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対決!!天本博士対クラウン

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第四百三十三話


               第四百三十三話  虐殺しても
 三百万を殺した博士、しかしだった。
 博士は至って平気な顔でだ。自身の研究所で今はドイツの郷土料理を食べていた。
「何ですか、その料理」
「シュバインスハクセじゃよ」
 豚肉の足のところの塊を食べながら言う博士だった。付け合せはドイツらしくザワークラフトとマッシュポテトだ。実にドイツ的な食事になっている。
「ドイツのバイエルンの方の料理じゃ」
「豪快な料理ですね」
「あれじゃな。昔あった古代が舞台の漫画じゃな」
「ああ、ギャートルズですか」
「それに出て来るみたいな料理じゃろ」
「ええ、確かに」
 巨大な塊だった。小田切君はそれを食べる博士を見ながら話す。
「そうした感じですね」
「美味いぞ。肉はやはり塊じゃ」
「一気にどかって食べてこそですね」
「そういうことじゃ。そして一緒に飲むのはじゃ」
「ドイツ料理ですね」
「そうじゃ。それならば何かのう」
「ビールですか?」
 小田切君はオーソドックスに答えた。やはりドイツといえばそれだった。
「とはいっても博士ビールは」
「うむ、飲まん」
 実は博士はビールは飲まない。それは何故かというと。
「あれは身体を冷やすからのう」
「だからなんですね」
「身体を冷やすのはよくない」
 また言う博士だった。
「同じ飲むにしても身体を温める方がよい」
「だからワインなんですか」
「左様じゃ。ワインじゃ」
 それがいいというのだった。ここでもだ。
「モーゼルじゃ」
「博士ドイツのワインもいけるんですね」
「嫌いではない」
 実際にそうだというのだ。
「だからそれはもう用意してある」
「あっ、確かに」
 言ったすぐ傍からだ。博士はワインのボトルを出してきた。勿論グラスも一緒だ。
「用意がいいですね」
「どうじゃ?君も飲むか?」
「飲むのも飲みたいですけれど」
 小田切君はその肉の塊を見ながら話す。
「僕も。いいですか?」
「うむ、あるぞ」
 また言ったすぐ傍からだった。博士は出してきた。白の皿の上にはだ。そのシュバインスハクセにザワークラフト、芋があるのだった。
 小田切君はそれを受け取ってモーゼルも飲む。博士はその小田切君に言ってきた。
「では今度はじゃ」
「また何かするんですか」
「いや、ドイツ料理を食べたくなった」
 表情を強張らせた小田切君にこう話してだ。
 博士はその豚肉を食べモーゼルを飲んでいく。そうしながらだ。博士は今度はドイツ料理について考えるのだった。珍しく平和そうなことを。


第四百三十三話   完


               2011・10・26 
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