです」
テッサがブライトの問いに答えていた。
「半分近くを回り込ませていましたが完全に裏をかかれてしまいました」
「そしてその別働隊は」
「既に連絡を取ってあります」
テッサは今度はグローバルの問いに答えた。
「それはもう」
「そうか。では間も無く彼等とも合流だな」
「はい」
あらためてグローバルの言葉に頷く。
「その通りです」
「そうか。ならいい」
「しかし。この部隊にも」
今度言ったのは大文字だった。
「特機があるとはな」
「ゴッドシグマのことかい?」
ここで三人の若者が出て来た。
「それともバルディオスか」
「ダルタニアスか?」
四人、続いて二人とメカの獅子が出て来た。
「君達があのマシンに乗っていたのか」
「ああ、そうさ」
最初に出て来た三人のうちリーダーと思われる一際元気そうな少年が微笑んで名乗り出て来た。
「俺は壇闘志也」
「ジュリイ野口」
「吉良謙作」
三人はそれぞれ名乗った。
「ゴッドシグマのパイロットさ。宜しくな」
「うむ、こちらこそな」
大文字が微笑んで彼等に挨拶を返す。
「そして君達は」
「マリン=レイガン」
「ジェミー=星野」
ジェミーは女だった。美人と言っていい。
「ジャック=オリバー」
「北斗雷太」
それぞれ名乗って来た。
「宜しく御願いします」
「うむ、宜しく」
また挨拶を返す。今度は二人と獅子の番だった。
「楯剣人」
「柊弾児」
まず二人が名乗った。
「そしてこいつはベラリオスさ」
「ガオオオオン!」
ここでそのベラリオスが雄叫びをあげるのだった。
「宜しくな」
「うむ。君達もな」
「しかし。こちらには我々の世界とはまた違うモビルスーツなんだな」
カミーユがふと言った。
「これはこれで興味深いな」
「ああ、あんたあの変形するガンダムのパイロットだよな」
軽い感じの二枚目がここでカミーユに声をかけてきた。
「貴方は」
「俺はパトリタワ=コーラケワー」
男はこう名乗った。
「連邦政府のエースの一人で今はこのマグネイト=テンのメンバーってわけさ」
「マグネイト=テン」
「こちらの部隊の名前だ」
仮面の男が出て来てこう説明する。
「私はブラハム=エーカー」
「ハワード=メイスン」
「ダリル=ダッジ」
「ジョシュア=エドワーズ」
続いて三人が名乗った。
「我々もまたこの部隊のメンバーだ」
「そしてだ」
「ソーマ=ピーリス」
「アンドレイ=スミルコフです」
少女と若い男が敬礼と共に名乗り出て来た。
「連邦軍中尉」
「同じく少尉です」
「あんた達もこのマグネイト=テンってわけかよ」
「その通りです」
ソーマはジュドーの問いに感情に乏しい様子で答えた。
「もう一人。ルイス=ハルヴィ少尉もいますが」
「その娘は何処なんだ?」
「今は休んでいます」
「体調が思わしくなく」
「何だ、それは残念だな」
ジュドーは名前から直感的にそれが女の子だと見抜いていたのだった。
「まあいいさ。これでとりあえず今のところの全員だよな」
「はい、そうです」
またテッサが答えた。
「間も無く戻って来る別働隊と合わせまして」
「わかったぜ。じゃあとりあえずは」
「ええ。とりあえずは」
「あんた達と一緒に戦わせてもらうぜ」
こう言うジュドーだった。
「宜しくな」
「こちらこそ」
微笑んで言葉を返したテッサであった。
「宜しく御願いします」
「ああ。じゃあ正式に合流して」
「御願いします。今この世界は危機に瀕しています」
テッサは言うのだった。
「ですから。是非」
「わかっています」
グローバルが厳かな声でテッサの言葉に答えた。
「ここに来たのも何かの縁ですし」
「有り難うございます」
「ただ。補給ですが」
「それなら御安心下さい」
これに関しては保障するテッサだった。
「こちらで用意させて頂きますので」
「かたじけない」
「それでは。我々は正式に合流し」
「問題は部隊名だよな」
ここで言ったのはフォッカーだった。
「何てするかだ」
「それはロンド=ベルで宜しいかと」
テッサの方から言って来た。
「そちらの方が数が多いですから。それで」
「それで宜しいのですね」
「はい」
ブライトの言葉に対しても頷いて答える。
「我々はそれで」
「左様ですか。ですが」
だがブライトはここで言うのだった。
「こちらの世界は貴方達のものですが。それでも」
「ええ。それは構いません」
だがそれもいいと言うのであった。
「それも。お気遣いなく」
「左様ですか。それでは」
「はい。それではそういうことで」
