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対決!!天本博士対クラウン

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第三百十五話


             第三百十五話  博士とイスラエル
 先生達と六人が動いている間だ。博士はというとだ。
「ふむ」
「また読書ですか」
「アインシュタインを読んでおる」
 それだというのである。小田切君に対して答える。
「それもヘブライ語のじゃ」
「ヘブライっていうとイスラエルの言葉ですよね」
「ユダヤ人の言葉じゃ。知っての通りアインシュタインはな」
「はい、ユダヤ系でしたね」 
 それで有名でもある。歴史上ユダヤ系の知識人や科学者は多いが彼もまたそうなのである。
「それでヘブライ語ですか」
「イスラエルから取り寄せたのじゃ」
「わざわざですか」
「しかしちと苦労した」
 ここで困った顔になる博士だった。
「何しろイスラエル政府はわしを目の敵にしておるからのう」
「イスラエルでも何かしたんですか」
「ちょっと原発に怪獣を突っ込ませた」
 それをしたと読書をしながら平然と話す。自分の車椅子に畳の上で座りそこで読んでいる。
「それでのう。原発を破壊されそうになってじゃ」
「そりゃ怒りますね」
「些細な遊びだったんじゃがな」
「普通原発に怪獣を突っ込ませるのは遊びじゃないですよ」
 小田切君は正論で返す。
「それでどんな怪獣だったんですか」
「宇宙怪獣をさらに強化したやつじゃ」
 またしても碌でもないものだった。
「ベムス○ーをのう」
「あんなのよく捕まえられましたね」
「それで原発を飲み込ませようとしたらイスラエル軍が総出で出て来たのじゃよ」
「流石イスラエル軍ですね」
「まあ自衛隊とは違うのう」
 博士はイスラエル軍を自衛隊と比較していた。
「もう士気も何もかもがじゃ」
「常時戦闘状態の国ですからね」
「昔のユダヤ人は戦争には自分から武器を取って戦うことはあまりなかったがのう」
 これはかつてのことである。少なくともイスラエル建国まではだ。ユダヤ人は知識人や商人になることが多かった。軍人もいたがそれでも少数派だったのである。ユダヤ人は都市に生きていたのだ。
「だがのう。イスラエル建国以来じゃ」
「変わったんですね」
「仕方ないとはいえ。わしの遊びを邪魔するとは」
「だから遊びじゃないですから」
 小田切君はまた言う。
「そんなのは」
「ううむ、イスラエルは冗談がわからん」
「それを冗談と思う人って滅茶苦茶少数派ですよ」
「わしのジョークは理解されんか」
「絶対に誰にも」
 こう返す小田切君だった。何はともあれである。二人はこんな話をしながらだ。今の憩いの時間を過ごしていたのであった。小田切君だけが戦いが迫っていることを知らない。


第三百十五話   完


               2010・9・8 
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