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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第八十七話 貫く拳

               第八十七話 貫く拳
「ふむ、そうなったか」
「はい」
「その通りでございます」
ミザルの前にマグナスとアルコが控えていた。二人は先の戦いのことを全てミザルに対して報告しているのである。
「あ奴は向こうにつきました」
「愚かにも」
「何を考えておるのかわからんな」
ミザルはそこまで聞いてこう述べた。
「フェルナンドめもな」
「ですがミザル様」
ここでアルコが言う。
「これで向こうについた修羅は三人」
「うむ」
「無視できないものになったかと」
「ふん、大したことはない」
アルコの言葉にマグナスが述べた。
「あの程度の連中なぞ」
「しかしマグナスよ」
アルコは自信というよりは侮りが見られるそのマグナスに対して言う。
「只でさえ神化している者さえいるのだ。それに」
「俺も修羅の将軍」
彼の自信の根拠だった。
「あのような連中に負けはしない」
「マグナスよ」
話を聞いていたミザルがマグナスに声をかけてきた。
「はっ」
「まずは言っておく」
鋭い目で彼に述べる。
「油断はするな」
「油断ですか」
「そうだ。やはりあの者達は強い」
こういう意味ではフォルカ達を正当に見ていた。
「それは否定できないぞ」
「左様ですか」
「そのうえで伝えよう」
今度は声が鋭くなった。
「貴様にあの者達の征伐を命じる」
「はっ」
「そしてアルコよ」
続いてアルコにも声をかけた。
「貴様も共に行け」
「畏まりました」
「しかしだ」
ここでさらに言ってきた。
「アルティス達にも気をつけよ」
「アルティス達もですか」
「隙あらばだ」
それを聞いたアルコの表情が変わった。
「隙あらば?」
「わかるな」
これから先は言わなかった。
「そういうことだ」
「わかりました。それでは」
「わかったな。では行け」
「はっ」
こうして二人は兵を連れて出撃した。すぐにアルティスの軍とも合流しそのうえで戦場に向かう。アルコの目はじっとアルティスを見ていた。
「アルコよ」
「何だ?」
「これも我等の目的の為だな」
「そうだ」
静かにマグナスに答えた。
「貴様は貴様の仕事を行い」
「御前はそれをか」
「任せておけ。必ずやな」
ずっとアルティスを見ていた。彼を暗い炎が包んでいた。
ロンド=ベルもまた東に直進していた。その中でティス達は相変わらずバサラの曲を聴いていた。彼を守るようにして取り囲んでいる。
「何だよ、また御前等かよ」
「何だはないでしょ」
こうフォッカーに返したのはティスだった。
「ただ聴いてるだけなんだから」
「それはいいさ」
フォッカーもそれはいいと言う。
「別にな。まあ飲め」
「あっ、悪いわね」
「どうも」
三人に缶コーヒーを投げそれを受け取った。そのうえで彼は空いている椅子に座った。
「で、どうだ?バサラの曲は」
「正直言ってはじめて聴きます」
今度はラリアーがフォッカーに答えた。
「こうした音楽は」
「そうか」
「いいですね」
今度の感想はこれだった。
「派手なのに聴いていると落ち着いて」
「不思議です」
デスピニスも言った。
「こんな曲があるなんて」
「それが熱気バサラの音楽なのよ」
今度はアヤが来た。
「だから私最初から目をつけてたよ」
「最初って何時からだ?」
「デビューした頃からです」
フォッカーの質問に答える。
「ずっと応援してるのよ、バサラ君」
「へえ、ずっと俺を応援してくれてたのかよ」
「そうよ」
「有り難いぜ。じゃあもっと聴いてくれよ」
言いながらさらにギターを奏でる。
「俺の音楽をよ」
「そうさせてもらうわ。貴方達もなのね」