「わかりました。それでは」
これで話は決まった。こうしてテッサ達はロンド=ベルに合流することになったのだった。
合流が決まればまずは互いの親睦を深めることになった。早速皆パーティーを開きそこで盛んに飲み食いするのであった。最早ロンド=ベル恒例であった。
「何かねえ、もうね」
「どうしたんだ、ユウナ」
カガリがぼやくユウナに対して問うた。既に彼女はタオルを頭に巻いてその手に一升瓶、口にスルメというどうしようもない格好である。
「飲んでないじゃないか」
「いや、色々な世界に行ってるなあって思ってね」
こう言ってぼやいているのであった。
「僕も。オーブでセイラン家の後継者として勉学に励んでいた時が懐かしいよ」
「そうか?私は勉強は嫌いだったからな」
「その尻拭いはいつも僕だったし」
子供の頃からそんな関係の二人なのだった。
「けれどもうそれもね」
「懐かしいのか」
「全くだよ。まあ帰られるんだよな」
「それは間違いないな」
マサキが断言してきた。
「シュウが言ってるからな。あいつは嘘はつかねえ」
「だったらいいけれど。今度は何が出て来るのやら」
「それは出てからですね」
ラクスはいつもと全く変わっていない。
「そのガルラ帝国や天使につきましても」
「天使か」
レイはその天使という存在を聞いて目を鋭くさせていた。
「何か不吉な感じがするがな」
「天使が不吉なのか」
竜馬がそのレイに対して言った。
「いや、考えてみればそうだな」
「ああ。天使は決して慈悲深い存在じゃないからな」
隼人も言う。
「人間の敵であっても当然のことだ」
「天使が人間の敵か。そういえばそうだよな」
弁慶も否定せずに頷くだけの根拠が心当たりにあった。
「使徒だってそうだからな」
「そういやあれって天使の名前なんだったな」
武蔵もそれは聞いて知っていた。
「あの連中でも」
「はい、そうなんですよ」
彼等にシンジが答える。
「ですから天使といっても」
「そういえばあのエヴァ量産機」
アスカがかつての戦いを思い出して顔を顰めさせてきた。
「天使だったわね。確かに」
「だから天使といっても人間にとっていい存在とは限らない」
竜馬はまた言った。
「俺達の敵であってもそれこそ」
「不思議じゃないですね」
洸が述べた。
「決して」
「そういうことだな。しかし俺が気になるのは」
「東京ジュピターですね、ミスター」
「ああ、それだ」
神宮寺はこう猿丸に答えた。
「一体何なのか。気になる」
「東京だけが隔離されるなんて」
「おかしな話です」
マリと麗が言う。
「何があってももう驚かないけれど」
「それでもあまりにも奇妙です」
「そうだ。だがこちらにも戦力は揃っているしな」
「そうだぞ」
クランが言って来た。しかしその彼女を見ると。
「あれっ、あんた確か」
「大人だった筈だが」
ダッカーと金竜がそこに突っ込みを入れる。
「何で子供になってるんだ?」
「本人だな」
「そうだ。私は本人だ」
その子供が主張するのだった。
「クラン=クラン大尉だ。マイクローンになるとこうなってしまうのだ」
「まあ最初は戸惑うかも知れないけれどそのうち慣れるさ」
彼女の横からミシェルが笑いながら述べてきた。
「だから宜しくな」
「ええ、こちらこそ」
フィジカが挨拶に応える。
「宜しく。同じバルキリーのパイロットとして」
「はい」
互いに握手をする。彼等の関係は良好だった。
「それでだな」
「どうしたんですか、大尉」
レトラーデがクランに応える。
「モビルスーツやデストロイドも持って来たからな」
「バルキリーにですか」
「そうだ。デストロイドには新型もある」
「おっ、そりゃいいな」
イサムは新型のデストロイドと聞いて面白そうな声をあげた。
「あのケーニッヒモンスターも面白いけれどそっちも興味があるな」
「そうだな」
彼の言葉にガルドが頷く。
「デストロイドはデストロイドで役に立つ」
「バルキリーだけじゃ限界があるからな」
「そういうことだ。それも持って来てくれたのは有り難い」
「モビルスーツはメタスツーやメッサーラ、パラス=アテネ、ドーベンウルフだ」
クランはモビルスーツについても述べた。
「是非使ってくれ」
「じゃあGドーベンウルフとかはだ」
それを聞いたアムロが言った。
「メッサーラはライラ大尉、ドーベンウルフはカクーラー大尉、パラス=アテネはファラオ大尉か」
「そうだね。じゃあそれで」
「うむ」
「わかりました」
