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茨の王冠を抱く偽りの王

作者:カエサル
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08.ざわめく羽虫

「ついたついた!!」

「いいお天気、晴れて良かったね」

俺たちは今、大島に来ている。

ここに来た理由は......話は1日前に遡る。


「魂館 颯太?......それって僕のクラスの?」

「そうだ、大島まで連れて来い。そこにあるGHQの施設に侵入する」

「大島にGHQの施設が?」

俺と集、ガイは葬儀社の地下施設で作戦の会議をしている。

「場所はどこでもいい。セキュリティを突破するのにそいつのヴォイドがいる」

俺たちは各自で食事をしながら話す。
ちなみに俺と集はカップラーメン、ガイはウィダ。

「よりにもよって」

「旅行に誘うだけのことだ、難しくあるまい」

「できるよ」

「結構。友達は大事にしろ」


そして、今現在、俺たちは集の親戚の別荘.....ってことになってる葬儀社が用意した屋敷に到着。

「おぉ!スゲぇ〜、立派だな」

「桜満君の親戚って一体なにしてる人なの?」

集は草間の問いに困っていのりに助けを求める。
まぁ、多分この屋敷も供奉院グループが用意したんだろうけど。

「また二人仲良くして家だけにしてよ」

「なに言ってんのいきなり!?」

「だって二人一緒に住んでるんでしょ?」

颯太がカメラなどの器具を取り出しながらちゃかすように言う。

「えっ!なにどういうこと?」

祭と草間が驚く。

「俺、見ちゃったんだよね〜。二人が一緒に家に帰ってくの。ちょっと聞いてみましょう二人の馴れ初めは?」

颯太がカメラをマイクのように持ち集といのりの前に出す。

「やめてよ、いのりとは何にもないよ」

「そうだよ、颯太君。そんなこと普通だよね、王様?」

「うっ、うん.....そうだな」

「どうしたの、壊?スゴイ汗だけど」

集の問いかけにもドッキ!、としてしまうくらいヤバイ!!

「ねっ、王様。だって私たちも......ふっぁふっふぁ」

俺は急いでシオンの口を押さえた。

「気にしないで、ささ、話を続けて」

「まぁいいや、そんなことより海!海行こうぜ!!」

颯太は急に走ってドアを目指す。

「ちょっと片付けとか」

しっかり者の委員長の草間が止めようとする。

「そんなのあとあと、せっかくのリゾートだぜ。今を目一杯遊ばなきゃ」

颯太はそう言い残し去って行った。

「魂館君!!」

草間の声、届かず。



颯太の反強引な感じで俺たちが海へと来た。

俺と集はビーチにパラソルを立てて、俺はそこに寝転ぶ。
集はそこに立ち尽くし誰かを見ている。
体を起こし集が見ている方向を見るとそこには、ピンクの水着を着たいのりがいた。
その姿は、まるで周りにいる全てを虜にするほど美しい。
いのりに見惚れていると後ろから声がした。

「ねぇ、集」

「ねぇ、王様」

「私たちも泳ごうよ」

「行こ、王様!」

後ろには、白色の水着を着ている祭と水色の水着を着ているシオンがいた。

俺はシオンに連れられて、集は祭び連れられて海へと向かう。
左腕にあたる柔らかな感触が......#%$んだgftsj

その後、ビーチバレーなどをして時間を潰した。



その後、集についていき集の父さんのお墓へとシオンとともに向かった。
父の墓に花束を置いたところでガイが現れる。

「桜満クロス博士か」

「知ってるの?」

「旧天王洲大学の教授だ。アポカリプスウイルスの第一人者でもある」

「そうだったんだ」

「なぜお前が知らない」

「家では、そういう話しないから、ハルカの先生だったってことは知ってるけど....」

「ハルカ.....?」

「うちの母親だけど......とにかく父さんのことはあまり覚えてないんだ。十年前に死んじゃったから」

「.......ロストクリスマス」

「あの日から何もかもが変わってしまった」

集が話を変える。

「ところでどうしてここに来たの?お墓参りじゃないよね?」

あぁ、っと言って歩き出す。

あれだ、っと言って赤い鳥居の神社を指差す。

「神社?」

「だな?」

こいつで見てみろ。

そう言って、ガイは俺と集に一眼の双眼鏡を渡す。
それで鳥居を見ると、これは双眼鏡ではなくセンサーが見える双眼鏡だった。

鳥居には無数のセンサーの光が張り巡らされている。

王様見せて、俺は双眼鏡をシオンに渡すと、ワっ!すごい厳重だね、とすこし驚いたようにいう。

「ガイ、あれって」

「あぁ、GHQの秘密施設だ。あそこに求めるものがある」

「求めるもの?」

「......."始まりの石"」

その瞬間、頭痛が.....まるで頭の中で羽虫が、ざわめくように。
ヒドイ痛みだ。立っているのがやっとなくらいだ。
羽虫のざわめきがひどくなっていく。
そのまま、俺は気を失った。



「ーーヴォイドは七歳以下の子供からしかだせない」

視界が眩む、だが俺の目の前に白衣のメガネをかけた学者のような人がいる。
どことなく集に似ている。

「レディーの歳を聞くなんてデリカシーにかけるぅ」

水色の髪のショートの女の子がいる。

「それ以外の人間はそもそもヴォイドを持っていないはずなんだ」

これは何なんだ!?
夢!?そもそも、ヴォイドが七歳以下からしか取り出せない訳がない。

「ーー.....どの.....壊...所...者の....を.....みする」

なんって言ってんだ?聞き取れない?

「ヴォ.....とは....だ。....の形だ。他に代わ...の...い、たったひ.......存在。所有者...身なんだよ」

これも何て言ってんのかわかんない?

「.....お......ま」

誰かの声がする。
でも、羽虫どもがうるさくて聞こえない。

「.....お....さま...」

聞き覚えのある声。

「王様!!!」

俺はハッと目覚めた。

「......シオン....か?」

俺の隣にシオンがいる。
その顔は、目が赤く泣いたあとのようだ。

「王様!!」

シオンは俺に抱きついてくる。

「どうしたんだよ、シオン!」

「よかった、王様がもう目覚めないと思った......カイがまたどっか行っちゃうと思った.....」

シオンが泣きながら、強く抱きしめながら、言う。

「大丈夫だよ、シオン。俺はどこにもいかない絶対に」

絶対だよ、っとシオンは笑顔で微笑んだあと、再び俺に抱きしめた。
俺もシオンを抱きしめた。

そのまま、長い時間俺たちは抱き合ったまま。




次の日に俺たちは大島をあとにした。
作戦は失敗......"始まりの石"は誰かに奪われてしまったようだ。

帰りの船でシオンは昨日泣きつかれたのか俺の肩にもたれかかって寝ている。
頬を突っついてみると少し動くが起きる気配がない。


俺は不意にあのことを思い出す。

「ーー.....どの.....壊...所...者の....を.....みする」

あれはいったいなんて言ってたんだ。
どうにもあの言葉が引っかかる。

 
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