「何かね。考えることもあるわ」
ティスが彼女に答えた。
「ここに何かあるんじゃないかって」
「何かが?」
「それが何なのかはまだわからないけれどね」
つまりはっきりわかっているというわけではないのだった。
「それでも何かね」
「そうなの」
「感じるわ。とりあえずは」
ティスはまた言う。
「ここにいていいかしら」
「ええ、いいわよ」
にこりと笑ってティスに答えた。
「好きなだけね」
「御言葉に甘えてっていうのは図々しいわね」
少し申し訳なさそうになったティスだった。
「どうしたものかしらね」
「ガキは静かにしてろ」
シンまで来た。
「うざいからよ。何処にでも出るんじゃねえよ」
「それでもあんたには言われたくはないわよ」
シンにはすぐに反発で返してきた。
「あんたにはね。このガサツ男」
「俺の何処がガサツだってんだよ」
「あんたがガサツじゃなかったら何なのよ」
二人は喧嘩に入った。
「それともあれ?ツンデレってやつ?」
「俺が?」
ツンデレと言われてキョトンとなるシンだった。
「俺がかよ」
「どうせあたしの魅力にやられて言い寄ってきてるんでしょ」
「何でそうなるんだよ」
「けれど素直になれなくて」
まだ言う。
「それでついついってやつなのね。あたしも罪な女ね」
「だから何でそうなるんだよ」
「だってあんたロリコンじゃない」
その根拠はこれだった。
「だからでしょ。幼女が好きだって聞いてるわよ」
「ちょっと待て」
ロリコンと言われて流石にシンも顔色を変える。
「それはどいつから聞いたんだよ」
「見ればわかるわよ」
主観で言っているのだった。
「あんたがロリコンだったってね」
「手前!」
ここで頭に血が登った。
「俺がロリコンだと!ふざけるな!」
「じゃあ何だっていうのよ!」
「俺はノーマルだ!」
「妹さんの声携帯でいつも聞いていてよく言えるわね!」
「マユは俺の宝だ!」
こう反論する。
「だから当たり前だろ!」
「ほら、やっぱりロリコンじゃない!」
「何でそうなる!」
「妹さんって幾つよ」
ティスはここでこの点を問うた。
「幾つなの?一体」
「十一だ」
「ほら、やっぱりロリコン」
ティスの言葉は変わらない。
「あんたロリコン、はい決定」
「まだ言うかよ!」
「何度でも言ってやるわよ、ロリコンってね!」
「一回死ね!」
「あんたが死になさい!」
遂には取っ組み合いになった。
「そのままロリコン地獄に落ちなさい!」
「じゃあ御前はペチャパイ地獄だ!」
シンも負けてはいない。
「その洗濯板のまま地獄に落ちろ!」
「何時か大きくなるわよ!」
「なってたまるか!」
揉み合いながら言い争いを続ける。
「このピンク猿!」
「羞恥心!」
そのまま喧嘩を続ける。ラリアーとデスピニスはそんな二人を見て困った顔をしていた。
「ちょっと二人共」
「喧嘩は」
「このクソアマ!」
「上等よ!」
喧嘩は激化するばかりだ。しかしオロオロするのはラリアー達ばかりだった。皆あまりにも落ち着いているのデスピニスが彼等に問うた。
「あの、何で皆さん」
「ああ、大丈夫さ」
「いつものことよ」
フォッカーとアヤが微笑んで答える。
「むしろ喧嘩してよかったぜ」
「打ち解けるからね」
「打ち解けるって」
「あのティスが」
「こいつは何時でもこうなんだよ」
フォッカーはシンを指差して言う。
「こんな感じでな。喧嘩するんだよ」
「こんな感じでですか」
「ああ。だから気にすることはないさ」
こう言ってコーヒーを一口飲む。
「頃いいところで止めるしな」
「そうなんですか」
「それよりもよ」
アヤがにこりと笑って二人に言ってきた。
「お腹空かない?二人共」
「お腹がですか」
「そうよ。よかったらケーキがあるけれど」
「ケーキですか」
「ラトゥーニが作ったのよ」
「こちらですね」
丁度いいタイミングでそのラトゥーニもやって来た。
「デュミナスの方々がおられるのは」
