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対決!!天本博士対クラウン

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第五百十八話


                第五百十八話  戦前の歌詞
 六人は華奈子と美奈子の家のその二人の部屋の中に入った。そこで甘いアイスティーやお菓子を食べながら美奈子が持って来た歌詞を見た。それは教科書にも使えそうな楽譜の下に歌詞が書かれているものだった。
 その歌詞を見てだ。まずは華奈子が言った。
「振り仮名もあるけれどね」
「それでもっていうのね」
 美奈子がその歌詞を読んでいる華奈子に応える。
「歌うには」
「難しくない?これが戦前の言葉なの?」
「実際にこうした言葉は使ってないみたいよ」
 それはないと言う美奈子だった。だがそれでもだった。
「けれど歌詞だとね」
「こんなのなのね」
「そうみたい。私もよくわからないけれど」
 まだ小学生だからわからないのも当然だった。この辺りは仕方のないことだ。
「そうみたい」
「そうなのね。ところでね」
 華奈子は美奈子の言葉を聞いて頷いてからあらためて彼女に問うた。こうしたことをすぐに問うのが華奈子だ。
「美奈子はこの歌詞歌える?」
「それはちょっと」
 美奈子は双子の相方のその問いに困った顔で返す。
「難しいわ」
「やっぱりそうなのね」
「だって。こうした言葉使わないから」
 このことがまずあった。使わない言葉はどうしても普段使うにしても難しいし歌うにしてもそれは同じなのである。
 だからこう言う。そして華奈子もそれは同じだった。
「あたしもだから」
「ヴォーカルが二人共それだと」
「歌えないかもね。どうする?」
「言葉が今のものならいいけれど」
 美奈子はこう華奈子に返した。
「これだと私も華奈子も」
「そうでしょ?言葉もアレンジする?」
 華奈子の提案はこうしたものだった。
「この歌詞ね」
「歌詞をアレンジするの?」
「意味は。大体わかるわよね」
「ええ」
 今の華奈子の問い掛けはあまり自信のないものだったがそれでも美奈子は返せた。華奈子の今の言葉よりは幾分か強く。
「大体だけれど」
「じゃあ歌詞もね。あたし達でね」
「アレンジしていってなのね」
「そうしない?アレンジっていうか今の言葉にするけれど」
 これが華奈子の提案だった。そうしてだった。 
 華奈子はこれでいこうと皆にも言いかけた。だがここで。
 春奈と赤音が提案するのだった。それは華奈子のものと同じだがより正確になるものだった。その考えを皆に言ったのである。


第五百十八話   完


                 2012・8・22 
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