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魔法少女リリカルなのは・限界状況に挑む少女達(難易度大幅UP)

作者:歪んだ光
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初めての闘い


駄目だ、忘れられない。
学校からの帰り道、私は雑木林の中で倒れているフェレットを見つけた。
――――――――――――――――――――――――
「なのは!急にどうした……ヒッ!?」
呆然と立ち竦む私を見咎めて、声をかけようとしたアリサちゃんの声が悲鳴に変わった。
「ひ、酷い……」
倒れているフェレットの状態を見た、すずかちゃんの声が上ずる。
フェレットは、自分で作った血溜まりの中に倒れていた。お腹には大きな傷があって、向こう側が見えていた。
「は……早く動物病院に!!」
「あ、えと……電話!!」
アリサちゃんの声で我にかえる。
そうだ、先ずは助けないと。
――――――――――――――――――――――――
結果として、フェレットの命は何とか助かったらしい。ただ、未だ予断を許さない状況。
「誰があんな事を……」
あの光景を見たためか、今日の晩御飯のお肉は喉を通らなかった……
「眠れない……」
目を閉じれば、瞼の向こうにあの映像が思い浮かぶ。
時計の短針が12を指した。普段ならもう眠っている時間なのに……
「たす……け」
そんな時、何か声が聞こえた。
「これ……昨日の声」
さっき見たいに、昨日も誰かが助けを呼ぶ声を聞いた。
「もしかして……!」
頭に嫌な想像が思い浮かぶ。
思い付くより早く、私は腰を上げて昼間の動物病院に向かっていた。

……………………

「な、何なのこれ……?」
恐怖で上手く喋れない。
向かった先にあったのは、全壊した病院と、その余波を食らったであろう、近隣の住宅。
そして極めつけは
イアアアアア!!
病院の瓦礫から這い出て、雄叫びを上げる化物。
「君……来て、くれたの?」
「にゃっ!?」
唐突に後ろから声がかかった。
「しっ、声を上げないで。気付かれる」
そこには昼間のフェレットが居た。
「しゃ、喋ってる」
「事情は後で説明します。だから……僕に力を貸して下さい」
息も絶え絶えといった風に、フェレットが話しかけてきた。
「お礼は、必ず……ですからどうか……!」
その時、どうして私がこの話を引き受けたか、もう忘れてしまった。
ただ一つ。あのときの感情は忘れもしない。
初めての……憎悪
「いいよ……私は何をすれは良いのかな?」
許せない。恐らく、あの怪物さんはこの子を襲うために病院を壊したのだろう。……そこに沢山の動物がいたのに。
「簡単に説明すると、魔法少女になって貰います」
「……魔法少女?」
超常の事に巻き込まれていると言うのに、私の声は嫌に冷たい。自分でも分かる。
「これを」
フェレットさんは、首に付けていた宝石のような物を渡してきた。
「それを構えて、僕の後に続けて呪文を唱えて下さい」
イアアアアア!!
また、雄叫びが聞こえた。それと同時に何かが壊れる音も。
「我、使命を受けし者なり」
「我、使命を受けし者なり」
何か、魔方陣のようなモノが足元に広がる。
イアアアアア!!
雄叫びが大きくなった。恐らく此方に気付いたのだろう。
「契約の下、その力を解き放て」
「契約の下、その力を解き放て」
ドクン
ふいに、手に持った宝石から何かが伝わるような感じがした。
あぁ、もう解る。次に何を唱えればいいか。
「風は空に、星は天に。そして、不屈の心はこの胸に。この手に魔法を。レイジングハート、セット・アップ!」
「Stand by ready.Set up.」
宝石から機会音が聞こえた。
何かが私を包み込む。
「なんて……魔力だ」
フェレットさんが何か言ったみたいだけど、耳に入らない。
「レイジングハート?……うん、任せるよ」
「Barrier Jacket Set up 」
さっきまで着ていた洋服が分解され、私がイメージした新しい服に身を包まれていく。
現れたのは、白の魔導師「高町なのは」。ランクは規格外のAAAランク。手に持つは、無限の可能性を秘めたインテリジェント・デバイス「レイジングハート」
静かに地に降り立ち、倒すべき相手を静かに見据える。様々な情報が流れ込んで来た。ロストロギア、ジュエルシード……
敵は、黒い泥のようなモノ。高さは大体10m前後。
私は歩くような速さで、それに向かって行った。
「だ、駄目だ!一旦引いて!」
後ろの方から、声が聞こえた。恐らく、怪物さんも私に突っ込んで来るように突進したのを見て、故の警告だろう。でも……
「……大丈夫だよ。レイジングハートがついているし」
「Protection」
彼我の差が30cmになったとき、レイジングハートがバリアを張って護ってくれた。
「私は、貴方には負けない!!」
至近距離から、手から魔力弾を放つ。
「イアアアアア!?」
質よりも魔力量を重視したそれは、確かに怪物さんの体を半分以上吹き飛ばした。
「Be carefull ! 」
それと同時に何かが飛んできた。首だけを捻り回避する。
「……今のは危なかったね」
レイジングハートが教えてくれなかったら、危なかった。
「気を付けて、敵が分裂した!」
はっと、後ろを振り返る。
そこには、全長5mくらいの化物さんがもう一体いた。
「しまった……最初からジュエルシードを二つも取り込んでいたのか……!」
「みたいだね、レイジングハート」
「No problem . You have a more powerfull magic 」
何だ、じゃあ問題ないね。
「いくよ、レイジングハート」
私は周囲に魔力の層を張り巡らした。
「あれを止めるには、コアとなるジュエルシードっていう石を封印すればいいんだよね」
そして、重心を落とし準備を整える。それを見計らったかのように前後から怪物さんが襲いかかってきた。私は迷わず真正面に走り、スライディングするように相手の下を潜った。
「グガッ!?」
結果、目標を失った二匹はお互いに食らい付く結果になった。だが、それをわざわざ見届けてあげる必要は無い。未だ、地面を滑っている体を、魔力放出で強引に立て直し、今の私に出来る最大威力の砲撃を放った。
「ディバイン・バスター!!」
腰だめで打ったそれは狙い違わず、目標を穿った。
「やった!」
「未だだよ!」
さっき確かに見た。ディバイン・バスターの攻撃をシールドで半減させた怪物を。
だから、
「はあああああ!!」
そのまま、泥の中……敵の体内に潜り込む。見つけた。私はそれを掴むと、これでもかと叫んだ。
「ジュエルシード、シリアル3.8、封印!!」
直に相手の中にある、核となる宝石を封印する。
――瞬間、ジュエルシードを囲んでいた泥が崩壊した。



レポート
ジュエルシード、残り19個。 
 

 
後書き
イメージとしては、白い悪魔状態のなのはさんが形振り構わず闘っている感じです。 
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