「ええ、ここよ」
アヤは今度はラトゥーニに顔を向けて言った。
「丁度いいわ。今呼ぼうと思っていたのよ」
「そうなんですか。それじゃあ」
「ラトゥーニは紅茶だったわね」
「はい」
にこやかに笑ってアヤに応える。
「御願いします」
「わかったわ。じゃあお砂糖をたっぷりと入れてね」
「いつもみたいに」
「あの、お砂糖」
「入れ過ぎでは?」
アヤが角砂糖を次々と入れていくのを見て二人は思わず言った。
「そんなに入れたら」
「甘過ぎますよ」
「ラトゥーニはそれがいいのよ」
「甘党なんですか」
「ええ、実は」
本人が二人に答える。
「甘いのが好きでして」
「だからですか」
「それで」
「貴方達はどうかしら」
アヤは今度は二人に飲み物を勧めてきた。見ればもうフォッカーから貰った缶コーヒーは全て飲み終えてしまっていた。ここでも丁度いいタイミングだった。
「飲む?どうするの?」
「御願いできますか?」
「よかったら」
「遠慮は無用よ。それじゃあ」
すぐにコーヒーが出されてきた。
「お砂糖は?」
「まあ一個で」
「私は二個です」
「少ないわね。テュッティなんてねえ」
「そうですね。十個です」
「十個・・・・・・」
二人はそれを聞いて絶句してしまった。
「あの、それって」
「幾ら何でも」
「まああれはね」
「特別です」
流石のラトゥーニも言う。
「ですから御気になされないよう」
「ささ、それじゃあ」
「はい」
「それにしてもロンド=ベルは」
ラリアーは応えデスピニスはまだ言う。
「色々な方がおられるんですね」
「変な奴ばかりだけれどな」
フォッカーは気さくに笑って二人に応えた。
「まあそうさ」
「そうですか」
「何か。それでも」
居心地のよさも感じだしていた。彼等も何かが変わろうとしていた。
修羅達とまた対峙したのは翌日だった。またしても正面から対峙している。
「ふはははははは!あちらの世界の奴等め!」
「またこの人」
美久はマグナスの声を聞いて言った。
「来ているのね」
「もうわかっているさ」
それに応えるマサトの言葉は落ち着いたものだった。
「修羅の将軍らしいからね。幾らでも来るんだよ」
「そうなの、やっぱり」
「それならそれでいい」
彼はあえて受け止めていた。
「戦うだけさ」
「わかったわ。それじゃあ」
「フォルカ、フェルナンド」
アルティスも戦場にいた。当然メイシスも一緒である。
「遂に御前達二人で私の前に立つか」
「兄者、いやアルティス」
あえて彼を名前で呼び替えたのだった。
「一つ聞きたい」
「何だ?」
「そのまま修羅の世界にいるのか」
「無論」
返答に迷いはなかった。
「我が名は閃光のアルティス」
「うむ」
「その名にかけて。修羅として戦おう」
「そうか、わかった」
フォルカはそれを聞いて納得した顔で頷いた。
「では俺もまた、死力を尽くそう」
「・・・・・・来い」
二人がまず動き両軍それに続く。これが戦いのはじまりだった。
ロンド=ベルは今回は正面から突き進む。しかし戦術はあった。
「いいか!」
シナプスが全軍に指示を出す。
「まずは正面突破だ」
「正面突破ですか」
「一旦敵軍を突破しそのうえで反転する」
戦術について細かく言う。
「そうして敵陣を切り刻む。いいな」
「了解です」
皆その言葉に従い突き進む。そうしてまずは正面から攻撃を浴びせた。
「喰らえ!」
「受けろ!」
ビームライフルやファイブシューターで前衛がまずまとめて薙ぎ倒されそこに接近戦を得意とするマシンが入る。まずがオーラバトラーだった。
「俺だっていいところ見せないとな」
「あれっ、あんた確か」
「トカマクだよ」
こうジュドーに答える。
「覚えてねえのかよ」
「確かダンバインに乗ってるよな」
「確かじゃなくて見ればわかるだろ?」
「ま、まあな」
応えはしても声が戸惑っていた。
「一応はな」
