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ハイスクールD×D ~ 元聖女の幼なじみはエクソシスト ~

作者:ラドゥ
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第五話『決闘 ―― 十三機関の実力(後編)』

 
前書き
連投です。一誠&木場VSシオン決着。
 

 

“SS級はぐれ悪魔”

天使、堕天使、悪魔。三大勢力それぞれに危険視されている存在であるはぐれ悪魔たちには、その強さ、危険度によってランクが違い、SS級はぐれ悪魔とはその中でも、二番目の危険度持つ存在。

ちなみに最上位の“SSS級”が『魔王クラス』であり、SS級は『最上級悪魔クラス』。つまりは冥界でも上位三十人ほどしかいない強者たちと同等の存在なのである。

そしてSSS級は魔王クラスと言ったが、それはあくまでそう決められているだけであって、歴史上そのクラスに定められた者は“一人だけ”であり、実質、SS級こそがはぐれ悪魔の最上位となっている。
その最強クラスの悪魔たちを、人間が単独で討伐って……。

「そんなの無理に決まってるじゃない!」

SS級なんて上級悪魔でも倒せるのは殆どいないほどの強さなのよ?

それをいくら強くても人間が単独で相手をするなんて、無理に決まっている。

ゼノヴィアは、そんな私の考えに同調するように、頷いた。

「ああ、私もそう思う。実際成功したとはいえ、帰還した時シオンは瀕死の重傷を負っていたからね。しかしシオンには、その任務に挑戦してでも叶えたいことがあった」
「それがアーシアさんの異端解除ですか」

朱乃のその言葉にゼノヴィアは頷く。それを聞いて、アーシアは顔を青く染めて小刻みに震えていた。

「シ、シオン君が私のせいでそんなことを……」
「アーシアさん……」

子猫が気遣わしげにアーシアを見ている。

「(アーシアがこうなるのも無理ないわね…)」

彼女は自分とは関係ない相手が傷ついただけで心を痛めるほど優しい心の持ち主。それが自分のせいで大切な幼なじみが傷ついたなんて聞かされたら、自責の念にかられるに決まっている。

でも私はゼノヴィアの話の中で気になることがあったので聞いてみることにした。

「一つ聞いても良いかしら?」
「なんだい?」
「アーシアの異端解除を彼は願ったといったけれど、本当にそんなことが可能なの?私はそんなことできるなんて聞いたことがないのだけれど…」

私の疑問に答えたのはゼノヴィアではなく、紫藤イリナだった。

「私もよくわからないんだけどね?なんでも名前を変えて再洗礼。つまり全くの別人として入信し直せば異端解除ができるらしいわ。…尤も私も聞いた話だけどね?」

つまりは、別人としての生を選べば、異端認定が解除されるということかしら?やっぱり初めて聞いたわねそんなこと。まあ私も教会について詳しいわけではないのだけれど……。

「グレモリー」

そこへゼノヴィアが私に声をかけてきた。

「なにかしら?」
「考え事もいいが、そろそろ決着がつくようだぞ?」
「え!?」

私が急いで振りむくと、そこには片膝をつくイッセーと、まだ立ってはいるが、肩で息をしている祐斗。そしてそれらを冷たく見据えているシオンの姿があった。









「ハァハァハァ…」
「つ、つえぇっ…」

イッセー君のいうとおり、確かに強い。シオン・ラザフォード、これほどとは。

イッセー君がパワーをブーストしてぶつけようとしても軽く避けられ、僕が騎士のスピードで切りかかっても、そこに来るのがわかっていたように簡単に迎撃される。悔しいが手も足もでないっ。

そんな僕たちを、彼はつまらなそうに見てくる。

「拍子抜けだな。ここまで弱いとは…」

その彼の言葉に、イッセー君が青筋をたてる。

「いってくれるじゃねえかっ!」
「だが、事実君たちは俺になにもできていないようだが?」

シオンのその言葉にイッセー君は「うぐっ!?」と言葉に詰まる。

確かに、彼のいうとおり、僕たちは彼に対してなにもできていなかった。

シオンは溜息をつく。

「その程度の実力でよくあれほどの口がたたけたものだ」
「くっ!?」

くやしいがなにもいえなかった。彼にその発言を許してしまうほど、僕たちと彼には実力差があるのがわかっていたから。

彼はそんな僕たちを見てもう一度溜息をつくと、はじめてちゃんとした構えをとる。

「もう終わらせる。さっさとかかってこい」

シオンは構えたまま手をくいくいと挑発気味に手招きした。









ぴき









「「なめんな!!」」

あまりの彼の態度に切れた僕とイッセー君は、同時に彼に襲いかかった。

『Boost!』

イッセー君が籠手の効果でパワーを増幅し、殴りかかる仕草を見せる。

が、それを見たシオンは、殴りかかられるまえに、イッセー君に後ろ回し蹴りをくらわす。

「ガッ!?」
「イッセー!?」

吹き飛んだイッセー君を見て悲鳴じみた声をあげる部長には悪いが、イッセー君に注意がむいた今がチャンスと僕はありったけの力を込めて一本の巨大な魔剣を造った。

イッセー君に蹴りをくらわせたことで体勢が不安定な状態なシオンに僕はその剣を振るう。

これで仕留め「られると思ったか?」!?