こうして彼等についても乗換えとなるのだった。
「それじゃあメタスツーは私が」
次に出て来たのはクリスだった。
「使わせてもらうわ」
「もうアレックスは乗らないのかい」
「ええ。それよりも支援用のモビルスーツが欲しかったところじゃない」
こうバーニィに答えるクリスだった。
「だから。それを使わせてもらうわ」
「わかったよ。それじゃあね」
「アレックスは置いておくけれど」
それは、ということだった。
「多分これからはメタスツーでいくわ」
「うん、わかったよ」
「あと俺はもうGP-02メインでいくか」
シローもまた決断していた。
「これまで以上に戦闘が激しくなる。陸戦型では無理も多くなってきた」
「そうね。それがいいと思うわ」
「そうだな」
こうしてクリスも乗り換えることになりシローはアイナの言葉もありGP-02メインとなった。しかしモビルスーツはこれだけではなかった。
「それでですね」
「今度は何だい?」
輝がルカに応える。
「オーブから発注していた」
「あっ、来たんだ」
ユウナがそれを聞いて嬉しそうな声をあげた。
「思ったより早かったね」
「連邦政府及びザフトの全面協力がありまして」
「有り難いよ。それじゃあ」
「はい、ムラサメが三機」
それであった。
「アストレイの後継機にでしたよね」
「そうだよ。じゃあ君達」
ユウナはここでアサギ達三人に顔を向けて言った。
「それに乗り換えて。いいね」
「わかりました。それじゃあ」
「私達も」
「そういうこと。これは大きな戦力アップだよ」
ユウナはもうほくほく顔だった。
「後はハイ=ニューガンダムとナイチンゲールだったね」
「ええ。それも」
「ハイ=ニューガンダムに」
「ナイチンゲール」
今度はアムロとクワトロの顔が動いた。
「ユウナさん、それは」
「一体」
「連邦軍が開発した新型モビルスーツですよ」
今度出て来たのはアズラエルだった。
「我がアズラエル財団や破嵐財閥も協力して開発したものの一つです」
「何時の間にそんなものを」
「連邦軍が」
「勿論御二人の為のものです」
アズラエルはそのアムロとクワトロに対して述べた。
「簡単に言えばニューガンダムとサザビーの発展型ですので」
「ああいう感じで使えばいいのか」
「そういうことか」
「はい。空いたニューガンダムとサザビーはどなたかが使うということで」
また随分と贅沢な話だった。
「それで宜しいですね」
「あとオーブからまだありました」
今度はララミアが言って来た。
「三機のガンダムですけれど」
「三機!?」
「今度は一体」
「ストライクフリーダム、インフィニットジャスティス、それにインパルスデスティニーです」
「その三機なんだ」
「はい、そうです」
ララミアはキラに対して述べた。
「勿論これはキラ=ヤマト、アスラン=ザラ、シン=アスカ各少尉のものです」
「新型のガンダムが」
「ここで」
「俺達に」
「どの機体にもドラグーンが装備されています」
それまであるというのだった。
「それぞれフリーダム、ジャスティス、デスティニーの後継機ですがやはりパワーアップされています」
「うわ・・・・・・」
「それは有り難いな」
「これでまたパワーアップするのか、俺達は」
「あとプロヴィデンスレジェンドも開発して持って来ました」
「それは俺のだな」
「はい」
やはりそうであった。レイのものだった。
「イージスガンダムも」
「何かまた随分と徹底してるわね」
マリューがここまで聞いて驚きを隠せなかった。
「イージスまでだなんて」
「ですがこれは」
ナタルはかなり冷静に述べてきた。
「かなりの戦力アップになります」
「そうね。それはね」
これは当然ながらマリューも把握していることだった。
「相当なものになるわ」
「まずはです」
ナタルはその冷静な分析を発揮して言うのだった。
「ニューガンダムはカミーユ君に、サザビーはフォウさんに」
「その二人ね」
「そしてエマ大尉をマークスリーに、ゼータツーはエルちゃんですね」
「私がマークスリーですか」
それを聞いたエマは思わず声をあげた。
「それはまた」
「駄目でしょうか」
「いえ」
エマは生真面目な軍人である。命令には服従するタイプだ。だから異論なぞあろう筈もないことだった。この時もそれは同じだった。
「それでは」
「御願いします。そして」
フォウはさらに言う。
「スーパーガンダムはモンド君で」
「わかりました」
「イーノ君のメタスは」
「僕もですか」