「一応って何だよ。そんなに俺って影が薄いか?」
「いや、まあそれはさ」
流石にはいそうですとは言えなかった。
「気にしないでさ。まあまあ」
「ちぇっ、まあいいさ」
「行くぞトカマク」
その彼に声をかけたのはシオンだった。
「正面に敵がまた集まっている。攻撃を仕掛けるのなら今だ」
「今だって?」
「そうだ。見ろ」
「えっ!?」
見ればその通りだった。空いた前衛を埋めるようにしてもう修羅の軍勢が来ていた。その動きは実に素早いものであった。見事なまでに。
「も、もうかよ!」
「先に行く!」
「っておい待ってくれよ!」
「はああああああああああああっ!!」
ショウによく似た掛け声でオーラ斬りを出す。
「これなら!」
「な、何て奴だ」
トカマクは彼の攻撃を見てまずは呆然とした。
「ショウみてえな奴だな」
「っていうかそっくりじゃねえかよ」
ジュドーも言う。
「掛け声といい攻撃といいさ」
「オーラ斬りでまとめてかよ」
「なあトカマクさん」
ジュドーはここで彼にも声をかけた。
「あんたもできるんだろ?」
「えっ、俺?」
「そう、あんただよ」
また彼に声をかける。そのうえで言う。
「だってあんたも聖戦士なんだからさ」
「ってそういえばそうか」
「忘れないでくれよ。聖戦士はそれだけで戦力なんだからさ」
「あ、ああ」
「わかったらほらっ」
トカマクを急かしてきた。
「あんたも行ってくれ。派手にさ」
「派手にかよ」
「大丈夫だよ、当たりゃしねえって」
こうも言って彼を行かせる。
「あんたの腕がありゃな」
「そうか。じゃあまあそれなら」
「ほらほら」
背中を押すような感じだった。だがいざ前線に出てみると。
「こうなったらやってやる!」
ダンバインを動かしながら言う。
「俺だってまた死にたくないからな!」
叫びつつオーラ斬りを繰り出す。彼も彼で中々強かった。
ロンド=ベルはそのまま突き抜けようとする。しかし彼等はその動きを突如として止めた。いや、止めるしかなかったと言うべきか。
「ちっ、こいつかよ!」
「また!」
「ふはははははははははははは!」
マグナスだった。彼が立ちはだかったのである。
「この程度の攻撃で!」
「あれだけ浴びせてもなの!?」
「どうなってんだよ!」
「言った筈だ!俺は不死身だ!」
この時とばかりにまた叫ぶ。
「この程度では倒れん!」
「ちっ!」
「それならね!」
アスカがポジトロンライフルを放った。
「これならどうかしら!」
「甘いわ!」
何とそれも弾き返した。アンドラスは全く平気だった。
「その程度で!俺は倒せん!」
「きーーーーーーーーっ、何だってのよ!」
「猿攻撃が通用しねえってのかよ!」
「何ィ!?」
今の言葉には敏感に反応するアスカだった。
「ちょっと待ちなさいよ猿男!」
「猿男!?」
「誰だそりゃ一体」
「あんたよあんた!」
マグナスのアンドラスを指刺しての言葉だった。
「このマンドリル!」
「マンドリルだと!この俺が!」
「ふん、どうやら知ってるみたいね」
マグナスが激怒したのを見て誇らしげに笑う。
「ちゃんとお猿さんのことも」
「誰が猿だ誰が!」
「このブタオザル!」
「今度はそれか!」
「何度でも言ってあげるわよ。マウンテンゴリラ!」
「貴様ァ!」
流石にマグナスも遂に切れた。
「小娘だからといって容赦はせん!死ね!」
「死ぬのはあんたよ!」
言いながら今度はATフィールドをエヴァの手に持つ。
「これでも受けて・・・・・・死になさい!」
「くうっ!」
「はああああああああああああああああっ!」
「何か殆ど修羅の人達と同じだね」
シンジが今のアスカの闘いぶりを見て呟く。
「最近のアスカって」
「前からそやろ」
だがトウジはこうシンジに返した。
「すぐ切れるし暴れるしやろが」
「それもそうか」
「アスカってこんなのだったみたいね」
「けれど凄いわかるよ」
ヒカリとケンスケが言う。