耳もとから彼の声が聞こえたかと思うと、腹部に激痛がはしったかと思ったら、視界が急激に移動し、気づいたら地面に叩きつけられていた。

「ガハッ!?」

あまりの痛みに、僕はその場で吐瀉物を吐き出し、悶えながらも、立ち上がることはできなかった。


地面にうずくまっている僕を見据えながら、シオンは心底落胆したように嘆息した。

「君は選択を間違えた」
「せ‥ん…たく?」

なんとか絞り出した僕の声に、彼はどこか残念そうに頷いた。

「騎士であるキミの持ち味は、その多彩な魔剣と俊足のはず。あのサイズの魔剣を扱うには君は筋力不足であり、君の持ち味であるスピードを封じることになる。…そんなこともわからないとはね。少々期待はずれだよ」

彼はそういって僕を一瞥すると、踵を返す。

「……ま、待‥て!」
「もう止めておけ。今の一撃でとうぶんは立ち上がれないはずだ。なにより、君の主も君の負けだとわかっているようだぞ?」

彼の視線の先を見ると、先ほどまで辺りを支配していた紅いオーラが消えた。朱乃さんが結界を解いたのだ。

僕が、彼に完全に敗北した瞬間だった。

そうして決闘は十三機関、シオン・ラザフォードの勝利にて幕を下ろした。









「で?彼らの実力はどうだったんだい、シオン?」

ゼノヴィアがそんなことを俺に聞いてきたのは、俺が彼らとの決闘紛いに勝利し、学園から拠点であるホテルに移動する間でのことだった。

俺はその質問に、顎に手を当てて考えながら答えた。

「まず騎士の魔剣使いのほうだが、センスはある。天才的といってもいいセンスが。彼のセイクリッド・ギアであるソード・バースとあわせれば、将来はかなりの強さになるだろう。ーーーーーーだがあのままでは駄目だな」
「それってなんで?」

イリナのその質問に俺は思いだす。二人のエクスカリバーを見たときにあの男が見せた復讐にとらわれたものの瞳を。それは、あの時の彼女・・・を彷彿とさせる瞳だった。

「なぜだか知らないが、彼は聖剣、エクスカリバーに恨みを持っている。だが今の彼の実力では、エクスカリバーどころか、ただの聖剣でも破壊は難しいだろう」

そもそも聖剣とは人が悪魔に対抗するために創られた、人間の切り札の一枚といっても過言ではない兵器。いくら珍しいセイクリッド・ギアを持っていたとしても、破壊は難しいのだが…。

「あの調子では、聖剣使いに喧嘩をふっかけて返り討ちにあうだけだろ。俺としてはもう一人の赤龍帝のほうがおもしろいがね?」
「イッセー君のこと?彼、全く才能なさそうだったけど?」

なかなかキツいことをいうイリナだったが、それには同意見なのか、彼はイリナの言葉を肯定する。

「ああ。だが彼の檄しやすい熱血な性格がドラゴン系神器の最高峰であるブーステッド・ギアと相性がいい。それにブーステッド・ギアは基礎能力がものをいうからな。才能がなくとも、彼にはまだまだ伸びしろが残っているだろ」

「なるほどね」

そんな話をしていると、



ピリリリ!ピリリリ!


携帯の着信音が辺りに響いた。


「あ、すまん俺だ」


そういって俺は、ポケットに入れておいた携帯電話を取り出した。

「もしもし」
『シオンか?』
「第二席…」
俺の携帯にかけてきたのは、同じ十三機関のメンバーの一人である第二位、『ヴァン・ヘルシング』。伝説のヴァンパイアハンター、ヴァン・ヘルシング卿の末裔であり、神滅具ロンギヌス持ちであり、十三機関第一位の最強の悪魔払い(エクソシスト)である『ジュリオ・ジェズアルト』と、強力な神器セイクリッド・ギアもなしに闘気と体術を使い互角にわたりあうバグキャラである。

しかし、そんなバグキャラながら常識的な人物であり、第一位が事務面ではわりと適当なこともあり、教皇様から任務の要請が来る場合は、彼が仲介役となる場合が多い。つまりは、彼が連絡をしてきたということは、俺に対しての任務の通達なのだが…、

「俺は現在、聖剣奪還の任務に就いているのですが?」
『それは知っている。ただその町のはずれにある古い教会に中級以上の堕天使が数名集まっているという情報があがってきてな?コカビエルと関係があるかもしれんから、討伐するかわりに調べてきてくれとのことだ』

なるほど。確かにこのタイミングで堕天使の集会があるとなると、コカビエルの件と関係する可能性があるな…。

「わかりました。ただちにむかいます」
『うむ。頼んだ』

ヴァンさんはそういって電話を切った。

「なにかあったのかい?」

俺はゼノヴィアたちに事情を説明し、活動資金の入った財布をイリナに投げ渡す。

「俺は今からその教会に行ってくるから、お前たちはそれで飯でも食いに行ってきてくれ」
「手伝いはいるかい?」

そう聞いてくるゼノヴィアに、唇を歪めながら俺は聞き返した。

「いると思うか?」

そんな俺の顔を見てゼノヴィアは苦笑する。

「愚問だったな。さてそれじゃあ行こうかイリナ」
「うん。気をつけてねラザ君」

俺はイリナのその声に軽く手を振って答えながら、踵を返してその場から教会を目指して歩きはじめる。


「今度は手応えのある敵だといいんだが。









なあ、『相棒』?」

誰にも聞こえない声でそう呟きながら・・・・・・。

 
 

 
後書き
ちなみにこの小説のヴァン・ヘルシングさんの容姿はマジ恋の最強執事と全く同じです。


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