「この際。あるものに全て乗り換えていかないと」
これがナタルの考えだった。
「これからの戦いは生き残れないから」
「わかりました。じゃあ」
「ケーラ大尉には量産型ニューガンダムがあるし」
ケーラについても言及するが彼女に関してはすぐに終わった。
「とりあえずは」
「もう一機スーパーガンダムができるわよ」
だがここでマリューが言って来た。
「オプションがあるから」
「そうですか。ではそれで」
イーノに関しても決定した。
「それとまたF90が一機来ているけれど」
「そちらはアデル中尉ですね」
そちらの乗り換えも決定した。
「最後のメタスツーはリュウ大尉」
「わかったよ」
これでモビルスーツは全員決まったかに見えた。しかし。
「まだあるな」
サコンが言うのだった。
「フリーダムやジャスティスはどうするんだ?」
「それはこちらで決めたわ」
「そういうことになりました」
タリアとラクスがここで出て来た。
「まずフリーダムはディアッカさんです」
「おう、俺かよ」
ディアッカはラクスの言葉に楽しそうに声をあげた。
「乗ってみたかったんだよな、あれ」
「そしてジャスティスはイザークさん」
「わかった」
イザークの顔が引き締まる。
「乗りこなしてみせる」
「デスティニーはニコルさんです」
「僕がですか」
ニコルはそれはかなり意外そうだった。
「またどうして」
「それぞれ適性を考えたのよ」
タリアが三人に説明する。
「貴方達それぞれのね」
「そういえば俺はデュエルで接近戦が得意だ」
「俺はバスターだから遠距離戦だな、やっぱり」
「ブリッツとデスティニーはミラージュコロイドが」
「そういうことよ。わかったわね」
「ええ、そういうことなら」
「了解ってね」
「わかりました」
そして三人はタリアの言葉に頷いた。これで確定だった。
そして後は。他のガンダムだがこれの人選の決定していた。
「フラガ少佐はレジェンドよ」
「やっぱりドラグーンか」
「御願いできるかしら」
「何となく来ると思っていたさ」
こう言って落ち着いているムウだった。
「じゃあそれでな」
「ええ、御願いね」
タリアはこうムウに告げた。
「そういうことでね」
「わかったさ」
「イージスはハーネンフース少尉」
「はい」
彼女はそれだった。
「アイマン少尉はストライク」
「わかった」
「ライアン少尉はバスター」
「了解です」
「サイフォン少尉はブリッツ」
「それですね」
ミゲル、ジャック、フィリスもまたそれぞれガンダムに乗ることになった。そしてエルフィもまた。
「バートン少尉はデュエル」
「わかりました」
「これで全員よ。正直ここまで戦力アップになるとは思わなかったわ」
「そうですね。ミーティアも四機分届いていますし」
「あれっ、それじゃあ」
アーサーは今のラクスの言葉からあることに気付いた。
「ストライクフリーダムとインフィエットジャスティスだけじゃなくて」
「はい、インパルスデスティニーのものもです」
やはりそれもあるのだった。
「これからは六つのミーティアで」
「じゃあデスティニーも」
「その通りです。おそらくこれはかなり大きいと思います」
「大きいなんてものじゃないんじゃ」
「そうよね」
ルナマリアとメイリンはここまで聞いて流石に絶句していた。
「ここまで来るともう」
「隙がないっていうか」
「だけれど。嬉しいな」
しかしここでシンが言うのだった。
「正直修羅との戦いは苦しいところがあったからな」
「確かにね」
「物凄い数だったから」
「だから。有り難い」
シンにしては珍しい言葉だった。
「ただ。接近戦もやってみせるけれどな」
「どうするつもりなの?具体的に」
「その時は一瞬でもミーティアから離れる」
こうルナマリアに答えるのだった。
「そうして戦ってみせる」
「あんたならやれそうだから怖いのよね」
「全く」
それを認めるルナマリアとメイリンだった。やはりザフトのトップガンとしての実力は認めているのだった。
「さて、それじゃあ」
「後は」
皆話が一段落したところでまた言い合う。
「飲んで食って」
「ぱーーーーっといくか!」
「賛成!」
後は無礼講だった。彼等の楽しい宴が本格化した。まずは異世界でも新たな仲間を得たロンド=ベルだった。だがそれは新たな戦いの幕開けでもあった。

第九十一話完

2008・11・14
 
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