「学校でもあんな感じだしね」
「言われてみればそうね」
「シンクロがあがってるよ」
ケンスケはモニターを見つつ述べた。
「それもかなり」
「アスカ、いけるかしら」
「受けなさい!」
その間にもアスカはATフィールドでの攻撃に入っていた。
「とりゃああああああああああああっ!」
エヴァの手に持ちそれを横薙ぎにする。しかしそれでも。
アンドラスは崩れ落ちてはいなかった。平気なままである。
「これでも駄目っていうの!?」
「ぶはははははははははは、無駄無駄ァッ!」
驚くアスカにマグナスの高笑いが届く。
「この程度で俺様は倒せんわ!」
「くっ、これでもって!」
「言った筈、俺を貫けるのは!」
「修羅王のみだというのだな」
それに応える男がいた。
「そうだったな。確か」
「その通りだ、フォルカ=アルバーク」
「何度も聞いている」
フォルカは冷静にマグナスに言葉を返した。
「既にな」
「ではどうするのだ?」
「俺は修羅王を倒す」
既に決意していることだった。
「ならば。貴様も」
「ふははははははは、できるものか!」
ここでも高笑いでそれを否定した。
「ならここでやってみるがいい!」
「マグナス!」
フォルカの気合が増した。
「貴様との闘いもここで終わらせる!」
「終わらせる?俺とのか」
「そうだ。これまで貴様とも幾度か闘ってきたな」
「確かにな」
「しかし。それも終わりだ」
言いながら構えに入るフォルカだった。
「貴様を倒す!」
「面白い!ならば来い!」
自信に満ちた声でフォルカに言葉を返す。
「その自信、無様に砕いてやろうぞ!」
「愚かな奴だ」
アルコは構えに入るフォルカを見て言った。
「貴様にマグナスを倒せるものか」
「そう思っているのだな」
その彼にアルティスが声をかけてきた。
「アルコ、貴様は」
「アルティス将軍」
「フォルカがマグナスを倒せないと」
「違うのか?」
「それはどうかな」
冷静にフォルカを見つつ述べていた。
「フォルカを見くびっていないか」
「何を言っているのか」
余裕に満ちた笑みでアルティスにも返すアルコだった。
「所詮あの男では倒せん。マグナスはな」
「では見よう」
そう言われてもアルティスは己の考えを変えていないようだった。
「フォルカの戦いをな」
「ふん、何を期待しているのか」
アルコにとっては一笑に伏すべき言葉だった。
「マグナスのことを過小評価しているのか?」
「それはない」
アルティスはそれは否定する。
「しかしだ」
「まだ言うのか?」
「フォルカは神化した」
この事実を述べた。
「これは否定できないな」
「うっ・・・・・・」
「アルコ」
今度はメイシスも言ってきた。
「あの男はかなりの力を持っている」
「力をか」
「それにより何かを貫こうとしているのは間違いない」
「ふん。貫けるものか」
「それもすぐに否定するのはな」
どうかというのだった。
「私も見よう」
「将軍二人が何を言っているのか」
アルコはそんな二人を嘲笑した。
「無駄なことをな」
「それもわかることだ」
またアルティスが言った。
「すぐにな」
「行くぞ!」
フォルカの全身を紅蓮の闘気が包み込んでいた。
「この拳で!」
「ならば俺も見せるとしよう」
マグナスもまた構えに入っていた。その拳を構え全身を闘気で覆う。
「このマグナス細大の拳をな」
「!?あいつ」
オルガがマグナスを見て言う。
「何だ?気配が尋常じゃねえぞ」
「闘気が」
クロトも言う。
「今までよりずっと高くなっている」
「やばい」
シャニもまたそれを見て言った。
「このままだと」
「フォルカ!」
フェルナンドが叫ぶ。
「このまま行くのか!」
「安心しろ、友よ」
フォルカはそのフェルナンドに対して落ち着いた声で言った。
「俺は・・・・・・生きる!」
こう言うのだった。
「生きて・・・・・・新たな修羅となる!」
