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ケイローン

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第二章

「あまり食べ過ぎないことです」
「毒があるのか?」
「私がお勧めする生き物にはありません」
 そうだというのだ。
「魚にしてもです」
「では問題がないのではないのか」
「いえ、そうではないので」
「あまり多く食べるなというのか」
「このことにはお気をつけ下さい」
「ふむ、よくわからないが」
 アポロンはケイローンが動物の内臓を食べるべきだが量は考えろと言う理由はわからなかった、だがだった。
 彼はその言葉を受けた、そしてだった。
 実際に牛や豚の内臓、特に肝臓を料理して食べてみた。するとその味は。 
 存外美味かった、癖はあるがそれがまたよかった。
 肝も苦味が強いが美味かった、それでだった。
 食べるようになると身体の調子がよくなった、それでケイローンにその訳を問うと。
 彼もまた肝、生のそれを食べながらこう言ったのである。
「実は普通の肉よりもです」
「内臓はか」
「滋養にいいのです」
「そうだったのか」
「はい、特に肝は」
 今も食べているそれはというのだ。
「滋養が強いので」
「食べるといいのだな」
「そうです、ですから」
「生で食べてもいいか」
「新鮮なものを」
 生の場合は、というのだ。
「そうされて下さい」
「量は考えてだな」
「それは前に申し上げた通りに」
「そうか、それでだが」
 アポロンも生の肝を食べてみた、やはり苦いが味も食管もよかった、それを食べながらケイローンに言うのである。
「内臓を食べることを他の神々にも話していいか」
「オリンポスのですね」
「そうだ、そうしていいか」
「是非共」
 ケイローンは医者の倫理からこう答えた。
「そうされて下さい。神々も人も健康であるべきなので」
「そうだな」
「はい、それでは」
「ゼウス様達にもお教えしよう」
 アポロンは確かな笑顔でケイローンに応えた、彼はオリンポスに戻すとすぐjに他の神々にも教えた、オリンポスの主神ゼウスも料理されたその内臓を食べて言うのだった。
「美味い、しかもか」
「はい、身体にいいので」
「食べるといいな」
「そうです、これからもお召し上がり下さい」
「わしは気に入ったぞ」
 ゼウスは焼かれた内臓をどんどん食べながら言った。
「どんどん食うぞ」
「そうされて下さい」
 アポロンはこの時は量のことを言い忘れていた、そして。
 ゼウスは無類の女好きであることからもわかる通り自制心のない方である、それは美女に対してだけでなく食事についてもだった。彼は内臓を薬でもあるからということで食べまくった。
 そしてある日苦悶する顔でこう言いだしたのだった。
「足が痛む」
「足!?」
「足がですか」
「そうだ、痛いのだ」
 こうオリンポスの神々に言うのだ。
「これは何故だ」
「そういえばです」
 アポロンはここで思い出して言った。
「ケイローンが言っていましたが」
「あの者がか」
「はい、内臓は食べ過ぎるなと」 
 そう言っていたというのだ。
「そう言っていました」
「それは何故だ」
 ゼウスは真剣な顔でアポロンに問い返した。
「そのことはわかるか」
「ケイローンならば」
「ではだ」
 そこまで聞いてすぐにだった、ゼウスはアポロンに言った。
「すぐにケイローンから話を聞いてくれ」
「わかりました」
 アポロンはすぐにケイローンのところに向かった、そして話を聞くと。 
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