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魔法少女リリカルなのは・限界状況に挑む少女達(難易度大幅UP)

作者:歪んだ光
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一夜明けて

初めて魔法少女としての任務を終えた後、高町なのははその場に倒れた。本来、数十回に渡る訓練と戦闘をたった一回の戦闘に凝縮し戦ったのだ。それは生存本能による、過度な適応によってなされた賜物だ。これを後三回も繰り返せば、それは確実に彼女の力となるだろう。
……だが、代償はとてつもない。
それほどの戦闘をいきなりやってのけたのだ。必然、彼女はアスファルトに崩れ落ちた。
どこからかパトカーのサイレンが聞こえてくる。一応、ユーノが隠蔽の結界を張ったとはいえ、それは最初の、動物病院が破壊されてから行われたのだ。
「まずい……血が」
何とか名前も知らない恩人の元に這うように向かったユーノだったが、途中でぐったり倒れた。


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次に目が覚めた時、高町なのははいつもの見慣れた部屋の天井を目にした。
「なのは、気が付いたか!」
顔を横に向けると、そこには大切な家族がいた。
お父さん、お母さん。お兄ちゃん、お姉ちゃん。
「良かった……本当に良かった」
お兄ちゃんが私の手を握って、まるで神様に感謝するように額にくっつけた。
「なのは、痛いところは無い?」
お母さんも、私に寄り添って頭を撫でてくれた。
「大丈夫だよ……なのはは大丈夫だから」
その後も家族全員から、大丈夫か?身体に異変はないか?と沢山訊かれた。私はその度に、「大丈夫だから」と返した。
そんな事が十分程続いた後、
「俺が、日課のランニングをしていたらパトカーの音が聞こえてな。先回りしてみたところ、なのはが倒れていたんだ」
なのはを一番に発見した恭也から何があったか話された。
「俺が話せるのはそれだけだ。正直、何があったか想像も出来ない」
「……そうか。なのは、今少し喋れるかい?」
「うん。大丈夫……」
気だるそうに答える。
「……なのはも良く解らないんだけれども」
そこからぽつりぽつりと、あった事を話し始めた。
本人自身も良く解っていないのか全体像が掴みにくいが、言わんとしている事は分かった。化物、魔法、喋るフェレット……
「そうだ……お兄ちゃん、なのはの近くにフェレットさんが居なかった?」
「ああ、近くに居たから運んでおいた。凄い傷を負っているが、何とか大丈夫だろう」
「そう、良かった……」
そう言うと、疲れたのかなのははまた眠ってしまった。
――――――――――――――――――――――――
翌日、
「う……眠い」
そう言いながらも、律儀に目覚ましの息のねを止め、ベッドから這い出るなのはがいた。
「……レイジングハート?」
“Yes , my master ? ”
「ううん、何でもないよ。ただ、昨日の事は全部夢なのかなと思って……」
“Unfortunately , all you have experienced is real”
喋るレイジングハートの声はどこまでも無機質だ。
「……フェレットさん?」
不意に、机を見ると篭の中に茶色い生き物が入っていた。
「寝てるの?」
「……」
返事が無い。ただの屍のよう……まだ眠っているみたいだ。
「早く良くなってね……」
一言告げると、学校に行くためなのはは着替えを始めた。