「これを受けてもほざけるか!」
アンドラスが大きく動いた。
「巨霊奔烈!うおおおおおおおーーーーーーーーーーっ!!」
「貴様の技!」
フォルカも彼と同時に動いていた。
「既に見切った!受けろ!」
「何っ!」
「真!覇猛!!」
あの技だった。再び両手から紅蓮の龍を出す。
「撃烈波!!」
マグナスの攻撃を龍で受け押し切る。そうしてさらにそこから攻撃に入った。アンドラスの巨体が揺れ大きく飛んだ。
「ぐはあああっ!」
「これが今の!」
フォルカは吹き飛ばしながらまた叫んだ。
「俺の拳だ!うおおおおおおおおおーーーーーーーーーっ!」
「うおおおおおおおおっ!」
吹き飛ばされたマグナスは絶叫していた。絶叫しつつその全身を揺れ動かしていた。
そして遂に地に落ちた。最早満身創痍であった。
「な、馬鹿な・・・・・・」
マグナスはアンドラスのコクピットで呆然としていた。彼も全身傷だらけである。
「この俺を。マグナスを貫いただと」
「言った筈だ」
ヤルダバオトはその貫かれたアンドラスの前に仁王立ちしていた。その中でフォルカがマグナスに対して言うのである。彼を見据えながら。
「俺は修羅王を倒すと」
「くっ・・・・・・」
「修羅王を倒す俺が貴様を貫けない筈がない」
だが彼もかなりのダメージを受けていた。やはりマグナスも手強かった。しかしそれでも彼はこう言うのだった。
「だからだ。俺は勝った」
「勝ったか・・・・・・」
「マグナス、貴様にな」
「おのれ・・・・・・だが」
ここでマグナスは血を吐いてしまった。
「くっ、忌々しいが貴様の言う通りだ」
「眠れ」
マグナスに告げた。
「そのままな」
「ミ、ミザル様」
マグナスは断末魔で呻いた。アンドラスのあちこちから火を噴いている。
「お許しを・・・・・・!」
「くっ、マグナス!」
アルコは爆発するアンドラスを見て言った。だが最早どうにもならなかった。
マグナスは倒れた。そして修羅の軍自体もその数を大きく減らしていた。
「撤退だな」
「はい」
メイシスがアルティスの言葉に頷いていた。
「これ以上の戦闘は」
「その通りだ。では」
「撤退しろというのか」
だがアルコはそれに反対のようだった。
「マグナスが倒れたというのに」
「弔い合戦だというのか?」
「違う!」
それは否定した。
「だが今あの男は傷付いている。今ここで」
「敵はフォルカ=アルバークだけではない」
しかしアルティスはこうアルコに言うのだった。
「他にもいる。あの男を倒しただけで戦いは終わらない」
「だから下がれというのか」
「そうだ」
今度は言い切った。
「ここはな。わかったな」
「くっ・・・・・・」
「全軍撤退だ」
メイシスが指示を出した。
「このまま下がる。いいな」
「はっ」
メイシスの言葉に従い修羅達は退いた。マグナスが倒れたことにより戦いは終わったのだった。
「フォルカ・・・・・・」
「まずは一つの戦いが終わった」
こうフェルナンドに言葉を返した。
「これでな」
「だがそれでも」
「わかっている」
頷いて彼にまた返す。
「それもな」
「では次の戦いに向かうぞ」
「ああ」
ここでの戦いは終わった。ロンド=ベルは戦力を集めそのうえで収容してから整備と補給を受け再び進撃に入った。その中で一つの出来事があった。
「あのさ」
「んっ!?あんた達」
ミレーヌがティス達三人に応えていた。見れば三人は少し小さくなってミレーヌの前にいた。
「どうしたの?畏まって」
「一つ伝えたいことがあるんだけれど」
「よかったらですけれど」
「いいでしょうか」
「ええ、まあ別に」
何が何なのかよくわからないまま応えるミレーヌだった。
「いいけれど。どうしたの?」
「ずっと一緒にいたいんだけれどさ」
まず言ったのはティスだった。
「あんた達とね」
「よかったらですけれど」
「皆さんさえよかったら」
「!?どういうことなの?」
ミレーヌは話がわからず首を捻った。彼女の左肩にいるグババも同じ動きをする。
「一緒にいたいって。それもずっとって」
「おいおいミレーヌ」
ここでバサラが彼女に言ってきた。
「そんなの簡単じゃねえかよ」
「簡単ってあんたにはわかるの?」
「ああ、勿論さ」
楽しそうに笑ってミレーヌに応える。それと共に背中に持っているギターを前にやってきた。そのうえで早速音楽を奏でだした。
「御前等あれだろ」
「ええ」
またティスが最初に言う。
「いいかしら」
「俺は構わないぜ」
バサラはいつもの調子だった。
「俺の歌が聴きたいんならそれだけでな」
「あんたはそれでいいの」
「ああ、それが俺のポリシーだ」
こうまで言い切る。
「この俺のな。だから聴きたい奴は何時でも来い」
「ええ」
「それでですね」
またラリアーが言ってきた。
「もう一つ御願いがあります」
「今度は何なの?」
「戦いのことですけれど」
今度彼等が言ったのはこのことだった。
「いいでしょうか」
「何が何なのかよくわからないけれど」
少なくともミレーヌには見当がつかなかった。勘の鋭い彼女であっても。
「何なの?言ってみて」
「一緒に戦っていいですか?」
「私達も」
「よかったらだけれどさ」
デスピニスとティスも言うのだった。
「あれだけ皆さんと戦った私達ですけれど」
「一緒にいたいんだ」
またこのことを言うティスだった。
「本当にさ。デュミナスが生きろって言った理由」
「それを知りたくて」
「だから私達も」
「別に戦わなくてもいいじゃねえかよ」
だがバサラはここでこう三人に告げた。
「一緒にいるだけでよ。違うか?」
「それはその」
「そうですけれど」
「でも」
「私達を見たいの?」
ミレーヌは今度はこう問うた。
「だからなの?一緒にっていうのは」
「そう考えてもらえるならそれで御願い」
ティスは今のミレーヌの言葉を否定しなかった。
「それでね」
「ですから是非」
「私達も」
「俺は戦いは嫌いなんだよ」
「じゃあ何で戦場にいつもいるのよ」
「戦いを終らせる為さ」
これがバサラが戦場にいる理由なのだ。
「俺のこの歌でな」
「歌で戦いを!?」
「前に言っていた」
「あのリン=ミンメイさんと同じで」
「そうさ」
彼の考えは変わっていなかった。
「この俺の歌でな」
「できるのね、本当に」
「俺に不可能はねえ!」
またしても断言だった。
「俺の歌に。不可能なんてねえんだよ!」
「じゃあ見せてもらうわ」
ティスはバサラのその言葉を聞いて言った。
「あんたのその歌をね」
「それで戦いが終るのかどうか」
「だから。私達も」
「どうしてもっていうのね」
「そうよ」
ティスはまたミレーヌに答えた。
「少なくとも。ずっと一緒にいさせて」
「わかったわ、それじゃあ」
「有り難うね」
ティスは今のミレーヌの言葉に礼を述べた。
「それじゃああたし達も戦わせてもらうわ」
「これからどうなるかわからないけれど」
「それでも」
「何で最初はわからないんだよ」
バサラはまた三人に対して言った。
「何でもな」
「わからないって?」
「そうさ」
バサラの言葉が続く。
「最初はな」
「わからないんですか」
「そこを切り開くんだよ」
バサラの言葉は前を見据えたものだった。
「何があってもな。やるんだよ」
「それが人間」
「何もわからなくても切り開く」
「また言うぜ」
バサラの言葉は続く。
「人間の世界ってのはな。最初は何にもないんだよ」
「また言うのね」
「そうさ、けれどな」
「けれど?」
「道でも何でも作っていくもんなんだよ、その手でな」
「その手で」
「僕達のこの手で」
今三人はバサラの言葉を受けて自分達それぞれの手を見た。
「切り開くんですか」
「最初から」
「全部」
「やれるさ」
バサラの言葉には何の不安もなかった。
「不安も何もなくな。やれるんだよ」
「あたし達もなのね」