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「ねえ、レイジングハート。昨日の事、詳しく教えてくれないかな」
登校中、なのはは自分のデバイスに話しかけた。今日は、この為に、いつものスクールバスを使わずに歩いて学校に向かっている。“Let's see ……”
そこからなのはは全てを知った。魔法の事、ジュエルシードの事、フェレットの名前が「ユーノ・スクライア」だという事。それから
「レイジングハートの事」
どういう訳か、彼女は初めて手にした力である自身のデバイス、レイジングハートの事を酷く気に入っていた。
“I was born in order to protect you and give you the power ”
「そうじゃなくて、レイジングハートの好きな事とか……」
“Sorry , but I don't have emotion ”
「ううん、レイジングハートはちゃんと感情を持っているよ」
彼女は別に「機械にも感情がある」という幻想は持っていない。しかし、それを否定するだけの理由がレイジングハートにはあった。
「ちゃんと私と喋って、私の声を聞いて、私に応えてくれている。だったらちゃんと在るよ」
“……”
「少し考えてみて欲しいな」
“All right ”
……
それから、ぽつりぽつりとレイジングハートに様々な事を効いたり、相談したりしながら歩いていたら、彼女はある光景に出くわした。
「もしもね」
“Master ? ”
「もしもも、なのはが戦わなかったら、また沢山の人が泣いちゃうのかな」
さっき見た光景を思い出す。なのはは見てしまった。病院の前で泣き崩れる獣医さん。帰らぬ身となってしまったペットを嘆き悲しむ飼い主さん達。
「解ってる……なのはがやらないとまた色々な人が困る事くらい解ってる、けど!」
――怖いんだ――
ぽつりと、本音をもらす。
「初めて怪物さんと向かいあったとき、本当は怖かった!でも逃げれなくて……」
それが当然の反応だ。
この事件で彼女が背負う事になるものは、普通の人が一生をかけて背負う事になるものと等しい。九歳の女の子が背負うには重すぎる。
“Don't worry , my master ”
「レイジングハート……?」
“I'll absolutely protect you ”
しかし、彼女のデバイスは「それは杞憂に過ぎない」と言う。絶対に貴方を守ると。だから……
“Please use me”
“Please use my ability . My favorite master”
「……うん、そうだね。一人じゃなかった。これからよろしくね。レイジングハート」
p.m. 9.00 ここに新たな伝説が幕を開けた。当代、最高のマスターと最優のインテリジェントデバイス。その2つが揃った。

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「なのは、聞いた!?」
学校に着くや否や、彼女は親友のアリサに捕まった。
「昨日フェレットを預けたあの病院、隕石が落ちて全壊したらしいわよ!!」
「い、隕石って……」
「そこにいた動物、みんな……」
「そうなんだ……」
やはりと言うか、学校はその話題で持ちきりだった。
「あのフェレットも……」
「あ、それなら大丈夫だよ」
なのはは、偶々フェレットは病院を脱走していたので助かった。脱走したところで倒れていた所を、ランニングしていた恭也に助けられた事を話した。
「良かった……」
「ほんと、せっかく助けたのに死なれちゃ嫌だしね。べ、別にあのフェレットが心配をした訳じゃ無いんだからね!」
……流石、釘宮。
「にゃ、にゃはは」
(嘘はついてない嘘は。ただ、あの場になのはもいた事を言って無いのと、あのフェレットが喋ることを言って無いのと、病院の近辺の破壊に多少なのはも関わった事を言って無いだけ!)
それは……最早、詐偽のレベルだ。
――――――――――――――――――――――――
(ねえ、レイジングハート。今の内に何か出来る事は無いかな?)
授業中、なのはは念話でレイジングハートと会話している。
“Let's see ……I think “image training ”is the best way”
(イメージトレーニング?)
レイジングハート曰く、精神だけを仮想の空間に運び、そこで戦闘のシミュレーションをするとのこと。但し
(やるのは次の時間から?)
“Yes . The grade of your Japanese language is so……”
(にゃわわ!?そこから先は勘弁して!)
まぁ、彼女は典型的な理系人間なので国語の成績が大変残念な……おや、誰かきたようだ。
ともかく、彼女が受けているのは目下の悩みの国語でありそれを疎かにするわけにはいかない。幸いな事に、次は彼女の得意な――実はもう2002年における文科省の高校数学指導過程を終えている――さんすーだ。

放課後
「こっちなの、レイジングハート?」
彼女は親友の月村すずかとアリサ・バニングスと別れた後、レイジングハートとジュエルシードの探索を行っていた。
その途中、強い魔力反応を感知したと言うレイジングハートに導かれて、彼女は今近くの神社の階段を登っていた。
「つ、疲れた」
“……Master. I have a question . You don't have a lot of stamina , but the battle of your sense I saw yesterday is so high . I can't imagine you have done the technical battle . Why? ”
「う~、そう言われても……」
そんな会話をしている時、感じた。強い魔力を。
「レイジングハート!」
“All right . Stand by ready . Setup”
唯の一言。それだけで意志疎通が成立した。レイジングハートから出た光がなのはの体を包み込む。一瞬の内に、そこには白の魔導師がたっていた。
「飛んで!!」
“OK”
彼女の叫びと共に、ブーツにピンク色の光の羽が生えた。そして一気に大空に舞い上がる。
これが、「高町なのは」が最初に感じた空だ。
そして彼女は、魔力反応の出所へ飛んでいった。 
 

 
後書き
英文法、語法にミスがあればご指摘下さい。感想も待っています。
後、本編ではレイジングハートの台詞に訳は付けていないですが、感想に書いて頂ければ、その部分だけは訳を書くつもりです。  
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