「御前等何だよ」
今度のバサラの問うことはこれだった。
「何なんだよ、御前等」
「えっ、あたし達!?」
「そうさ」
また問うたバサラだった。
「御前等は何だ?何だっていうんだ?」
「人間です」
ラリアーはバサラの問いにこう答えた。
「僕達は。人間です」
「人間になる筈だったデュミナスが造った」
デスピニスも言う。
「人間です。多分」
「多分じゃねえさ。絶対にそうなんだよ」
「絶対に・・・・・・」
「そうさ」
バサラの言葉は続く。
「御前達も人間なんだよ。ホムンクルスだっていうのか?」
「ええ」
「そうなっています」
「私達は」
「で、それがどうしたっていうんだ?」
「どうしたって」
「ここにはそんな奴幾らでもいるんだよ」
バサラはここで話を少し変えた。
「誰でもな。色々あるんだよ」
「色々って」
「キラだってな、プルツーだってな」
「あいつ等も?」
「そうさ。御前等と同じような生まれなんだよ」
彼等のことも話す。
「造られていてもな」
「造られていても」
「人間なんだよ」
「造られていても」
「人間・・・・・・」
「だからそれがどうしたっていうんだよ」
また言うバサラだった。
「人間であることに変わりねえんだよ」
「あんた何でそう断言できるのよ」
何があっても自分達を人間と言うバサラに対して問い返すティスだった。
「よくわかんないんだけれど」
「心だよ」
「心!?」
「はっきり言えばボルフォッグやテムジンだって人間なんだよ」
「ロボットでもなの!?」
「そうさ。心があるならな」
今度は心だと言うのだ。
「どんな姿でもな」
「ええ」
「どんな色の血が流れていてもな」
このことも言った。
「心が人間ならそれで人間なんだよ」
「心が人間なら」
「それで」
「人間、なんですか」
「そうさ。これでわかったか?」
「何かよくわかんないけれど」
ティスはあえてこう返した。
「とにかく。あたし達は人間だっていうのね」
「ああ、そうさ」
「それはわかったわ」
ティスはバサラのその言葉を受けて頷いた。
「あたし達が人間だっていうのはね」
「だからだよ。一緒にいたいんならいいぜ」
「わかったわ」
「俺は歌う」
このことは変わらなかった。
「俺の歌をな。これからも」
「しっかしあんたも凄いわね」
ティスはバサラを素直に礼賛した。
「よくそれだけ一本の道を貫けるわね」
「馬鹿なのよ」
ミレーヌはそんな彼をこう評していた。
「馬鹿だから。そうなるのよ」
「馬鹿なの?こいつ」
「馬鹿も馬鹿」
さらに言う。
「大馬鹿よ」
「やっぱりそうなのね」
「わかるのね、あんた達にも」
「最初からそんな気はしたわ」
ティスはバサラを見つつ述べた。
「けれどね。それでも」
「それでも。何なの?」
「いい意味での馬鹿よ」
こう言うのだった。
「少なくともあたし達を向かわせてくれたんだからね」
「僕達のこれからを」
「見せてくれました」
「俺そこまでしたか?」
自分ではそこまで深く自覚はしていなかったバサラだった。
「ただ歌を聴けって言ってちょっと言っただけじゃねえのかよ」
「それでもです」
だがその彼にラリアーが言う。
「貴方はその感性だけで動いておられますが」
「ああ」
「ですがそこにあるものは」
「とても深いものだと思います」
デスピニスも言った。
「ですからバサラさん」
「貴方はそのままでいて下さい」
「馬鹿のままでね」
「馬鹿!?上等だぜ」
やはりそんな言葉でどうにかなるバサラではなかった。
「このままいってやるぜ。俺の歌でどんな戦いも終らせてやる!」
「やれやれって感じね」
ミレーヌのこの言葉にグババが頷く。かくして三人は遂に立ち上がることにしたのだった。

第八十七話完

2008・10・22
 
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